開幕まであと1ヶ月!ビリーもメキメキ成長、大人キャストも稽古を満喫~ミュージカル『ビリー・エリオット』公開稽古レポート

2024.6.26
レポート
舞台

益岡徹

ーー益岡さんは、初演、再演、そして今作とこれまで日本公演すべてに出演されてきましたけれども、改めて作品の魅力、そして益岡さんから見て『ビリー・エリオット』とカンパニーの面白いところ、特徴はどんなところにありますでしょうか?

益岡徹(以下、益岡):初演から今回まで計13人のビリーがいたわけですが、それぞれにすごい強い印象があって。初代のビリーの子たちは、もう青年期に差しかかっているんでしょうかね。実際にお会いした子もいますが、感無量と言いますか、ふさわしい成長をされていました。今回のビリーたちとも、人生の最初の十何年間のうちの半年を一緒に過ごすことができるというので、今からワクワクしております。

上演を積み重ねる中で、魅力を私なりに考えたんですけれども、もちろんビリーをはじめとする子どもたちが1日1日今を生きている姿は、かけがえがなく素晴らしいというのは言うまでもないのですが、大人の俳優たちの存在が改めて子どもたちのためになっている、この物語のためになっているというのを毎回気づかされるんですよね。

また、自分の役だけではなくて、誰かが怪我をしたり調子が悪くなったりしたときにすぐに代われるように、何通りもの役ができるようにするスイングさん。僕は初演時からスイングさんの存在を尊敬せずに、この舞台には立てないなと思っていました。今回も同じ気持ちでやりたいと思っております。

鶴見辰吾

ーー鶴見さんは今回初めてのご出演となります。これまでの『ビリー・エリオット』を観劇されたということなんですが、この作品の魅力はどこにあると思いますか。また、実際に稽古に参加してみてのご感想をお聞きできればと思います。

鶴見辰吾(以下、鶴見):魅力はですね、もう語るとね、2時間ぐらい喋っちゃうぐらい、いっぱい魅力があるんですけども。まず音楽が素晴らしい、ダンスも素晴らしい、セットもすごい、出演者もすごい。私が知る限りでは『ビリー・エリオット』はミュージカルの最高峰に位置付けられている作品じゃないかなと思ってます。目が離せないところばかりですから、ぜひお客さんに観ていただきたいと思うんですね。

今回の稽古場の雰囲気なんですけども、イギリスから制作クリエイティブチームが来て、日本からは、いろいろな世代が混ざり合ってですね、このミュージカルのテーマのように多様性が調和し合っていていて。稽古場に来るのが本当に楽しいんですよ。正月と盆が一緒にやってきて、親戚の子どもがいっぱい集まって、おじいちゃんと甥っ子と姪っ子とみんながいて楽しんでるような感じで(笑)。

もう40数年も役者をやっていると、時々仕事行きたくねえなと思うときもあるんですけども(笑)、そういうものを全部払拭して、改めて子どもたちやスタッフやアンサンブルの人たち、共演者が僕の内なるの情熱をもう1回も燃え上がらせてくれた。それがこの『ビリー・エリオット』なんですね。僕はこの年になって『ビリー・エリオット』に出会えたことが本当に幸せ。この幸せをとにかくお客さんに届けたいと思っています。

安蘭けい

ーー安蘭さんも2020年の再演に引き続き、ウィルキンソン先生を演じられます。ビリー役の皆さんとの稽古はいかがでしょうか?

安蘭けい(以下、安蘭):前回はコロナ禍の中での稽古だったので、みんなマスクをして、稽古以外には極力会わないようにしていました。でも今回はもう頭からみんなで一緒に作っているので、前回とはまた全然違う感じで稽古が進んでいて、余計子どもたちの成長を見届けながら稽古をしている日々です。

濱田めぐみ

ーー濱田さんは今回からのご出演になりますが、観ていて好きなシーンや、演じている側からしてもぐっとくるような印象的なシーンはございますでしょうか。そして、稽古を通して感じた作品の魅力も濱田さんからお聞きできればと思います。

濱田めぐみ(以下、濱田):今までの稽古は抜き稽古が多くて、私はウィルキンソンの先生のシーンを主にやってきました。全体通して見ることがまだないんですけれども、全般的に言えることは、演出補の方が剥き出しのままの人間の本質をすごく大切にされているなと。なんて言うんでしょうね、プレイヤーからすると一瞬不安になるんですよ。舞台上で演じていることが。「こんなに何もしなくて、剥き出しのまま、生のままでいいのだろうか?」というようなダイナミックな演出なんです。細かい演出で無駄なことは役者にさせない分、その人が考えていることだとか、思考だとか、発想だとか、その思いだとかが、もうダイレクトにクリエイティブに見えてくるんです。

よかれと思ってつけた役者としての部分はまず全部そぎ落として、生の普通の人間であることよりももっと本質的なものを引っ張り出して舞台上に立つこと。多分役者さんも怖いと思いますし、それを観ているお客様もすごくドキドキすると思います。だからこそ、生っぽい『ビリー・エリオット』という作品になるんじゃないかなと私は体感として思ってます。

浅田良舞

石黒瑛土

井上宇一郎

春山嘉夢一

ーー最後に皆さんから公演を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いできればと思います。

濱田:私は今回初めてこの作品に参加しますが、私にとってもすごくチャレンジでありますし、やれるところまでウィルキンソン先生という女性に近づいて、なおかつ、リアリティのある作品の一部として参加できるように、これからもますます精進していきたいと思います。みんなと力を合わせて楽しく千秋楽を迎えたいと思いますので、ぜひ劇場に皆さま応援に駆けつけてください。よろしくお願いいたします。

安蘭:私は2回目の参加ですけれども、また前回と違ったビリーで、そして新しいキャストもたくさんいらっしゃるので、経験者として少しはみんなを引っ張っていけるような立場になりたいなとも思いますし、また前回と全然違う新しい『ビリー・エリオット』が出来上がると思うので、楽しみにしていただきたいなと思います。

そして少年が主役なので子ども向けのミュージカルかなと思われるんですけれど、大人の心にも刺さる作品だと思いますので、ぜひ親子で、あるいは子どもを置いてでもいいですけど(笑)、大人の方にぜひ観てもらいたいなと思っております。ぜひ劇場にいらしてください。

鶴見:きっと50年先にも『ビリー・エリオット』は誰かが演じている作品だと思うんですね。なので、この今の時代、今のこの4人のビリーたちの生々しいライブ感のある『ビリー・エリオット』をぜひご覧になっていただきたいと思います。ちなみに、益岡さんの奥さんは前回『ビリー・エリオット』を15回観劇されたそうです。同じ芝居なんですけども、ビリーやお父さん、ウィルキンソン先生などといろいろな配役によって化学変化が起きて、全く違う芝居のようにも見えるという。だから、一度と言わず2度、3度も、もう20回ぐらい観に来てほしいなと思います。よろしくお願いします!

益岡:10歳ぐらいの父親というよりかは、もうちょっと違う存在にリアルではなりつつあるなということを自覚しつつ(笑)。これを客席から楽しみたいという気持ちは今回は取っておいて、こういう得難い作品に出られるチャンスをまたいただいたということを大切にして、全力でやっていきたいと思ってます。

小さな1つの町みたいな舞台だと思います。その中でみんながどれだけ団結していけるのか、どれほど結びつきが強くなれるのか。開幕まであと1ヶ月でどれだけ深められて、魅力あるコミュニティにできるかにかけてみたいなと思っています。素晴らしい仲間たちと、素晴らしいアンサンブルの大人たち、それから何よりも子どもたちを心から信じようと改めて思っています。

取材・文・写真=五月女菜穂

公演情報

Daiwa House presents
ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
 
<スタッフ>
脚本・歌詞:リー・ホール
演出:スティーヴン・ダルドリー
音楽:エルトン・ジョン
振付:ピーター・ダーリング
美術:イアン・マックニール
演出補:ジュリアン・ウェバー
衣裳:ニッキー・ジリブランド
照明:リック・フィッシャー
音響:ポール・アルディッティ
オーケストレーション:マーティン・コック
 
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
振付補:前田清実、藤山すみれ(ドラスティックダンス”O”)
音楽監督補:鎭守めぐみ
照明補:大島祐夫、渡邉雄太
音響補:山本浩ー
衣裳補:阿部朱美
ヘアメイク補:柴崎尚子
擬闘:栗原直樹
演出助手:伴眞里子、坪井彰宏、加藤由紀子
舞台監督:松下城支
技術監督:清水重光
プロダクション・マネージャー:金井勇一郎
 
バレエ指導:坂本登喜彦
タップ指導:Higuchi Dance Studio
体操指導:キッズ体操教室でき⇄タノ、こむっしゅ体操教室
ボーカル指導:宇都宮直高
 
Billy Elliot the musical worldwide is produced by UNIVERSAL THEATRICAL GROUP, WORKING TITLE FILMS, GREENE LIGHT STAGE
 
主催:TBS/ホリプロ/梅田芸術劇場/WOWOW/MBSテレビ(大阪公演のみ)
特別協賛:大和ハウス工業
協賛:イープラス
協力:キョードーファクトリー(東京公演のみ)
後援:BS-TBS/TBSラジオ
 
<キャスト>
ビリー・エリオット(クワトロキャスト):浅田良舞/石黒瑛土/井上宇一郎/春山嘉夢一
お父さん(ダブルキャスト):益岡 徹/鶴見辰吾 
ウィルキンソン先生(ダブルキャスト)安蘭けい/濱田めぐみ
おばあちゃん(ダブルキャスト)根岸季衣/阿知波悟美
トニー(兄)(ダブルキャスト)西川大貴/吉田広大
ジョージ:芋洗坂係長
オールダー・ビリー(トリプルキャスト)永野亮比己/厚地康雄/山科諒馬
 
森山大輔/近藤貴郁(ダブルキャスト)、大月さゆ、大竹 尚、加賀谷真聡、黒沼 亮*、後藤裕磨、齋藤桐人、聖司朗、辰巳智秋、照井裕隆、春口凌芽*、丸山泰右、森内翔大、小島亜莉沙、咲良、竹内晶美、森田万貴*、石田優月、白木彩可、新里藍那
*スウィング
高橋維束、豊本燦汰、西山遥都、渡邉隼人、上原日茉莉、佐源太惟乃哩、内藤菫子、猪股怜生、高橋翔大、張浩一、多胡奏汰、藤元萬瑠、石澤桜來、岩本佳子、木村美桜、清水 優、鈴木結里愛、住徳瑠香、長尾侑南、松本望海、南 夢依、宮野陽光
 
<東京公演>
期間:
オープニング公演:2024年7月27日(土)~8月1日(木)
本公演:2024年8月2日(金)~10月26日(土)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
キャストスケジュール>> https://bit.ly/3VGhjbr
 
料金>
S席:平日15,000円/土日祝15,500円
A席:平日12,000円/土日祝12,500円
B席:平日9,000円/土日祝9,500円
Yシート:2,000円(期間限定販売・20歳以下対象
学生券:平日7,500円/土日祝8,000円(学生当日引換券)
 
<東京公演 10月公演   販売スケジュール>
【学生券】6月30日(日)10:00~
【Yシート】7月1日(月)17:00~7月7日(日)23:59
 
<大阪公演>
期間:2024年11月9日(土)~24日(日)
会場:SkyシアターMBS
キャストスケジュール>> https://bit.ly/3xIfORM
 
価格>
S席:平日15,000円/土日祝15,500円
U-25:平日12,000円/土日祝12,500円 ※ホリプロステージではS席のみ取扱い

【一般発売】8月2日(金)10:00~