SCANDAL バンドとしての地位を手にしたことを証明した武道館ライブ
SCANDAL/2016年1月13日(水)日本武道館
ダンススクールで知り合った4人がバンドを始めて丸10年。普通のバンドの結成とは少し違った経緯を持つSCANDALは、“バンドっぽくしなくちゃ!”という思いで必死に“バンドになろう”としていたという。
結成当時、現役高校生であった彼女たちが選んだ衣装は“制服”。路上ライブから始まった彼女たちにとって、それは一番自然体な姿でもあった。ダンススクールで学んだ術を活かしたエンタテインメントなライブは多くの人に受け入れられるようになり、彼女たちは独自のスタイルでSCANDALの地位を確立していった。
しかし。言葉をオブラートに包むことなく書くことが許されるならば、SCANDALの始まりはやはり“バンド”ではなく、“アイドル”だったのかもしれない。もちろん、これは、アイドルを軽視しての言葉ではなく、アイドルが悪いという意味でもない。彼女たちが“なりたい”と思っていた“バンド”ではなく、“アイドル”という要素の方が勝っていたという意味で。しかし、言い方を返れば、アイドルとは選ばれし者しかなれない存在ということにもなる。
そういう意味では、ダンススクールでレッスンを重ねてきた彼女たちは、自分たちの魅せ方を誰よりも知っている。そこは今も彼女たちの武器でもあると思うのだが、当時はそっちの方が勝り、バンドとしての演奏力はまだまだ駆け出しであった。ゆえに、彼女たちが選んだ“制服”は、彼女たちの武器となっていたのである。彼女たちにとって制服は、バンド・SCANDALとして戦うときの特攻服であったとMAMI(G)はいっていた。
彼女たちがそんな特攻服を脱いだのは、2011年の8月にリリースされた『BABY ACTION』のときのことである。結成から5年目のことだ。彼女たちは最初、この戦いに挑む時の鎧を脱ぐのが怖かったと語っていたことがある。自分たち的にも、まだ“バンド”よりも“アイドル”としての見え方の方が勝っているという感覚があったのだろう。が、しかし、SCANDALを求めていた聴き手は、しっかりと“バンド・SCANDAL”を見ていてくれたのだ。このときの分岐点は、日々バンドとしての成長に向けて懸命に努力してきた4人が、本当の意味で“バンド”になれた瞬間でもあったのかもしれない。
それを証拠に、そこからの彼女たちの勢いは誰にも止めることはできなかった。彼女たちの“バンド”としての音を支持するファンが増えたことで、動員はさらに増し、彼女たちもまた、自分たちの“音”が支持されていると実感したことで、バンドとしての意識を高めていった。そして、2012年にガールズバンド史上最速記録で武道館公演を成功させ、さらに、翌年には彼女たちが“城天”で路上ライブをしていた頃からの憧れであった大阪城ホールでのライブを実現させたことで、揺ぎない自信を持つことができたのである。
SCANDAL/2016年1月13日(水)日本武道館
2016年1月13日。SCANDALは4年ぶりに武道館のステージに立った。バンドとして歴史を積み上げてきた彼女たちは、この日、列記とした“バンド”としてのライブを私たちに魅せてくれた。
4年前の武道館のライブは、エンタテインメント性の高い魅せ方の強いライブであったが、今回はまるで素舞台。ステージ後方に配されたLEDヴィジョンの他には特に凝ったセットが用意されていたわけではないステージで、彼女たちは堂々と自分たちの音のみで勝負をした。
アルバム『HELLO WORLD』を引っさげ、半年という歳月をかけて41箇所で届けてきた『SCANDAL WORLD TOUR 2015「HELLO WORLD」』での海外公演も大きく影響しているのだろう。彼女たちは、4人の音のみでSCANDALの音を届け、その成長をまじまじと見せつけた。
WOWOWの生中継が入っていたこの日は、オンタイムにライブがスタートしたのだが、4人は客席に手を振りながら、飾らぬ出で立ちで揃ってステージに登場し、それぞれの持ち場に付くと、「Image」を1曲目に、ライブの幕を開けた。
SCANDAL:HARUNA/2016年1月13日(水)日本武道館
「武道館!」
と、HARUNAが曲中に誇らしげに叫びオーディエンスを煽ると、1曲目ということもあってか、少々遠慮ぎみだったオーディエンスはその遠慮の殻を取っ払い、会場が割れんばかりの掛け声をその音に重ねていった。RINAのドラムで繋がれ、「瞬間センチメンタル」「DOLL」が間髪入れずに届けられていく。このツアーは、アルバムツアーを経てのアリーナ公演だったこともあり、アルバム曲だけではなく、幅広い選曲でのセットリストで構成されていた。まさしく、純粋に“今のSCANDAL”を感じ取れた時間となったといってもいいだろう。
SCANDAL:MAMI/2016年1月13日(水)日本武道館
時折、HARUNAが間奏前に「MAMIちゃ~ん!」とコールし、MAMIのギターソロへと繋がれるシーンがあったのだが、そこでは何よりの演出となる最高のギタープレイを魅せてくれたMAMIだった。
SCANDAL:RINA/2016年1月13日(水)日本武道館
RINAのドラミングも、これまで以上の抑揚を感じた。そんなRINAの歯切れのいいドラムに、さらにアタック感を与えていたTOMOMIのベースにも、同じく大きな成長を感じさせられた。また、TOMOMIに至っては、その特徴的なボーカル力にも大きな成長を感じ取れた。メインを務めるHARUNAや、MAMIとのハモリにも奥行きを与え、より一層楽曲の表現の振り幅を広げていたのだ。
SCANDAL:TOMOMI/2016年1月13日(水)日本武道館
とても印象的だったのが、当時のまま、揃いの振り付けで魅せてくれた「少女S」。当時よりもサラリとした動きではあったが、やはりこれこそ彼女たちならではの魅せ方だと感じる部分である。また、この日、彼女たちはこの曲中に各自のソロを織り込んでいた。それは、RINAのアグレッシブなドラムソロからの投入で始まった。
髪を振り乱しての力強いそのドラムソロに歓声を上げたオーディエンスの声に、被せるようにHARUNAがギターソロを差し込むと、さらにその音に重ねるようにMAMIがワウの利いた癖のあるギターソロを被せていった。
そのリレーションのラストには、丸みの無い尖った音色でのTOMOMIのスラップが加えられ、4人は見事に「少女S」のメロディへとその音を繋げていった。この楽曲をリリースした7年前の彼女たちには、ここまでのスキルと、この魅せ方はできなかっただろう。
SCANDAL:RINA/2016年1月13日(水)日本武道館
中盤に差し込まれた、RINAがドラムセットを離れて鍵盤やギターを担って音を奏でたブロックも、HARUNAが“ディナーショースタイル”と名付けたという、オーディエンスを座わらせて届けられたブロックも、彼女たちの自信の現れと受け取った。その光景は、彼女たちが目指した“バンド”としての地位をしっかりとその手にしたことを証明した時間であったといっても過言ではないだろう。
後半戦では、3月2日にリリースされる通算7枚目となるアルバム『YELLOW』への期待を募らせる楽曲たちを中心に置き、新曲を含んだセットリストでオーディエンスを楽しませた。映画『猫なんかよんでもこない。』の主題歌として書き下ろした新曲「Morning Sun」は、清々しい余韻を残すエモーショナルなミドルナンバーで、4人がいま一番気に入っている楽曲でもあるという。
そしてアンコールでは結成から現在までを振り返り、結成10年目を迎えることに対し、当初は10年後もこの4人でSCANDALができてるとは思わなかったと、ここまで支えてきてくれたファンに感謝の言葉を延べ、深く頭を下げた。そして。彼女たちは、10年目というこの1年を、これまで以上に走り続けていくことを約束してくれたのだった。
バンドにとって大きな節目でもある10年目を、SCANDALはどんな1年に染上げてくれることになるのだろうか?
文=武市尚子
SCANDAL/2016年1月13日(水)日本武道館
2016年1月13日(水)日本武道館
M01. Image
M02. 瞬間センチメンタル
M03. DOLL
M04. EVERYBODY SAY YEAH!
M05. STANDARD
M06. お願いナビゲーション
M07. 本を読む
M08. LIFE IS A JOURNEY
M09. 少女S
M10. 会わないつもりの、元気でね
M11. おやすみ
M12. Kill the virgin
M13. Winter story
M14. Morning Sun
M15. Departure
M16. 夜明けの流星群
M17. Your song
M18. SCANDAL BABY
M19. Sisters
M20. ちいさなほのお
EN1. love in action
EN2. Stamp!
EN3. SUKI-SUKI
EN4. 太陽スキャンダラス
2016年3月2日(水)発売
【完全生産限定盤】
SCANDAL『YELLOW』完全生産限定盤
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
ESCL 4592-3 ¥3,700(税込)
<DVD>
YELLOW OPENING MOVIE “Room No.7”
SCANDAL『YELLOW』初回生産限定盤
【通常盤】(初回仕様限定盤)
ESCL4594 ¥3,200(税込)
<初回限定仕様>ステッカー
SCANDAL『YELLOW』通常版
※全形態共通!デジタル抽選会の参加券封入!“SCANDAL TOUR 2016「YELLOW」”ツアーのMeet & Greetにご招待!
1. Room No.7
2. Stamp! (2015年7月22日リリース 21stシングル)
3. LOVE ME DO
4. Morning sun (2016年1月30日公開 映画『猫なんかよんでもこない。』主題歌)
5. Sunday Drive
6.今夜はピザパーティー
7.ヘブンな気分
8. SUKI-SUKI
9. LOVE
10. Sisters (2015年9月9日リリース 22ndシングル)
11. Happy Birthday
12. ちいさなほのお (2015年10月17日公開初のドキュメント映画『SCANDAL “Documentary film「HELLO WORLD」”』主題歌)
4月13日(水)宮城 仙台PIT 開場 18:00/開演 19:00
4月14日(木)宮城 仙台PIT 開場 18:00/開演 19:00
4月16日(土)新潟 新潟LOTS 開場 17:30/開演 18:00
4月17日(日)新潟 新潟LOTS 開場 16:30/開演 17:00
4月21日(木)福岡 Zepp Fukuoka 開場 18:00/開演 19:00
4月23日(土)広島 BLUE LIVE HIROSHIMA 開場 17:00/開演 18:00
4月24日(日)広島 BLUE LIVE HIROSHIMA 開場 16:00/開演 17:00
4月30日(土)香川 高松festhalle 開場 17:15/開演 18:00
5月1日(日)大阪 なんばHatch 開場 17:00/開演 18:00
5月3日(火・祝)愛知 Zepp Nagoya 開場 17:00/開演 18:00
5月4日(水・祝)愛知 Zepp Nagoya 開場 16:00/開演 17:00
5月8日(日)北海道 Zepp Sapporo 開場 17:00/開演 18:00
5月11日(水)東京 Zepp Tokyo 開場 18:00/開演 19:00
5月13日(金)東京 Zepp Tokyo 開場 18:00/開演 19:00
5月14日(土)東京 Zepp Tokyo 開場 17:00/開演 18:00
5月19日(木)大阪 なんばHatch 開場 18:00/開演 19:00
5月20日(金)大阪 なんばHatch 開場 18:00/開演 19:00
6月9日(木・祝)香港 Star Hall
6月11日(土)台湾 att show box
③オフィシャルweb先行: 1/12(火)12:00~1/18(月)23:59
④SCANDAL MANIA 2次先行: 2/4(木)12:00~2/10(水)23:59 ※2016年1月20日までに新規入会(入金)した方が対象になります
⑤一般発売: 3/12(土)10:00~
SCANDAL 10th ANNIVERSARY FESTIVAL『2006-2016』
8月21日(日) 泉大津フェニックス
<券売スケジュール>
①SCANDAL MANIA先行:2016年2月17日(水)12:00~2月24日(水)23:59 ※2016年1月20日までに新規入会(入金)された方のみ対象
②CLUB SCANDAL先行:2016年2月26日(金)12:00~2月29日(月)23:59
③オフィシャルWEB先行:2016年3月1日(火)12:00~3月16日(水)23:59
④一般発売:2016年5月21日(土)10:00~