兵庫県で初開催中! パワーアップした『におい展PLUS+』で、疑似・山崎ハイボールや「世界一臭い缶詰」シュールストレミングを体験
『におい展PLUS+』 撮影=黒田奈保子
におい展PLUS+ 2025.2.7(Fri)~4.3(THU) 神戸煉瓦倉庫K-wave
4月3日(木)まで、兵庫・神戸にある神戸煉瓦倉庫K-waveで『におい展PLUS+』が開催されている。同展は2016年の名古屋での初開催以来、全国各地で大好評を博している「におい」に特化した体験型展覧会。これまで30万人以上が参加し、うっとりするような美臭から思わずのけぞってしまうスリリングな悪臭まで、普段は体験できない「におい」体験を楽しむことができる。
今回、神戸で初開催される『におい展PLUS+』では、ソニー独自のにおい制御技術を活用した「未来のにおい体験」を提供。嗅覚だけで味や記憶を呼び戻すような、これまでにない感覚を楽しめる展示をSPICE編集部がいち早く体験。いますぐ嗅いでみたくなる展示の数々を紹介する。
会場となる神戸煉瓦倉庫K-waveは、JR神戸駅、神戸高速鉄道神戸駅、または市営地下鉄海岸線・ハーバーランド駅から徒歩約10分。神戸ハーバーランドにある複合商業施設の神戸ハーバーランドumieの手前にある、赤レンガでできた倉庫。ライブハウスとしても利用される施設なので、立ち寄ったことがある人も多いはず。
受け付けでを提示し、会場に入るとまず目に飛び込んでくるのが2体のマネキン。「男女の媚薬」と名付けられたコーナーでは、古くから伝説や神話に登場する「魅了の香り」である媚薬の香りを嗅ぐことができる。
性別不明のマネキンには男性的、女性的な魅力を表現した香料が塗布されている。嗅覚を研ぎ澄ませながら、マネキンの胸元を嗅いでみてどちらに心惹かれるか、あなたの感性で選んでみよう。
そもそも、においと人類の歴史は古くからあり、人間が香りを利用するようになったのは、火を発見したときからだと言われている。日本へは「香」として飛鳥時代に仏教とともに伝来。仏前に供えたり、部屋や着物に香を焚きしめる風習が広まった。現代では香水はもちろん、化粧品や食品など幅広い分野で使われるようになり、においと人間は切っても切れない関係となっている。
徳川家康ら、偉人のにおい
今では匂い、臭い、香り、芳香、臭気、アロマにフレグランス、スメルにフレーバーなど、言葉だけでも多種多様。それでいて甘い、酸っぱい、爽やか、あぶらっぽい、腐った、花のような……と時間や季節も香りで例えることもでき、その表現は無限大だ。
世界一臭い食べ物ともいわれる「シュールストレミング」
その無限大のにおいは、「学生の頃に好きだった憧れの人の香水の香り」「旅行先で嗅いだ異国の香り」など、記憶に大きな影響を与えている。また鼻から脳が近いこともあり、神経に作用することで感情や行動に変化を引き起こすことも。どうやら人間の脳みそはすぐに騙されてしまうらしい。
そんな「脳みそが騙される」体験ができるのが、ソニー独自のにおい制御技術を活用した「未来のにおい体験」を提供するコーナーだ。ソニーといえばウォークマンなどのオーディオ機器からテレビやデジカメ、家庭用ゲーム機など「聴覚」や「視覚」をイメージしがちだが、「嗅覚」においても積極的に挑戦しているそう。
まず体験したのは「魔法の香りコップ」。無味無臭な炭酸水をコップにいれて装置にセットし、ハンドル部分にある白いボタンを押しながら飲むと、レモンジュースを飲んでいるように錯覚する。装置には本物のウイスキー「山崎」が入っていて、もうひとつの赤いボタンを押し、その香りを嗅ぎながら飲むとまるでハイボールを飲んでいるかのような気分になれる。そしてふたつのボタンを同時にプッシュしながら炭酸水を飲むと……、なんとレモンハイに味変!! まさに「脳みそが騙される」瞬間だ。いちごとレモンの香りも用意されているので、子どもも楽しめる。
続いて「映像と香りの特別体験」ブースへ。こちらはソニーのにおい制御技術「Grid Scent(グリッドセント)」を活用した、映像と香りが連動した体験を楽しめる。ブース内では約70秒の映像が放映されていて、その映像の世界とリンクした香りが広がることでより大きな臨場感を味わうことができる。しかも甘い匂いが漂ったかと思えば、すぐに爽やかな香りになるなど、移り変わりの速さに驚かされる。
実は嗅覚や触覚などの五感のなかで、最も研究が進んでいないといわれている嗅覚。取り扱いが困難とされてきた「におい」も、ソニーが提案する最新の「におい提示装置」では距離や時間なども自由自在時にコントロール。ここではそんな最新のインスタレーションを体験できるのだ。
最新技術体験は続く「においクイズ」でも。真実の口のような彫刻に鼻を近付けると、ランダムで約20種のにおいが発生。タブレットに映しだされるにおいを当てることができるかを楽しむものだが、バラやミント、チョコなどの良いにおいのほかに、加齢臭などのちょっと嫌なものなど様々。しかも周囲にはそのにおいが届くことはなく、あっという間に別のにおいに変化していくので、そこも注目してもらいたい。
最新のにおい体験のあとは、ジャンルごとに展示された香りを嗅いで楽しもう。「偉人にまつわるにおい」では徳川家康や織田信長などの武将が戦の時の甲冑にまとっていたにおいを再現。ダンディーなものから高尚なものまで、武将それぞれの資料を基に作られていて、数百年前の人物に想いを馳せてみるのも面白い。
ほかにも「花のにおい」や「香水の世界」など良いにおいが楽しめるコーナーで鼻の奥いっぱいに美臭を楽しんだ後は、悪臭の世界へ飛び込もう。
バラエティー番組などでおなじみ「世界一くさい缶詰」のシュールストレミングを嗅ぐことができるコーナーには厳重な扉が設置されている。いざ扉を開けると……その先はぜひその鼻でダイレクトに体感してもらいたい。
ほかに台湾の屋台などで見かける「臭豆腐」のにおいを嗅ぐコーナーも。シュールストレミング同様、発酵させた食べ物独特の強烈なにおいがブースいっぱいに充満していて、苦手な人は思わず嗚咽してしまうほど”臭”く感じる。ちなみに、記者の私はこのにおいは平気。友達同士で好き、嫌いな「におい」で盛り上がるのも楽しそうだ。
展示ではほかに、「動物」や「温度」、さらに「神戸のにおい」を感じるものまで幅広いジャンルの「におい」を体感できる。
いろんな「におい」を嗅ぎ続けると、ちょっと鼻が疲れてくる……。そんなときはコーナーのいくつかに設置されているコーヒー豆で鼻の感覚をリセットするのがオススメ。
そして最後は「極楽浄土のにおい」がお出まし! 誰も体験したことがない世界のものだけど、一体どんなにおいがしているのか……。こちらも嗅いでからのお楽しみ!
イベントの最後には『におい展』限定のガチャや、シュールストレミングのTシャツなどのグッズを販売。ちなみに、シュールストレミングTシャツは展示毎に完売するほどの人気アイテムらしいので、気になる人はお早めに!!
イベントでは入場時に「入場証明書」を配布していて、このを提示するとモザイク大観覧車をはじめとした施設内やハーバーランドumieなどのショップで割引サービスが受けられるのでぜひ利用しよう。
場内は全て撮影可能。イベントに来場し、Instagramへ投稿すると、抽選で「PlayStation 5」などの豪華賞品が当たるキャンペーンを実施しているので、ぜひこちらもチェックを!
取材・文・撮影=黒田奈保子