東京藝大が早期英才教育のための特別コース『東京藝大ジュニア・アカデミー』新設を発表
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東京藝術大学が、音楽分野における世界トップアーティストの戦略的育成を目的として、全国の中学生を対象とした早期英才教育のための特別コース『東京藝大ジュニア・アカデミー』を、平成29年度より新たに開設することを発表した。
東京藝大は文部科学省が進める「国立大学機能強化事業」に選ばれたことにより、平成26年度から積極的に改革を行ってきた。東京だけではなく地方の優秀な若い才能を支援するため、藝大の教授陣が地方に出向き、事前に選抜された小・中学生の公開レッスンを行う『早期教育プロジェクト』や、高校2年生が終わった時点で藝大に入学し、学部の早期卒業ができる『スペシャルソリストプログラム』、海外から一流の先生を今ままで以上に招聘するなど、多くの試みをしてきた。
そして、来年度からは『東京藝大ジュニア・アカデミー』を開設し、『早期教育プロジェクト』、『東京藝大ジュニア・アカデミー』、附属高校、『スペシャルソリストプログラム』その後は海外の一流音大で勉強し、世界で活躍できる演奏家を育てようとしている。
東京藝大ジュニア・アカデミーでは、しばらくは中学生を対象とし、1学年10名程度で現時点ではピアノ・ヴァイオリン・チェロ・管楽器専攻を募集する。藝大教員や海外一流演奏家による個人レッスンやソルフェージュ、ステージ実践による公開型成果発表など実践的な指導をしていくという。さらに、レッスン等は東京藝大(上野キャンパス)で行われ、平日の夕方・夜間や土日、夏休み等の長期休業期間に行われる。これにより首都圏だけでなく地方からの受講も可能になる。その他にも大学内でのレッスンによって近い将来の目標となる藝高生や藝大生と触れ合い、演奏を聴くチャンスもあるだろう。これは中学生にとって大きな刺激になるに違いない。
「夢を夢で終わらせない」
早期教育プロジェクトのサブタイトルになっている言葉だ。経済的安定性を職業選択に求める社会的風潮の高まりから、10代前半で「音楽家への道(夢)を断念」してしまう状況であることも藝大の改革が進んでいる理由の一つだ。この改革によって優秀な演奏家は増えるかもしれない。その先、さらに成長させていくのは聴衆だろう。もっともっと多くの人がクラシック音楽に興味をもち、コンサートに出かけるようになっていくと、本当の意味で「世界で活躍できる演奏家」が生まれるのではないだろうか。