限りない群馬に愛を! G-FREAK FACTORY、2年越しの情熱が結実した万感の大トリ
-
ポスト -
シェア - 送る
G-FREAK FACTORY
山人音楽祭2016 【赤城ステージ】 G-FREAK FACTORY
19:40、赤城ステージ。『山人音楽祭2016』の大トリを飾るのはもちろん、このフェスを主催するG-FREAK FACTORYだ。
SE無しで登場した原田季征(G)、吉橋”yossy”伸之(B)、家坂清太郎(Dr)が歪みの効いたサイケデリックなジャムセッションを展開する中、目深にタオルを被った男=茂木洋晃(Vo)が歩み出て、この日出演した21バンド、8人のMC、オープニングアクトの存在に言及。「全部のバトンを持って、北関東のオールドルーキー、ローカルヤンキー・G-FACTORYはじめます!」「やれますか山人音楽祭!」と気炎を上げ、ライブをスタートさせた。
「Unscramble」では、緩急自在な演奏陣のアンサンブルに乗せて、ステージ上を闊歩し、ラップし、声を張り上げた茂木が、自身に送られる大歓声に微笑みながら「『GUNMA ROCK FESTIVAL』が帰ってきたぞ!」と一言告げた。2015年の開催見送りを経て、座組も名称も新たに生まれ変わった今年、なんと1万2000人を集めるに至ったこのフェス。「やっと来たな、この日が。1年休んだぶん溜め込んできたんだろうな!?」という一言は、オーディエンスだけでなく自分たちに向けた言葉でもあったはずだ。
イントロの時点で歓声が沸き、クリーントーンのギターフレーズに乗って軽快に転がりだしたのは「日はまだ高く」だ。ついで「SOUL CONNECTION」と、中盤にはレゲエのエッセンスが濃いめで、コール&レスポンスしたり、揺れたり跳ねたりと身体に楽しい楽曲が並んだ。
MCでは改めてこのフェスへの想いが口をつく。去年開催できなかったことで悔しい思いをしたこと。2月から取り組み続け、手垢のついたこのフェスへの誇り、さらには地元・群馬に向けられた「本当に田舎でまわりに誇れるものは無くても、自分はこの街を応援している」という激励。また、こんなに大勢のファンがトリまで残ってくれたことへの感謝、そして”聖地”と表現するグリーンドームで再び開催できたことへの感慨……堰を切ったようにあふれる言葉。モニターに映されたフロアでは、観客が何人も泣いていた。想いは、届いている。
かなり涙腺にくる光景を経て、後半戦へ。ゆったりとした3拍子の調べとオレンジの光に包まれ、茂木がどこか朴訥で優しい深みを湛えた声で、語るように、叫ぶように歌い上げた新曲「ダディ・ダーリン」、フロアに突入してオーディエンスに支えられながら「オーオー」のフレーズを大合唱した「Too oLD To KNoW」、オフマイクで<いつかまた会えるその日まで>と歌われた「EVEN」。何にも代えがたい瞬間が、ひとつひとつ積み重ねられていった。
アンコールでは、まずHEY-SMITHのホーン隊を招いて「MONKEY GOVERNMENT feat. HEY-SMITH(Horns)」を披露したあと、ラストにもう一度「日はまだ高く」が奏でられる。響き渡る大合唱とクラップの嵐につられるようにして、ステージ袖からは次々に共演バンド達が乱入。SA、NAMBA69、モンパチ、ヤバT……ここまで確認した時点で把握を諦めたくらい、大勢の仲間達に囲まれて、群馬が誇る、群馬を誇る一大フェスはその幕を閉じた。
役目を終え、撤収が始まった会場。レポを書く筆者の耳には、このフェスの魂そのものともいえるフレーズが、いつまでも心地よく残っていた。
情けない故郷に愛を 限りない故郷に愛を。
取材・文=風間大洋 撮影=HayachiN