BURNOUT SYNDROMES、Enfants、SATOH、(sic)boy、808と『MINAMI WHEEL』前哨戦ーージャンルも世代も超越した『802Jungle Attack Vol.7』レポート
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『802 Jungle Attack Vol.7-MINAMI WHEEL EDITION-』2025.10.4(SAT)大阪・GORILLA HALL OSAKA
日本最大級のショーケースライブサーキット『FM802 MINAMI WHEEL 2025』、(通称『ミナホ』が10月11日(土)・12日(日)・13日(月祝)の3日間に渡り開催され、大阪ミナミ一帯のライブハウス21会場に400組以上のアーティストが集結した。その『ミナホ』を間近に控えた10月4日(土)、前哨戦として大阪・GORILLA HALL OSAKAで『802 Jungle Attack Vol.7-MINAMI WHEEL EDITION-』が開催された。当日の模様を振り返る。
『802 Jungle Attack 』はFM802とGORILLA HALL OSAKA、プレイガイドのイープラスがタッグを組み、FM802で放送中の番組『MUSIC Play-STANDARD』(月~金曜23:48~24:00 O.A.)から誕生したライブイベントで、『MINAMI WHEEL 2025』と連動してお送りする今回はEnfants、SATOH、(sic)boy、BURNOUT SYNDROMES、808の5組が登場。MC&DJ SHOWは落合健太郎、板東さえかが務めた。
まずは落合健太郎がステージに登場し、雨の中会場に詰めかけた観客に感謝の言葉を送った。「GORILLA HALLへ初めて来た人?」と尋ねると多くの手が上がる。メジャー、インディーを問わず多彩な顔ぶれが一挙集結する『ミナホ』同様に、「新しい音楽との出会いを楽しんで」とオープニングから会場を盛り上げていく。翌週末に迫ったミナホへの期待も膨らむ中、ジャンルも世代も超越したここでしか見ることのできないライブの幕が切って落とされた。
808
ステージではDJユタがスタンバイ。トップバッターの808は姿が見えるより先に歌声が聴こえ、ピンクの髪とピンクベアーの鞄を背負って登場。指先でハートを作り1曲目から「燃やしていけ、エンジンを」とぶち上げる。ハスキーなウィスパーボイスと風に舞うようなファルセット、芯の太い歌声を曲によりメロディーにより巧みに使い分ける。
初めて聴くのにずっと前から知っていたようなノスタルジックなメロディーで、あっという間にフロアを惹きつける。ステージを右に左に奥へ前へと自由に動き回り、地元の兵庫県小野市を「超ド田舎で」と愛を込めて語る。歌のみならず「可能性は無限大」、「一度きりの出会いかもしんないけど全身全霊でやるんで」、「いつだってI(愛) Believe.インスタ、TikTokいろんないいねがあるけどあなたの本当の“いいね”を押してください」と口にする言葉がすべてメッセージになる。
ピアノとストリングスが一層808の歌を際立たせた「You(Acoustic Version)」の余韻に浸っている中、「ごめんやりすぎた!もう時間だって。また会ってください!」と慌ててステージを後に。袖から「ありがとう!」と叫んだ声に大きな拍手が寄せられた。
落合健太郎DJ SHOW
出演アーティストの物販スペースが並ぶエントランスフロアに設けられたDJブースでは落合健太郎のDJが始まっている。「リクエストがあればスマホの画面を見せてくださいね!」という呼びかけに早速アイナ・ジ・エンドの「革命道中」のリクエストが。Kroiの「Pege」、先ほどステージを終えたばかりの808へのリスペクトも込められてか、Suchmosの「808」も聴こえてきた。落合→板東→落合→板東の順にステージ転換の間にDJ SHOWが行われ、2度目の落合のDJ SHOWでは物販エリアに現れた808が観客と一緒に落合の選曲にノリノリでダンス!すかさず落合が808の「You」を選曲すると、なんと808本人がその場で歌を披露するという驚き&ピースフルな展開に。思いもよらぬライブの延長線に落合も「ラッキーだったね」と笑がこぼれた。
(sic)boy
マイクを手に現れた(sic)boyと1DJ+VJによる約30分間、ほぼノンストップで曲を畳み掛けた。ハンズアップせずにいられない「Akuma Emoji」から、低音がヘヴィなミクスチャーロックの「Dark Horse」へ。「行こうぜ!」と呼びかけフロア後方で体を揺らす人も、前列で手を上げる人ももれなく全員を(sic)boyの世界へたどりつかせた「blacknails」。
伸びやかな歌声と疾走感のあるトラック、フロアに起こったクラップが溶け合った「Hype’s」は聴きながら浄化されてゆくような不思議な感覚にとらわれた。後半の「眠くない街」では「めちゃくちゃ楽しい。みんなはどうかな?」とフロアを見渡し、曲中はステージの端ギリギリまで歩み出て観客に視線を送る。
新曲「lights on」、「Take Me Home」に続き最後は「Heaven's Drive」。絶望と頽廃と混沌があふれるソドムのようなこの世界を描きながら、(sic)boyが放つリリック―—<どいつもこいつも行き場がないよ><痛いほど気持ちわかるよ>(「lights on」)、<消えたい夜 超えたいだけ>(「Take Me Home」)がいつまでも耳の奥で、心臓のあたりで温かく揺れ続けた。
板東さえかDJ SHOW
板東さえかのDJ SHOWでは、ELLEGARDENの「カーマイン」から電気グルーヴの「シャングリラ」まで、「皆さんのリクエストの振り幅が広い!」(板東)とDJも観客もテンションが上がる。SATOHのRinna Figgが影響を受けたというandymoriの「すごい速さ」にも歓声が上がっていた。後半のDJではみんな踊って疲れてない?と板東がチルい選曲を試みたが、寄せられるリクエストがグリーン・デイetcで、「みんな元気だね!(笑)」(板東)。
同じフロアに特設された『MUSIC Play-STANDARD』の番組メッセージボードには、今日の感想や出演アーティストへのメッセージがどんどん書き込まれてゆく。
GORILLA HALLに足を踏み入れてから、ライブはもちろんDJ SHOW他でずっと音楽がそばにあることが、当たり前のようでとても幸せに感じる。やはりライブハウスは幸せな音楽空間だ。
SATOH
<Supersonicだぜ 俺らの人生なんて>という歌い出しと、<止めれるもんなら止めてみな>のリフレインにKOされた802リスナーはきっとたくさんいる。Rinna Figg Linna Figg(Vo)とKyazm(Gt)によるロックデュオ、SATOHの「Supersonic」だ。この日はサポートドラムを加えた、初の3人編成でのライブでFM802で9月のヘビーローテーションだった「Supersonic」もこの日がライブ初披露だという(ライブ後に落合&板東がMCで明かした)。
人生の一瞬一瞬を全力疾走するような勢いで「もっと全員の声ください!」と何度もフロアの声を引き出した「TOKYO FOREVER」。「一緒に歌いたい。俺が歌うからついてきて」とフロアにマイクを向け、最後はLinnaがステージを降りフロア最前列に立って歌ったラストの「WORLD END LOVESONG」まで、思考するよりもうんと速いスピードで聴き手のハートを揺さぶる徹頭徹尾前のめりのステージ。
広いステージを駆けるように動き回り、音楽でひとつになろうとしたLinnaと、歌心あるメロディーも清々しい爆音も自在に解き放っていくKyazmのギター。ドラムの存在は言わずもがな。圧倒的だった。
Enfants
「FM802弾き語り部の部長」と板東さえかに紹介された松本大率いる4人組、Enfants(アンファン)。照明は暗めで、足元を照らすLEDバーライトはみずから持ち込んだという。それまで登場した3組とはガラリと違ったEnfantsならではの空気感の中、低音がずしっと響くダークな音像にざらりとした松本の歌声が絡む「Dying Star」でスタート。
音像はダークでも、歌声は闇にさす光のように生命力を感じさせる。手に持ったマイクのコードが巻きついてしまいそうになるぐらい動き回り、「君も今どこかで生きていますか」と歌いながらフロアに手を差し出す。指を銃口に見立て、こめかみに当てる仕草も。MCではライブ後に落合健太郎の番組の収録が待っていると話し、「このバンドは3年半ぐらいやってるけど、ラジオは初稼働で……」と心配そうに付け加える。
「激しい曲や暗い曲とかヒッチャカメッチャカでアップダウンがあるけど、ついて来れますか?なんとなく楽しんでくれたらいいから」と、新曲の「Punk Head」へ。曲中、「もう一段階ギア上げていくよ!」とフロアを煽るシーンも。「また会えたら嬉しいです!」と言葉を添え最後は「Play」で締めくくった。
BURNOUT SYNDROMES
『802 Jungle Attack-MINAMI WHEEL EDITION-』のトリを務めるのは今年バンド結成20周年を迎え、来年メジャーデビュー10周年を迎えるBURNOUT SYNDROMES。メンバー登場のSEが聴こえ出すと自然にクラップが起き、そのままオープニングの「FLY HIGH!!」へ。石川大裕(Ba.Cho)はアグレッシブにステージを動き回り、雲ひとつない青空のように晴れやかな熊谷和海(Vo.Gt)の歌声は眩しく、3人は最初からトップギアで爆発力のあるパフォーマンスで魅了する。
「『MINAMI WHEEL 2025』に、そしてここに集うあなたたちに捧げます。一緒に歌いましょう!」と「ヒカリアレ」を。アニメ『ハイキュー!!』テーマ曲として誰もが知る曲だが、「一寸先の絶望へ 二寸先の栄光を信じて」という歌詞や3人の思いのこもった力強いサウンドがこの場にいる全員のエネルギーをチャージしてくれる。
Enfantsの松本大とは、彼がLAMP IN TERREN時代から親交があり、MCでそんな話をする3人をフロアで松本が見守っていた。熊谷は、「いろんなバンドが集まってできるのが『ミナホ』や今日のイベントで、BURNOUT SYNDROMESを初めて見てくれた人がいて嬉しいし、これからも聴いたことのない音楽にどんどん触れて欲しい。ミナホに行く人は最後まで全力で楽しんでね」とステージから語りかけた。20周年を祝って作られた幻想的な「月光蝶」と、最後は「PHOENIX」でもうひと暴れし『ミナホ』前哨戦は晴れやかに幕を閉じた。
「『MINAMI WHEEL 2025』」に行く人は楽しんで」という言葉を残してBURNOUT SYNDROMESがステージを後にすると、最後に落合健太郎、板東さえかの2人が揃ってステージに登場。
長時間一緒に楽しんできた会場のみんなに「お疲れ!」「楽しかったね」と言葉をかけながら、今日のライブを振り返っていく。SATOHが3ピース体制でライブをやるのは今日が初だったとことや、Enfantsが照明を持ち込みだったという裏話(?)も紹介しつつ、そのあたりはライブ終了後に落合健太郎が各アーティストに楽屋で直撃インタビューし、10月6日(月)からの『MUSIC Play-STANDARD』(月~金曜23:48~24:00 O.A.)でオンエア。タイムフリーで1週間は聴取可能なので要チェックだ。
板東はBURNOUT SYNDROMESのMCに触れ、BURNOUT SYNDROMESとEnfantsの繋がりには10年、20年にわたる両アーティストの活動の歴史があることに言及。熊谷の言葉通り、いろんなアーティストとの出会いがあるのが『MINAMI WHEEL 2025』だからみんなに楽しんでもらいたい」とDJ SHOWの時にも話していた。
日本最大級のショーケースライブサーキット『MINAMI WHEEL 2025』は、10月11日(土)、12日(日)、13日(月祝)の3日間、大阪ミナミ一帯のライブハウス21会場に400組以上のアーティストが集結し開催され大盛況となった。FM802では各番組にて『ミナホ』の振り返りや、ライブ音源のOAも予定しているのでぜひ当日の熱狂を追体験してほしい。
取材・文=梶原有紀子 写真=FM802提供
ライブ情報
<(sic)boy>
<SATOH>
<Enfants>
<BURNOUT SYNDROMES>
2. Good Morning World!
放送情報
◎放送日時=毎週月曜日~金曜日 23:48~24:00
◎DJ=週替わり
◎番組 HP=https://funky802.com/site/blog/1123
◎番組 X:@fm802_MPS
◎番組 Instagram:@fm802_mps
イベント情報
日程:2025年10月11日(土)・10月12日(日)・10月13日(月祝)
会場:ANIMA / AtlantiQs / BEYOND / BIGCAT / BRONZE / CLAPPER / club JOULE / club vijon / CONPASS / DROP /
FANJ twice / FootRock&BEERS / hills パン工場 / JANUS / OSAKA MUSE / OSAKA RUIDO / Pangea / soma /
SUNHALL / VARON / なんば Hatch(11 日・12 日のみ)
●MINAMI WHEEL 2025 公式アプリ:https://minamiwheel.link.fespli.com/
●主 催: 主催:FM802 / MINAMI WHEEL 2025 事務局
(事務局構成団体=FM802/ウドー音楽事務所/キョードー大阪/GREENS CORPORATION/サウンドクリエーター/清水音泉/スマッシュウエスト/ソーゴー大阪/ページ・ワン/夢番地)
●協 賛: ZIPPO/森下仁丹/tabiwa by WESTER
●協 力: 大阪音楽大学/三木楽器/ZIP-FM
●イベント HP:https://minamiwheel.jp/
●ビジュアル:tama(https://www.instagram.com/tama__m27/)
●お問合せ:FM802 リスナーセンター info@funky802.com(月曜~金曜 11:00~17:00)