特集上映『松本雄吉追悼特集』、東京でも開催決定

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2016.11.1

今年(2016年)6月18日に他界した「維新派」主宰の松本雄吉を偲ぶ特集上映『松本雄吉追悼特集』が、11月5日(土)から大阪・シネ・ヌーヴォ、シネ・ヌーヴォで開催されることは既にお伝えしたが、同イベントが東京でも開催されることが決定した。会場は渋谷のポスターハリスギャラリー。ドキュメンタリーや公演記録映像など19作品を11月25日(金)~12月4日(日)の10日間にわたり上映する。また、会場内には貴重な維新派のポスターも展示予定という。

なお、ポスターハリスギャラリーは現在入っているビルディングが老朽化のため近日中に移転する予定であり、現ポスターハリスギャラリーにおけるイベントはこれが最後となる。


【上映ラインナップ】

『特別編集版~松本雄吉さんと歩く』
2016年/スタジオデルタ/48分/デジタル
製作・監督・撮影・編集:高岡茂/出演:松本雄吉、維新派
1987年から維新派の製作を担当してきた高岡が、これまで撮りためてきた記録映像から、役者として演技する松本の姿や、海外公演でオーストラリア、アイルランド、ブラジルを、また取材のために台湾やしまなみ海道を旅する松本を編集。東京初上映。

『足乃裏から冥王まで』
1979年/竹馬企画、フィルムジャック/70分/16mm→デジタル
監督:井筒和生(和幸)/製作:森重晃/助監督:西村隆、浜田昌憲/撮影:牧逸郎、福島洋/音楽:福島洋/企画:劇団日本維新派/出演:劇団日本維新派
劇団日本維新派(当時)の1979年冬公演「足乃裏から冥王まで」(天王寺野外音楽堂)を井筒和生が監督した記録映画。大阪ミナミの夜やストリップ小屋の風景、鳴海清の手配写真、映画『仁義なき戦い』の引用などを交え、単なる公演の記録という枠を超え、井筒自身の青春の叫びを封じ込めたかのようなフィルム。牧逸郎の撮影も素晴らしく、二人は2年後『ガキ帝国』(1981)でコンビを組んだ。

『阿呆船 さかしまの巡礼』
1984年/康浩郎作品/55分/16mm/配給:アジア映画社
監督:康浩郎/助監督:稲見俊雄/撮影:福島洋/音楽:杉本裕一/台詞監修:松本雄吉/出演:維新派
維新派が83年に行った公演『つばき式・月光のシャドウボール』の模様を、独特の映像イメージでまとめた異色ドキュメンタリー。監督の康浩郎は『1968大阪の夏 反戦の貌』(1968)、『むちうたれる者 ドキュメント輪禍』(1969)などを手がけた映像作家で、維新派の演劇に衝撃を受けた彼が、ミッシェル・フーコーの『狂気の歴史』の一節から「狂人の船=阿呆船」というモチーフを得て舞台の模様を再構築している。

『京都鬼市場・千年シアター』
1987年/小川プロダクション/18分/16mm→デジタル
監督:小川紳介/撮影:牧逸郎/助監督:笹岡保/進行:安井喜雄 「千年シアター」棟梁:松本雄吉/設計:稲村純/製作:景山理、飯塚俊男、伏屋博雄/現場進行:高岡茂
1987年夏、大駱駝艦の興行を共に行なおうとの呼び掛けで、京都五条千本の空地に出現した「鬼市場」。小川プロの『1000年刻みの日時計』を上映する専用映画館を作ることになったが、松本雄吉が棟梁を引き受け、1カ月を掛け「千年シアター」を建設。上映が始まり、小川紳介は劇場の記録を思い立ち、関西のスタッフと共に維新派の面々や劇場に命を吹き込んだ若者たちを描いた。

『蜃気楼劇場』
1992年/スタンス・カンパニー/111分/16mm(11/11はデジタルで上映)
監督:杉本信昭/製作:坂口一直/撮影:清水良雄/音楽:高橋鮎生、内藤和久、木村充揮(憂歌団)/編集:村本勝/出演:維新派
巨大な野外劇場を自ら建設し、公演活動を行なってきた維新派。1991年、「ヂャンヂャン☆オペラ」の第一作目にして、東京での初の本格的な野外公演である『少年街』のために、汐留の国鉄跡地に敷地約2000平方メートル、高さ25メートルの巨大な野外劇場を建設していった姿をドキュメント。8月の草むしりに始まり、徐々に劇場が現れ、完成し公演。そして公演終了後、解体され跡形もなくなるまでを描く。まさに蜃気楼劇場だ!

『高丘親王航海記』
1992年/少年王者館/150分/デジタル
脚色・演出:天野天街/原作:澁澤龍彦/劇場建築:永澤コオジ、維新派/舞台美術:田岡一遠/出演:松本雄吉、少年王者館、維新派
1992年、名古屋「七ツ寺共同スタジオ」創立20周年を記念し、少年王者館とてんぷくプロ、維新派が名古屋・白川公園の野外劇場で共同公演を行なった。維新派は劇場建築のほか、松本雄吉が高丘親王を演じた貴重な記録映像。澁澤龍彦の遺作となった幻想文学を、天野天街が演出した。


『十五少年探偵団 ドガジャガドンドン』
1987年/維新派/90分/デジタル
作・演出・出演:松本雄吉/ボーカル:トシ・新町/ゲスト:ちんどん通信
<僕ラハ、広イ宇宙ノ一ヵ所二、イル>少年たちが路地を歩行、探検、疾走する。この作品の後、日本維新派から維新派に改名し、ジャンジャン・オペラの作風に移行していく。
◎1987年大阪城公園ジャングルジム・シアター

『虹市』
1992年/維新派/90分/デジタル
作・演出:松本雄吉/美術:林田裕至/音楽:内橋和久/出演:維新派
大阪を皮切りに、全国各地を巡演。プラスチックやメタルで出来た植物林、虫たち。無人の廃墟の街で金属サーカスをする機械たち。虹のイメージから、一瞬や永遠だけを抽出したイメージの連鎖。
◎1992年大阪・南港フェリーターミナル前 野外特設劇場

『青空』
1994年/維新派/120分/デジタル
演出:松本雄吉/脚本:大島真寿美、大田和司、松本雄吉/音楽:内橋和久/美術:林田裕至、吉田悦子/出演:維新派
都会の廃校体育館を劇場に改造した公演。大戦直後の都市浮浪児たちが繰り広げる冒険活劇。屋内に「青空」をつくりこんだ。回転舞台の焼跡オオサカがやがて高層ビルの未来都市に。
◎1994年大阪・旧梅田東小学校体育館

『水街』
2000年/維新派/116分/デジタル
作・演出:松本雄吉/美術:林田裕至/音楽:内橋和久/出演:維新派
野外劇場に巨大なプールを建設し、明治・大正の産業革命期の煙の都、オオサカを舞台に、水際で暮らす漂流民の生活を描く。水上に建つバラックの家、主人公タケルが暮らす舟の家など、実際に水を使用することでリアリティあふれる舞台となった。維新派、初の海外公演、オーストラリア・アデレードフェスティバル参加作品。
◎2000年アデレードフェスティバル野外特設劇場

『ナツノトビラ』
2006年/維新派/115分/デジタル
脚本・演出:松本雄吉/音楽:内橋和久/美術:黒田武志/出演:維新派
維新派初の海外初演作品となった作品。2005年10月、メキシコの世界遺産の街・グアナファトで行われた中南米最大のフェスティバル、セルバンティーノフェスティバルにおいて初演され、その後、ブラジル・サントスのセスキ劇場へ巡演し、好評を博す。その翌年、梅田芸術劇場にて本格的な劇場公演を行った。この大阪公演ではセット、脚本ともに大幅に改訂され、テーマとした「光と影」のより緻密な作品世界を表現した。
◎2006年大阪・梅田芸術劇場

『nostalgia~《彼》と旅をする20世紀三部作 #1』
2006年/維新派/118分/デジタル
脚本・演出:松本雄吉/音楽:内橋和久/美術:黒田武志/映像製作:高岡茂/出演:維新派
<彼>と旅をする20世紀三部作の第一部作品として、大阪、埼玉、京都を巡演。 政治、経済、社会、科学…あらゆる分野で劇的なまでの変化をみせ、人類が肥大化したとも捉えられる20世紀の歴史、地理を象徴するものとして、4mの巨人を登場させた。「ナツノトビラ」南米ツアーより着想を得た本作品は、南米を舞台に激動の20世紀を見事に描き、「芸術性と娯楽性を兼ね備えた」として、各都市で高い評価を得た。
2007年大阪・ウルトラマーケット

『呼吸機械 ~《彼》と旅をする20世紀三部作 #2』
2008年/維新派/117分/デジタル
脚本・演出:松本雄吉/音楽:内橋和久/舞台監督:大田和司/美術:柴田隆弘/出演:維新派
伊吹山を背にして、客席から舞台奥の湖に向かって傾斜していく<びわ湖水上舞台>。照明効果による湖面の美しさ、広大さの演出、ラストシーンでは舞台一面に水を流し、総勢50人の役者による水しぶきを上げながらの演技など、水上舞台の特性を十二分に活かした。
◎2008年滋賀・さいかち浜野外特設劇場<びわ湖水上舞台>

『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき~《彼》と旅をする20世紀三部作 #3』
2010年/維新派/119分/デジタル
脚本・演出:松本雄吉/音楽:内橋和久/舞台監督:大田和司/舞台美術:黒田武志/出演:維新派
〈彼〉と旅をする20世紀三部作の最終章となったアジア篇は、維新派史上最大の野外劇場にて上演。劇場や舞台セットだけではなく、客席へとつながるゆるやかな長い坂道のアプローチも作ることで、全長100m以上、丸太4000本を使った、造形的な野外劇場が、瀬戸内海の犬島に出現した。『カンカラ』以来8年ぶりとなる犬島での公演は、島から島へ、島づたいに続いていく海の道を経て、アジアの多島海へ連なるイメージを作り上げた。
◎2010年犬島アートプロジェクト「精錬所」内・野外特設劇場

『夕顔のはなしろきゆふぐれ』
2012年/維新派/120分/デジタル
構成・演出:松本雄吉/音楽:内橋和久/舞台監督:大田和司/出演:維新派
マネっこ、かけっこ、キャッチボール、人さらいゲームに影絵遊び。奥行き30mの舞台にたちあがる街の記憶や風景の中を、役者はあっちへこっちへ駆けめぐる。緻密な照明と白一色の遠近法の舞台で、遊び=play を通して、さまざまな“まち”の姿を浮かびあがらせた、都市論をテーマにした作品。
◎2012年デザイン・クリエイティブセンター神戸(旧神戸生糸検査所)

『MAREBITO』
2013年/維新派/124分/デジタル
構成:松本雄吉/音楽:内橋和久/舞台監督:大田和司/舞台美術:花谷秀文/出演:維新派、hyslom(ヒスロム)
本作で4度目となる犬島での公演。今回の会場は、背景に豊島や小豆島、屋島、果ては高松まで、瀬戸内海を望む浜辺で行いました。その瀬戸内海の島の一つである犬島を起点に、民俗学や生物学、考古学などをモチーフに、瀬戸内の島々、そこから連なる多島海の歴史を描いています。砂浜の突堤を活かし、全長20mを超す巨大な美術、航行する船や遠くの島の灯りなど、劇場での観劇とは全く異なる体験する演劇です。また、ゲストにhyslom(ヒスロム)を迎え、山が都市に移り変わる風景の中で活動する、彼らの作品作りの手法も大いに作品に反映されました。
◎2013年岡山・犬島海水浴場

『透視図』
2014年/維新派/118分/デジタル
構成・演出:松本雄吉/音楽:内橋和久/舞台監督:大田和司/出演:維新派
旅をするように世界各地で野外公演を行ってきた維新派。10年ぶりとなった大阪野外公演は周囲に川が流れ、舞台の奥には大阪の高層ビル群を臨むことができる場所で開催された。ステージには一辺約5mの正方形の「島」が四列×四列の等間隔に並び、役者は「島」から「島」へ飛び移ったり、「島」の間を走り抜けたりと舞台を所狭しと駆け回る。登場人物が実在の地名や都市名とともに、個人史や自己のルーツを語ることで、それぞれが“都市”に向けたまなざしが舞台上に表れる。過去から現在へと流れる人々の記憶を重層的に浮かび上がらせ、都市論へと昇華させた作品。
◎2014年大阪・中之島GATEサウスピア

『トワイライト』
2015年/維新派/122分/デジタル
構成・演出:松本雄吉/音楽・演奏:内橋和久/舞台監督:大田和司/美術:田中春男/出演:維新派
奈良県曽爾村は、奈良と三重の県境に位置する自然豊かな村で、約3,500㎡のグラウンドに現れた劇場。刻一刻と移りゆく空の色と、山々を背景にした舞台、そこで演じる40名以上の出演者が見せる演技は、どの瞬間も同じ表情を見せない“一回性の演劇”を体現した作品です。本編では、村の歴史や、口承による300年の伝統を持つ舞いを作品に取り入れ、この曽爾村で上演することが重要な作品となりました。村の内外から集めた1000足の靴が、時間の流れを暗示しており、効果的な演出がされていました。
◎2015年奈良県曽爾村健民運動場

『レミングー世界の涯まで連れてって』
2013年/パルコ、ポスターハリス・カンパニー/119分/デジタル
作:寺山修司/演出:松本雄吉/上演台本:松本雄吉、天野天街/音楽・演奏:内橋和久/美術:林田裕至、船木愛子/舞台監督:大田和司/出演:八嶋智人、片桐仁、常盤貴子、松重豊、他
寺山修司の官能的な超現実の言葉と、松本雄吉の壮大な「ヂャンヂャン☆オペラ」との奇蹟の融合。現代人の内面の問題を「壁の消失」に見ながら、シュールに展開していく世紀末的な夢の世界「レミング」。この年の演劇界の話題を独占した作品。
◎2013年東京・渋谷・PARCO劇場

【トークショー開催】

11/25(金)18:00トークゲスト:天野天街(劇作家、演出家)
11/26(土)18:00トークゲスト:杉本信昭(映画監督、蜃気楼劇場監督)
11/29(火)18:00トークゲスト:小堀純(演劇評論家)高岡茂(映画監督、元維新派製作)
11月30日(水)18:00トークゲスト:西堂行人(演劇評論家)
12/ 4(日)18:00トークゲスト:笹目浩之(レミング・プロデューサー)他
※トークは映画上映の後に行ないます。

11月25日(金)13:20~『十五少年探偵団 ドガジャガドンドン』15:40~『呼吸機械』18:00~『高丘親王航海記』+トーク        
11月26日(土)13:20~『青空』15:40~『水街』18:00~『蜃気楼劇場』+トーク 20:50~『虹市』
11月27日(日)13:20~『阿呆船 さかしまの巡礼』15:40~『京都鬼市場・千年シアター』他18:00~『足乃裏から冥王まで』19:30~『MAREBITO』
11月28日(月)13:20~『夕顔のはなしろきゆふぐれ』15:40~『透視図』18:00~『高丘親王航海記』20:50~『十五少年探偵団 ドガジャガドンドン』
11月29日(火)13:20~『ナツノトビラ』15:40~『夕顔のはなしろきゆふぐれ』18:00~『特別編集版~松本雄吉さんと歩く』+トーク 20:10~『青空』
11月30日(水)13:20~『透視図』15:40~『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき』18:00~『呼吸機械』+トーク  21:10~『特別編集版~松本雄吉さんと歩く』
12月1日(木)13:20~『虹市』15:40~『MAREBITO』18:00~『足乃裏から冥王まで』19:30~『トワイライト』
12月2日(金)13:20~『nostalgia』15:40~『トワイライト』18:00~『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき』20:20~『ナツノトビラ』
12月3日(土)13:20~『水街』15:40~『足乃裏から冥王まで』18:00~~『呼吸機械』20:20~『nostalgia』
12月4日(日)13:20~『阿呆船 さかしまの巡礼』14:40~『蜃気楼劇場』17:00~『レミングー世界の涯まで連れてって』+トーク

公演情報
『松本雄吉追悼特集』

■期間:2016年11月25日(金)~12月4日(日)
会場:ポスターハリスギャラリー
主催:ポスターハリス・カンパニー、スタジオデルタ
協力:維新派
申込み受付/11月6日(日)正午開始 受付順 整理番号発行
〈料金〉前売(予約)/一般1,200円、学生・シニア1,000円 一般3回券3,000円 当日学生・シニア3回券2,700円
当日/一般1,500円、学生・シニア1,200円 一般3回券3,900円 当日学生・シニア3回券3,300円
※学生・シニアの方は当日要身分証明書
〈WEB予約〉ポスターハリスギャラリー公式サイト 
http://posterharis.com/
〈上映・お申込みに関するお問い合わせ〉
ポスターハリスギャラリー TEL 03-5456-7218
 
松本雄吉プロフィール
松本雄吉/まつもとゆうきち
熊本県天草生まれ。大阪教育大学で美術を専攻。1970年維新派を結成。1991年、東京・汐留コンテナヤードでの巨大野外公演『少年街』より、独自のスタイル「ヂャンヂャン☆オペラ」を確立。野外にこだわり、観客とともに旅をする「漂流」シリーズを企画。 奈良・室生、岡山の離島・犬島などで公演を行う。代表作に、離島の銅精錬所跡地内に劇場を建てた『カンカラ』、 びわ湖上に作った<びわ湖水上舞台>が大きな話題となった『呼吸機械』、野球グラウンドで上演した『トワイライト』など。2000年に初の海外公演をオーストラリア・アデレードフェスティバルで上演する。以降も、ヨーロッパや南米でのツアーに加え、 2009年オセアニアツアー、2011年シンガポールなど海外からの招聘も多数。2013年と2015年には寺山修司の戯曲『レミング』を演出。2016年6月18日死去。享年69。松本の思いを引き継ぎ、維新派最後の松本追悼公演として10月14日から24日、奈良・平城宮跡での『アマハラ』野外公演は、有終の美を飾った。
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