LiSAが5周年に“この先のLiSA”をダイレクトに描き切ったツアーを、ホールとライブハウスからダブルレポ

2016.8.1
レポート
音楽

LiSA  Photo by HAJIME KAMIIISAKA

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ソロデビュー5周年のアニバーサリーを飾る全国ツアー『LiVE is Smile Always~Hi! FiVE』。ホールとライブハウスを共存させたこのツアーでLiSAは、現在のシーンを代表するロックボーカリストとしての強烈な存在感を改めて示すとともに、この5年間の軌跡と“この先のLiSA”をダイレクトに描き切ってみせた。SPICEでは、このツアーからNHKホールでの公演とZepp Tokyoでの公演を通して、その姿に迫る。

4月20日 NHKホール

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ソロデビュー5周年を記念した全国ツアー。その最初の曲は「Believe in myself」だった。ソロアーティストとしての最初の作品である『Letters to U』(1stミニアルバム)の1曲目に収録されているこの曲は、LiSA自身が作詞作曲を手がけたナンバー。この日、アカペラで放たれた<Believe in myself いつか この曲聴いた 誰かが 今を愛せたらいい>という冒頭のフレーズには、当時の彼女の思い――“自分自身の音楽を認めてもらえるだろうか?”という不安と“この先には楽しい未来が待っているはずだ”という希望が入り混じった――が、リアルに刻み込まれている。デビューから5年が経ち、彼女は思い描いていた以上の場所を手に入れた……いきなり感慨に浸っているとLiSAが「5周年、始めるよ!」「最高に楽しんでいきましょう! ピース!」と笑顔でシャウト、「ROCK-mode」によって会場全体を祝祭ムードに染め上げられる。さらに1stシングル「oath sign」でオーディエンスの興奮を一気に引き上げた後、最初のMCへ。

「4月20日、私、LiSAはデビュー5周年を迎えました。そんな特別な日に来てくれて、本当にありがとう。みんなにとっても特別な日になるように準備してきたから、期待しかしないでね!」

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モータウン系のリズムが楽しい「アシアトコンパス」からはLiSAのカラフルな音楽性を体感できる時間が続く。切実な感情を想起させるメロディライン、オーディエンスに対する思いを反映させた歌詞によって心地よい一体感を演出した「笑ってほしくて」、セクシーなイメージをまとったロックチューン「DOCTOR」、PABLO a.k.a.WTF!?の作曲・編曲によるヘヴィロックナンバー「She」(2ndミニアルバム『LUCKY Hi FIVE!』収録)。キュートなポップナンバーからアグレッシヴなロックまでを自在に行き来できるセンスこそがLiSAの魅力であることは何度も書いてきたが、その精度はライブを重ねるごとに確実に向上している。きわめて幅広い楽曲を自由に乗りこなし、華やかなエンターテインメント性と生々しいリアリティをナチュラルに共存させることで、多面的な魅力を備えたステージを体現する。そんなことが出来るシンガーは本気で稀だと思う。

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さらに抒情的なピアノの旋律を軸にしたSEを挟み、「いつかの手紙」へ。2ndシングル「crossing field」に収録されたこのバラードには、歌に対するLiSAのあまりにも真摯な感情がそのまま刻まれている。特に「この手紙開くときに/胸が音を立てるように/言葉に出来ないこの気持ちを/歌ってゆこう」というラインは、彼女自身の根源的なモチベーションを示しているようで、強く心に響いた。ひとつひとつの言葉を丁寧に手渡すようなボーカリゼーションも絶品。サビのコーラスでは自然にシンガロングが起こり、ホール全体が豊かな感動で包み込まれた。楽曲を通し、彼女自身のリアルな思いや生き方が強く放たれるシーンもまた、LiSAのライブの大きな魅力なのだ。

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2度目のMCでは、この日のライブが2015年12月の千葉・幕張メッセ公演『LiVE is Smile Always~メガスピーカー~』以来のワンマンになることを受け、「4か月もみんなに会ってないと不安になるんだよね。みんな私のことを忘れてるんじゃないかとか、他の子とよろしくやってるんじゃないか?とか…思うでしょ?(笑)」「でも、この特別な日にこんなに集まってくれて。記念日をちゃんと覚えてくれてる恋人ってどう?」とラブリーな(?)表現でファンとのつながりを強調。改めて「5周年、始めるよ!」と宣言し、アニバーサリーイヤーのテーマソングとも言える「Hi FiVE!」を放つ。<いつか この曲聴いた 誰かが 今を愛せたらいい>という切なくも前向きな感情からスタートした“ソロアーティスト・LiSA”のキャリアは、<キミの手と 確かに 奏でた 喜びの音/僕にほら 何度も 生き返る理由を与えてる>(「Hi FiVE!」)という確信へと至った。自分自身が好きな音楽、本気でカッコいいと感じる音楽を追求し、ひとつひとつの作品・ライブを丁寧に積み重ねながら、シーン/ジャンルを超えた支持を獲得し続けているLiSA。「Hi FiVE!」を歓喜の表情で歌い、ファンと目線を合わせながらパフォーマンスを繰り広げる彼女の姿からは、“自分とみんなの居場所を掴み取った!”という喜びがまっすぐに伝わってきた。

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ライブ後半は強烈なバンドグルーヴとドラマティックなメロディを軸にしたアッパーチューンを連発、オーディエンスのテンションは一気に頂点へと向かう。特に印象的だったのは、やはり『LUCKY Hi FiVE!』の収録曲「Psychedelic Drive」。感覚ピエロの横山直弘の作曲によるこの曲は、LiSA史上、もっともクレイジーなロックナンバー。彼女の新たな表情を引き出すこの曲は、今後のライブでも大きな盛り上がりを演出することになりそうだ。

現時点における最強のロックアンセム「Rising Hope」、パーティ感に溢れたロックチューン「Rally Go Round」によって会場の熱狂は最高潮に。そして「5年前、“LiSA、ソロデビューします”ってここ(NHKホール)で発表しました」「みんなとこの先もずっとずっと遊んでいたいなって思っています」という言葉に続き、「終わらない冒険」を歌い上げる。「この目に映った今日を抱き まだ歩いてく」というフレーズは“この先”に向けたLiSAの気持ちを強く表すとともに、リスナーひとりひとりの感情を鼓舞する最高のメッセージとして存在していた。


アンコールでは“愛されたいか?!”というシャウトから始まる「halo-halo」そして“この先もいいことがあるはず!”というポジティブな意志に溢れた「best day, best way」を披露。5年間のキャリアを追体験できるようなセットリスト、そして、未来への希望が増幅するようなステージングがひとつになった、まさにスペシャルな記念日ライブだった。

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6月11日 Zepp Tokyo

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フロアの照明が落とされ、LiSAが登場した瞬間に凄まじいばかりの歓声が巻き起こる。オーディエンスを見つめながら、ゆっくりとステージの中央に進んだ彼女は「Believe in myself」の冒頭のフレーズをアカペラで披露。「最高に楽しんでいきましょう! ピース!」と挨拶し、「crossing field」「ROCK-mode」「oath sign」という初期の楽曲を次々と放ち、5周年のアニバーサリーを鮮烈に印象付ける。拳を突き上げ、高速のビートに“オイ!オイ!”と雄叫びを上げる観客のテンションもオープニングから爆発。やはりLiSAにはスタンディング形式のライブハウスがよく似合う。

「これまでホールツアーをやってきました。だから、ひとりひとりが順番に整列した会場でライブをやってきたんですけど、今日は“真っ黒”だね(笑)。Zeppの床が見えないくらい埋まっています。みんなどうもありがとう!」「愛と思いやりを大切に、ここにいるみんなで最高に楽しみましょう! ピース!」
というMCの後は、ツアーの初日以上に色彩豊かな楽曲が放たれる。可愛さ全開のポップチューン「ラブリーデイ」、手でハートのカタチを作るパフォーマンスも超キュートな「say my nameの片想い」、疾走感に溢れたビートと“最高を浴びたいんだよ”というフレーズで圧倒的な解放感を生み出した「Get free」。そして「DOCTOR」「She」「L.Miranic」というヘヴィロックナンバー3連発。一瞬も止まることなく激しく動きながらも、ボーカルの精度にはまったく影響しない(というか、息が乱れている様子もほとんど感じられない)。一体、どんなトレーニングを積めばこんなことが可能なのだろか?とちょっと不思議な気持ちになってしまう。

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インターバルを挟み、和テイストの衣装に着替えた後は「オレンジサイダー」。LiSA自らピアニカでイントロを演奏、「みんなと一緒に夏を先取りしたいと思います」という言葉に導かれたこの曲はノスタルジックな雰囲気のミディアム・アップ・チューン。夏の情景が浮かんでくるようなボーカルからは、彼女の豊かな表現力がしっかりと伝わってきた。

<キミと生きた今日をボクは忘れない>というフレーズが響き渡った「シルシ」も、この日のライブの大きなポイントだった。“今日を生きる”“いまを生きる”というテーマは言うまでもなく、LiSAの価値観、生き方に直結している。それを生々しく歌のなかに込め、高い歌唱力によって普遍的なパワーを持った楽曲へとつなげていく――このスタンスこそが、LiSAの音楽の核なのだと思う。

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ライブ中盤には新曲「Brave Freak Out」(アニメ「クオリディア・コード」オープニングテーマ/8月24日発売)を披露。ヘヴィかつファストなロックサウンド、クラシカルなピアノ、ドラマティックな起伏に満ちたメロディがひとつになったこの曲は、LiSAの新たな代表曲として認知されることになるだろう。

「みんな、とても元気ですね。久しぶりのライブハウス、最高です!」
「新曲“Brave Freak Out”の意味は、ヘンだって言われても、“おまえ間違ってるよ”って言われても、勇気を持って“これは自分自身の真実なんだぜ”って受け止めるということです」
“あれも言いたい、これも伝えたい”という思いが溢れまくるMCを挟み、ライブは後半へ。ギターのイントロが聴こえた瞬間に大きな沸き起こった「Hi Five!」はツアー中盤にして既にすっかりLiSAのライブに馴染んでいたし、「Psychedelic Drive」の破壊力はこの日も抜群。最近のインタビューで彼女は「“にゅーメンズ”(バックバンド)もすごくいい感じだし、ライブが向上していくスピードがすごいんですよ」という趣旨のコメントをしていたが、その言葉通り、バンドとLiSAの関係性はこれまで以上に密接。強烈なグルーヴを放つバンドに支えられ、ポップかつエッジ―なLiSAのボーカルもさらに奔放さを増していく。その効果がもっとも強く表れていたのは、やはり「Rising Hope」。ヘヴィネスとスピードを高い次元で融合させたこのアンセムは、現在もさらなる進化を続けているようだ。

LiSA  Photo by HAJIME KAMIIISAKA

ここでLiSAは改めてオーディエンスに向かって語り掛ける。
「5周年の派手なお祭りは(11月の)横浜アリーナです。しかも2daysです! これもキミたちと出来たことです。今日はここに来てくれて、いっしょに遊んでくれて、ホントにどうもありがとうございました」
「好きなことをやっていると、いろんな人がいろんなことを言うんだなって思います。私はそれにいちいち傷つくし、いちいち嬉しくなる。それでも私はみんなとつながっていたし、遊んでいたいから、Twitterもやるし、インスタだって始めちゃったし。でも、何があってもこうして一緒に遊んでくれるみんなとだったら、もっといろんなことがやれる思っています」

本編ラストはもちろん「終わらない冒険」。アコースティックテイストのサウンドともに彼女は“私とキミたちの物語はずっとずっと続いていくんだ”という意志をしっかりと表現していた。サビのフレーズとともに沸き起こった大合唱、そこから生まれた圧倒的な一体感は、まちがいなくこのツアーのハイライトだった。

LiSA  Photo by HAJIME KAMIIISAKA

アンコールでは「halo-halo」と「ジェットロケット」というパーティーチューンを披露。華やかな高揚感とともにライブを締めくくった。6月29日(水)に初のミュージッククリップ集『LiSA MUSiC ViDEO CLiPS 2011-2015』、8月24日(水)にはニューシングル「Brave Freak Out」をリリース。この夏には『Animelo Summer Live』、『ROCK IN JAPAN』、『SUMMER SONIC』などの大型フェスに出演し、11月には横浜アリーナ2days公演『LiVE is Smile Always~NEVER ENDiNG GLORY~in横浜アリーナ』を開催。ジャンル、シーンの枠を超えながらどこまでも自由に自分自身の音楽を描き出すLiSAは、5周年のアニバーサリーを経て、さらに大きなフィールドに向かって進んでいくことになる。そのことを強く確信させる圧巻のアクトだった。


レポート・文=森朋之

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ライブ情報
『LiVE is Smile Always~NEVER ENDiNG GLORY~in横浜アリーナ』

11/26(土)「the Sun」16:00 OPEN / 17:00 START
11/27(日)「the Moon」15:00 OPEN / 16:00 START
会場:横浜アリーナ
 
 

 

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