渡辺えりと戸田恵子がミュージカル「わがまま」を語った

　渡辺えりと戸田恵子出演のミュージカル「わがまま」が、４月９日の山形公演を皮切りに、全国８箇所で上演される。合同取材会が先ごろ行われ、企画意図や作品の詳細が、渡辺と戸田の口から直接語られた。

　渡辺がミュージカルの作・演出を手掛けるのは今回が初。発端は10年以上前のバラエティ番組での共演だった。

「そのときに初めて戸田さんとしゃべって、すごく面白い、しかもいい方だなと思って。『戸田さんと何かやりたい！』ってひらめいちゃったんですね。テレビで戸田さんが歌ったり踊ったり、またいろんなことをアドリブで自在にやっているのを見てまた感激して、何でもお出来になる戸田さんのセンスを全部凝縮したものができないだろうかと考えました」（渡辺）

　その番組を除けば、２人の共演は意外なことに初となる。

「一度もご一緒したことがないのに、勘だけで声を掛けてくださって、えりさんはすごく勇気がある（笑）。そのことに感謝ですし、私でよければという感じです。しかも２人だけの作品ということで重責ですが、こんな贅沢なありがたいチャンスはないと思うので、えりさんの豊かな胸を（笑）お借りしてやっていきたい」（戸田）

　ちなみに渡辺の携帯電話には、戸田がアテレコをしているアンパンマンのストラップ。企画が動き出してから、作品成功のお守り代わりにつけているのだそうで、報道陣にも披露してくれた。

　ミュージカル「わがまま」の舞台は、とある劇場の楽屋。２人の役は共に大部屋の女優で、ミュージカル「セルフィッシュ（“わがまま”の意）」にアンサンブル役で出演しているという設定。本番中の楽屋で女優として、また中年女性としてのリアルなグチを語り合う。

「脚本は奇想天外といいますか、予想をはるかに超えた設定でとても楽しかったです（笑）。でもキュンとするようなところもあるんですよね。実年齢とリンクするところというか、わがままな中にもいろいろ背負っているものはあるんだ、というような」（戸田）

「今回、自分の境遇も作品の中に入れました。親が介護施設にいることとか、飼い犬が死にそうなことも。自分がやるのは生々しすぎるので、そこは戸田さんにやってもらうんですけど。『自分はなぜ演劇をしているんだろう』ってこの頃すごく考えるんですね。舞台に立ってお客様を笑わせたりしていても、現実はどん底みたいな状況だったりする。だけどそれを悲しむんじゃなくて、笑おうと思ったんです。それでも演劇をやっていることに意味があるんじゃないかと思いたいので、“希望”の方に持っていきたい」（渡辺）

　その思いを託す戸田に、全幅の信頼を寄せている。

「戸田さんならそれができると思う。熟女と言われるような同世代で、こんなに歌って踊ってずっと芝居もして元気に頑張っている人って珍しいんですよ。彼女のそういう良さが出て、観た方がスッキリして『自分も頑張ろう』と思える作品になれば」（渡辺）

「楽しい作品がゆえに、歌ひとつにしても、ちゃんときっちりやらなければいけない。そこは責任重大だと思っています」（戸田）

音楽は、過去の渡辺作品にも楽曲提供をしている近藤達郎の全曲オリジナル。上演時間１時間半（予定）の間、２人は出ずっぱりの歌いっぱなしで、スター女優から犬の役（！）までも演じる。

「音楽評論家の湯川れい子さんが音楽を聴いてC型肝炎を治したそうで、心が大きく動くことで病気も治ることが実証された。この作品もお客様の“病気を治す舞台”を目指します！（笑）」（渡辺）

二大女優のパワフルで爽快な“わがまま”っぷりから、明日への活力が得られるはずだ。