What’s FAVOY ~ルーツと今を紐解き“ふぁぼい”を知る~ 第7弾:DAZBEE

インタビュー
音楽
2025.4.17
DAZBEE

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『FAVOY』ー それは細分化されたネット音楽を網羅するために立ち上がったプロジェクトである

その第1章となるライブイベント『eplus presents FAVOY TOKYO -電鈴合図-』が、2025年8月7日(木)・8日(金)にZepp Shinjuku(TOKYO)にて開催される。
イベント名である『FAVOY』とは、FavoriteをFaveと略して推しと解釈する海外の若者文化に、2010年代に日本のSNSで流行した「ふぁぼる(いいねを押す)」を掛け合わせた「ふぁぼい(推せる!いいね!)」という造語。インターネットを超えリアルで推しを実感し、新たな推しとの出逢いに繋がるきっかけになってほしいという意味が込められている。
SPICEでは本イベントの開催に向けて、出演者であるSou、超学生、缶缶、DAZBEE、水槽、Empty old City、キービジュアルを担当したイラストレーター・萩森じあにインタビューを実施し、バイオグラフィを紐解く。
第7弾・ラストを飾る今回は、DAZBEE(ダズビー)が登場。活動の原点やネットカルチャーと触れあうことになったきっかけ、いまの“ふぁぼい”など、たっぷりと語ってもらった。


──今回のイベント『FAVOY TOKYO -電鈴合図-』のオファーが来たときにどう思われましたか?

普段はレコーディングなどを含め、ほとんど一人で自宅作業をしていまして、もっといろんなアーティストさん、ファンの方々と触れ合いたいと思っていました。それに、今までは日本でライブができる機会が少なかったので、『FAVOY TOKYO -電鈴合図-』に呼んでくださったことが本当に嬉しかったです。今回は久しぶりの日本でのライブなので、日本のファンの方々とももっと交流して、私に初めて触れる方々にも記憶に残るような歌を歌いたいと思っています。そして誰かの新しい“ふぁぼい”になれたら、それもまた嬉しいことですね。
 
──DAZBEEさんが出演される2日目には、Empty old Cityと水槽さんも出演されますが、二組にはどのような印象をお持ちですか?

Empty old Cityさんの「Daisy Crown」という楽曲が本当に大好きなので、今回ご一緒に、しかも同じ日に出演されると聞いて本当に嬉しかったです。水槽さんも、実はずっと前からYouTubeでチャンネル登録をして応援していましたし、「はやく夜へ」という楽曲が大好きでたくさん聴いていたので、今回お会いできることになったら何を話せばいいのか今から迷っています。素敵な方々と共演できてすごく楽しみですし、今回のイベントをきっかけに知り合いになりたいという私の小さな願いがあるので、頑張ってみます!

──今回は、DAZBEEさんのことについていろいろとお聞きしたいと思っています。まずは音楽活動を始めたきっかけ、ネットカルチャーと触れ合うことになったきっかけを教えてください。

「音楽活動をすることになるなんて思ってた?」って周りの人によく聞かれるんですけど、その度に「全然想像もしてなかった」と答えています。というのも、大学では西洋画を専攻していたので……自分でもまだ不思議です。歌うことが楽しいと気づいたのは、中学2年生の頃だったと思います。その頃から日本のアニメをよく観るようになって、自然とJ-POPにも興味を持つようになりました。ニコニコ動画の存在もその頃に知りました。家でレコーディングができることと、動画を上げたら日本の方々も私の歌を聴くことができることを思うとすごくワクワクして、すっかりハマってしまいました。自分の日本語がどんなふうに聴こえるんだろうというのもすごく興味深かったですし、好きな歌で国を超えて交流できるのが本当に嬉しかったです。

──当時、印象に残った音楽やライブを挙げるといかがでしょうか。

私の姉も日本の文化が大好きで、2人でJ-POPを聴いたりしていたのですが、初めて2人共好きになったアーティストが大塚愛さんでした。大塚愛さんのライブDVDを買って、リビングで一緒に観た思い出が今でも鮮明に残っています。当時はまだ学生だったので、実際にライブを観に行くことはできなかったのですが、DVDを通じて現場の雰囲気を味わいたかったんだと思います。大塚愛さんのパフォーマンスとエネルギーがすごく印象的で、今でも記憶に残っていますね。

『2023 Raon & DAZBEE Concert : THE ECLIPSE』 Photo by Gahyeon Kim

『2023 Raon & DAZBEE Concert : THE ECLIPSE』 Photo by Gahyeon Kim

──DAZBEEさんが思うJ-POP/ボーカロイド楽曲/韓国の音楽の魅力をそれぞれ教えてください。

私が思うJ-POPの魅力は、音楽そのものはもちろんですが、やはり歌詞の情緒といいますか、韓国の音楽とはまた違うニュアンスがあるところです。日本は韓国とは違って、アニメやドラマといったメディア作品にタイアップされる音楽の存在感がかなり大きいと感じていて、その音楽には感情や物語の流れ、いわばもうひとつのストーリーが楽曲に宿っているように感じました。私もアニメ音楽をきっかけにこの世界に触れたので、そこはすごい魅力だと思っています。ボーカロイド音楽にはJ-POPとまた違って、なかなか挑戦できないようなことに果敢にチャレンジしている魅力がありますね。すごく個性的で、生の感情がむき出しになっていたり、面白い音作りをしたりしているところをとても自由に感じます。韓国の音楽は、私もK-POPアイドルの音楽をよく聴いていますが、やはり完成度の高いパフォーマンスを一緒に観れるのが最大の魅力だと思います。スタイリッシュな企画も面白いですし、観る楽しみが確かにあると思いました。普段からいろんな音楽を聴いていますが、どれも魅力的で面白いです。

──日本の音楽と韓国の音楽で、たとえば恋愛や怒りなど、歌詞における感情表現の違いに大きな差を感じることはありますか?

言葉にするのが難しいのですが、日本は韓国よりもう少し深い内面に対して、“実はみんなそうだよね”と寄り添ってくれるような感覚があります。それが慰めや癒しになることもありますし、捻った感情にもなれますし、いろいろな形で解釈できる歌詞が多いと思いました。韓国はもっと素直に表現してくる感じがありますね。よりストレートに気持ちを表現することを好む傾向があるのかもしれませんが、もしかしたら日本語と韓国語の発音の差の影響もあるかなとは思っています。

──なるほど、発音ですか。

日本語の発音は全体的に柔らかい感じで、韓国語は少し硬い感じがあると個人的に思っているのですが、同じ曲に似たような歌詞をそれぞれの言語で乗せたときに、どうしても違う感じがあったことを、私のオリジナル曲「Bambi」から感じました。元々韓国語の曲だったものを日本語でもリリースしたのですが、なるべく原曲の歌詞を日本語でも自然に活かしたくて、私からもかなり意見を多く出させてもらったんです。もちろん、私は韓国語が母国語なのでそう感じれるのかもしれませんが、日本と韓国の音楽の違いの質問で答えたように、それぞれのニュアンスが違うように感じられるのは歌詞の影響も結構大きいと思いました。

──これまでさまざまな楽曲をカバーされてきましたが、選曲するときに大切にしていること、意識していることはありますか?

私は自分が心から惹かれるものに本気になるタイプなので、カバーしている曲は本当にその曲が好きですし、いつも原曲へのリスペクトの感情を持って歌っています。なので、自分がその曲を本当に好きなのかどうかが一番意識していることで、他には自分の声に合っているのかを考えたりもします。

──いつも歌うときに気をつけていること、心がけていることというと?

歌うときに一番気をつけていることは、やはり発音ですね。自然に聴こえるかどうか、あまりにも真面目すぎる発音になっていないか。私はネイティブではないので、そこは努力するしかないといつも思っています。オリジナル曲の「愛じゃない」のラップパートも最初は大変でしたが、ライブで何回か披露して、ようやく少し慣れてきました。あとはディテールも気をつけています。ただ気持ちよくスーッと歌った曲と、細かいところまでしつこいくらいこだわって歌った曲とでは違いがあると思っているので、同じラインをいろんなテイクでレコーディングしたりもします。私はオリジナル曲もほぼホームレコーディングをしていて、時間も自由に使えるので、何日もかけて修正レコーディングをしています。だからレコーディングには結構時間がかかるほうですね。

──これまで歌うのが一番難しかった、大変だった曲は何でしたか?

オリジナル曲の「砂嵐」です。曲調が切り替わることもそうですけど、歌詞のテーマが死別だったので、どんな感情を込めて歌えばいいのかという部分で大変でした。でも、難しさはありましたけど楽しかったです。楽曲を提供してくださったTOOBOEさん特有の世界観がある曲ですし、私のオリジナル曲の中でも歌詞の物語が目立つ曲だと思います。

──これまで活動してきた中で、大変だったけれども達成感の大きかった瞬間はどんなときですか?

2023年に韓国でRaonさんと一緒にした「ECLIPSE」のライブですね。本当に何年か振りに立つステージだったので、プレッシャーがものすごくて……。すごく緊張した状態でステージに上がって、オープニングを終えて挨拶をしたのですが、そのときファンの皆さんがすごい歓声を出してくれて。その声を聴いた瞬間、思わず涙が溢れそうになりました。正直、自信がなかったんです。本当に久しぶりのライブで、まだ私のことを好きでいてくれている人たちがいるのかな……という不安な気持ちでいっぱいでした。でも、その応援の声で、それがどれだけ愚かな悩みだったのかを思い知りました。ファンの皆さんも私と同じぐらい、この瞬間を待っていてくれたんだという気持ちがすごく伝わってきて、必死に涙をこらえました。

『2023 Raon & DAZBEE Concert : THE ECLIPSE』 Photo by Gahyeon Kim

『2023 Raon & DAZBEE Concert : THE ECLIPSE』 Photo by Gahyeon Kim

──これまでインターネットカルチャーと言われる中で活動をされてきたわけですが、今後挑戦してみたいこと、目標はありますか?

もっと外の世界に出て、人と直接コミュニケーションを取ってみることが目標です。他の人からすると、“そんなに大きな目標じゃないな……”と思うかもしれませんが、個人的にはものすごく勇気が必要なことなので、頑張りたいと思っています。なので、ライブを含めて、今後いろんな方面でファンの方々と直接会う機会を増やしていきたいです。ネットカルチャーは常にトレンドが早い速度で移り変わっていると思いますが、長く活動してきたからこそ、遅れないように、これからも全力で頑張って、自分らしさを見失わず、少しずつでも深めていけたらと思っています。

──“自分もインターネットカルチャーの作り手になりたい”と思っている人たちに向けてメッセージをお願いします。

本気で好きなことを見つけて、それをとことん掘り下げていってほしいです。私もまだまだですが、好きなものや、経験、たくさんの試行錯誤が積み重なって、やがて自分だけの個性になっていくんだと思います。また、ネットカルチャーの魅力は、自分がやりたいことを自由にやれるというところにもあると思っているので、難しいと考えるよりも、何でもチャレンジしてみることも大事だと思います。私も初めて自分の歌をネットに投稿したときのときめきを今でも忘れられません。きっとその小さな勇気が大きな変化になると思います。

──最後に、ジャンルを問わずいまの“ふぁぼい”(推し)を教えてください。

真剣な話のすぐ後にアレなんですが、マリオシリーズのルイージが“ふぁぼい”です。私は子供の頃、ゲームキューブでよく遊んでいて、その中でも『ルイージマンション』というゲームが一番好きでした。ルイージはマリオの弟で、気が小さくて怖がりなんですが、そんなルイージが幽霊の出る屋敷で捕まった兄を助けるために、掃除機で幽霊を吸い込んでいくというストーリーなんですけど、怖がりの弟が勇気を持って兄を助けることや、いつも助演だったルイージがこのシリーズでは主人公というのがすごく新鮮だったことと、彼の悲鳴や怯えた声が本当に可愛くて、それ以来ずっとファンなんです。私もルイージと似ている部分がかなりあると思うので、彼みたいに勇気を持って成長していきたいです。


取材・文=山口哲生

イベント情報

eplus presents FAVOY TOKYO -電鈴合図-
会場:Zepp Shinjuku(TOKYO)
開催日時:
2025年8月7日(木)     17:15開場/18:00開演
2025年8月8日(金)     16:30開場/17:15開演
出演(五十音順):
2025年8月7日(木) 缶缶/Sou/超学生
2025年8月8日(金) Empty old City/水槽[LIVE SET]​/DAZBEE(ダズビー)
U-18限定通し券 9,800円(税込) SOLD OUT/1日券 6,900円(税込)
主催/企画制作:イープラス
制作協力:YUMEBANCHI(東京)
 
【公演に関するお問い合わせ】
https://eplus.jp/favoytokyo2508078/

 
【公式リンク】
公式サイト:https://eplus.jp/favoy/
Instagram:https://www.instagram.com/favoy_eplus/
X:https://x.com/favoy_eplus

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