大倉孝二、ブルー&スカイ、佐津川愛美「ちゃんとやって、ちゃんとふざけます」ジョンソン&ジャクソン公演『夜にて』

インタビュー
舞台
2016.7.13
ジョンソン&ジャクソン 大倉孝二・佐津川愛美・ブルー&スカイ

ジョンソン&ジャクソン 大倉孝二・佐津川愛美・ブルー&スカイ


ナイロン100℃の大倉孝二ブルー&スカイによるユニット、ジョンソン&ジャクソンの公演『夜にて』が10月20日(木)からCBGKシブゲキ!!にて上演される(その後、盛岡、いわきでの公演もおこなわれる)。
 
個人的な話で恐縮だが、ジョンソン&ジャクソンの前回公演『窓に映るエレジー』では、そのナンセンスさに「なんだこれ!?」と思い、そのくせ引き笑いしながらズブズブと魅力にハマった記憶がある。

さて今回の『夜にて』には、映画『ヒメアノ~ル』でシリアルキラーに襲われるヒロインを好演した佐津川愛美が出演することになった。以前佐津川にインタビューした際、「映像だけでなく舞台にも進出してほしい」という印象を強く感じたこともあり、今回の出演は本当に嬉しい限り。いったい佐津川がこの舞台で何を見せるのか、いやそもそも今回はどんな内容になるのか?大倉、ブルー&スカイ、佐津川に話をきいてきた。


「夜の町を満たす、悪意と欲望。貪り合う男と女。繰り返される暴力、不可解な失跡、戦慄のサスペンス、ていうコメディ! 衝撃のラスト、その先にあるものとは? 全ては今後の打ち合わせで決まる! くだらない芝居なら俺達がやっている-演劇の未来はここには無い!」 (ジョンソン&ジャクソン フライヤーより)

――今回の『夜にて』は、サスペンスだけどコメディ…という話ですが、具体的にはどういう作品になるんでしょうか? 

大倉: フライヤーに書いてあることが全てなんですけど。

――(笑)ここから何か1ミリでも増えた情報はありませんか? 

大倉: ないです(笑)。僕らの芝居の作り方は特殊で、二人でアイディアを持ち寄って、二人で話をしながら書いていくというスタイルなので、肝心の僕らがまだ話せていないから、当然話は決まってないんですけど。とはいえ、前回よりもう少しお芝居より、物語性が強いものにしたいと僕は思っています。少しギミック的な要素を減らして、演劇中心にして濃密にできたらなと思っています。あと、今回初めて僕が一応物語の主人公…というか、「軸」になります。今までやらなかったから。2人で演出している都合もあって、あまり僕が舞台に出ていくと演出が進まないというのもあって。でも今回は少し多めに出ようかなと。もちろん佐津川さんもね。

――二人でお互いネタを持ち寄って作るということですが、そういう時に演出はどうされているんですか?
 
大倉: たぶん、場面場面でここはこっちの人(ブルー&スカイ)の方がいいとか、強く考えているな、という時は任せたりしています。もちろんその場合でも「こうした方がいいんじゃない?」って言ったりすることもありますけど。そんなに違和感なくやっていますかね?

ブルー&スカイ: 大倉さんが出ている時は僕がやったり、僕が出ている時は大倉さんがやったりで。そんなことは当たり前かな?

大倉: こっちの人の方がはっきりビジョンがあるんだな、っていうことであれば、はっきり譲るね。

――二人の意見が食い違うときはどうするんだろう、と思っていたので。

大倉: そんなことありますけどね。意見が合わないということも。

ブルー&スカイ: 演出だけではなくて、台本の段階でもね。

大倉: 台本を書いている時は二人でやってみて、あれはどうだとか、話し合っているので、その時はイメージは沸くんですけど、実際のキャストがやるとなるとまた違うんですよね。役者さんたちの意見もあるから、また変わってくるんです。その都度、稽古で試しながらいろいろ決めている。その中で新しいものが生まれたら、そっちの方が面白いねっていう風になっていく。

ジョンソン&ジャクソン 大倉孝二・佐津川愛美・ブルー&スカイ

ジョンソン&ジャクソン 大倉孝二・佐津川愛美・ブルー&スカイ

――どんなときにコメディのネタが思い浮かぶんですか? コメディって実は難しいと語る作家さんも少ないですが。
 
ブルー&スカイ: 自然と何もない時に浮かぶ、ということは今はないですが、ぼくがいちばん考えるのは地元のロッテリアなんです。ロッテリアで「どんなことをやったら面白いか」とか、「人がやっていないことは何か」ということを、ずっと考えています。僕自身は真面目な芝居を作ったことが1回もないので、それと比べてコメディが難しいかどうかはよくわからない。

大倉: コメディしかやってないからね。

ブルー&スカイ: たぶん、シリアスなものを作っても、お客様が満足するものを作れると僕は思えないので。まぁ、単純にコメディが好きなのもありますけどね。

――今回この座組みに、佐津川さんが入られることになりました。これはどのような話から出演が決まったんですか?

大倉: 元々今までとは違う畑の人を入れたい、という気持ちがあって。それで女優さんがいいと。今回僕が多めに出るので、相手に女優さんがいてくれた方がいいな、しかも今までみたいに味濃いめみたいな人ではなくて。いろいろ探していた時に、あるお仕事の現場でお会いして、わざわざご挨拶いただいたんです。そのときに自己紹介されて「あ、この人がいいな」と思ったんです。それですぐオファーして決まった…っていう感じでした。

――佐津川さん自身、オファーが来て「よし、舞台に出るぞ!」と決めた、自分の中での決めては何だったんですか?

佐津川: 失礼な話ですが、内容を全く知らなくて、キャストも他に誰が出るのかも知らなくて、タイトルも知らなくて。

大倉: 決めてなんかないですよね(笑)

佐津川: まったく、よく分かっていなかったんですけど、大倉さんに声をかけていただけたのが嬉しくて。

――大倉さん、影響力強いですね。

大倉: いやいや。いろいろ精査して出演舞台を選ばれたとしても、僕らなんかはそこに選ばれないと思うから。何となく…みたいなのがいちばん大事。

ブルー&スカイ: 世の中全部ね、「何となく…」で動いているからね。

大倉: そうなんだ!

佐津川: 大事ですよね。タイミングとか。

大倉: そればっかりですよ、僕らは。

佐津川: そういうのは私も結構好きなので。

大倉: 全く論理的ではないんだよね。

――そんないきさつで出演が決まった佐津川さんに、どんなことをさせたいと思っているんですか? 

大倉: やっぱり、その場の空気を持っていける女優さんだと思うので、そういうシーンがあったらいいですね。具体的にどういうシーンかっていうと、後々なくなったりもしますが。とにかく圧倒的な勢いとか、迫力を見せられるシーンを作れたらいいなと思いますね。

ブルー&スカイ: 僕は大倉さんとは違って、恋心をクドいくらいにやたらと前面に描くみたいな、それを観ている人もそこまで恋心を描かなくていいよ、くらいなクドさでやりたい。恋心ばっか前面に押し出しすぎでしょ!っていうくだらなさ。そこに出てほしいです。

大倉: だそうです。

ジョンソン&ジャクソン 大倉孝二・佐津川愛美・ブルー&スカイ

ジョンソン&ジャクソン 大倉孝二・佐津川愛美・ブルー&スカイ

――今いろいろな構想が出てきてますが、そもそも佐津川さんは舞台でどんなことに挑戦したいんですか?

佐津川: 私の中で舞台というのは近くない存在……遠い存在というか。私は映画のお仕事が多いので、舞台をやるってことは私の中では「よっこいしょ!」っていう特別な気合いが必要なんですよ。でも大倉さんたちとお話しして感じたんですが、この座組みだとそういう感じを持たずにできそうな気がしています(笑)。単純に舞台に立つことが楽しいと思うような期間になったらいいなと思います。

大倉: 大丈夫ですよ。楽しんでもらえれば大丈夫だと思います。それがつまらないなとか、嫌だなとか思わなければ。後は病気とかにかからなければ(笑)

佐津川: 舞台やると精神がヤバくなってしまうんですよ。

大倉: あー、そんなの全然大丈夫です(笑)

――佐津川さんのほかに注目している出演者がいるのですが。作・演出で活躍している鎌田順也さんを今回「出演者」としてお呼びしたのはなぜですか?

大倉: 鎌田さん主宰の「ナカゴー」ではうち(ナイロン100℃)の菊池明明とかがお世話になって、存在は知っていたんですけど、舞台に出ているのは見たことがなくて。ただ単に僕は、巨漢の人が一人欲しいと思ったんです。その中でピックアップされたのが鎌田さんで、ルックスがドンピシャだった。この人がいいって。役者さんであろうがなかろうが、構わなかった。そしたら引き受けてくれたんですよ。即決だったの。それもすごいことですけどね。それでブルー&スカイさんに話したらもちろん鎌田さんのことは知っていて。いいんじゃないかっていう。

ブルー&スカイ: 彼の舞台は10年くらい前にちょこちょこ見ていて、すごい面白いことやっている人だなというのは元々知っていました。役者として演じているところは僕は未だに観てないんですけど、鎌田さんの迫力ある感じで、あれだけ面白いことを作る人が役者として舞台に立って、一緒にやってどんなことになるのか、今予想がつかない。単純にすごく楽しみです。

大倉: 今回の出演者には、佐藤真弓さんと大堀こういちさんっていう尊敬する先輩がいて、おもしろくなる確定要素がすでにこの二人にある。後は佐津川さんとか鎌田さんという不確定要素…と言ったら失礼ですけど、予測できない人が舞台をシメていくんじゃないかなと。小劇場とは違う風を吹かせてもらわないと、と思っています。

――ちなみに今回、あらすじの中で「救いがたい出来事、救いがたい人々」というキーワードがあったんですが、この座組みで「救いがたい人」というと誰ですか?

大倉: 全員です。全員そういう感じにしたい(笑)

――そんな人たちで稽古をしていくと、どのような稽古場になるんだろうと思うのですが。

大倉: みんな静かに淡々とやっていますよ。

――前回は濃い方も出ていましたが、ここの稽古の雰囲気って割と淡々と進むんですか?

大倉: 前回は池田成志先輩がうるさかったね(笑)。とにかく、僕らがちゃんとしないと先輩方に怒られるかもしれないので、ちゃんとやります。そしてちゃんとふざけます。

ジョンソン&ジャクソン 大倉孝二・佐津川愛美・ブルー&スカイ

ジョンソン&ジャクソン 大倉孝二・佐津川愛美・ブルー&スカイ

公演情報
ジョンソン&ジャクソン「夜にて」
 
■日時・会場:
2016年10月20日(木)~30日(日)CBGKシブゲキ!!
2016年11月3日(木・祝)盛岡劇場 メインホール
2016年11月5日(土)福島県 チームスマイル・いわきPIT
■作・演出:ジョンソン&ジャクソン
■出演:大倉孝二、佐津川愛美、佐藤真弓、菊池明明、鎌田順也、ブルー&スカイ、大堀こういち
■公式サイト:
http://cubeinc.co.jp/stage/info/jj2016.html​

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