フレデリック『RUSH BALL 2023』ライブレポートーーハイライト連発、バンドのルーツと音楽愛を存分に味わう圧巻のステージ

2023.8.27
レポート
音楽

フレデリック 撮影=渡邉一生

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『RUSH BALL 2023』フレデリック

リハーサルから本番さながらの盛り上がりを見せていた、フレデリック。1曲目「スパークルダンサー」から「YONA YONA DANCE」を繰り出す容赦ないスタートダッシュからも、この日のステージに懸ける気迫を感じた。そして自然発生する寸分違わぬクラップの大きさは、『RUSH BALL』でフレデリックを観たいと待ち望んでいた、オーディエンスの期待の大きさを表れだったと思う。「音楽が大好きなあなたに捧げます」と三原健司(Vo.Gt)の合図で始まった「ジャンキー」でさらにクラップが増幅。ステージを行き渡りながら歌う健司の声が、夏の泉大津の空を突き抜けていった。

「5年ぶりにGREENS主催『RUSH BALL』。よろしくお願いします、清水音泉からやって来ましたフレデリックです!」という何気ない挨拶に、他団体のスター選手が乗り込んでくるプロレス精神を感じて興奮できるのは、イベントプロモーターをまたにかけた『RUSH BALL』ならではのラインナップだからこそ(清水音泉は、同じ泉大津で『OTODAMA』を主催)。そのまま猛暑の中のオーディエンスを気遣い、水分補給タイムを設けるためMCに。そこでも語られたが、健司はこの日のライブの翌日から、声帯ポリープの切除手術のため約1ヶ月の休養期間に入ることが直前に発表されていた。だからこそ、リハから攻めまくったステージングにオーディエンスは圧倒されていたと思うし、より一体感が強固な時間になったのだと思う。

フレデリック

さらに「BPMが速くて盛り上がることだけが、音楽の全てではないと思ってます。与えられた35分の中で、自分たちがどういう道を辿ってきて、どういう選択をしてきてこの音楽に辿り着いたかを見せられる時間やと思っています」と投げかけ、ガラッとムードは変わり三原康司(Ba)のベースと高橋武(Dr)のリズムで始まった「ナイトステップ」。そのままインディーズ時代の楽曲「プロレスごっこのフラフープ」を披露。バンドの根幹にあるルーツをこれでもかと感じられる時間に酔いしれながら、オーディエンスひとりひとりが好きなようにステップを踏んで踊る光景はとても印象的だった。

そして14年前のこの日(8月26日)に、フレデリックが大阪・中津Vi-codeで活動をスタートさせたことを明かし、「中津で音を鳴らしたあの日から、一生この音楽でやれることやってやろう、人生を作ってやろうと思ってステージに立ち続けてます。今日も人生で一番最高のライブを、1曲で締めくって帰ろうと思います!」と、イントロから大歓声の「オドループ」へ。赤頭隆児(Gt)の痺れるギターソロ、特大のシンガロングというハイライト連発しながら、ラストは高速オドループで締めくくられた圧巻のステージだった。またこの泉大津の地で、『RUSH BALL』でフレデリックを観たい。ひとときの休養を経て、まちがいなくパワーアップして戻ってきてくれる日を心待ちにしている。

フレデリック

取材・文=大西健斗 撮影=渡邉一生

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