熱海五郎一座、開幕直前の囲み会見&ゲネプロレポート
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(左から)深沢邦之、渡辺正行、春風亭昇太、ラサール石井、笹本玲奈、小倉久寛、松下由樹、東貴博、三宅裕司
練りこまれた台本を喜劇役者にしっかり演じさせることで生まれる“表現としての笑い”の追求、音楽をふんだんにちりばめる東京喜劇・軽演劇のスタイルをベースとしたエンタテインメント芝居。それが、三宅裕司の率いる熱海五郎一座だ。結成してからの約12年間、12作品で25万人以上を動員。2014年からは新橋演舞場に進出、今年は同劇場でのシリーズ第三弾として、熱闘老舗旅館『ヒミツの仲居と曲者たち』を6月3日から上演する(6月27日まで)。
初日前日の6月2日、新橋演舞場ロビーで、メインキャストの面々が本番の衣裳を着けて会見を行った。登壇したのは、出演・構成・演出をつとめる三宅裕司、出演者の渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、深沢邦之(東と深沢は交互出演)、そしてゲストの松下由樹、笹本玲奈だ。
『笑点』の新司会に抜擢された“時の人”の昇太を目当てに大勢のマスコミが集まる中、三宅は開口一番「『笑点』の話題はナシで」と、いきなり笑わす。すかさず東が「皆さん、それ欲しくて来てるんですから! そもそも本人が一番言いたがってるんだから 」と返し、場をさらに盛り上げる。
熱海五郎一座の初日前日会見
「じゃあ、東さんから」という記者の声に、東は「“じゃあ”って何だよ!」とキレつつ、「相変わらずのお金持ち、東MAXです」と定番ギャグで挨拶。壇の右端に立つ東に対してTake2の相方・深沢が左端に立っている状況について、「立ち位置が離れ離れですが」と記者から問われると、「これでも至近距離です」「でも明日からは会わなくなります」と不仲ネタで爆笑を誘う。
続いて小倉、「皆、いい具合に年を取って人情喜劇ができるようになった」としみじみ語るも、前列・松下の高い身長の陰に隠れてしまい、声は聴こえど姿が見えない状態。お立ち台に立っているにも係わらず、である。その隣なりで、やはり台に立つラサール(登壇するなり「子どもの写真撮影じゃないんだから!」と文句をつけていた)は、今回、悪徳な神奈川県知事という役を演じる。「都知事役じゃなくてよかった。実際の都知事とどっちのほうが悪いんだってことになっちゃうからね(笑)」。ちなみにラサール、現在の神奈川県知事・黒岩祐治氏とは早稲田大学時代に同じサークルに所属していた間柄とのことで、「この舞台も観に来てくれそう」と言いつつ、「でも観たら怒っちゃうかな(笑)」
話題の人・昇太は今回、老舗高級旅館の女将役ということで、女装の着物姿で登壇。「普段から着物は着てますが、こんな(女ものの)着物を着たことはなかったので、自分でもどうしていいかわからない」。なのに三宅から「昇太は普段、着物を着慣れてないからね」とからかわれ、「そんなことない」と慌てて否定。
深沢は「東MAXとは今回、舞台以外で一番しゃべった。やっとなじんできたのかな……」。これには周囲も「どれだけ時間かかってるんだ」。東は「昔、コンビとかやってたんじゃないかな、って思えた」と、またも爆笑をさらった。
渡辺は「昇太が今回こういうことになって……」と切り出し、(周囲から「捕まったみたいじゃないか」)「モテるだろう昇太が私生活で写真誌に撮られないようレクチャーをする、そんな毎日を過ごしています……」(ラサール「どんな毎日だよ! 」)
今回初めて熱海五郎一座に参加する松下は、「お芝居もさることながら、笑い、アクション、ダンス、歌。フルコースでお届けします」と意気込みを語った。出演者の誰よりも着替えが多く、衣裳もお楽しみとのことで、記者が「脚線美が出ちゃったり?」と振ると、三宅が即「事務所から、それはやめてくれって(笑)」と制す。
笹本は、"おじさま"の中で芝居をすることについて「皆さん、足腰痛いと言いますがとても若い。この中では年下ですが、負けていられない」とフレッシュさを見せた。
この豪華メンバーについて三宅は、「皆、同じ分量で出演するようにしているが、不満があるヤツはどんどん自分で勝手に足していくので、それが困る(笑)」。また「今回は時事ネタが入れやすい」とも。ただ「入れても入れてもすぐに古くなっちゃう」とこぼした。
「昇太さんが『笑点』の新司会に決まったことについては?」との記者からの質問に、三宅は相変わらず「禁止です」と言って笑わせつつ、「そんな美味しいネタ、放っておくわけありません」とほのめかし、期待をもたせた。当の昇太は「(司会就任は)実は2月から決まっていた。ずっと黙っているのがつらかった。特にリーダー(渡辺正行)はすごく聞いてくるから、“ボクってこともあるかもしれませんよ”とヒントを与えたのに、その都度“ないない”って(笑)」。周囲では誰ひとり、昇太の可能性を信じるものはいなかったようだ。
「笑点」司会バブルで昇太に質問が集中気味
その発表があった回の『笑点』が最高視聴率を記録したと記者から言われ、昇太が「昔からモテるんですが、ますますモテちゃうかな」と鼻の下を伸ばすと、「気をつけたほうがいいですよ」と渡辺がアドバイス。対してラサール「独身だからいいんだよ」、東「むしろ気をつけないほうがいい」と的確なツッコミ。
最後に三宅が「爆笑の連続の芝居ができあがった。しかも最後はホロッとできるいいお芝居です。ぜひとも何も考えず観に来てください」と会見を締めくくった。会見の段階から笑いをとることには貪欲なメンバーばかりだったが、その後、部分的に公開されたゲネプロ(総通し稽古)では、さらなる爆笑が待っていた……
老舗高級旅館「ふじみ楼」は女将の保梨伊代(もてなしいよ/春風亭昇太)を中心に、番頭の室満(むろみつる/三宅裕司)や仲居たちが切り盛りしていたが、繁盛にはほど遠く、閑散としている。
熱海五郎一座
そこに住み込み希望の女性・小手向江(おでむかえ/松下由樹)がやってくる。一流旅館で働いていたという彼女は採用されるものの、どうも様子がおかしく、謎だらけ。
熱海五郎一座
熱海五郎一座
隣接するリゾートホテル、ヒルトンならぬ「ヨルトン箱根」は、神奈川県知事・天下団五郎(あまくだりだんごろう/ラサール石井)の口添えで、次回の箱根芦ノ湖サミットの会場候補にあがり繁盛している。
熱海五郎一座
熱海五郎一座
熱海五郎一座
このホテルの総支配人・五星蛍(いつつぼしほたる/小倉久寛)と副支配人・心付弾(こころづけはずむ/渡辺正行)の凹凸コンビは、旅館を我が物にするため、策を練る。
熱海五郎一座
熱海五郎一座
そこに週刊誌の記者・馬場裸一(ばばらいち/東貴博 ※交代で深沢邦之)や人気歌手・桐山来亜(きりやまらいあ/笹本玲奈)がからんで、旅館とホテルの攻防戦が繰り広げられる……。
熱海五郎一座
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熱海五郎一座
ミュージカルありアクションあり、時事ネタ満載、大爆笑のエンターテインメント作品に仕上がった熱闘老舗旅館『ヒミツの仲居と曲者たち』。役名からしてキャラクターが分かりやすすぎる曲者たちが、最後の最後まで笑わせ続けてくれた。