のだめが帰ってくる!Kiss 4月号に『のだめカンタービレ』新作
『のだめカンタービレ』作者 二ノ宮知子のTwitterより
新作読み切り作品がKiss 4月号に掲載
前半ではリアルな音大生の生活を、後半はフランスに留学し、主人公の野田恵(通称・のだめ)が挫折味わいながらもそこから成長していく姿が描かれ話題になった『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子作)が、新作読み切り作品として2月25日発売の『Kiss 4月号』に掲載される。
『のだめカンタービレ』は2001年から2010年まで『Kiss』に連載。2006年、2008年にはドラマ化。2007年、2008年、2010年と3回に渡りアニメ化。2009年、2010年にはドラマ版の続きとして映画も公開された。
新作となる読み切りではラフマニノフの『ピアノ協奏曲第3番』の演奏にまつわるエピソードが描かれるという。
ラフマニノフが作曲した『ピアノ協奏曲第3番』と言えば、『ピアノ協奏曲第2番』と並ぶラフマニノフの代表作で、演奏者に課せられる技術的、音楽的要求の高さで有名な作品である。
ピアニスト、作曲家として活躍したセルゲイ・ラフマニノフは貴族の家系の子としてロシア帝国に生まれた。音楽に造詣の深い一家でセルゲイは5歳の時に母からピアノの手ほどきをうけた。そして、9歳でペテルブルグ音楽院に入学。12歳の時にモスクワ音楽院へ転入した。モスクワ音楽院では飛び抜けて優秀で、ピアノ科を18歳で金メダルを得て卒業。19歳の時に作曲科を卒業した。卒業制作の課題はプーシキン原作『ジプシー』による1幕物のオペラ『アレコ』で、3月26日に台本が渡され2週間あまりでラフマニノフは仕上げた。ちなみに、3人いた作曲科の卒業候補生のうち、完成させられたのはラフマニノフただひとりだった。
今回の題材となる『ピアノ協奏曲第3番』は1909年の秋に予定していたアメリカでの演奏会で弾くために、夏頃から作り始めた。時間の制約からラフマニノフはこの作品をロシア内で練習することができず、アメリカ合衆国に向かう船の中に音の出ない鍵盤を持ち込んで練習を仕上げたとも言われている。
この曲はラフマニノフの特徴とも言える、”哀愁漂うメロディ”が多く出てくる。ラフマニノフは師のチャイコフスキーと同じく、優れて親しみやすいメロディを数多く生み出した。また、19世紀に飛躍的な発展を遂げ、より深い表現力とオーケストラ全ての楽器にも匹敵する驚異的な音域を手に入れたピアノだが、息の長いメロディを表現するには楽器の構造として致命的な欠陥があった。それは音を保持する能力がないこと。減衰する音で如何に長いフレーズを表現するか考えた末に、ラフマニノフはおびただしい数の音を並べることにした。『ピアノ協奏曲第三番』では特にこの傾向が顕著であり、ピアノパートにおける音符の数は3万個を優に超えると言われている。
初演当初はあまり評価されなかったというが、今はピアニストにとって憧れの曲で人気も高い。そのため、ラフマニノフの自作自演やマルタ・アルゲリッチ、ウラディミール・ホロヴィッツの名演が残されている。この機会に改めて20世紀の最高傑作に触れてみてはいかがだろうか。