ジョン・ノイマイヤーがプレトークを開催〜ハンブルク・バレエ団7年ぶりの日本公演開幕

レポート
舞台
2016.3.9
6日行われたプレトークよりジョン・ノイマイヤー(中央)、三浦雅士(右) 撮影:長谷川清徳

6日行われたプレトークよりジョン・ノイマイヤー(中央)、三浦雅士(右) 撮影:長谷川清徳

 ドイツの名門、ハンブルク・バレエ団の7年ぶりの日本公演が3月4日、『リリオム』で開幕した。同団の総裁・芸術監督で振付家のジョン・ノイマイヤーによるプレ・トークが6日、『リリオム』上演を前に東京文化会館大ホールで行われた。聞き手は評論家の三浦雅士。

 この日上演の『リリオム』は、映画『シェルブールの雨傘』等で有名な、映画音楽の巨匠ミシェル・ルグランに音楽を委嘱した作品。ジャズとクラシック音楽を使い分け、ジャズは人間の動きを、クラシック音楽では秘めたる感情を表現している。ルグランの音楽が大好きだったノイマイヤーは、ある日ルグランから「あなたの公演を観てとても感動した、一緒にプログラムをやりませんか」と電話をもらい、とっさに『リリオム』をやるチャンスだと感じた、というエピソードを披露した。

 8日(火)、9日(水)の2日間は、ノイマイヤー自身が語りで出演し、これまで振り付けた傑作の名場面を凝縮したガラ公演〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉が上演される。
「今回はスタッフ含め総勢120名の大所帯で来日している。どの作品を上演するかは私の責任にのしかかる部分で、日本の皆さんに何を観ていただくか真摯に考えた。ガラ公演=プリンシパルのパ・ド・ドゥという図式が多いが、今回はハンブルク・バレエ団として“全員でみせる”という趣旨で構成している。ハンブルク・バレエ団とは何かを考えたとき、これまでを振り返るとどれも大切な作品。バレエ団、私の作品がこういうものだと示す構成になっている。今回のような構成で上演するのは初めてで、日本だけ!日本のために創ってきたものなので、ぜひ観てほしい」とアピールした。

『マタイ受難曲』より Photo:Holger Badekow

『マタイ受難曲』より Photo:Holger Badekow

『ヴェニスに死す』より Photo:Holger Badekow

『ヴェニスに死す』より Photo:Holger Badekow

 11日(金)からはシェイクスピアの戯曲を演劇的な仕掛けと美しい世界観で表現する『真夏の夜の夢』を上演。同作には、メンデルスゾーンとジョルジュ・リゲティ(1923〜2006)らの音楽が使われている。

 ノイマイヤーいまなお世界の舞踊会を牽引する振付家としてその業績が称えられ、昨年、第31回京都賞思想・芸術部門を受賞しているが、作曲家のリゲティも2001年に第17回京都賞思想・芸術部門を受賞しており、本作では京都賞受賞した2名が作品に関わっていることも注目される。

 同作の音楽についてノイマイヤーは「『真夏の夜の夢』は3つの異なる世界で物語が構成されている。その3つの世界の物語を明確にするために、音楽を場面ごとに変えることを思いついた。実存する世界に登場する人々をメンデルスゾーンの曲で描き、妖精の世界はリゲティの“宇宙を表すような不思議な音楽”で、魔法を使った職人たちの世界は電子的で機械的なオルガンの演奏で描きます。クラシック音楽とはコントラストをなしている。私が考える妖精の世界はサイバー的なもので、目に見えない不思議な世界、不思議な感覚を表現したかった」と語った。今年はシェイクスピア没後400年の記念年、ノイマイヤーの描くシェイクスピアの世界『真夏の夜の夢』は3月13日(日)まで上演される。

『真夏の夜の夢』より Photo:Holger Badekow

『真夏の夜の夢』より Photo:Holger Badekow

『真夏の夜の夢』より Photo:Holger Badekow

『真夏の夜の夢』より Photo:Holger Badekow


 
ハンブルク・バレエ団 2016年日本公演
ガラ公演《ジョン・ノイマイヤーの世界》

3/8(火)、3/9(水)各日18:30

『真夏の夜の夢』
3/11(金)〜3/13(日)

東京文化会館
問合せ:NBSセンター03-3791-8888 
http://www.nbs.or.jp
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