加藤シゲアキ、2年ぶりの再演は「チケット代以上の価値がある」と自信~「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」が開幕

レポート
舞台
10:52
「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」会見より

「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」会見より

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17世紀に実在した剣豪詩人の恋を描いた戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』。1897年にフランス・パリで初演が行われて以来、世界中で上演されてきた名作だ。

「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」は映画監督としても活躍するフランスの若手劇作家・演出家アレクシス・ミシャリクが『シラノ・ド・ベルジュラック』の誕生秘話を描いたコメディ。2016年にパリで初演を行い、日本では2023年にマキノノゾミ演出、加藤シゲアキ主演で初演が行われた。今回は、初演に引き続きマキノが演出、加藤シゲアキが主演を務める。村田雄浩、瀧七海、阿岐之将一、堀部圭亮が新キャストとして参加し、細田善彦、福田転球、三上市朗、土屋佑壱、枝元萌、佐藤みゆき、安蘭けいが続投。実力派キャスト12名が約50役を演じ分ける。

初日を前に行われたプレスコールで披露されたのは、劇作家のエドモン(加藤シゲアキ)が大御所俳優・コクラン(村田雄浩)のために『シラノ・ド・ベルジュラック』を書き上げ、さまざまなトラブルに見舞われながらも開演に向けて動いていく流れ。

「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」舞台写真

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エドモンが主演女優のマリア(安蘭けい)をはじめとする個性的な俳優たちに振り回されたり、公演ができないかもしれない事態共に落ち込んだり、カフェのオーナー(堀部圭亮)に励まされて一念発起したり……。

なんとか作品を描き終えた後も次々に困難が襲ってくるドタバタの展開と、キャスト陣が次々に役を演じ分けるスピード感が楽しい。

「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」舞台写真

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奮闘っぷりを応援したくなるエドモン、厄介な部分もありつつコミカルで愛嬌に満ちたコクランやマリア、スポンサーのアンジュ、マルセル兄弟(三上市朗、土屋佑壱)など、魅力的なキャラクターが繰り広げる怒涛のコメディが初演からどこまで進化しているのか期待が高まった。

「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」舞台写真

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続いて、マキノノゾミ、加藤シゲアキ、村田雄浩、瀧七海、安蘭けいによる開幕前会見が行われた。

ーー初日を前にした心境、意気込みを教えてください。

加藤:2年前の初演も、作品の内容さながらのドタバタしたカンパニーでした。あれをまたやるのかという楽しさと不安が同時に押し寄せています。ですが逆にこの勢いがお客様に楽しく伝わるんじゃないかと思っています。

村田:私は今回が初参加。顔合わせの時にマキノさんや加藤くんから「地獄へようこそ」と言われました。テンポが速いしシーンが次々に変わる。マキノさんの思い通りにハマったら面白いだろうと感じましたが、確かに地獄です(笑)。

:初舞台で、稽古前は不安でいっぱいでした。でも、ジャンヌと向き合ってきた稽古期間が自信につながっています。本番は共演者の皆さんと思い切り楽しみたいです。

安蘭:2年ぶりの再演で、新たなメンバーも加わってパワーアップしました。前回はコロナ禍で、劇場も違い、お客様との間に少し壁を感じました。今回はお客様も笑いや拍手で参加していただけたら嬉しいです。

マキノ:出演者の地獄はお客様の天国ですから(笑)。エドモンが酷い目に遭えば遭うほど面白いという仕掛けをしました。あと、アナログの魅力がある作品で、本来なら無理だろうと思うような転換もやって、人間の力で生の芝居を2時間見せる。近年珍しいタイプのコメディを見にきていただけたら嬉しいです。

ーー二度目の上演ですが、本作やキャストの皆さんの魅力はどこにあるでしょう。

マキノ:僕にとっては、劇作家の苦労と苦悩をよくここまでコメディに仕立てたなと感じる作品です。エドモンに同情を禁じ得ない。キャストは続投の方も多いけど新しい方もいます。みんな大変なので必然的にチームワークが良くなっていく。12人がフル稼働する芝居を良い座組で作れたと思いますし、その楽しさがお客様にも伝わるだろうと思います。

ーーキャストの皆さんの印象、稽古場エピソードを教えてください。

加藤:7割ほどが同じチームなので、同窓会のような雰囲気で始まりました。瀧さんは初舞台なのでサポートする気でいたけど、彼女の成長に引っ張られていくところもたくさんあり、良いカンパニーでした。すごく疲れるのでみんなストレッチをしていて、本番前はその話題で盛り上がっています。

村田:加藤くんが言ったことに尽きます。七海ちゃんは初舞台だし若いのにしっかりしていて、成長速度もすごいです。

:お稽古で皆さんと仲良くなれるかドキドキしていました。でも、ウォーミングアップしながら手作りご飯やマッサージ器具の話をされていて、賑やかな様子を見るのが楽しかったです。

安蘭:2年ぶりなので、初演からのメンバーは「覚えてるかな?」という感じで取り組みましたが、動いてみると意外と覚えていて不思議でした。

加藤:それくらい初演が濃かったですよね。稽古をしながら改めてやる意味に気づくことも多かった。PARCO劇場でやったらもっとよくなるという目論見があったんだろうなと。

安蘭:前回も良いものができたけど、今回は芝居の部分をさらに深められた気がします。

「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」会見より

「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」会見より

ーー加藤さん自身も作家ですが、書けない時の乗り越え方はありますか?

加藤:書けないことがないです。

マキノ:羨ましい!

加藤:……と言いたいですが、僕は自分のペースで書いているので。ただ、締め切りが近いものがあって、今回の稽古と並行して書いています。書けないというより時間がない。稽古場でマキノさんが次の作品の準備をしているのを見ているとすごく気持ちがわかります。でも、やるしかないですよね。

マキノ:今までなんとかなってきているんだよな。でもエドモンの様子は他人事じゃないです。

安蘭:でも楽しいですか?

マキノ:書けている時は楽しい。僕の場合は書けない時が9割以上(笑)。

加藤:乗り越えさせられているというのが正しいかも。僕は3、4年くらい前に一度劇作をしているんです。小説とまた違う楽しさがあったけど、エドモンを演じていると、安蘭さん演じる役がすごくわがままなんですよね。あんなふうにセリフを増やせとか減らせとか言われたらどうしようって思います。

マキノ:実はよくあるよ(笑)。

加藤:そうなんだ(笑)。小説は自分の中で完結するから自由なんですよ。でも戯曲はまた書いてみたいです。

ーー初演から、演じ方や解釈に変化はありましたか?

加藤:初演の時もみんなで話し合い、フランスについての講習も受けて、深められたつもりでいました。でも2年経って改めて触れると新たな発見がたくさんあった。演劇の深みを知ることができましたし、キャストが変わると自分も変わる。そういった再発見や変化が楽しかったです。

安蘭:一緒にお芝居する方が変わるとこちらも変わるし。再演のために前回の資料を見たら、「私、うるさ!」と思って(笑)。今回控えめにしようと思った。

加藤:僕も思ったんです、「エドモンうるさい!」って。でも劇場で見ると多分ちょうどいいんですよね。

安蘭:そうですね。まだもがいて、いろいろやってみようと思っています。

ーー最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

加藤:劇作家が無茶振りされドタバタするコメディです。でも、劇作家に限らず、多くの方が上司や先輩や会社から無茶振りされる日々を過ごしていると思います。この舞台を見にきたら憂さ晴らしになるでしょうし、きっと励みになります(笑)。初演以上にパワーを増し、代以上の価値がある作品になっていると僕は思いますから、見にきていただけると嬉しいです!

本作は4月7日(月)~30日(日)まで東京・PARCO劇場で上演。5月には大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール、福岡・福岡市民ホール 大ホール、愛知・豊田市民文化会館 大ホールでも公演が行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

公演情報

パルコ・プロデュース2025
「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」
 
作 アレクシス・ミシャリク
上演台本・演出 マキノノゾミ
 
出演 
加藤シゲアキ
村田雄浩 瀧七海 細田善彦
福田転球 三上市朗 土屋佑壱 枝元萌 佐藤みゆき 阿岐之将一
堀部圭亮 安蘭けい 
 
ハッシュタグ #舞台エドモン
 
【東京公演】 
日程 2025年4月7日(月)~30日(水)
会場 PARCO劇場
発売日 発売中
料金 ¥12,000(全席指定・税込・未就学児入場不可)
お問合せ に関して サンライズプロモーション東京0570-00-3337(平日12:00~15:00)
公演に関して パルコステージ 03-3477-5858 https://stage.parco.jp/
 
【大阪公演】
日程 2025年5月9日(金)15:00・10日(土)12:00/17:00
会場 東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
発売日 2025年4月13日(日)
料金 S席¥12,000 A席¥9,800(全席指定・税込・未就学児入場不可)
お問合せ キョードーインフォメーション0570-200-888(12:00~17:00 ※土日・祝除く)
 
【福岡公演】
日程 2025年5月17日(土)13:00/18:00・18日(日)13:00
会場 福岡市民ホール 大ホール
発売日 2025年3月23日(日)
料金 S席¥12,000 A席¥10,500(全席指定・税込・未就学児入場不可)
お問合せ キョードー西日本 0570-09-2424 11:00~15:00(日曜日/祝日休)
 
【愛知公演】
日程 2025年5月24日(土)12:00/17:00
会場 豊田市民文化会館 大ホール
発売日 2025年4月13日(日)
料金 S席¥12,000  A席¥9,800(全席指定・税込・未就学児入場不可)
お問合せ キョードーインフォメーション0570-200-888(12:00~17:00 ※土日・祝除く)
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