ミュージカル『スクールオブロック』ならではのこだわりとは クリエイターインタビュー音響デザイナー 山本浩一

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2023.8.4
<クリエイターズ・ノート>音響デザイナー 山本浩一

<クリエイターズ・ノート>音響デザイナー 山本浩一

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2023年8月17日(木)より、東京建物Brillia HALLにて上演される、ミュージカル『スクールオブロック』。この度、本公演で音響デザイナーを務める山本浩一のオフィシャルインタビューが届いたので紹介する。


【クリエイターインタビュー】音響デザイナー 山本浩一/ミュージカル『スクールオブロック』

舞台をつくるスタッフへのインタビューをお届けする<クリエイターズ・ノート>。
せっかくミュージカルを観に行くなら、なるべく良い音で聞きたいもの。そこで要となるのが音響の仕事。これまで数多くのミュージカルやコンサートの音響デザインを手掛け、今月開幕『スクールオブロック』の音響も担当するこの道の第一人者・山本浩一さんに聞いた。

山本浩一 Yamamoto Koichi(プロフィール)
日本大学芸術学部放送学科卒業。エス・シー・アライアンス取締役社長。近年の主な参加舞台作品に『キングアーサー』(オ・ルピナ演出)、『画狂人北斎』(宮本亞門演出)、『巌流島』(堤幸彦演出)、『太平洋序曲』(マシュー・ホワイト演出)、『ジキル&ハイド』(山田和也演出)、『ザ・ミュージック・マン』(ダニエル・ゴールドスタイン演出)、TEAM NACS『幾つの大罪~How many sins are there?~』(戸次重幸演出)、『アニー』(山田和也演出)、『BACKBEAT 2023』(石丸さち子演出)、『She Loves Me』(荻田浩一演出)、『ファインディング・ネバーランド』(小山ゆうな演出)などがある。


ーーそもそも劇場で観劇する際、歌や台詞、楽器の音色がきれいに聞こえる、逆に聞き取りづらいということもあります。音にそういった差が出るのは、どのような原因が考えられますか。

様々な原因がありますね。
施設を建てる際にこんな形で立てるといい音になる、という建築音響という分野がありまして、建物の作りによって音の響き方は変わってきます。音を出すと綺麗に減衰していくのが、ちょうどいい響き。客席の形状が複雑だと位置によって台詞が聞こえづらいところもあり、その場合はスピーカーを当てることで対処します。
ところが劇場によっては乱反射が起きて、ワンワンと響きが連なる現象が起きることもあります。

ーー『スクールオブロック』を上演する東京建物 Brillia HALLでは今、その対策が進んでいると聞いています。

はい。細かく測定をして、改良が進んでいるようです。
『MEAN GIRLS』では1階席の両サイドに幕を吊ることで反射を抑え、アンケートでも好評でした。その後、客席の1階席、2階席、3階席の後ろ側に吸音パネルを設置。その工事が徐々に行われており、まだ課題はありますが、音響の点では良くなってきていると思います。

ーーこれまで錚々たるミュージシャンとご一緒されてきた山本さん。『スクールオブロック』のリハーサルを見学なさったそうですが、子供たちのバンド演奏はいかがでしたか。

実は僕も小学校5年生くらいから演奏していましたが、子供たちの演奏は最高ですね。テクニックは僕らの頃に比べると圧倒的に上です。
それよりも、楽器を演奏する楽しさがビシバシ伝わってくるのがいいんですよ。それを見ているだけで、こちらまで楽しくなってくる。普段はみんなキャッキャしている普通の子供たちなんですよ。それが楽器を持つと、一人前のアーティストのようになって、突然良いグルーヴを出す。そこには嘘がないんですね。
バンドをやることを、心底楽しんでいる。これは見どころ、なかなか見られない光景だと思います。

ーーそれは楽しみですね。『スクールオブロック』は子供たちによるステージ上での演奏、そしてプロのバックバンドの演奏の二つが並行します。そのあたり、音響で難しいところや工夫しようと思っていることはありますか。

まず、プロのバンドはオーケストラピットを使わず、奥に配置します。このスタイルは音響を制御しやすいので、かなりスッキリとできるんじゃないかと思います。
難しいのは、子供たちの演奏と、プロのバンド演奏の音を一つのスピーカーから同じように出すと、みんな同じに聞こえて、誰が何をしているのかがよくわからなくなる可能性があるんですね。ですから、スピーカーをいくつか仕込み、子供たちの演奏と大人の演奏の音色、位置の違いを上手く出したい。そして元気いっぱい、若さ溢れる子供たちの演奏、そのエネルギー感をいかに出すか。そこは大きな課題です。

今回の稽古場にセッティングされたプロのバンド

今回の稽古場にセッティングされたプロのバンド

ーー『スクールオブロック』はバラエティに富んだ楽曲が楽しめますが、その名の通りロック曲が多い作品。クラシック音楽系のミュージカルとは、音響の設計が変わるものですか。

全く変わります。スピーカーの選択、スピーカーから出る音をどんな音にするかのチューニング、響きの面では音楽に付加するエフェクターをどう使うかなど。ロックなどスピード感のある作品に関して、エフェクターがかなり重要です。

ミュージカル『スクールオブロック』プレライブイベント歌唱ダイジェスト

ーー『スクールオブロック』ならではのこだわり音響プランがありましたら、教えてください。

ロック音楽に合うスピーカーを使いたいなと考えています。
僕がかつて、長く使っていたのは、ローリング・ストーンズが来日した時に開発されたスピーカー。シカゴに見に行って、これはいい! と買ったんです。ロック系の時にはそのスピーカーを15年くらい使っていましたが、あまりに大きくて、つい先週捨てられてしまいました(笑)。
と言うのは、テクノロジーが進んで、同じ音圧のものがその10分の1の大きさで出るようになったので。今回は、ロック系に合う、ミッドローの押出しの強いスピーカーがいいかなと。Brillia HALLでは初めて使いますね。上手くいくと良いのですが。

ーー山本さんは元々、ミュージシャンだったのですか?

はい。大学時代からバンドをやっていて、レコーディングをするところまで行ったんです。
ただ、レコーディングと今の会社エス・シー・アライアンスを受けたのが同時期で。そこで、会社に勤めながらバンド演奏もすればいいかなと思っていたら、そうはいきませんでした。入社したのがちょうど、松任谷由実さんと松田聖子さんが武道館で公演した最初の年。めちゃくちゃ忙しくなってしまい、片手間にバンド活動なんて状況ではなかったです。

ーーでは、ロックを聴くとテンションが上がるのでは?

もちろんです! そもそも仕事でも、僕はコンサートの音響が中心で、ミュージカルはロック系、『RENT』や『GODSPELL』のようなバンドものに限っていましたから。
ところが『ミー&マイガール』(2003年)が帝国劇場で上演された時、演出家の山田和也さんが大学の後輩で、一回やってみないか? と声がかかりまして。それがオーケストラのいるミュージカルの初仕事。そこで指揮者の塩田明弘さんと出会い、ローリング・ストーンズモデルのスピーカーを使ったんです。音自体は気に入ってもらったのですが、初日の1幕終わった後にスピーカーが全部壊れて、大惨事に。これは、ロックを志している人間は、オーケストラものをやっちゃいけないと神様が言っているんだと思いました(笑)。金輪際、オケの仕事は来ないなぁと。ところが、いまだにやっているのですから不思議なものですね。

<近年山本さんが音響デザインを手掛けたホリプロステージ作品>

2023年上演ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』    撮影:引地信彦

2023年上演ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』    撮影:引地信彦

2023年上演ミュージカル『キングアーサー』   撮影:田中亜紀

2023年上演ミュージカル『キングアーサー』   撮影:田中亜紀

ーー『スクールオブロック』はそれこそ山本さんのお得意なロック! 音もバシッと決めていただけますね。

もちろんです! この作品は僕しかやる人がいないでしょう。劇場全体が盛り上がるような音作りに精一杯努めます。

取材・文:三浦真紀

公演情報

ミュージカル『スクールオブロック』
 
<キャスト>
デューイ・フィン役:西川貴教/柿澤勇人(Wキャスト)
ロザリー・マリンズ役:濱田めぐみ
 
ネッド・シュニーブリー役:梶 裕貴/太田基裕(Wキャスト)
パティ・ディ・マルコ役:はいだしょうこ※/宮澤佐江(Wキャスト)
 
阿部 裕、神田恭兵、栗山絵美、多岐川装子、俵 和也、丹宗立峰、ダンドイ舞莉花、中西勝之、西野 誠、湊 陽奈、安福 毅 (五十音順)
スウィング:AYAKA、森内翔大
 
※はいだしょうこ:ロザリー・マリンズ役カバー
 
《チーム・ビート*》
大久保実生:トミカ(ボーカル)
加藤悠愛:ソフィー(ローディー:楽器セッティング・運搬)
木村律花:ショネル(コーラス)
熊田たまき:ローレンス(キーボード)
後藤日向:ザック(ギター)
佐藤 凌:ビリー(衣裳:スタイリスト)
シーセンきあら:マーシー(コーラス)
中川陽葵:サマー(マネージャー)
三宅音寧:ケイティ(ベース)
村井道奏:フレディ(ドラム)
宮島伊智:ジェイムズ(警備:セキュリティ)
屋鋪琥三郎:メイソン(技術:ステージエンジニア)
 
《チーム・コード*》
小川実之助:ローレンス(キーボード)
桑原広佳:マーシー(コーラス)
飛田理彩子:ケイティ(ベース)
中込佑協:メイソン(技術:ステージエンジニア)
中嶋モモ:フレディ(ドラム)
平岡幹基:ジェイムズ(警備:セキュリティ)
前田武蔵:ビリー(衣裳:スタイリスト)
真木奏音:ソフィー(ローディー:楽器セッティング・運搬)
三上さくら:トミカ(ボーカル)
三宅音太朗:ザック(ギター)
宮﨑南帆:ショネル(コーラス)
山崎 杏:サマー(マネージャー)

*五十音順
 
<スタッフ>
音楽:アンドリュー・ロイド=ウェバー
脚本:ジュリアン・フェロウズ
歌詞:グレン・スレイター
翻訳・演出:鴻上尚史
訳詞:高橋亜子
音楽監督:前嶋康明
振付:川崎悦子
美術:松井るみ
照明:中川隆一
音響:山本浩一
映像:冨田中理
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:宮内宏明
歌唱指導:山口正義
歌唱指導補:堂ノ脇恭子
演出補:豊田めぐみ
演出助手:元吉庸泰
舞台監督:北條 孝 藤本典江
 
■東京公演
日程:2023年8月17日(木)~9月18日(月祝)
会場:東京建物Brillia HALL
座席表>>https://bit.ly/3CeKWHu
キャストスケジュール>>https://bit.ly/3P2C7YZ
 
料金>
S席:平日13,500円/土日祝14,500円
A席:平日9,500円/土日祝10,500円
B席:平日4,500円/土日祝5,500円
(全席指定・税込)
 
 
【キャンペーン
■Tシャツ付S席 
【販売期間】8月27日(日)23:59まで
【料金】
S席Tシャツ付(平日公演)14,000円
S席Tシャツ付(土日祝公演)15,000円
※Tシャツは、ご観劇当日に劇場の“特典引換所”にて券面を提示の上、お受け取りください。
※サイズは、フリーサイズ(Lサイズ相当)となります。
※ウェブのみの販売となります。
※TシャツはTシャツ付き限定デザインとなります。
※やむを得ない事情により公演が中止となった場合、特典のお渡しはできかねます。予めご了承ください。
 
■フレンズ&ファミリー
【販売期間】8月27日(日)23:59まで
価格】
S席1名定価:平日13,500円、土日祝14,500円のところ
■S席2枚(2,000円お得)⇒平日25,000円/土日祝27,000円
■S席3枚(4,500円お得)⇒平日36,000円/土日祝39,000円
■S席4枚(8,000円お得)⇒平日46,000円/土日祝50,000円
■S席5枚(12,500円お得)⇒平日55,000円/土日祝60,000円
※予定枚数に達し次第、受付終了となります。
※お座席を選びいただけます。
 
【イベント・キャンペーン】 
■アフタートークイベント
【対象日程】
―8月23日(水)17:45
登壇者:西川貴教/太田基裕
―8月26日(土)17:45
登壇者:柿澤勇人/梶 裕貴
―8月31日(木)17:45
登壇者:濱田めぐみ/はいだしょうこ/宮澤佐江
※登壇者は急遽変更になる場合もございます。
 
■スクールオブロック☆デジタルスタンプラリー開催
8月17日(木)の初日から9月18日(月祝)の東京公演千穐楽までの公演期間中にデジタルスタンプラリーを開催いたします。スタンプの取得数によってキャストボイスやオリジナルグッズをプレゼントいたします。

 
【プレゼント内容】
●スタンプ1個取得→キャストボイス
●スタンプ3個取得→オリジナルギョロクリアボトル
●スタンプ6個取得→スクールオブロックオリジナルタオル
●スタンプ9個取得→メタルチャーム全種コンプリートセット

■大阪公演
日程:2023年9月23日(土祝)~10月1日(日)
会場:新歌舞伎座
主催:関西テレビ放送 新歌舞伎座 サンライズプロモーション大阪
お問い合わせ:https://shinkabukiza.co.jp/
TEL:新歌舞伎座テレホン予約センター 06-7730-2222(10:00~16:00) 
 
■公演ページ:ホリプロステージ公式公演ページ https://horipro-stage.jp/stage/sor2023/
■公式SNS
【Twitter】sormusicaljapan
https://twitter.com/sormusicaljapan #ミュージカルスクールオブロック
【Instagram】sormusicaljapan
https://www.instagram.com/sormusicaljapan/
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