透き通る歌声。ヴォーカリスト麻衣&ギタリスト大坪純平 第12回 “サンデー・ブランチ・クラシック”1.31ライブレポート

レポート
クラシック
2016.2.12
麻衣(Vo) 大坪純平(Gt)

麻衣(Vo) 大坪純平(Gt)

LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplusが贈る、新しい日曜日の過ごし方「サンデー・ブランチ・クラシック」。1月31日(日)に行われた第11回目には、ヴォーカリストの麻衣とギタリストの大坪純平が登場。日曜日の午後、昼下がりのカフェに流れた心温まるひと時の模様をお届け。

麻衣の歌声は、日本人なら誰しも一度は耳にしているのではないだろうか。なぜなら、麻衣は宮崎駿監督作品に欠かせない作曲家・久石譲の娘であり、「ラン ラン ララ ランランラン…」で知られる『ナウシカ・レクイエム』の歌声の主なのである。この日は、旧知の楽曲や、久石譲のオリジナルのギターパート入り楽曲、今回の為にギター用にアレンジした楽曲などを、「弾き語り」で聴かせてくれた。

第一部の定刻になると、カフェの一角に設けられたステージスペースに、二人が現れた。マイクを手に取ると、「今日はいらしてくださってありがとうございます」と、会場の四方を見渡しながら丁寧に挨拶をする麻衣。

麻衣(Vo)

麻衣(Vo)

この日の1曲目に選ばれたのは、『Ocean Heaven』(中国映画ジェット・リー主演『海洋天堂(OceanHeaven)』より)。2011年に公開された、自閉症のひとり息子と余命わずかとなった父親との心の軌跡を描いた作品の中で、流れる優しい楽曲だ。
「この曲は、もともとはインストゥルメンタルの曲で歌詞がなかったんですけれども、私が英語の歌詞をつけました」

愛なしではどうやって生きていくの?
自分を信じて
人生に身を任せれば
そこには愛がある―

自身の弾くピアノの調べに乗せてまっすぐに伸びる麻衣の声と、それに寄り添うような大坪のギターの音。聴いているだけで、耳から浄化されていくような心地になる。まっすぐで、透明感のある麻衣の歌声。

麻衣(Vo) 大坪純平(Gt)

麻衣(Vo) 大坪純平(Gt)

続いては、あの『ナウシカ・レクイエム』。歌った当時、麻衣は4歳。「スタジオのブースが暗く、お化けが出るのではと怖くて泣いてしまった」などと当時の裏話をしつつ、「ちょっと成長してしまったのですが(笑)4歳の気持ちに戻って…」と、変わらぬ無垢な歌声で、名曲を披露してくれた。

映画音楽が続いたが、3曲目はクラシック曲を選曲。数ある“アヴェ・マリア”の中からカッチーニ作曲『アヴェ・マリア』を歌い上げた。大坪の爪弾くギターの音が、麻衣の透明感ある美しい歌声に、厳かな彩りを添えていく。

大坪純平(Gt)

大坪純平(Gt)

4曲目は、再び映画音楽に戻り『千と千尋の神隠し』で使われている楽曲を披露してくれた。映画の中では、ピアノのソロで始まるテーマ曲で、『あの夏へ』というタイトルが付けられているが、これに歌詞がつくと『いのちの名前』というタイトルになるという。父である久石譲が、この楽曲について「歌をつけるのか、楽器だけの曲にするのか」をすごく悩んでいたそうで、相談され仮歌を歌った、という麻衣ならではのエピソードを交えながら楽曲を紹介してくれた。

ちなみに、麻衣にとってギターとデュオで歌うのはこの日が初の試み。早朝の犬の散歩中に「ピアノ弾き語りとギターでいこう!」とお告げを受けたかのように、この編成を思いついたそう。その編成ならではの曲として紹介されたのが、『Welcome to Dongmakgol』という韓国映画『トンマッコルへようこそ』テーマ曲だ。麻衣の弾き語るピアノと、ギターの旋律の絡み合いが美しい一曲に仕上がっている。映画音楽をたくさん手がける麻衣だが、実は「ラン、とか、アー、とか、歌詞のない曲が多くて…」という。(この曲も、全編“アー”!)「いつか、歌詞ありハリウッド映画、狙ってます!」と野望を明かしていた。

麻衣(Vo) 大坪(Gt)

麻衣(Vo) 大坪(Gt)


 

本日のライブで、ギターとの相性のよさに手応えを感じたような麻衣。彼女自身も、現在ギターを習得すべく勉強中ということで、実は大坪はギターの先生なのだという。そんな話をしていたら、大坪から「実は今日、ここで人前でのギター演奏のデビューをされるとばかり思っていたら、麻衣さん手ぶらでいらっしゃって…」と暴露話が飛び出した。「生徒の演奏は、自分が演奏するより緊張するのに~」とひそかにドキドキしていた大坪をよそに、「まだ心の準備ができなかった(笑)」ととぼける麻衣。そんな師弟のギターデュオは、2月28日(日)に井の頭公園にて行われる音楽イベントでデビュー予定とのこと。

最後に歌われたのは、NHK Eテレ「おじゃる丸スペシャル わすれた森のヒナタ」主題歌『わたしの光』(作詞:麻衣 作曲・編曲:村松崇継)。この番組は、戦後70年の特番で“おじゃる丸”が70年前にタイムスリップし、被爆してしまった女の子と交流を図るストーリー。「これは子どもたちに自分自身が伝えたい想いを込めて歌詞を書いた曲です」と、麻衣が語ったように、歌詞の中には“未来支える大きな力”という言葉が出てくる。ひとつひとつが祈りの言葉のように、心の奥の奥まで沁みわたってくる。心洗われるような、午後のひとときとなった。

麻衣(Vo) サイン会の様子

麻衣(Vo) サイン会の様子


ライブを終えた二人にお話を伺うと、「この空間が醸し出す雰囲気が、音楽に特化していますね。こんな素敵な空間が東京の真ん中にあるっていうのは、すごく画期的なことだなと思いました」と麻衣。大坪も「実際に演奏をしてみて、この空間のもたらす効果の大きさを感じました」と、コンサートホールとは違う音楽の楽しみ方を見いだしていたようだ。

今も昔も変わらない麻衣の美声ぶりだが、「合唱だけでなくソロで歌い始めた頃、自分をどう出していいのか、歌い方がわからなくなったこともあった」と、その裏にあった悩みや迷いを口にし、「いろんな先生について勉強したり試行錯誤しながら、自分の声ってなんだろう?って素直に向き合うことで、自分の心に従うことが一番なんだなというところに行きついたんです」と振り返る。

麻衣(Vo) 大坪(Gt)

麻衣(Vo) 大坪(Gt)

ライブが好き、という麻衣。「ライブかけて頂いた皆さんの言葉などが、積み重なって私の心にたまっていくと、唄がもっと生きてくるんです。そういう瞬間がたまらなく嬉しい」と、この日も多くのお客様と言葉を交わしたようで、笑顔を浮かべていた。

そして、現在大坪に師事しているギターについては、「弾語りはもちろん、作詞やアレンジをする時に、ピアノ以外に和音を出せる楽器をできるようになりたいという気持ちがあったんです」と始めた理由を明かす。「麻衣さんは目標がはっきり決まっているので、教えがいがあるし、上達も早い」と師である大坪からもお墨付きが。2月末のギターデビューが楽しみだ。

最後に、麻衣は「今日のお客様とお話した時に、“この曲を、この空間で聴きたいと思った”という方がたくさんいらして。改めて、このカフェは空間と音楽がすごく密接に結びついているんだなと感じました。またぜひ私もライブをやってみたいですし、皆さんにも気軽に、たくさん音楽と触れ合って頂きたいなと心から思います」とメッセージをくれた。

麻衣(Vo) 大坪純平(Gt) 

麻衣(Vo) 大坪純平(Gt) 

日曜日の午後、「サンデー・ブランチ・クラシック」で、音楽が言葉以上に語りかけてくる。

プロフィール
麻衣(Mai)
作曲家 久石譲を父に持つ。2歳からピアノを始める。
4歳時には、映画「風の谷のナウシカ」幼少時回想シーンで流れる『ナウシカ・レクイエム』(ラン ラン ララ~)をうたい大きな印象を残した。6歳からNHK東京放送児童合唱団(現NHK東京児童合唱団)に所属。卒団まで意欲的にコーラス活動を行う。
2008年宮崎駿監督「崖の上のポニョ」のイメージアルバムに収録された『ひまわりの家の輪舞曲』をうたい、本編にもヴォイスで参加。この曲の作詞者でもある宮崎駿は完成曲を聞いて涙したという。
また、この年リリースされたDAISHI DANCE『the ジブリ set』に、麻衣がうたう『君をのせて』が収録。後に『the ジブリ set』は35万枚のセールスを記録し、ゴールドディスク認定(プラチナ)アルバムとなる。また、全世界で公開された映画「ハリーポッターと死の秘宝 Part 2」のオープニングテーマを、同年12月のNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第3部主題歌『Stand Alone』をうたう。2014年には父である久石譲の出身地・長野県中野市の音楽親善アンバサダーに就任。「音楽のある豊かな心」の普及を目指し、日々うたい続けている。
 
大坪純平(おおつぼじゅんぺい)
エリザベト音楽大学卒業。これまでにギターを長野文憲、徳武正和、佐藤紀雄の各氏に師事。藤井眞吾、松尾俊介、鈴木大介、福田進一、松永一文、W.カネンカイザー、R・ヴィアゾフスキー、O・ギリアなど 国内外のギタリストのマスタークラスを受講。
第34回日本ギターコンクール最高位の他、第45回クラシカルギターコンクール第3位、第1回イーストエンド国際ギターコンクール第2位、第26回日本重奏ギターコンクール第2位等でそれぞれ上位入賞。
ギターの新しいレパートリー開拓を活動の中心に据えており、各種リサイタルや、自身が企画する重奏企画「対話」や、サックス・ギターによる「Travessia」などで、現代音楽作曲家へ作品を委嘱し演奏活動を行っている。その他、室内楽奏者としても多数のコンサートに出演しており、バンドネオン奏者三浦一馬氏のタンゴ5重奏にも数多く参加している。代官山音楽院、アウラ音楽院講師。
 
サンデーブランチクラシック情報
2月14日(日)
岩崎洵奈ピアノ)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500

2月21日(日)
塚越慎子マリンバ)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500
 
2月28日(日)
こぱんだウインズ from ぱんだウインドオーケストラ​
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500
 
3月6日(日)
反田恭平(ピアノ)&上野耕平(サクソフォン)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500

3月20日(日)
La Dill
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500

公式サイト:http://livingroomcafe.jp/
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