ローター・ツァグロゼクが読売日本交響楽団と協演

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クラシック
2016.2.25
ローター・ツァグロゼク  ©Christian Nielinger

ローター・ツァグロゼク ©Christian Nielinger

10年ぶりの来日で名匠が聴かせるドイツ・プロ

派手さはないが着実な仕事ぶりで安定した評価があり、気が付くと巨匠にふさわしい貫録を身に着けているアーティストがいる。
70代半ばに入ってきたローター・ツァグロゼクは、これからそんなふうに評価される指揮者となるのではないか。

若くしてパリ・オペラ座の音楽監督を務め、ナチ時代の作曲家に光を当てたデッカの退廃音楽シリーズでも高い評価を得ており、シュトゥットガルト歌劇場時代には、リング4作それぞれに違う演出家を起用して話題を呼んだ。

そんなツァグロゼクが10年ぶりに来日、読響と初顔合わせする。
3月10日と12日は、ブラームスの「悲劇的序曲」、「交響曲第1番」に挟まれる形で、R.シュトラウス「メタモルフォーゼン」が演奏される。第二次大戦末期、破壊された故郷を前に書かれたこの曲は、哀切の思いに満ちている。プログラム前半で悲劇が深まり、後半に昇華されるという筋書きなのだろうか。

3月17日の定期は、ジョージ・ベンジャミンの「ダンス・フィギュアズ」日本初演で幕を開ける。ベルギー・モネ劇場などの委嘱で書かれたダンス音楽で、後に15分ほどの管弦楽ヴァージョンに編みなおされた。緻密なオーケストレーション、多彩なリズムが魅力だ。続いてコダーイ「ハーリ・ヤーノシュ組曲」、さらにベートーヴェン「英雄」。ほら話が大好きな老いぼれ農夫ハーリ・ヤーノシュは、第4曲でナポレオンを捕虜にしてやったと自慢する。ベートーヴェンが「英雄」をナポレオンに捧げようとした逸話は、あまりにも有名だ。アイディアの光るプログラミングではないか。
 

文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年3月号から)

公演情報
第590回 サントリーホール名曲シリーズ

 日時:3/10(木)19:00
 会場:サントリーホール
 指揮:ローター・ツァグロゼク 
 出演:
読売日本交響楽団

第86回 みなとみらいホリデー名曲シリーズ
 日時:3/12(土)14:00
 会場:横浜みなとみらいホール
 指揮:ローター・ツァグロゼク 
 出演者:読売日本交響楽団

第556回 定期演奏会
 日時:3/17(木)19:00 
 会場:サントリーホール
 指揮:ローター・ツァグロゼク 
 出演者:読売日本交響楽団


お問いあわせ:読響センター0570-00-4390
読売日本交響楽団HP: http://yomikyo.or.jp

 

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