金森穣と近藤良平による新作とNoismレパートリーのトリプルビル Noism新作公演「円環」開催
2004年に日本初の公共劇場専属舞踊団として、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館で誕生したNoismが、この冬、新作公演「円環」を新潟・福岡・滋賀・埼玉にて開催する。
今年2024年4月に設立20周年を迎えたNoismは、6月に記念公演「Amomentof(アモメントフ)」を上演。劇場専属舞踊団として蓄積してきた20 年の歩みと、常に新たな舞踊芸術を創造し続けるNoismのismが、揺るぎない身体とともに舞台上で表現され、高い評価を得た。
『Amomentof』(2024)撮影:松橋晶子
『Amomentof』(2024)撮影:松橋晶子
今回の公演では、金森穣によるNoism0新作『Suspended Garden―宙吊りの庭』と、近藤良平によるNoism1新作『にんげんしかく』と、レパートリー作品『過ぎゆく時の中で』をトリプル・ビルで届ける。
ダンスカンパニー「コンドルズ」を主宰し、2022年4月からは、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督も務める近藤良平。Noismへの振付は2005 年『犬的人生』以来19年ぶりとなり、今回はNoism1の舞踊家たちとの創作だ。
『犬的人生』(2005)撮影:東浦一夫
金森穣によるNoism0新作には、井関佐和子と山田勇気に加え、かつて Noismメンバーとして長く活躍し、主要なパートを務めた2人、宮河愛一郎と中川賢がゲスト出演する。
レパートリーの『過ぎゆく時の中で』は、東京・池袋で開催されている「SaLaD音楽祭」(2021年)のメインコンサートの演目として、東京都交響楽団との共演で初演されたもの。Noismの本拠地・新潟では初めての上演となる。今回は、劇場版として、新たなキャスティングと演出で届ける。
『過ぎゆく時の中で』(2021)提供:SaLaD 音楽祭2021
■公演によせて――Noism 国際活動部門芸術監督 井関佐和子
今回、ゲスト振付家招聘企画として近藤良平さんをお招きし、Noism1に新作を創作していただき、金森穣によるNoism0の新作、そしてレパートリー作品『過ぎゆく時の中で』を上演します。
近藤さんは2005年以来、2度目のゲスト振付となります。今回お招きした理由としては、現在のNoism1メンバーを思ってのことでした。金森が今までゲスト振付家を招聘するにあたり重要視してきた「集団を持っている振付家」ということを、今回私は選定基準とせず、あくまでも「現在のメンバーの今後の糧になる」という部分を重要視しました。私自身がベジャールの学校で演劇や声楽のクラスの時に感じた恥じらいや、自分の理想(妄想)を壊すことへの恐怖などを、若い頃に打破できたことは、非常に貴重な経験として残っています。現在のメンバーは、Noismという集団の思想、精神性などの理解が深まってきていると思います。しかし、彼らに見える世界だけが全てではなく、様々な世界に接することにより、本当の己を見つける旅ができるのではないかと考えています。良平さんはその人の本質を見極めることのできる方だと思っています。彼らが何と向き合い、彼らに何が欠けているのかということをこの創作を通して見つけていただきたいです。そして、メンバーに新たな、いや潜在的に持っている、しかし自分では知り得なかった感情や感覚が生まれることを願っています。
金森穣の新作は、今回初めてゲスト舞踊家として、元Noismメンバーである宮河愛一郎と中川賢を招きます。ゲスト舞踊家を招くことを決めたのは、演出振付家ではなく私でした。先に舞踊家を規定することは今までしてきませんでしたが、今回は金森に提案しました。彼ら2人は、Noismで最も長く在籍したメンバーであり、戦友でもあります。宮河、中川、山田、そして私は皆40代に入り、舞踊家として次の段階に入っていると思います。その境地をお互いに共有し、刺激し合える心の友と、「演出振付家金森穣と向き合う」ということで、何が生まれてくるのか非常に楽しみです。
当初、プログラムのタイトルを「円環」と決めた理由としては、約20年ぶりにお招きする良平さんや、元メンバーが「還る」という意味合いを込めていました。しかし、個人として、集団として、時は巡り、時代も移り行く中で、自分たちの身体がどのように変容して、日々生まれ変わっているのか。その身体が、精神と感情にどれほど結びついているのか。円環していく時間の中で、表現者としてそれを自覚し、なお生き抜く舞踊道を皆で探していきたい。
そういう意味を込めて、「円環」というこのプログラムが、閉じて終わるものではなく、次への導きとなればと思っています。
公演情報
福岡公演 2024年12月22日(日)J:COM北九州芸術劇場〈中劇場〉
滋賀公演 2025年2月1日(土)滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール〈中ホール〉
埼玉公演 2025年2月7日(金)~9日(日)彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉
共同製作:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・彩の国さいたま芸術劇場
りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 × 北九州芸術劇場 × 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 連携プログラム
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会、一般財団法人地域創造(新潟公演) [この事業は新潟市からの補助金の交付を受けて実施しています]
演出振付:金森穣
音楽:トン・タッ・アン
映像:遠藤龍
衣裳:鷲尾華子
出演:Noism0=井関佐和子、山田勇気
ゲスト=宮河愛一郎、中川賢
演出振付:近藤良平
衣裳:アトリエ88%
出演:Noism1=三好綾音、中尾洸太、庄島さくら、
庄島すみれ、坪田光、樋浦瞳、糸川祐希、
太田菜月、兼述育見、松永樹志(準メンバー)
初演:2021.8.13
TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL 2021 [サラダ音楽祭]
演出振付:金森穣
音楽:John Adams《The Chairman Dances》