花澤香菜オンリークラブイベント『KANAight2 ~Powered by Re:animation~』開催 全てを繋いでいく花澤香菜という“ハブ”について
声優・アーティストとして活躍する花澤香菜。『物語シリーズ』の千石撫子役や『ニセコイ』の小野寺小咲、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』黒猫など、数々の人気作品にメインキャストとして出演する花澤の“キャラクターソング”を集めたコンセプトCD『KANAight ~花澤香菜キャラソン ハイパークロニクルミックス~』の発売を記念し、2回目の開催となるクラブイベント『KANAight2 ~Powered by Re:animation~』が9月19日、SPACE ODDで開催された。
オープニングDJのたんく
今回は超都市型レイブイベント「Re:animation(以下:リアニ)」を協力に迎え、リアニからたんく、asanoappy、909stateが参加。本アルバムのプロデューサーをつとめたミト(クラムボン)と牛尾憲輔からなるDJユニット・2 ANIMEny DJsも出演。トークパートではSPICEはアニメ・ゲーム編集長として私、加東とミト氏でアルバム、そして花澤香菜という存在についてトークショーを行わせてもらった。
会場ではスタンディーがお出迎え
雨の中開場から多数の観客が来場。場内を彩る等身大パネル、ドリンクを注文すると貰える特製コースターなど、フロアは花澤香菜一色、DJ陣も全曲花澤香菜オンリーとなった。オープニングDJのたんくは花澤のシングル・アルバム収録曲を使用したプレイを、続くasanoappyは同じくオリジナル曲を使用しながらビートが強調された楽曲をチョイスした踊れるDJを披露。909stateはアルバムのDisc1に収録された楽曲のマルチトラックを使用したリアルタイムリミックスライブ、2 ANIMEny DJsはDisc2収録楽曲を中心としたキャラクターソングとそれぞれのカラーを出しながらのプレイを展開。最初はクラブの雰囲気に慣れていなかった観客たちも自然と盛り上がりを見せていく。
観客を一気にひきつけたasanoappy
何と言ってもこの会場には“全員花澤香菜が好き”という共通項があるのだ、一つキッカケがあればそれだけで気持ちを共にすることができる。
ミト氏とのトークで印象的だったのは「アニソンはとてもハイブリットで、下手な音楽聞くならアニソン聞いていたほうがいい」というものだった。
言葉だけ捉えると非常に過激な発言のように思えるかもしれないが、たしかに3ヶ月毎に数十本の新作アニメが放送される現状では、その数と同じ、いや、エンディング主題歌やキャラソンを入れると倍以上の曲数のアニソンが生まれ続けているのだ。3ヶ月毎に100曲以上の新曲が生まれているというのは改めて考えるとすごい状況なのかもしれない。
SPICEアニゲ編集長加東とミトの対談
その中ではロックもあり、EDMも、ハウスもバラードもあり多種多様に飛んでいる、そしてその一つ一つのクオリティは年々上がり続けている。もはや「たかがアニソン」と言える時代は等に終わっている。それは間違いない事実だと思う。
花澤香菜という存在は特筆すべき存在だと思う。ある意味の神秘性を持つ彼女は、仕事に対しての真摯な態度や演技の幅など、声優としての話題も事欠かないが、何よりも彼女の声の力は有名だ。癒やしのボイスとも言われる彼女の声から生まれる歌はたおやかで、たしかに思わずリラックスしてしまう響きがある。
しかしこの日ミト氏と話させてもらったのは、彼女の“ハブ”としての素晴らしさだ。『KANAight ~花澤香菜キャラソン ハイパークロニクルミックス~』では2 ANIMEny DJsが30曲以上のキャラソンを繋いでいるのだが、2 ANIMEny DJsはアニメが好きすぎて「ピッチを変えない、曲や声を変更してまでつなぎを行わず、原曲の良さをそのまま伝える」というある意味DJとしてやるべきことを放棄して、それでもフロアでアニソンの熱を伝えるというとても難しいことを実証しているユニットだ。
そんな彼らの作り上げたミックスを聞いていて驚いたのは、一曲一曲が単体として置かれているピースのはずなのに、何の違和感もなくミックスされているように聞こえることだったのだ。この事をミト氏に伝えた所、返ってきた答えが「花澤香菜のハブとしての素晴らしさ」というものだった、僕は大いにこれに納得してしまった。
マルチトラックライブを披露した909stateはディープな展開で魅了
花澤香菜が歌っているから、もっと言えば「花澤香菜に歌わせたいから」作られた曲は彼女の天性の声を通してひとつになる。それはアニメ作品にしてもそうで、彼女が声を当てるキャラクターはそこに存在するかのようなリアリティを持って僕らの見つめる画面に現れる。ミト氏はさらに「花澤香菜は音源、最高のアナログオシレーター」という名言も残した事を記しておこう。確かにそうだ、決して圧倒的声量とは思えない花澤の声はどんなシチュエーションでも確実に僕達の耳に届いてくる。
2 ANIMEny DJs
この日公式イベントながら花澤本人の出演はなかった、しかしそこにあった熱量と興奮はまるで花澤がそこに居るかのようだった。観客は初めて訪れたクラブという異空間にいつしか馴染み、そこで知り合ったものたちで記念撮影をする姿も見られた。ああ、ここでも花澤香菜は大きな“ハブ”になっている。彼女は事象をつなげ、伝えていく巫女のようなものなのかもしれない。
この日生まれたグルーヴという波がつながり、伝わっていけばいつか来るであろう次の『KANAight』にはまた奇跡が起こるのかもしれない。そう思わせるに充分な濃厚な時間だった。共に興奮を味わった同士達との早い再開を願いたいと、心から思う。
来るべき次回に向けて
レポート・文 加東岳史