ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会、開幕!

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クラシック
2015.8.20

全国のピアニストが集結!

日本最大規模のピアノコンクールといっても過言ではないピティナ・ピアノコンペティション。下は幼稚園児から上は大学・大学院生やそれ以上のピアノ学習者が参加をする。このコンクールは全11階級からできており、自分の実力と課題曲をみて挑戦できると思った階級に参加できる。また、ソロ部門だけでなくデュオ部門や、音高音大といった専門機関で勉強していないがピアノを続けている人のための部門(グランミューズ部門)もある。

コンクールの特徴はバロック、古典派、ロマン派、近現代と必ず違う時代の曲を演奏しなければならないこと。また、毎年新曲課題曲を募集しコンクールの課題曲として使われる。この制度によって、ピアノ教育に携わる先生や生徒、作曲家との親交を深める役割も果たしている。

今年で39回目を迎えるピティナ・ピアノコンペティション。早い地域では5月中旬から始まった地区予選、さらには地区本選を通過したピアニストたちが集結する全国決勝大会がいよいよ20日から4日間の日程で行われる。

会場は第一生命ホール、王子ホール、よみうり大手町ホール、浜離宮朝日ホール、トッパンホール、そしてヤマハホールと有名なホールばかりであり、ピアニストにとって憧れの舞台と言えるだろう。また、中央区、千代田区、文京区と隣接した3区にホールが集中しているため、コンクールを聴き手として楽しむ人たちは移動がしやすく1日で幅広い年齢のピアニストの演奏を聴くことができる。

さて、ピティナ・ピアノコンペティションの一番の目玉は11階級の中で最高峰に位置する『特級』である。過去の特級のグランプリにはロン=ティボー国際コンクールで優勝した田村響やショパン国際ピアノコンクールで4位に入賞した関本昌平、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにて最年少入賞を果たした阪田知樹など世界で活躍するピアニストが多く受賞している。

そのため小さい頃から毎年のようにピティナを受けるピアノ学習者たちにとって憧れの階級であり、憧れの舞台となっている。特級は年齢制限がなく、一次予選、二次予選を通過した7名が全国決勝大会初日(20日)にセミファイナルとして45分から55分のリサイタルを行い、例年通りであればセミファイナルを通過した4〜5名が最終日(23日)にファイナルとしてコンチェルトの演奏を行うというハードなスケジュールだ。

セミファイナルでは邦人の新曲課題と古典派のソナタを弾く課題があるほかは自由にプログラミングできるため、出場者の得意なレパートリーを多く選曲している。また、それぞれの特徴が生きるプログラムになっていることから1日で様々な演奏スタイルを目の当たりにするだろう。この課題は聴き手にも楽しむ要素がたくさんありそうだ。ファイナルのコンチェルトもいくつか制限があるものの、ラフマニノフの2番やチャイコフスキー、最近のコンクールでは人気の高い傾向にあるプロコフィエフの2番や3番などピアニストのレパートリーとして欠かせないものがほとんど入っている。さらにファイナルは聴衆賞の制度があるため毎年多くのお客さんが会場につめかける。残念ながら今年は前売りの時点でが完売してしまった。しかし、演奏を聴く方法はある。

今年も特級セミファイナル、ファイナルともに演奏の様子をインターネットで生配信を行う。You TubeLive、ニコニコ動画で配信中。インターネットが発達した現代では多くの国際コンクールで本番の演奏を配信している。日本で行われる浜松国際ピアノコンクールや仙台国際音楽コンクールももちろん行っている。こうした世界の動きをきちんとキャッチし、実行していこうという姿勢が多くの国際コンクール入賞者を出すことができている理由かもしれない。

コンクールでは出場者に注目が集まるが、その一方で運営の経験を積むことができる場でもある。ピティナでは2008年から毎年インターンシップとして学生がコンクールの広報や受付、影アナさらには動画の編集など、普段ではなかなか経験することのできない貴重な体験をしているという。

このようにピティナではすばらしい演奏家を見つけるためのコンクールや1年中、全国各地で行われるピティナ・ピアノステップもある。これは人前での演奏の経験を積むことができるもので、コンクールの審査員をされるような先生にアドバイザーとして演奏を聴いてもらえる。しかもその先生方から講評用紙をもらうことができるので、出演者は今後の課題などを客観的に知ることができる。ここで練習をつんで夏のコンクールに臨む参加者も多くいる。さらに、コンクールで良い成績をおさめた入賞者たちにはその後、演奏の機会を多く設けたり、海外の著名な先生がいらっしゃったときに優先的にレッスンをすすめたりと若手演奏家を支援する仕組みも充実している。

こうして多くの面から日本のピアノ業界を支えているピティナ。今年のコンクールでも今後のピアノ界を引っ張っていくスターが出てくるかもしれない。スターの卵たちの演奏をぜひ聴いてもらいたい。

イベント情報
ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会

日時:8月20日(木)〜23日(日)
会場:第一生命ホール、王子ホール、よみうり大手町ホール、浜離宮朝日ホール、トッパンホール、ヤマハホール
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