鈴鹿央士、大竹しのぶ主演・シェイクスピア『リア王』で初舞台に挑戦「俳優としてベストなタイミング」
鈴鹿央士 撮影=河上良
2025年10~11月、東京・大阪にて『リア王』が上演される。同公演が初舞台となる鈴鹿央士は、山崎 一演じるグロスター伯爵の嫡子で、成田 凌演じるエドマンドの異母兄、エドガーを務める。SPICEでは、大阪での本公演プロモーションで初舞台にかける意気込みなどを語った取材会の模様と、個別インタビューをお届けする。
Bunkamuraが日本と海外のクリエイターの共同作業のもと、優れた海外戯曲を今日的な視点で上演する企画に取り組んできたDISCOVER WORLD THEATREシリーズ。同シリーズの第15弾として、シアターコクーン前芸術監督・蜷川幸雄の生誕90年を迎えることを記念し、“NINAGAWA MEMORIAL”と題し、『ハムレット』『マクベス』『オセロー』と並ぶシェイクスピア四大悲劇のひとつである『リア王』を上演する。
上演台本・演出は、人間を深く見つめ物語を繊細に紡ぎ出す斬新な演出手法が高く評価されているフィリップ・ブリーン。この度、日本で上演されてきた戯曲を一新させ、現代的で新鮮な再翻訳版として上演する。タイトルロールのリア王を演じるのは、大竹しのぶ。男性の王・リアという難役を務める。共演には、宮沢りえ、成田 凌、生田絵梨花、鈴鹿央士、横田栄司、安藤玉恵、勝村政信、山崎 一が結集。老いた王がすべてを失い、狂気の淵を彷徨いながら人間の「光」と「闇」を見出す究極の人間ドラマを描いていく。
鈴鹿央士
俳優の鈴木杏や勝地涼、劇作家で演出家の加藤拓也ら所属事務所の先輩の舞台を観てきた鈴鹿。漠然と「いつか舞台に立ってみたいな」という思いが湧き上がっていた。そんな彼の初舞台が『リア王』に決まった。「いよいよ来たかと思ったと同時に、まさか最初にシェイクスピアをやるとは思っていなかったので、大丈夫かなという不安もありました。でも、大竹しのぶさんや宮沢りえさん、成田 凌さんなど、錚々たる顔ぶれのキャストの方々のお名前を見て、一度しかない初舞台を皆さんと経験できるなんて、こんな幸せなことはないなと思い、ぜひやらせてくださいとお伝えしました」と鈴鹿。
演出家のフィリップ・ブリーンとは昨年、ロンドン滞在中に顔合わせが実現した。「そのときはまだ脚本はできていなかったのですが、“設定を現代に寄せて今までにない『リア王』を作りたいんだよね”とおっしゃっていました。その後、いただいた台本を読ませていただき、エドガーは大変そうだなと思いました。自分の弟にはめられて家を出ないといけなくなり、いろんな出来事があって。苦しみながらも正義感を持ち、まっすぐ向き合っているエドガーをしっかり演じきれたらいいなと思いました」。
鈴鹿央士
このとき、フィリップから早くも課題が与えられた。「カフェで向き合って喋っていたのですが、5分くらい喋ったら“ボイトレ行ってね”と言われました。舞台だと声が届かないと意味がないので、声を届けるということを意識したいと思います。あと、“日本語の詩集を読んでください”と言われたので、谷川俊太郎さんの詩集を読み始めました」。
共演者のひとりでエドマンド役の成田 凌は、『MEN'S NON-NO』の先輩モデル。2018年に『MEN'S NON-NO』のオーディションに受かった際には、成田からトロフィーを手渡してもらったという。「それから撮影でご一緒することはないのですが、成田さんが撮影されている現場をちょっと見学させてもらったり、“成田さんが鈴鹿とはいつか一緒に仕事できたらいいなとか、一緒に仕事ができる気がするって言ってるよ”と編集部さんから聞いて、僕もいつかご一緒できたらと思っていました。そしたら『リア王』で、しかも、僕が兄で、成田さんが弟という設定で。“僕がお兄ちゃんか……”と思いながら、成田さんのお兄ちゃんとして頑張りたいです」。
取材会の最後にはこう意気込んだ。「台本を読んで、時代が変わっていろんな技術が発達しても、人間の本質はあまり変わっていないんだなと思いました。今の時代に生きている自分たちにも通ずるものがあって、歌みたいな比喩表現も、考えながら読むとすっと頭に入って、心にまで届いてくる感覚がありました。フィリップさんが今までにない『リア王』を作りたいとおっしゃっていましたし、大竹しのぶさんをはじめとするすごい俳優さんばかりなので、シェイクスピアがお好きな方も、舞台初心者の方も楽しめると思います!」
続いては個別取材で行ったインタビューの模様。
鈴鹿央士
――今、鈴鹿さんは25歳です。25歳で舞台初出演、しかもシェイクスピアの四大悲劇の『リア王』。このタイミングは鈴鹿さんにとってベストなのか、それともご自身としてはちょっと早いかも……と思われていたのか、どちらが近いでしょうか?
ベストだと思います。25歳になって半年が過ぎましたが、もうすぐアラサーという時に、大竹さんや宮沢さんなど、舞台でものすごく活躍されている方々と一緒にお芝居できるのは、考えが凝り固まる前だし、こうしていきたいという思いが確立される前でもあるので、俳優としてベストなタイミングのような気がしています。
――鈴鹿さんはすごく運が強そうですね。
運、強いですね。ちょっとドライブで出かけたときに、駐車料金500円で、財布の中に500円玉が入っていて、「きたきた! 運いいな!」と思ったりします(笑)。
――小さなことでも「運いいな」と思っていたら、大きい運もやってきそうです。
運がいいなと思えば思うほど、運はよくなると聞いたことがあります。小さい頃から親に「なんとかなる」と言われて育ってきたので、もちろん頑張るのはモットーとしてありますが、運にも頼る生き方でよかったなと思いますね。親に感謝です。
――『リア王』では山崎 一さんと親子関係になりますが、山崎さんとはどんな関係を築いていきたいと思われますか?
物語の中では一度、親子は離れてしまいますが、息子としては親を信じる力はすごく大事だと思うので、稽古のときから山崎さんの姿をちゃんと目に焼き付けておこうと思いますし、いろいろな場面でお父さんのことが頭をよぎるようになったらいいですよね。……何が好きなんだろうな、山崎さん。そういうこともちょっとずつ話して、山崎さんのことを知っていこうと思います。
――では、『リア王』は悪い人がたくさん出てきますが、鈴鹿さんが最も悪人と思う登場人物は誰でしょう?
弟(エドマンド)じゃないですか。あれはもうダメですよ。闇から光の中へ出たいという思いも分からなくもないですが、やっていることがひどいし、色恋系にも手をつけて、そこでまたごちゃごちゃするじゃないですか。……悪いですよね。「俺は顔もいいし、体もいい」みたいなことを言ってるのもちょっと嫌です。嫌ですが、台本を読んで、成田さんに言われたら、「まあまあ、確かにな……」と思ったりしました(笑)。成田さんは『MEN'S NON-NO』の先輩でもあるし、ずっと追ってきた先輩なので、エドガー的には「え?」となりますが、鈴鹿央士としては「いや、そうですよね」となりました。
鈴鹿央士
――では、お芝居するにあたって心の部分で「これだけは大事に持っておきたいな」というものはありますか?
登場人物が、その人生の中で何を成し遂げたいのか、何を求めて生きているのかということは考えます。ひとつのシーンで、ただ会話をしているだけでも、そのキャラが何かのゴールに向かって進んでいると、「この人って生きているんだ」という力も加わると思いますし、なんとなくそのシーンを過ごすよりも、演じやすいというか、頭が動きやすい感じはあります。『リア王』でも、エドガーが何を求めているのか、その都度見えてくるものも変わるし、状況も変わりますが、エドガーの芯にある思いは持っておくようにしようと思います。
――最後に、今回の大阪でのプロモーションはいかがですか?
プロモーションで大阪に前入りしたのは初めてかもしれないですね。せっかく大阪に来たのだし、晩ご飯に行こうかなと思って外に出たのですが、あまりにも街が賑やかで、キラキラしていて。それで圧倒されてしまって、コンビニに行って、ホテルで食べました(笑)。
――そうなんですね。また大阪も楽しんでください。
はい! ありがとうございます。
鈴鹿央士
取材・文=Iwamoto.K 撮影=河上良
■白シャツ
プライス:参考価格/ブランド名:NEZU YO-HINTEN
お客様お問い合わせ先名:NEZU YO-HINTEN(@nezu.yohinten〈IG〉)
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