9mm、TenTwenty、BIGMAMA、フレデリック、Baby Canta、マルシィ、レトロリロンらによる真夏の饗宴、FM802『HIGH!HIGH!HIGH!』をレポート

レポート
音楽
12:00
『FM802 ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE  HIGH!HIGH!HIGH! 』

『FM802 ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE HIGH!HIGH!HIGH! 』

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『FM802 ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE 
HIGH!HIGH!HIGH! supported by 栗本鐵工所』2025.8.9(SAT)なんばHatch

『FM802 ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE HIGH!HIGH!HIGH! supported by 栗本鐵工所』が、8月9日(土)に大阪・なんばHatchで開催された。『HIGH!HIGH!HIGH!』は、大阪のラジオ局・FM802で放送中の生放送プログラム『ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-』(月~木曜21:00~23:48 O.A)が主催する、夏恒例のインドアライブイベントで2014年にスタート。今年はロビーに記念撮影用のパネルが設置され、階下に設けられたROCK KIDS CAFEでは、FM802スタッフ御用達の大阪・南森町のニッシンべーカリーのパンやアイスコーヒーなどもサーブ。転換中には、番組の担当DJである「オチケン」こと落合健太郎自ら公開生放送的なノリで会場限定のスペシャルラジオショーも展開と、おもてなしとお楽しみが満載だ。

帝塚山学院中学校 ダンス部

帝塚山学院中学校 ダンス部

開場時からにぎわうなか、オープニングアクトとして登場したのは、先日『EXPO 2025 大阪・関西万博』のダンスコンテスト『夢舞<MOVE>2025 EXPO DANCE CHAMPION SHIP』で準優勝した、帝塚山学院中学校 ダンス部。ライトブルーの衣装に身を包んだ華麗で美しい舞いは、開演を待つ真夏のなんばHatchに爽やかな清涼感をもたらしてくれた。

落合健太郎(FM802 DJ)

落合健太郎(FM802 DJ)

そして、レトロポップなオープニングムービーを経て、オチケンがついにステージへ。「皆さんお待ちかね、ようこそ『HIGH!HIGH!HIGH! supported by 栗本鐵工所』へ! みんな楽しむ準備はできてますか? 実はお約束の掛け声があるんです。今日は「YEAH!」もいいんだけど、一緒に「HIGH!HIGH!HIGH!」で盛り上がっていきたいと思います!」と指南し、イベントの概要をアナウンス。冒頭からテンションMAXでライブがスタートした。

Baby Canta

Baby Canta

Baby Canta

大きな舞台に一人でふらりと現れ、「Baby Canta、ライブが始まるぜ~!」とアコースティックギターをかき鳴らし、1曲目の「696936(ろくろくさんじゅうろく)」から熱い視線を集めたのは、今宵のトッパーであり唯一のソロアクト、Baby Cantaだ。続く「Hot Cake」や5月度のFM802ヘビーローテーションに選ばれた「SHYBOY」でも、エッジィなカッティングに乗せ気持ち良さそうにハリのある歌声を響かせる。

Baby Canta

Baby Canta

「うわ~いっぱいいる! 来てくださった皆さん、ありがとうございます」と人懐っこくあいさつした後は、今年の『HIGH!HIGH!HIGH!』の出演者に課せられたミッションであるカバーリクエスト曲のコーナーへ。星野源の「SUN」をよりネイキッドかつディープに弾き語り、「僕の大好きなオールディーズです」と、スーパーメロウなグローヴァー・ワシントン・Jr.の「Just the Two of Us」でも立て続けに魅せていく。

Baby Canta

Baby Canta

「これからも全身全霊で頑張っていこうと思ってるんで、皆さんに応援していただけたら!」と、手拍子が自然発生した「ビビってバビってブー」、弦を切りながらも一心不乱に歌い上げた「The Weak」と、もらったチャンスにしかと報いたBaby Cantaだった。

Baby Canta

Baby Canta

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

時計の針がカウントダウンを刻み、まばゆい光に照らされるや、金井政人(Vo.Gt)、東出真緒(Vl.Key.Cho)、柿沼広也(Gt.Vo)、安井英人(Ba)が横一線となって「Mirror World」を鳴らす。そのたたずまいだけでライブバンドの風格が漂うBIGMAMAは、全編にわたり流麗なバイオリンが冴えわたる「Paper-craft」、ツインボーカル×ツインギターのうまみとすごみが何層にも折り重なった「かくれんぼ」、どこまでも広がるサウンドスケープで圧倒した「Lovers in a Suitcase」と、序盤から余裕すら感じる頼もしいパフォーマンスが続く。

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

だが、これはあくまで序章に過ぎなかった。ビスたんことBucket Banquet Bis(Dr)のヘヴィなドラミングからなだれ込んだ「美術 | ESORA」のイントロの時点で、全身を突き抜ける鳥肌にうそはない。共に歩んできた5人が高め合うすさまじいエナジーを「現文 | 虎視眈々と」でも容赦なく放出し、バキバキのブレイクを決めまくる「旋律迷宮」で一気に加速していく!

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

ここで、聴き慣れたあの旋律にオチケンがナレーションをささげた、B’zのカバー曲「LOVE PHANTOM」へ! 中盤にはビスたんがラップパートでも沸かせ、想像以上にフィットした一曲にオーディエンスも思わず拍手喝采。初回から出演してきた『HIGH!HIGH!HIGH!』を象徴するバンドの一組であるBIGMAMAが、その役割をきっちり果たしてみせた。

BIGMAMA

BIGMAMA

レトロリロン

レトロリロン

レトロリロン

昨年は涼音(Vo.Ag)のアコースティック出演だったレトロリロンが、今年は満を持してのバンドセットで『HIGH!HIGH!HIGH!』へ! 「ラストハンチ」の最初の一声からなんばHatchを貫くド迫力で、フロアから上がる歓声もまるでワンマンライブばりの雰囲気に。一年かけてつかんだこの景色にはレトロリロンの努力と進化が如実に表れており、促さずともシンガロングが巻き起こった「ワンタイムエピローグ」でもそれは明白だ。

レトロリロン

レトロリロン

レトロリロン

レトロリロン

MCでは、「昨年のリベンジのために今日は来ました。すごく緊張して、気付いたら終わってたんですよ。それにオチケンさんが好き過ぎて必要ないのにリプを送ったり、ラーメンの投稿を送り付けたり、そろそろ嫌われるんじゃないかとビクビクしてたんですけど大丈夫そうでした(笑)」(涼音、以下同)と和ませ、ライブの定番「ヘッドライナー」、NICO Touches the Wallsの極上カバー「ニワカ雨ニモ負ケズ」とトップスピードで駆け抜ける!

レトロリロン

レトロリロン

「個人的に好きなバンドをカバーしたくて、いろんなしがらみを無視してぶち込みました(笑)。軽音楽部以来カバーを人前でやりましたよ」と照れながら、クライマックスは切なくも温もりが残る「アンバランスブレンド」に、アーバンでドラマチックな「UNITY」でシメ。去年のレポートには「近いうちにバンドで『HIGH!HIGH!HIGH!』の大舞台に戻ってくることを確信させた」との一節。そんな予感を早くも実現させたハイクオリティなポップソングとボーダレスな親近感……レトロリロンの大いなる未来には期待しかない。

レトロリロン

レトロリロン

TenTwenty

TenTwenty

TenTwenty

UNISON SQUARE GARDENとしては初年度から幾度も出演してきた斎藤宏介(Vo.Gt)と、多くのアーティストのレコーディングやアレンジ、プロデュース、ライブサポートを手掛けるARDBECKの須藤優(Ba)によるTenTwentyが、ついに『HIGH!HIGH!HIGH!』に初陣。

TenTwenty

TenTwenty

初っぱなからタイトル通りの「煌めき」を、みずみずしいサウンドもろともなんばHatchに振りまいたかと思えば、スタジアムソング級の音像で迫る「ユースレス・シンフォニー」を経由し、須藤が時にシンセベースを操り極彩色の照明と耳に残るリフレインで幻惑した「月と蝶」でぶち上げる。斎藤がハンドマイクでハピネスへといざなった「うらら」~再び愛機のストラトキャスターを手にまくし立てた「あれ」でも、高揚感をエンドレスに上乗せ!

TenTwenty

TenTwenty

斎藤の「今日はカバー曲をやるという趣旨のなか情報量を増やして申し訳ないんですけど、まだレコーディングも終わってないガチ新曲をやってみようと思います(笑)」と、うれしい提案から聴かせた「ハレ」は、2人のユニゾンバトルもスリリングな多幸感溢れる一曲。前触れもなく歌い出した<新宿は豪雨>という歌詞にどよめきが上がった、東京事変のカバー曲「群青日和」もドンズバのハマリ具合で、サポートの岡本啓佑(Dr)、山本健太(Key)とのセッションから、トドメはダークでワイルドな「きみは幽霊」、カオティックで急転直下な「Border=Border」! 一秒たりとも緊張感が途切れない圧巻の35分間だった。

TenTwenty

TenTwenty

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

BIGMAMA同様、初回から『HIGH!HIGH!HIGH!』のラインナップに名を連ねた9mm Parabellum Bulletは、ゲストミュージシャンを迎えた特別編成=[Expand Session]で久々の帰還。「Baby, Please Burn Out」からBIGMAMA東出を引き連れいきなり超重量級の轟音をとどろかせ、そのまま「叫び -The Freedom You Need-」へ。菅原卓郎(Vo.Gt)のボーカルと東出のバイオリンの化学反応が楽曲の破壊力を際限なく増幅させていく。

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

「今日はゲストを迎えてお届けします。いつもサポートしてくれているfolca爲川裕也(Gt)。今日は2ステージ目の東出真緒 from BIGMAMA! そして、初めて9mmに参加してくれるBLUE ENCOUNT江口雄也(Gt)!! 江口と一緒に演奏する曲は彼のリクエストでお送りします。せっかくだから全員で[Expand Session]の自己紹介をするので聴いてもらえますか?」(菅原、以下同)と、高速にして壮絶な「インフェルノ」をぶっ放す!

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

東出がはけ、「オチケンさんに新曲の「踊る星屑」を宇宙初オンエアしてもらったのに、カバーを優先します(笑)。同じ星つながりでBLUE ENCOUNTの曲を」と始まった「ポラリス」では戦友との共闘が成就。続いても9mmの代表曲「ハートに火をつけて」を江口が奏でたその光景は、エモーショナル以外の何物でもない。「新しい光」でも熱量は上がる一方で、最後は再度東出が合流し、先ほどの「LOVE PHANTOM」のフレーズをなぞってみせた粋なイントロから、爆裂「Punishment」! 関西のホームと言えるイベントで、9mmがまたもハイライトを生み出した。

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

9mm Parabellum Bullet [Expand Session]

マルシィ

マルシィ

マルシィ

初出演にしてトリ前という大役を担ったマルシィは、この春に初の東京・日本武道館公演を成功させ、来年1月に控える神奈川・横浜アリーナ2DAYSも早々にソールドアウトさせるなど、Z世代を中心にその注目度は高まるばかり。キャッチ―な「ミックス」を突破口に、重さと躍動感が共存するオリエンタルな「ピエロ」、飾らないグッドミュージックにきめ細やかなアレンジが施された「ラブソング」と、緩急自在に自身のポップネスを提示していく。

マルシィ

マルシィ

マルシィ

マルシィ

「FM802にはいつもお世話になっているので、大阪に帰ってこれてうれしく思います」と吉田右京(Vo.Gt)が告げ、その後も性急なビートに鼓動がシンクロする「君中心に揺れる世界は」、スケールの大きなミドルバラード「願いごと」と、徹底的にメロディで勝負する楽曲群は、目まぐるしく移りゆくトレンドや数字に追われるシーンの渦中で、ピュアな輝きを保ち続けている。

マルシィ

マルシィ

吉田に「僕の合図で一斉にジャンプして、この会場を揺らせたら」なんて言われると、応えたくなるのが関西のミュージックラバーたち。「最低最悪」で望み通りの絶景を描いて出番を終えたかに見えたものの、カバー曲というマストな課題がまだ未提出。オチケンのコールで吉田が一人舞い戻り、「人前で弾き語りすることがなかなかないので、無事に届けられるか……」と、クリープハイプの「二十九、三十」を披露。不安を一掃するベストマッチな選曲で、初の『HIGH!HIGH!HIGH!』を飾ったマルシィだった。

マルシィ

マルシィ

フレデリック

フレデリック

フレデリック

「本日は長丁場お疲れ様でした、ラストはフレデリックでございます。メジャーデビュー曲から始めます!」という三原健司(Vo.Gt)の咆哮を起爆剤に、全員ファンかと思うほどピタリとそろったクラップにアンセムの力を思い知る。助走なしでピークへ到達した完全無敵の「オドループ」からシームレスになだれ込んだ「Happiness」でも、摩訶不思議×変幻自在なのにきっちり踊れるフレデリックの世界にどっぷり。もう2曲で沼。

フレデリック

フレデリック

フレデリック

フレデリック

「今日って最高過ぎん? 何が出てくるか分からへんドキドキ感もそうやし、他人の曲をお借りしてカバーすると、コード進行や歌詞やメロディからその人の美学を知ることができる。今日のアーティストは、その曲に対してさらに面白い色を塗り重ねたような……そこに掛けた時間が本当に愛やなと思います。だからこそ、自分たちがトリを任されたからにはいいものにしたい。ここからは怒濤の流れでいきますので、言葉以上に音楽をしっかり感じて帰ってください!」

フレデリック

フレデリック

フレデリック

フレデリック

一曲一曲にルーツやリスペクトが込められたカバーについて触れ、イベントを総括してくれた三原健司。新曲の「悪魔」でも、トリッキーなリズムをポップに聴かせる手腕はフレデリックならではで、めくるめくコーラスが脳汁を分泌させるダンスミュージック「煌舟」も強烈! ダメ押しはサカナクションのヒット曲「アイデンティティ」のカバーで、この曲にのまれず真っ向勝負し、完全に己の色に染め上げていたさまにはバンドの成熟がにじみ出る。後半戦は、なんばHatchを揺らしまくった「スパークルダンサー」、ドープなラストナンバー「ペパーミントガム」と畳み掛け、フレデリックが3年ぶりの『HIGH!HIGH!HIGH!』を見事に踊らせた。

フレデリック

フレデリック

「皆さん楽しんでいただけましたか? 最高でしたねホントに。出演してくれたみんなに大きな拍手を! 次はまたラジオで会いましょう。そして、最高の夏をお過ごしください。どうもありがとうございました、落合健太郎でした!」

約7時間にわたる真夏の饗宴をオチケンが締めくくり、『HIGH!HIGH!HIGH!』は終了。なお、この日のライブ音源と出演アーティストからのメッセージは、8月26日(火)・27日(水)の番組内で連日オンエア予定なので、radikoのタイムフリー機能も併せてチェックを!

取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=FM802提供(渡邉一生/浜村晴奈)

イベント情報

『FM802 ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE
 HIGH! HIGH! HIGH! supported by 栗本鐵工所』
●日時:2025年8月9日(土) 13:30 OPEN/14:30 START
●会場:なんば Hatch
●出演: 9mm Parabellum Bullet [Expand Session]/TenTwenty/BIGMAMA/フレデリック/Baby Canta/マルシィ/レトロリロン
オープニングアクト ダンスチーム パフォーマンス
※大阪・関西万博ダンスコンテスト「夢舞<MOVE>2025 EXPO DANCE CHAMPION SHIP」優勝チーム(小中高生)
●MC:落合健太郎
●料金:スタンディング 4950 円(税込)/2F指定席 6600 円(税込)※予定
 各席種※ドリンク代別途要(600 円)
●問い合わせ:GREENS 06-6882-1224(平日 11:00~19:00)
 https://www.greens-corp.co.jp/
●主催:FM802 & GREENS
●運営:GREENS
●特別協賛:栗本鐵工所
●協力:大阪芸術大学
●イベント HP:https://funky802.com/high/
 

昨年のレポート記事→https://spice.eplus.jp/articles/331157

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