菊之助、勘九郎、七之助が明治座で初役に挑戦!「四月花形歌舞伎」記者会見
尾上菊之助、中村勘九郎、中村七之助「明治座 四月花形歌舞伎」
春爛漫の明治座に次世代を担う花形・尾上菊之助、中村勘九郎、中村七之助が大役に挑む「明治座 四月花形歌舞伎」が上演される。
昼の部では、七之助による親子の情愛を描く「芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ) 葛の葉」、勘九郎による賑やかで軽妙洒脱な舞踊「末広がり」、そして油まみれになりながら見せる凄惨な立ち回りが有名な近松門左衛門作の「女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)」を菊之助、勘九郎、七之助で上演する。
夜の部は井上ひさし原作「手鎖心中」を舞台化した「浮かれ心中」を勘九郎と菊之助で、幻想美にあふれる舞踊「二人椀久(ににんわんきゅう)」を菊之助と七之助で務める。
桜が開花を迎えた3月25日(金)夕刻、歌舞伎座ギャラリーで行われた記者会見に、菊之助、勘九郎、七之助が顔をそろえ、本作について今の心境を語った。
尾上菊之助、中村勘九郎「明治座 四月花形歌舞伎」
かつて、明治座のこけら落とし公演に出演した菊之助は、「今から23年前か…」と時の流れの速さに驚きを隠し切れない様子。勘九郎や七之助とはコクーン歌舞伎や平成中村座で共演した間柄。「私にとって転機となる公演だった。普段はなかなかご一緒できないので、一年に一度はご一緒する機会をいただきたい」と会見に乗じてリクエスト。
尾上菊之助「明治座 四月花形歌舞伎」
勘九郎は「今日は二人のちびがいないので本当にほっとしています」と笑顔。平成29年2月興行『二月大歌舞伎』で初舞台を踏む息子たちが先日の記者会見でやんちゃぶりを発揮したことに触れ、笑いを誘っていた。「菊之助さんの舞台にかける姿勢は普段からも尊敬している。今回、父(中村勘三郎)ゆかりの演目もやらせていただくことが嬉しいです」
中村勘九郎「明治座 四月花形歌舞伎」
そして七之助は、三人とも初役となる演目に挑戦することに触れ、「これはなかなかないんじゃないかなと。若手公演、花形歌舞伎という名にふさわしい公演になると思う」と語っていた。
中村七之助「明治座 四月花形歌舞伎」
三人とも初役ということで、「緊張」という言葉が何度となく口から出る三人。これを受けて「緊張をほぐすためのリラックス法はあるか?」と問われると「逆にこっちが聞きたい(笑)」と菊之助。「ただ、その緊張感があるからこそ、火事場の馬鹿力が出ると思っています。また勘九郎さん、七之助さんと同じ板の上に立つといつも出てこないような不思議な力をもらえる気がするんです」
勘九郎は「私は“緊張しい”ですが、父によく『稽古が足りてなくてどうすればいいだろう、というような“悪い緊張”ではなく、“良い緊張”だったらいい』と言われてました。この“良い緊張”を楽しみたいです」
七之助も「兄が言った通りです。が…『女殺油地獄』はもっともっと稽古したいですね」と菊之助や勘九郎に目線を送ると、今回通常より稽古日数が少ないということもあってか、うなづきあう三人。「いい作品ですから、やればやるほどもっといいものになっていくだろうと思います」と、今後も取り組んでいきたいと語る七之助だった。
尾上菊之助、中村七之助「明治座 四月花形歌舞伎」
なお、菊之助の父・尾上菊五郎が、胃潰瘍のため歌舞伎座「三月大歌舞伎」を休演したことについて話が及ぶと、菊之助は心配をかけたことを詫びた上で「今はもう大丈夫。医者からお酒もちょびっとだったらいいよって言われまして。…あんまり飲まない方がいいんじゃないかなと思うけど」と近況を報告していた。
■日時:2016年4月2日(土)~26日(火)
■会場:明治座
■出演:尾上菊之助、中村勘九郎、中村七之助 ほか
■公式サイト:http://www.meijiza.co.jp/info/2016_04