SWANKY DANK いま提示する、ポップパンクのアティテュード
SWANKY DANK 撮影=樋口隆宏
エッジの効いたパンキッシュなサウンド、キャッチーで耳馴染みの良いメロディ、疾走感と爽快感に加え、そこはかとない解放感溢れる景色豊かな音楽性……。SWANKY DANKは、そんな“ポップパンク”を信条に活動している4人組だ。そのポップパンクを基調に、様々な音楽性をブレンドし、独自のポップパンク・ミュージックとして輩出してきたSWANKY DANKが、いま一度、ポップパンクのアティテュードに立ち戻り、自身がこれまで採り入れてきた音楽性やフェイバリットを惜しみなく詰め込んだ1枚が、今夏発売のニューミニアルバム『it is WHAT it is』と言える。今作は、まさしく彼らが提示する“SWANKY DANK流最新ポップパンク・ロック集”。次から次へと現われる多彩な音楽性を有したポップパンク・ソングが、曲毎に聴き手を様々な景色へと連れ出してくれる。同作を引っ提げ、今秋からは東名阪のワンマンを含む全都道府県52カ所に及ぶ『“it is WHAT it is” TOUR』を敢行する彼ら。東名阪での単独では最大規模の会場を含め、最長最多箇所にも及ぶロングランなツアーだ。初めて訪れる土地も多く、演者/観者共に、まさに“待ってました!!”と言わんばかりに交わり、各所この上ない格別な光景が一緒に作り出されていくことだろう。
――今夏のフェスでは、『it is WHAT it is』からの曲も披露しているようですね。
KOJI(B):そうなんです。1曲目の「MADE A MESS」は、それこそ今年の夏フェスからライブでプレイし始めました。
――「MADE A MESS」は、サビでの爽快感や解放感が野外フェスのシチュエーションにピッタリだったのでは?
YUICHI(G):既に野外で2回演ったんですが、どちらも特に“新曲”ともアナウンスせず、いきなり一発目に演ったんです。曲調もポップパンクの明るく爽やか、且つ疾走感のある曲なので、演っていて非常に気持ち良かったですね。初披露にも関わらずリアクションや反響もかなりあったし。演っている自分たちは、まだライブで血肉化されてないこともあり、おっかなびっくりでしたけど(笑)。
――クラウドも“おおっ!!”と食いついた光景が浮かびます。
YUICHI:俺たちのことを知ってる/知らないに関わらず、リアクション的にも今までのどの曲よりも反響がありました。そういった意味では名刺代わりの1曲になったのかなと。
SHUN(Dr):叩いていても凄く気持ちの良い曲でしたね。ロケーションにもバッチリ映えてたし。“リズムの要なので、しっかり叩かなくちゃ”と頭では思いつつ、ついつい身体全体で楽しんで叩いちゃいました(笑)。
SWANKY DANK/YUICHI(G) 撮影=樋口隆宏
ちょっとシリアスな面やエモーショナルな面も含め、ポップパンクの新しい形、今の俺たちが定義するポップパンクを明示できたんじゃないかな。
――今作は、全体的に疾走感や爽快感、開放感を大事にしつつ、ハーモニーやコーラスも充実している、いわゆるポップパンクの醍醐味に満ち溢れている作風になりましたね。
YUICHI:今回は、あえてポップパンクを超意識して作りましたから。元々自分たちが好きで目指していたものを、いま一度めいっぱい詰め込んでみました。“立ち戻る”とまでは言わないけど、ちょっとシリアスな面やエモーショナルな面も含め、ポップパンクの新しい形、今の俺たちが定義するポップパンクを明示できたんじゃないかな。
――確かに単なる原点回帰に終わっていない作品印象がありました。
YUICHI:“あの頃の自分をそのまま……”というのとはまたちょっと違っていて。ここ数作を経て、いろいろなものを取り入れ、自分達のものにし、様々な音楽性を経て、あえて原点回帰した自分たちとでも言うか……。
――僕の今作への予想は逆で。ここ数作の流れから、今作はもっとラウドロック寄りになっていくと想像してました。何か再度こちら側に向かわせる起因でもあったのでしょうか?
KOJI:今回は曲作りに関して、YUICHIと2人で部屋を借りて、そこで曲作りをしたんです。それも関係してるかな。その分、ああでもない、こうでもない、と産むのに苦労した作品でもあったけど、完成に向かっているうちに形が見えてきたところもありましたからね。
YUICHI:それこそウィークリーマンションみたいなところを借りて、俺とKOJIで交互に1週間ずつ曲を作っては、間にディスカッションをしてました。同時期にアコースティックのアルバム(別名義のアコースティックプロジェクト・SWANKY OCEAN ACOUSTIX。5月4日発売の『THE OCEAN』)も作っていたんで、それと同時進行もあり、頭がこんがらがりそうでしたよ(笑)。
――(笑)。
YUICHI:だけど、そこを経たからこそ、“SWANKY DANKはポップパンクで居続けよう!!”と再び思えたところもあって。この制作期間は、かなり自分たちのフェイバリットだった作品や音楽を色々と引っ張り出したり、掘り下げて聴いたりしてました。そこから、“これをこう進化させて今の俺ら流にすると……”といった具合に、色々と試しながら曲を固めていったんです。
――今、SWANKY OCEAN ACOUSTIXのお話が出ましたが、今作は、そこからの影響も多少あるような……。例えば、コーラスの充実度とか美しいメロディの部分、開放感や上昇感といった爽快さは、それらを経たからこそ得れたものだったのでは?
YUICHI:それはあると思います。あれがなければ、特にここまでコーラスも徹底してなかっただろうし。どうやったらKOJIが歌っているメロディが活かせて、サビに入ったところでSWANKY DANKらしさが出せるか? コーラスがもたらす、サビをより開けさせたり、より光景感につなげられる効果、俺たちならでは等を考えると、やはり自分たちではコーラスは非常に重要且つ有効ですからね。今のバンドシーンの傾向に逆らって、俺たちはベタかもしれないけど、あえてハモを入れていく。そこに確信が持てたのも、SWANKY OCEAN ACOUSTIXを経たからなんです。
KO-TA(G):デモの段階で既に大枠が出来上がっていたので、曲のイメージが湧きやすかったですからね、今作は。きっと2人(YUICHI&KOJI)はこういったことがやりたくて、それに対してどういったアプローチで挑もうかなって考えて、ギターはアレンジしていきました。
YUICHI:とは言え、そのデモもバンドで合わせたり、個々のプレイが交るとまた化学変化を起こすんですよ。で、またそれを持ち帰って、ぶっ壊して、また作り直して、バンドで合わせて完成に向かっていく、その繰り返しでした。だから、デモの曲でも、最終的にアレンジがガラッと変わった曲もあったし。
SHUN:ドラムにしても、決め案とサブ案、両パターン用意したりしました。その2パターンが上手くブレンドされた感じになったかな、今作は。シンプルなところはシンプルに、構築するところは構築しているし。なので、シンプルなわりにはバリエーションもあるし、色々なことをやっているし、聴きごたえもこれまで以上だと自負しています。
SWANKY DANK/KOJI(B) 撮影=樋口隆宏
過酷だけどバンドとしては相当成長できるツアーだと確信しているので、怖くて不安な反面、楽しみなところもあります。
――ここ数作はYUICHIさんが全編作詞を担当されてましたが、今作ではKOJIさんも数曲作詞を担当してますね。
KOJI:今回から復活しました。ここ最近はYUICHIとの共作か、任せることが多かったですが。
――やはり自分で歌詞を書いたものと、YUICHIさんが書いたものを歌うのとでは違いますか?
KOJI:多少は違いますね。これまでのYUICHIの想いを自分なりに解釈して、自分の気持ちと合わせて伝える方法論ともまた違って、自分で書いた分、直接の発信になっていくわけですから。それこそ感情を大切にしながら書きました。久々だったんで、最初はちょっと勘を取り戻すのも大変でしたが、自分なりの表現ができたかなと。
KO-TA:YUICHIとはまた違った言葉づかいや節回しでもあるので、そのぶん新鮮なところもありました。KOJIの個性が出てるし、逆にそれによってYUICHIの歌詞の個性も出て、それがコントラストや対比に繋がって面白かったです。この辺りはお客さんもきっと楽しめますよ。
SHUN:なので是非CDを買って歌詞カードも見てもらいたいですね。よりその対比や表現、伝えたかったことのタイプの違いを認識できると思うので。あとは、ライブでの表現もまた楽しみの一つで。自分の発するものを自分の表現でどう表すのか? これはお客さんならずとも、僕たちも楽しみなんです。
――これまで言葉の端々から、ポップパンクというキーワードが出てきてますが、やはりSWANKY DANKは、“自分たちはポップパンク・バンドだ!!”との強い自負やこだわりをお持ちで?
YUICHI:持ってますね。特に今作は“SWANKY DANKがこれまで最も大切にしてきたことって何だろう?”と考えを巡らせたり、振り返った結果、導き出された結論だったりもするので。色々と考え、試行錯誤し“やっぱりこれだ!”と辿り着いての結果が今作でもありましたから。
SWANKY DANK/KO-TA(G) 撮影=樋口隆宏
ジャンルは違えど自分が好きなバンドと一緒にライブをすることで、ライブハウスシーンが面白くなったり、聴く音楽の範囲が広くなれば嬉しいです。
――この秋からは今作を携えての全都道府県ツアーも始まりますね。
KOJI:これまでのツアーの中でも最長なんで、過酷なことは既に覚悟してます(笑)。丸丸一カ月間家に帰って来られない期間もありますし。だけど、バンドとしては相当成長できるツアーだと確信しているので、怖くて不安な反面、楽しみなところもあります。
SHUN:「全都道府県」と銘打ってますが、実際は47箇所でとどまってませんからね。北海道だけで6か所あったり。
YUICHI:ホント未知数ですよ。体力的にも不安だし。とにかくケアを大事に1本1本全力でやるだけです。
――連日のライブなので、打ち上げもそこそこに控えなくちゃ、ですね。
YUICHI:それはちょっと寂しいな。
KO-TA:まっ、ならないでしょうけど(笑)。
――朋友のバンドはもちろん、異ジャンルのバンドとの共演にも驚きました。特にHello Sleepwalkersとの共演は、音楽的に全く違うタイプなので非常に興味があります。
KO-TA:初対バンなんです、彼らとは。これは僕がリクエストをしたんです。ちょっと前の話になってしまいますが、たまたまMVを観ていたら彼らの作品が流れていたんです。その歌詞の世界観や音楽性の独創的さに、“うわっ、カッコイイ!!”と惚れて。その時は、一緒にやりたかったけど、接点がまだなかったので、ちょっと諦めていたんです。で、その後、たまたまギタリストが大勢集まる飲み会があって。そこに(Hello Sleepwalkersギターの)タソコも参加していて。その際に思い切って誘ってみたんです。
――今回、実現できていかがですか?
KO-TA:このようにジャンルは違えど自分が好きなバンドと一緒にライブをすることによって、もっとライブハウスシーンが面白くなったり、交流が生まれたり、お互いのファンが対バンを気に入ったり、好きになって、そこから聴く音楽の範囲が広くなる……そんなところに繋げられたら嬉しいです。
YUICHI:今回も各地、自分たちがかっこいいと思えるバンドに声をかけて、快諾して共演してもらいましたからね。
――ちなみに選んだ基準は?
YUICHI:やっていて自分たちも刺激を受けるし、与えてくれるアーティストですね。あと、確実に良いライブをするバンド。対バンがいいライブをしているのを目の当りにしたら、やはり“それ以上のライブをやってやる!!”と燃えるじゃないですか、自分たちも。その相乗効果も共演の楽しみの一つなんです。
――更にイベント全体が盛り上がりますもんね。なんでも今、共演しているバンドを公募しているとか?
YUICHI:そうなんです。決してオープニングアクトを募集しているわけではなく、一緒にライブを盛り上げてくれる、その日その会場のライブを一緒に作ってくれるバンドを募集してます。ポップパンクというジャンルは限定させていただきますが。
――ここでもポップパンクにこだわると。
YUICHI:やはり現状のパンクシーンの中でも、ラウドロックやメロディックに比べると、正直それらほど盛り上がっていると強く言えないジャンルじゃないですか、今のポップパンクって。そこをもう一度、盛り上げたり、底上げしたいところもあります。
SWANKY DANK/SHUN(Dr) 撮影=樋口隆宏
今回のツアーでどんな光景が見れるのか。自分たちが一本一本真摯に向き合い、成功させないと出会えない、その景色を是非多くの方々と共有したい。
――最後に今回のツアーへの意気込みを交えたメッセージをお願いします。
YUICHI:今作はこれまでにも増してお客さんとライブを通して作り上げて行く作品だと自負しています。なので是非みなさんと、この作品をライブを通して完成させていきたいですね。
KOJI:各地で良いライブをし続けていくだけです。来年控えているファイナルシリーズは自分たちの中でも単独では最大規模の会場で。そこを今の自分たちの力で埋めるのは並大抵のことじゃないとの覚悟は持っているので、各地で“ファイナルも是非観たい!”と思わせ、引き集めるライブをしなくてはならないんです。現段階で“SWANKY DANKにO-EASTなんて出来るの?!”“大き過ぎるんじゃないの?”と訝しがっているヤツが居たとしたら、“なめんなよ! やってやんぜ!! 楽しみにしていろ!!!”と伝えたいですね。俺らの全てをそこに注ぎ、必ずやパンパンにしてやりますから。
SHUN:今回のツアーで、どんな光景が見れたり、待っているのか? 自分たちでも非常に楽しみにしているところがあって。だけど、その光景には絶対に自分たちが一本一本真摯に向き合い、成功させないと出会えない覚悟はできているので、その景色を是非多くの方々と共有したいですね。疲弊しきっても各会場ガッツリやってやります!
KO-TA:今回のツアーで、ようやく行ける土地も沢山あって。そこの方々に向けても、“お待たせしました!”って意識も強くあります。長いツアーで大変なのは覚悟の上、行ったことのない土地で、出会ったことのない人と、見たことのない景色を是非一緒に見たいなと。みなさん各地でお会いしましょう!!
取材・文=池田スカオ和宏(LUCK'A) 撮影=樋口隆宏
SWANKY DANK 撮影=樋口隆宏
SWANKY DANK『it is WHAT it is』
GMRF-1008 ¥1,728(税込)
<収録曲>
01 MADE A MESS
02 BELIEVE IN MYSELF
03 TIME
04 WIMP
05 BAD GIRL
06 IN THE END
9月1日(木)千葉 / 千葉LOOK(w/AIR SWELL)
9月3日(土)神奈川 / 横浜FAD(w/NAMBA69)
9月4日(日)栃木 / 宇都宮HELLO DOLLY(w/NAMBA69)
9月10日(土)長野 / 松本ALECX
9月11日(日)新潟 / CLUB RIVERST
9月16日(金)福島 / 郡山#9(w/POT)
9月17日(土)宮城 / 仙台enn 2nd(w/POT)
9月21日(水)青森 / 八戸ROXX(w/MOTHBALL)
9月22日(木・祝)秋田 / LIVE SPOT 2000(w/MOTHBALL)
9月24日(土)山形 / 昭和セッション
9月25日(日)岩手 / 盛岡Change
10月8日(土)福井 / 福井CHOP(w/GOOD4NOTHING)
10月10日(月・祝)富山 / 富山SOUL POWER(w/GOOD4NOTHING)
10月15日(土)群馬 / 前橋DYVER
10月16日(日)埼玉 / 北浦和KYARA(w/THE CHERRY COKES)
10月21日(金)茨城 / 水戸ライトハウス
10月23日(日)北海道 / 札幌BESSIE HALL
10月25日(火)北海道 / 旭川CASINO DRIVE
10月26日(水)北海道 / 北見ONION HOLL
10月28日(金)北海道 / 帯広STUDIO REST
10月29日(土)北海道 / 苫小牧ELLCUBE
10月30日(日)北海道 / 函館CLIUB COCOA
11月11日(金)石川 / 金沢vanvan V4
11月12日(土)京都 / KYOTO MUSE
11月13日(日)兵庫 / 神戸太陽と虎
11月15日(火)鳥取 / 米子laughs
11月16日(水)島根 / 出雲APOLLO
11月18日(金)広島 / CAVE-BE(w/SUNSET BUS)
11月19日(土)山口 / 周南rise(w/SUNSET BUS)
11月20日(日)長崎 / Studio Do!
11月22日(火)佐賀 / GEILS
11月23日(水)大分 / SPOT
11月25日(金)宮崎 / SR-BOX(w/KNOCK OUT MONKEY)
11月26日(土)鹿児島 / SR-HALL(w/KNOCK OUT MONKEY)
11月27日(日)熊本 / Django(w/KNOCK OUT MONKEY)
11月29日(火)福岡 / Queblick
12月1日(木)香川 / 高松TOONICE
12月3日(土)徳島 / Crowbar(w/Hello Sleepwalkers)
12月4日(日)愛媛 / 松山サロンキティ(w/Hello Sleepwalkers)
12月5日(月)高知 / X-pt.(w/Hello Sleepwalkers)
12月7日(水)岡山 / Crazy MAMA 2nd ROOM
12月9日(金)三重 / 鈴鹿ANSWER(w/Crystal Lake)
12月10日(土)岐阜 / 柳ヶ瀬anst(w/Crystal Lake)
12月11日(日)静岡 / UMBER(w/Crystal Lake)
12月16日(金)和歌山 / GATE
12月17日(土)奈良 / NEVERLAND
12月18日(日)滋賀 / 守山BLUE