映画とミュージカル、2つを結ぶ珠玉の音楽によるスペシャル・コンサート『シネマ・ミュージカル・コンサート』上演中!
映画とミュージカル、2つを結ぶ珠玉の音楽による『シネマ・ミュージカル・コンサート』が上演中だ。(11日まで)
このコンサートは東急シアターオーブが手がける「ワールド・ミュージカル・コンサート・シリーズ」の第3弾。東急シアターオーブという劇場空間を最大限に生かし、開催ごとに異なったテーマを掲げる「ワールド・ミュージカル・コンサート・シリーズ」だが、今回、シリーズ史上最高キャストが集結した!
『メリー・ポピンズ』 の舞台版メリー・ポピンズ役オリジナル・キャストのローラ・ミシェル・ケリー。『アナと雪の女王』 のオランダ版エルサ役やミュージカル『ウィキッド』エルファバ役のウィレマイン・フェルカイック。『ノートルダム・ド・パリ』 のカジモド役として日本でもおなじみのマット・ローラン。4か国で『レ・ミゼラブル』 の主役ジャン・バルジャンを演じたロベール・マリアン。そして『ジーザス・クライスト=スーパースター』 のユダ役でトニー賞にもノミネートされたジョシュ・ヤング。さらにゲストにはマテ・カマラスも参加しているという豪華な顔ぶれだ。
曲目は『シカゴ』『マンマ・ミーア!』『ジャージー・ボーイズ』などの比較的新しいミュージカル作品の楽曲が並んでいる。そのコンサートのレポートが届いた。
【コンサートレポート】
オーバーチュアの「ザッツ・エンターテインメント」が流れる中、ダンサーが姿を現し、なんともチャーミングな動きで観る者をショーへと誘う。するとウィレマイン・フェルカイクが登場し、「オール・ザット・ジャズ」を歌い出す。大柄でクールな彼女の歌は、迫力たっぷり。格好いい!と見とれていると、ジョシュ・ヤングが出てきて、「君の瞳に恋してる」をウィレマインに向かって、声量たっぷりに歌う。キャストによって歌がつながれていく様子は、まるで流れのあるドラマを見るようでワクワク。ローラから、ロベール・マリアンにつながれ、マット・ローランの「エヴリバディ・セイ・イエー」で初め5人揃い、声を合わせて盛り上がった。
1幕はこのままMCなしに、ひたすら歌が続く。それが自然で心地よく、最上級の歌声に集中して浸れるのがなんとも幸せだ。曲も「エビータ」「サンセット大通り」「ジキル&ハイド」など、名曲がずらり。このキャストがこの歌を!という新鮮な驚きも多数。ステージの上部には、巨大でモダンな照明が吊られ、それが上下するなど形を変えて、様々なシーンを生み出す。途中、「リベルタンゴ」に乗せたアクロバティックのペアダンスに息を飲み、1幕最後、コーラスラインの「愛した日々に悔いはない」では、5人の美しいハーモニーにうっとりしてしまう。
2幕はいわゆるコンサート形式で、マット・ローランをMC役に愉快なトークあり、ディズニーソングあり、キャストたちの代表曲あり。
ローラは愛らしく叙情的、まるで夢の世界から現れたかのような天使の歌声!「メリー・ポピンズ」も「ファインディング・ネバーランド」も、さすがオリジナルキャストの貫禄だ。ウィレマインは、格好良く堂々とした歌姫でピンと張った高音は飛翔感たっぷり。これぞエルファバ、エリザベート、エルサだわ!と、納得。マテ・カマラスとの「私が踊る時」は緊迫感がものすごい。マットは魅惑のハスキーヴォイスで、場の空気を一変させる。ウィレマインとの「フォーリング・スローリー」は弾き語りも素敵。世界の各都市でジャン・バルジャンを務めたロベールは、スケールが大きくセクシーなのも魅力。フロロの特別バージョンでは中毒性のある美声を堪能。ジョシュは、まるで世界を包み込むようなテノール。緩急、抑揚が上手く、「カフェ・ソング」では見事に歌で情景を伝えてくれた。ブロードウェイで注目されている理由がよくわかる。
2幕ラストは「ノー・デイ・バット・トゥデイ」で、再び5人が共に希望を歌う。そのハーモニーと疾走感が素晴らしくて、この東京でこの5人が同じステージに立ってくれたことに感謝したほどだ。「熱」と「本気」に満ちた2時間を堪能した。(演劇ライター 三浦真紀)
〈公演情報〉
http://theatre-orb.com/closeup/2016/07/20160701.html
【Photo:Atsutoshi Shimosaka】