関西の女性をもっと美しく! ヘアショー出演の意義など美容師のリアルに迫る『御堂筋ビューティーコレクション』12サロン座談会part.1
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『Midousuji Beauty Collection 2025』
2010年に始まり、今年15年目を迎える関西最大級のヘアショーイベント『Midousuji Beauty Collection 2025』(御堂筋ビューティーコレクション、以下MBC)。 立ち上げ以降現在では関西のビューティーシーンを牽引する12のサロンが集結し、「関西の女性をもっと美しく」というコンセプトの下でさまざまな企画を盛り込みイベントを重ねてきた。そしてゲストとしてなごみやDJふぉい、GYUTAE、くれいじーまぐねっと、とインフルエンサーの出演も発表。続々情報が解禁され、5月26日(月)になんばHatchでの開催が迫る同イベントのテーマには、“美” にまつわるワクワクを詰め込んだテーマパーク「ミドランド」を掲げ、視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚の五感をフルに刺激する空間で、“新しい自分を発見することができる特別な世界”を展開するべく準備が進められている。その開催を前に、『MBC』に参加する12のヘアサロンから代表者を一堂に集め、座談会を敢行。開催意義や参加することの楽しさなど、多方面からイベントについて語ってもらった。その第一弾として店長クラス2組の座談会をお届けしたい。
左から八木眞理子(AIR)、黒瀬梨央(K-two)、清原和哉(NYNY) 撮影=福家信哉
TALK1/イベントの存在がサロンスタッフの教育にもなる
AIR 神戸・店長/八木眞理子さん
K-twoあべのキューズモール店・店長/黒瀬梨央さん
NYNY・教育部/清原和哉さん
──本日はサロンの中でも店長や教育係という肩書きを持ちで、サロンを運営する役割も担うみなさんにお集まりいただきました。美容師としてのキャリアも長いみなさんに、『MBC』の魅力について語っていただきたいと思っています。みなさんは『MBC』をどのようなイベントだと捉えているのでしょうか。
八木:関西の美容業界を盛り上げることが一番の目的だと思っています。参加している各サロンの中でも“盛り上げること”に最適な人が選ばれて、活動の旗振り役になっているイメージがあります。
清原:確かにそういうイメージはありますね。それと業界的な目線で言うと、“関西のブランドサロンが集まって運営しているイベント”とも言えますね。だからここに仲間入りできていること自体うれしいことですね。
黒瀬:K-twoは『MBC』の立ち上げ当初から参加しています。このイベントを通して違うサロンの美容師同士が交流できるのも、すごく意義のあることだと思っています。
AIR 神戸・店長/八木眞理子
オトナ女子のナチュラルなシアーカラー(八木)
──普段違うサロンの美容師さん同士の交流というと……?
八木:あまりないですね。コンテストに参加した時には交流することもありますけど。ただコンテストは個人競技的でもあるので、交流があるといえばあるくらいですかね(笑)。特にAIRは東京の会社なので、あまり関西のサロンさんと繋がる機会もなかったんです。
清原:ヘアサロンが参加するコンテスト……例えばヘアカラー材を作っている会社さんが主催するコンテストもあるんです。そういう時は、各サロンがそれぞれヘアショーをするという構成なので、交流はないですね。でも『MBC』はみんなで集まってひとつのヘアショーを作るイメージです。違うサロンの美容師が集まって一緒に作り上げるのは、業界の中でも珍しいタイプのイベントだと思います。
K-twoあべのキューズモール店・店長/黒瀬梨央
20cmカットでドライな質感で浮遊感のあるパーマ風ボブパーマ(黒瀬)
──みなさんが代表として、「今年の『MBC』は、どんなことをしようか?」というような企画を立てるんですか?
黒瀬:そうですね、月1くらいで集まってみんなで会議を重ねています。
──12ものサロンが集まるわけじゃないですか。サロンそれぞれに色があると思うので、意見をまとめたり方向性をひとつにするのも大変な作業なのでは? と思います。
清原:大筋の方向性は、各ステージの担当サロンと代表者が会議を重ねて決めていきます。僕たちはプレゼンテーションをしたりして、イベントの肉付けをしていきます。そのための会議をイベント開催の半年ほど前から始めて、開催が迫ってくると週1で集まって、練習もして、本番に備えていきます。
──なるほど! ちなみに去年の『MBC』には、みなさんはどんなステージに参加されたのでしょうか。そしてそこで得られたことはありましたか?
八木が出演した昨年のステージの様子
八木:私はアパレルブランドとのコラボステージで、ファッションに合わせたヘアの提案をしました。最後のヘアアレンジをステージ上で完成させた後、モデルさんがウォーキングして表現するというステージだったんですが、他のスタイリストさんのデザインの表現力とアイデアに驚きました。アパレルとコラボでの衣装は事前に決まっていたんですけど、当日合わせてみて「トータルで見たらこっちの方がいいから」って組み合わせを変えたりして。ヘアだけじゃなく、トータルビューティーの部分でも楽しめたのはすごく勉強になりました。
黒瀬:私も八木さんと同じステージに出ました。私自身あまり馴染みがないファッションだったことと、モデルさんもサロンでお願いするモデルさんとは方向性が異なる印象の方だったんです。サロンでモデルをお願いする時は、自分の趣味が出るんですけど、この日はファッションとモデルさんに自分の技術を合わせていくことが課題だったし、すごく勉強になりました。
黒瀬が出演した昨年のステージの様子
──決まっていることに合わせていくというのも、なかなか難題ですね。
黒瀬:はい。その時のモデルさんは若いインフルエンサーさんで、TikTokもやっていて……と、普段サロンワークをしていたらなかなか出会うことのない方でした。なので、モデルさんの好きそうなこととか、当日までいろいろ勉強したりもして。いい経験でしたね。
清原が出演した昨年のプロフェッショナルステージの様子
──清原さんは?
清原:僕はプロフェッショナルステージで、ガッツリ舞台上でカットをするコーナーでした。みなさんおっしゃっていますけど、自分が持っているものとは違う世界観を作り上げる難しさがあるなと思います。だからこそ色が違うサロンが集まって作るステージを観た時にすごく学びになる。連れて行ったスタッフも、他のサロンさんの仕事が見られるので視野が広がる環境があるなとも思います。
──みなさん、今年はどんなステージに出られるのでしょうか。
八木:私は(今年から新設される、プロ向けの)1部ヘアカラーステージに出る予定です。ダンサーさんのヘアカラーをさせていただきます。
黒瀬:私は(一般客向けの)2部ビフォーアフター変身企画で、モデルを目指す中学生が一歩踏み出すための変身のお手伝いをする予定になっています。
清原:僕は1部の学生ステージを取りまとめます。美容学生が作るヘアショーのプロデュースを担当します。
八木:本当に清原さんは大変だと思います!
昨年の学生ステージの様子
──美容学生さんということは、本当にこれからというみなさんですし。
清原:でもやっているとすごく新鮮です。みんな目もギラギラしているし「こんなすごいチャンスはない!」と口にする前向きな子がたくさんいるので、僕自身ももっと頑張らないといけないなっていう気持ちにさせてもらえるんです。彼らには「これから美容師を目指していくうえで絶対忘れられない1日にしたいね」という話をしているので、実現できたらうれしいですね。
NYNY・教育部/清原和哉
過去に手掛けたヘアスタイル(清原)
──みなさん店を束ねる立場でもいらっしゃいます。参加するスタッフさんたちにどんな収穫があったらサロンにもプラスになると思われますか?
八木:今頑張ってくれているアシスタントたちが、毎日のサロンワーク以外でもこんな華やかなステージがあるんだということに感動してくれたらうれしいですね。
黒瀬:確かに! アシスタントの仕事や生活は過酷ですから……。
八木:日々の業務は大変でも、自分もこういうステージに立ちたいとか、自分だったらこう表現したいなっていうクリエイティブな発想を持ってくれたらうれしいし、今のサロンでもっと頑張ろうと思ってくれたら最高です。
黒瀬:実際スタッフにプラスになったことで言うと、後輩たちが私が出たステージにすごく興味を持ってくれて、ヘアショーを観に行く機会が増えました。あと、今回同じカラーのステージに1年目の子を出場させるんですけど、それもK-twoとしては初めてのことで。クリエイティブが好きな子のいい面を伸ばしていこうという会社としてのチャレンジの面もあります。それと若いスタッフにいろんなことに挑戦してもらうことで、全スタッフへのいい影響も期待しています。
──サロンの新人教育としてもいい面がありそうです。
清原:うちは基本的に、新人はみんな観に来てねというスタンスです。『MBC』のステージを観ることで1から10まで指導しなくてよくなりました。自分で感じることが一番大事だと思うから、見てやりたいって思ったらやるだろうし、僕から言うにしても響き方は変わったのかな。美容業界のキラキラした世界を、エンターテインメントとしても見られるのが『MBC』だと思うんです。おそらく美容師になりたいと思った根底にあるものを思い出すのかなと。そういう意味では美容師の本質を教えられるすごくありがたい存在ですし、イベント自体が教育になっているなと僕は思っています。
左から八木眞理子(AIR)、清原和哉(NYNY)、黒瀬梨央(K-two)
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取材・文=桃井麻依子 撮影=福家信哉