新たな興味の扉をひらく2日間! 角野隼斗、亀井聖矢ら多彩なアーティストのコラボに、マングースも演奏!? 『スタクラフェス2023 ONLINE』開催レポート

レポート
クラシック
2023.9.9


2023年8月26日(土)・27日(日)オンライン配信にて開催された『SAISON CARD presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL’23 ONLINE』(通称:スタクラフェス)。多彩なアーティストが集い、新しい興味の扉を開いてくれる音楽が次々とスピーカーから流れ出す2日間となった。2日間の模様を振り返りたい。

■1日目: “のだめカンタービレCLASSIC” DAY

1日目“のだめカンタービレCLASSIC”DAYは、“のだめ”ファンにはおなじみの楽曲が、茂木大輔指揮、のだめ祝祭管弦楽団と優れたソリストたちによって演奏される企画。間には漫画の名シーンがさしはさまれる仕掛けで、ページをめくりながら頭で鳴らしていた音楽が実際に演奏されてゆくという、ファンにはたまらない配信コンサートとなった。

「のだめカンタービレ名曲集」と題したセクションの幕開けは、小林萌花(BEYOOOOONDS)のピアノソロ。ベートーヴェンの「悲愴ソナタ」2楽章とショパンの「エチュードOp.10-4」が弾き終えられると、“のだめの着ぐるみマングース”初登場に至る漫画のシーン、そして、実際スタジオにはあのマングースが!

小林萌花(BEYOOOOONDS)

小林萌花(BEYOOOOONDS)

マングースが鍵盤ハーモニカで鳴らす「ラ」の音を引き継いで、スタジオのオーケストラがチューニングを始め、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」へ。こういう仕掛けとともに、この日はのだめの世界がたっぷり楽しめるのだろうと期待が高まる。ソリストは角野隼斗。アドリブたっぷり、駆け回る指が粋なフレーズを紡ぎ出し、さらには鍵盤ハーモニカもさしはさんで、まさに漫画で描かれた学園祭のコンサートを彷彿とさせる演奏だった。

ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2楽章」も、“のだめ”から外せない。憂いとほの暗さを帯びたロマンチックな世界観が魅力的で、指揮者を目指す千秋がピアニストの立場から音楽に向き合うストーリーにもってこいの作品だった。ソリストは石井琢磨が務め、冒頭の印象的な和音からその世界に引き込み、ラストにかけて徐々にヒートアップしながらも着実かつ真摯に、丁寧にドラマチックな音楽を構築していく。

角野隼斗

角野隼斗

石井琢磨

石井琢磨

続いて、モーツァルトの煌めく音の玉手箱のような音楽が紡がれる。まずは、大井健と久保山菜摘による「2台ピアノのためのソナタ」第1楽章から。コロコロと転がるように展開していく音の粒たちを、まるで2人でキャッチボールしていくような軽快さだ。最上峰行のソロによるオーボエ協奏曲も非常に魅力的。“のだめ”に登場した黒木くんがのだめに恋をし心ここに在らず……なシーンを思わず連想してしまうが、このステージでは浮かれている状態とはほど遠く安定感があり、その上質な音に身を委ねたくなるような演奏だった。

大井健&久保山菜摘

大井健&久保山菜摘

最上峰行

最上峰行

その他にもこの日は、“のだめ”といえばの有名シーンに関連するレアな場面が。

「のだめカンタービレ 究極の秘曲集」のセクションでは、最初に亀井聖矢がストラヴィンスキー「ペトリューシュカからの3楽章」をピアノソロで披露。冒頭に、あのハラハラの名場面……のだめがコンクールで「ペトリューシュカ」を弾こうとしているのに、「きょうの料理」のメロディが頭から離れなくなって大変なことになるときの演奏と思われるものが、再現されていた(もちろんその後、現実の亀井さんは、改めてちゃんとした「ペトリューシュカ」も演奏)。

亀井聖矢

亀井聖矢

この日、司会進行を務めていたYouTuberでピアニストのBudoもここで演奏を披露。“熱”のある作品を2曲続けて演奏した。まずは、ヴァイオリニストの宮本笑里とのデュオでサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」。宮本のずっしりと響く歌心が、非常に魅惑的だ。後半部分にかけて超絶技巧を展開していくが、Budoとの掛け合いもライブならではのヒリヒリ感があり、それがむしろたまらない。Budoはソロでベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」も披露。「ツィゴイネルワイゼン」の熱量をそのままに、多少の緩急はあれども終始一貫して勢いを保ちながらベートーヴェンならではの激しさを表現していた。

宮本笑里&Budo

宮本笑里&Budo

MCを務めたBudo。配信開催になったことで急遽任命されたそうだが、スムーズなトーク展開でイベントを盛り上げた

MCを務めたBudo。配信開催になったことで急遽任命されたそうだが、スムーズなトーク展開でイベントを盛り上げた

続くミヨーの「スカラムーシュ」はソリストに上野耕平が登場。それまでのクラシカルな雰囲気を一変させるような軽快でウィットに富んだ楽曲で、なんとも楽しい。第3楽章「ブラジルの女」ではサンバのリズムも登場し、上野がオーケストラと楽しげに顔を見合わせながら演奏する様子も愉快で、聴いているこちらも思わず踊り出したくなる。そして続くニールセンの交響曲第4番「不滅」は、千秋がパリのマルレ・オーケストラの常任指揮者に就任した際に演奏した作品。華々しい作風でオーケストラのTuttiの響きを楽しむのにぴったり。まさに祝祭的なシーンにもってこいだ。

上野耕平

上野耕平

幕間には、TVドラマ版、そしてこの秋にスタートするミュージカル『のだめカンタービレ』でのだめ役を演じる上野樹里がサプライズで登場し、茂木大輔とのトークを繰り広げた。この日、上野は自身がパーソナリティを務めるラジオ『Juri's Favorite Note』の収録を兼ねての参加。その模様は9月に放送される予定だ。

茂木大輔、上野樹里

茂木大輔、上野樹里

「のだめカンタービレ~オペラ編」では、男声ヴォーカル・ユニット「REAL TRAUM」の3人(堺裕馬、高島健一郎、鳥尾匠海)によるレハールの喜歌劇『微笑みの国』から「君は我が心のすべて」と、さらにソプラノの川越未晴、中江万柚子、吉田桃子も加わりヴェルディの歌劇『椿姫』から「乾杯」で華々しくスタートを切る。“のだめ”の「アンコール オペラ編」で登場したモーツァルトの歌劇『魔笛』より、アリアや二重唱などの名シーンがハイライト的に繰り広げられ、作品のまさにオペラの楽しさが詰まりに詰まったステージとなった。

この日最後のプログラムは、「のだめカンタービレ名曲集 パート2」。ドラマ版『のだめカンタービレ』テーマ曲として使用されたベートーヴェンの「交響曲第7番」ももちろん取り上げられ、オーケストラ、そしてベートーヴェンの音楽の持つギラギラとしたエネルギーが伝わる演奏が繰り広げられた。

のだめと千秋先輩の名シーンも回想され、のだめファンがうっとりとしていたであろうところに、ラスト、アンコールではなんとマングースが再びサプライズ登場! マングースの着ぐるみの袖から伸びた手と演奏のタッチで、ファンなら“中の人”が誰かわかったかもしれない。そんなマングース、大井健、Budoが6手連弾に加わり、オーケストラとの共演でラデツキー行進曲が演奏され、のだめの世界にとっぷりつかる初日はフィナーレを迎えた。

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