劇団☆新感線45周年は全員集合!〜チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』製作発表レポート
(公式提供写真)
2025年9月より、2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』が、長野・大阪・東京で上演される。
劇団☆新感線の座付作家・中島かずきによる書き下ろし、主宰・いのうえひでのりによる演出で、江戸時代を舞台に歌舞伎の大名作『忠臣蔵』を上演するために奔走する演劇人を描く本作。キャストには劇団の看板俳優・古田新太、高田聖子、粟根まことらに加え、久しぶりの出演となる橋本じゅん、羽野晶紀、橋本さとしが集結。さらにゲストには小池栄子、早乙女太一、向井 理と豪華な顔ぶれが並ぶ。
2025年7月30日(水)には、都内にて本作の製作発表会が開催された。会見には中島かずき(作)、いのうえひでのり(演出)、古田新太、高田聖子、粟根まこと、橋本じゅん、羽野晶紀、橋本さとし、小池栄子、早乙女太一、向井 理の11名が登壇。中井美穂の司会進行により、劇団45周年を記念したチャンピオンまつりに向け、登壇者それぞれの熱い想いが述べられた。
まずは登壇者ひとりずつ順に挨拶ということで、座付き作家の中島かずきがトップを切る。中島は最初に、本作のタイトルの“爆烈”について「爆発して破“裂”するのではなく、爆発的に猛“烈”な人たち」という意味を込めたと、漢字へのこだわりを説明。中島が今回書き下ろした戯曲は、元々『忠臣蔵』を作ろうとする芝居者の話を書きたいと思っていたところに、「歌舞伎役者になりたくて猛烈に突っ走る女性」を思いついた結果できたものだという。劇団45周年ということもあり、いろいろ詰め込んだ結果、今まで書いた作品の中で最も長くなってしまったそうで、自ら反省して20分ほど削ったそう。その上で「ここから長くなったらいのうえ(ひでのり)の責任ですので、そう思っていただければありがたい」と笑いを誘った。
「『忠臣蔵』をやろうとする江戸時代の芝居者たちの熱い話。そこはある意味すごく新感線らしい」と語ったのは、劇団の主宰・演出を務めるいのうえひでのり。今回は「製作発表の前に集合写真を撮ったら、法事に集まった親戚のようだった」という感想が出てしまうほど、歴代の劇団員と劇団に縁のあるキャストが揃った。タイトルの“チャンピオンまつり”は本来ならば笑いに特化した作品の冠として付けられることが多いのだが、「お芝居の中にパロディやオマージュなどが盛りだくさんで、歌って踊ってのお祭り騒ぎだから、“いのうえ歌舞伎”だけど“チャンピオンまつり”でいいじゃないか」と、あえて本作の冠につけたそうだ。先程の中島のコメントを受け、MCから(上演時間が)長くならないかと問われたいのうえは、「それはちょっとやってみないとわからない」と満面の笑顔で返した。
劇団に入団して今年で41年目かつ還暦を迎える古田新太は「劇中劇が多過ぎて、一体今誰が喋っているのか、役名が変わるからよくわからない。いまだに役を掴みかねている」と不満を漏らしつつ、「松本公演から東京公演までの3、4ヶ月の間に(上演時間を)何とか30分は短くしようと思っています」と頼もしい(?)コメント。
6年ぶりの出演となる橋本じゅんは、久しぶりの新感線に緊張していたそうだが「稽古場に入ったら『あれ、夢から覚めたのかな? 一昨日も来ていなかったっけ?』みたいな感じ」と、すぐに懐かしの劇団に馴染めたようだ。稽古で全身が痛くなっていることに年月の経過を痛感しながらも、「まだいけるぞという手応えはあります」と橋本。
19歳のときに初めて新感線の公演に参加したという高田聖子は、当時いのうえから「演舞場でやっているような気持ちで!」と言われ、「『何を言ってはるのか、この人は』と思っていたんですけど、まさかその演舞場で、しかもチャンピオンまつりで舞台に乗れるなんて。本当に夢があるなあと思う」と感慨深げに語った。久しぶりに集まった面々について聞かれると「みなさんいい感じにお年を召されたなと。私も含めみなさん髪も白くなってきて、それもまたいい味わい」と目を細めた。
本作で橘右衛門(きつえもん)役を演じる粟根まことは「名前の通り、ものすごくきつい人で、堅物です。今回の登場人物はみんな破天荒な人ばかりなので、それを締めて回るような頭の固い人を演じたい」と自身の役を紹介。続けて「私も含め劇団員たちはみんなそのままやっているので、そのままの人間が舞台上に出ればいいなと思っております」と意気込む。
8年ぶりの出演になる羽野晶紀は、「自分が現役で出ていた頃に比べて本当にゴージャス! 何から何まで本当にプロフェッショナル!」と劇団の変貌ぶりに驚きを見せた。既に始まっている稽古については「今、一等席でお稽古を見ているので毎日稽古が楽しい」と、溢れんばかりの笑顔で語る。
近年ミュージカルで大活躍中の橋本さとしは、今回5年ぶりの新感線出演となる。「どこで何をしていても、離れている間もずっと劇団☆新感線魂は燃えていた」という橋本。一方で「気持ちは20代くらいなんですけれど、脳みそと身体は年相応。前より漢字も読めなくなっている」と本音をポロリ。これに対し中島は「外部であれだけ活躍しているので少しは漢字が読めるようになったかと思っていたのですが、本読みで本当にがっかりした」と、稽古場での橋本の珍エピソードを暴露する場面も。
本作が劇団作品4作目の出演となる小池栄子は「毎日稽古が楽しくてしょうがない。(中島)かずきさんが書いてくださった本がとにかく楽しくて魅力的。いのうえさんがニコニコしながら演出をつけてくださる」と実に嬉しそうに語る。今年で劇団と同じく45歳になる小池は「もはやお父さん、お母さんと一緒にやっているような気分」だという。小池は本作では実際に橋本じゅんと親子役を務めるため、「(橋本)じゅんさんの何かを盗みたいな」とニヤリ。
17歳で初めて新感線作品に参加し、登壇者の中で最年少となる早乙女太一は「このメンバーの中に入れることが本当に嬉しい。45年も劇団が続いているのは本当に奇跡のようなこと」と目を輝かせながら語る。「本当に千穐楽まで続けられるのかなと思うくらい、稽古初日からすごいエネルギー」と、稽古場では劇団員のパワーに圧倒されているようだ。早乙女は新感線8作目の出演にして、初めて人殺しではない役を演じることに対し「すごく不安でソワソワします。殺さなくていいんですか?」とコメントして会場の笑いを誘った。
本作で3作目の出演となる向井 理は「実は4年毎に(新感線作品を)やっていることに気付きました。オリンピックみたいな感覚」とニッコリ。本作で演じる2役のうち、ひとつは座付き作家を演じる向井。台本を読んで「座付き作家の大変さやプライドみたいなところが入っている。これは(中島)かずきさんとしてやった方がいいのかなと思った」と役作りについての考えを述べた。稽古の様子を聞かれると「どこを見ても劇団員の方。ひとりのファンとして観てきた歴の方が長いので、参加させてもらえるだけで本当に幸せ。まだ夢を見ているような感じ」と嬉しそうに答えた。
ひとりずつの挨拶が終わると、その後はMCからの質問や登壇者同士での笑いの絶えない掛け合いが続いた。
久しぶりの出演となるメンバーについて問われた古田は「(橋本)さとしくんを見るといじめたくなる」とニヤリ。それに対し橋本(さ)は初日の本読みから「おもろいこと言えよ」と、古田から先輩命令を受けていたことを明かす。「そのときにちゃんと漢字を全部間違えてくれて。面白いことできるじゃねえか」と言う古田に、「それは無意識です(笑)」と返す橋本(さ)から、当時からの先輩後輩の関係性が感じられる。
(撮影:SPICE編集部)
(撮影:SPICE編集部)
様々な現場で活躍する劇団員が一堂に会するのは実に31年ぶり。その衝撃の事実に高田は「あの頃の自分に言ってあげたい。こんな歳になってまだ同じようにバカバカしいことをやれるよって。信じられないけれど本当にラッキーだなと思う」としみじみ語る。
稽古場の様子を聞かれると「動きや歌や踊り、立ち回りなどがこれからどんどん肉付けされていくので、もっと(上演時間が)伸びる可能性は高い」と冷静に分析する向井。早乙女は「劇団のみなさんがタイムスリップしているように見えてくる。若かったときもこういう感じだったんだろうなとか、そういう姿がフラッシュバックしたり、パッと瞬きすると急に老けていたり(笑)」と、目まぐるしく感動が溢れる稽古場の様子を熱っぽく語った。
(撮影:SPICE編集部)
(撮影:SPICE編集部)
いのうえは「劇中劇が多いので、“着せ替え太一くん”や“着せ替え古田くん”もある。みんながいろんな衣装を着るのを見るのも楽しいんじゃないかな」と、本作の見所となる衣装についても触れた。戯曲について質問された中島は「お客さんたちみんなが観に来てくれて今があると思う。そういう人たちに対してのありがとうの気持ちを込められれば」と想いを述べつつ、「きっとそれも、このバカバカしさに掻き消えていくんだろうなと思いますが、楽しく観ていただければ」と観客へメッセージを送った。
本作はタイトルに『忠臣蔵』とあるが「この芝居を観ても『忠臣蔵』はわからない」とのことなので、事前に『忠臣蔵』の予習をしておいた方がストーリーをより楽しむことができそうだ。いのうえも「基本がインチキなので」と、破天荒な新感線らしいコメントで会場を沸かせた。
(撮影:SPICE編集部)
製作発表の最後は、古田の言葉で締めくくられた。「みんなの稽古を見ていると、すごく楽しい作品になりそうです。さっき太一くんが言っていましたけれど、千穐楽までは保たないかもしれません。ですからみなさん、早め早めのを持って、ぜひとも観に来てください」。
取材・文・撮影=松村蘭(らんねえ)
公演情報
チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎
『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』
■演出:いのうえひでのり
■出演:
古田新太 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 羽野晶紀 橋本さとし/
小池栄子/早乙女太一/向井 理ほか
■企画・製作:ヴィレッヂ 劇団☆新感線
■公式サイト:https://www.vi-shinkansen.co.jp/bakuretsu45/
■公演期間:2025年9月19日(金)~23日(火祝)
■会場:まつもと市民芸術館
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■問合せ:サンライズプロモーション北陸 025-246-3939(火~金12:00~16:00/土10:00〜15:00)
■公演期間:2025年10月9日(木)~23日(木)
■会場:フェスティバルホール
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■問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(12:00~17:00/土日祝休)
■公演日程:2025年11月9日(日)~12月26日(金)
■会場:新橋演舞場
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11月公演:2025年9月21日(日)午前10時
12月公演:2025年10月19日(日)午前10時
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■問合せ:新橋演舞場 03-3541-2600(10:00~18:00)
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