今、ここ、ついにこの時! グッドモーニングアメリカ、万感のステージ
グッドモーニングアメリカ 撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)
八王子天狗祭 【天狗ステージ】 グッドモーニングアメリカ
アリーナもスタンドもオーディエンスでミッシミシに埋まる中、そして開場時からロビーで参加者との記念撮影に応じていた八王子のゆるキャラ「たき坊」が柵前で見守ったりもしている中、いよいよトリ、当フェスの企画者=グッドモーニングアメリカの時間。
……と、スタンド席右端に多摩天狗が登場。たなしん(Ba/Cho)の声で「おまえらの声をきかせてくれー!」とコールを求めながらスタンドを走ったかと思うと、当のたなしんが天狗のお面でステージに現れる。「このイベントに対する気持ちは絶対誰にも負けなーい!」と宣言、恒例の「ファイヤー!」コールから金廣真悟(Vo/Gt)の「八王子、最後までありがとう!」というひとことで、「コピペ」がスタート。
グッドモーニングアメリカ 撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)
フロア、いきなりもうすごい空気感。濃い、とにかく。グドモ、日本武道館ワンマンも経験ずみだし、フェスでこれより多くの人の前に立った経験は何度もあるだろうけど、こんなムードの中で歌い、演奏したことはなかったんじゃないかと思う。4人がすでにこの段階で感極まって泣いちゃっても不思議じゃないくらいの、あっつい多幸感。次の「キャッチアンドリリース」ではイントロからでっかいハンドクラップが巻き起こり、その多幸感がますます濃くなっていく。
グッドモーニングアメリカ 撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)
「ほんとに今日はありがとう! マジで言葉にならないくらいうれしいです! 俺たちグッドモーニングアメリカは八王子で生まれて八王子で育ってきたバンドです。いつか八王子に恩返ししたい、八王子で音楽フェスをやりたいってずっと思ってきました。そしてついにその日がやってきました!」という、渡邉幸一(Gt/Cho)の絶叫のようなMCに、みんな大拍手で応える。
「拝啓、ツラツストラ」に続いては、10月12日にリリースされたばかりのニューシングル「ノーファング」。「未来に期待はしていないが 死ぬのは怖い死ぬのは怖い」「永遠に生きていたくはないが 死ぬのは怖い死ぬのは怖い」という金廣真悟の必殺ラインがエスフォルタアリーナに響きわたる。
グッドモーニングアメリカ 撮影=安藤未優
「なんて言えばいいのかわかんないね。俺、TOTALFATで泣きそうになった」「俺、Haloで泣きそうになった」と、「やっぱり」と言いたくなる会話から、金廣真悟が「八王子、俺らがバンドを組んで青春を送ってきた場所です。もらった恩っていうのはなかなか返せるものじゃないです。でもこの『八王子天狗祭』を続けていくことが、今まで関わった人への恩返しになるんじゃないかと思って、来年もやれたらいいなと思っています」と宣言。八王子に帰るたびにいつも思い浮かぶ、そんな風景と気持ちを歌ったという三拍子のバラード、「いつもの帰り道」を、切々と、そしてすごいテンションで歌いきる。フロア、じっと耳を傾ける。
「空ばかり見ていた」で、本日もっともでかい「♪オウオオー」のシンガロングがホールを包み、本編が終了。4人、長い長い一礼をしてからステージを下りるが、ハンドクラップですぐにステージに引き戻される。
「ひとつだけグッドモーニングアメリカからお知らせさせてください」と、渡邉幸一が、12月14日に4枚目のフルアルバム『鉛空のスターゲイザー』がリリースされることと、1月7日から30本のツアーに出ることを告げる。
グッドモーニングアメリカ 撮影=安藤未優
「終わりたくねえなあ」「それ聞いたことある」「武道館の時にきみが言ったんだよ」と言葉を交わしつつ、このフェスを続けたいこと、みんなの応援が力になることを改めて伝えてから、「そして今宵は語り合おう」へ。ひとことひとこと、一音一音を刻み込むように演奏し、歌う4人。「次で『八王子天狗祭』、最後の曲です」と始まった「未来へのスパイラル」では、歌い出しから「空ばかり見ていた」を上回るシンガロングが会場を包む。本当に感動的な光景だった。
曲を終え、ソデで観ていた(そして曲の後半で何人かステージにはみ出て来ていた)出演者たちとともに、オーディエンスをバックに記念撮影。かけ声はもちろんたなしんの「ファイヤー!」だったが、彼はちょっと言葉を足した。
「バンド続けててよかった! 3、2、1、ファイヤー!」
取材・文=兵庫慎司 撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)、安藤未優
グッドモーニングアメリカ 撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)