近藤良平が語る「コンドルズ」20周年記念公演。最新作はX'mas&謹賀新年直撃の『20th Century Toy』を東京・大阪限定上演!
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『20th Century Toy』を語るコンドルズ主宰、近藤良平(撮影/石橋法子)
今年、20周年記念公演『20th Century Boy』と銘打ち、夏から秋にかけて日本縦断大感謝ツアー中のコンドルズ。言わずと知れた、学ラン姿でダンス、生演奏、人形劇、映像、コントを展開する唯一無二のダンス集団だ。夏のNHKホール公演では、即日完売超満員+追加公演で沸かせた彼らが、休む間もなく今年の踊り納めとして、コンドルズ20周年記念東京・大阪限定公演MerryXmas2016&HappyNewYear2017『20th Century Toy』を上演する。20年間分100作品の中から選りすぐりのハイパーベスト版として上演した夏のツアーでは盛り込みきれなかった”超絶裏ベスト作品”になる模様。大阪公演では史上初のほぼ全メンバー参加の終演後クリスマスパーティー付き回(即日完売!)を設けるなど、お祭りムード満載。鳥取、天草、神戸での仕事を終え大阪入りした主宰・近藤良平をキャッチし、2社合同インタビューで作品への思いを訊いた。
「2016年の踊り納めは大阪で。一緒にX'masパーティーを祝いましょう!」
----まずは、20周年おめでとうございます!
本当に最初はすごく20周年公演が嫌だったんですよ。今年の初めぐらいは、わざと盛り上げるのは嫌だなと思ってたんですけど。逆にお客さんから節目の公演を観たいという声をもらったり、周囲のみんなが祝ってくれたので。20周年をちゃんとやろうと、今年の夏公演を迎えました。20周年公演をやっちゃうと納めちゃった、出しきりました!となりそうだなとも思ったんですが、実際は思ったより止まらない。止められないというか、結果的に良かったと思っています。
近藤良平
----具体的に良かった点とは?
作品作りのためにVHS、Hi8でしか残っていない時代ものから20年分の資料映像を引っ張り出してきたんですが。掘り起こしていくなかで、「こんなのがあったのか!」というのがいっぱい出てきたんですよ。昔のシーンって「奥田さんが走ってピュッ」とか書いてある。一瞬よく分からずに映像で確認すると、そういうことかと分かる。そんな忘れていた選りすぐりの場面をもう一回、今のコンドルズで見せられないか、というのが今回の「裏ベスト」でやりたいことなんですね。現状で裏ベスト5回分ぐらいはネタがあるので、夏ではできなかった新しいことをやります。
----夏の東京公演ではNHKホール2DAYSが即日完売でした。今回の大阪公演はナレッジシアターで規模的には小さくなります。会場の規模は作品作りに影響しますか?
もともとコンドルズは、京都のアートコンプレックス1928を会場に12月公演を13、4年間続けてきました。僕らはそこで、小さい小屋でしかできないノウハウを培いました。そのお陰で、どんな場所でも上演できる今のコンドルズのスタイルが生まれた。海外公演なんか行くと本当に、大ホールから小さいところまで色々なので。ただ今の日本で公演をやろうと思ったら、そこそこ大きいホールでやることを求められるんですよ。それを勝山(コンドルズプロデューサー兼出演者兼ROCKSTAR(有)社長)とも相談して、せっかく大阪でやるなら大ホールとは違う見せ方ができないかと。ナレッジシアターでしかできないものを提供できないかな、というのが僕たちの心づもりですね。
近藤良平
----「過去の作品を今のコンドルズが演じるとこうなります!」というのが本作だと思うのですが、当時を知らない若手メンバーにとっても特別な公演になりそうですね。
コンドルズの初期メンバーは石渕聡、勝山康晴、鎌倉道彦、藤田善宏、小林顕作、そして僕の6人で20年前の10月10日に、神楽坂セッションハウスでコンドルズ第1作「太陽にくちづけ1」をやったのが最初なんですね。こないだ今の若手メンバーの平原慎太郎、スズキ拓朗、田中たつろう、ぎたろー(新人)、安田有吾、香取直登の6人に、「コンドルズ成人式」と銘打ち結成公演をやらせたんですよ。20年前と同じ10月10日に聖地、神楽坂セッションハウスで。100人も入れないような普段はダンススタジオなので、大々的な告知もできなかったんですがすぐに
----ドラマティックな企画ですね。
若手にしてみれば結成当時の作品を踊るという意味もすごく難しくて。真似してもしょうがないわけで、真面目に捉えないと出来ないことだったので。面白いのは公演やったら結構良くて、僕らにしても目の前で20年前の自分の姿みたいなものが踊ってるわけじゃないですか。そしたらメンバーも感動しちゃって。カーテンコールに僕らが出ただけで、若手が号泣するから我々も号泣して、それを見た古いお客さんも号泣しちゃって。それをやったら、やっぱり続けてきたことに意味がある。と、うちらも若手に言えたから。そうすると今後も続けることにすっごい意味がある。若手も繋いでいっている、ちょうどそんなタイミングでもあったから。今回はタイトルだけみると「裏ベスト!」みたいな楽しい感じになっちゃうけど、僕たち的には次の地点へ向かうという意味合いが強い作品ですね。面白いことにコンドルズ成人式と20周年公演をやったことで、メンバーはかなり次へいくモードになっていますね。
近藤良平
----若手メンバーも知らなかった時代を追体験したことで、コンドルズとしての結束力がいっそう強まったようですね。改めて20年を振り返っていかがですか。
一番真面目な部分でいうと、初期メンバーが誰も欠けることなく生き続けてる。結局それが一番大きいと思うんだよね。メンバーチェンジや人間関係の問題も出てくるけど、それを笑い飛ばして、明るく風通しの良い関係を保ってやってきた。今は家族も多いしそれぞれ子供もいるから、かなりのビッグファミリーですよ。50人ぐらいになるんじゃないですか。20年というと、そういうことなんだなと。東京で喫茶店なんかで取材していると売り子がやって来て「私小さいころからコンドルズ見てました」とか言われるんですよ。驚いちゃって、時間の流れを感じますよね(笑)。
----それも、これまでNHK教育テレビ「からだであそぼ」、NHK「サラリーマンNEO」内の「テレビ サラリーマン体操」、連続テレビ小説「てっぱん」のオープニングダンスなど、テレビ番組への出演をきっかけに知名度が一気に上がった印象です。
自分たちの公演以外にも例えば、障害者や公務員、学生向けなど外部のイベントにも呼ばれるようになりました。そのことに最初の10年ぐらいは悩み続けたというか、受け入れ方が分からなかった。これはコンテンポラリーダンス全般がそうなんですけど「ちょっとやってることの意味が分からない」とか言われたり(笑)。僕たちが好き勝手にやりたいことと、相手の意図することとのギャップがあるじゃないですか。そういう戦いがある中で、NHKの番組とかに出ることによって相手が学校関係やその他のひとたちでも、自分たちのやってる内容はほとんど変えずに、相手の土壌に乗せられるようになった。それは結構なことだと思います。ありがたいですよ。普通に商業ベースだけでやっていきたい団体じゃないってこと、そのために海外にも行ってますし。やっとそっちに向かったという自覚もある。理想的ですね。
近藤良平
----そういう意味でも、コンドルズのこれからとは?
そこ難しいですね。以前はダンス人口を増やすとか言ってたけど。今はそんなに誰もがダンスを踊ってくれ、という想いで自分たちが公演を重ねてるとは思わないですね。社会貢献のためにとか、言葉にすると簡単になっちゃいますからね。そういう風に見えちゃう。特に子ども対象の地域イベントなんかだとすぐに、「地域活性化」とかそういう取材のされ方とかされちゃうし。そういう理由を見つけたがる。ほんと嫌なの(笑)。そこの問題のためだけにやってるわけじゃないから。今はどちらかというと、現在進行形でやってることの方が重要で。こんな目的のためにやってますと、まとめない方が良いのかなと。あまりにも色んな分野に関わっているので。コンドルズでやってることのスタイルは変わらないんですけど、振り返ったら「こんなとこまで来てた!」とか。そうでありたいっていう思いもあるんですよね。
近藤良平
----現在進行形の最新作、今回の大阪公演では一部クリスマスパーティー付きの回もあるとか。イベントシーズンならではの演出にも期待が高まります。
パーティー付きの回は1万円の
全身で20周年を表現するコンドルズ主宰、近藤良平
(取材・文・撮影:石橋法子)
2016年12月24日(土)、25日(日)
■会場:ナレッジシアター
2017年1月10日(火)~15日(日)
■会場:シアターイースト