11/16、下北沢 駅前劇場にて25周年記念公演『四半世紀の大失態』が開幕!げんこつ団・団長 一十口裏インタビュー

2016.11.15
インタビュー
舞台

『四半世紀の大失態』の出演者たち



「馬鹿馬鹿しさの果てを目指して」

女性の出演者たちが次々に老若男女を演じ分け、目まぐるしくシーンが展開する。ブラックでクール、時に熱く、メルヘンチックに。馬鹿馬鹿しさを追求し続ける孤高の劇団げんこつ団。20数年ぶりに男性出演者を迎え、気持ちも新たに取り組む25周年記念公演『四半世紀の大失態』。失態に次ぐ失態の果ての大失態とは。脚本・映像・音響・演出を手がける団長・一十口裏に作品、世界観を聞いた!

とんでもないことの連続です
 
——どんな作品になりそうですか?
 
 過去やってきたネタの総集編でありつつ、新作です。今、見ていただきたい馬鹿馬鹿しいものです。
 
——どんな人物が出てくるのでしょう?
 
 基本的に、普通にそのへんにいるおじさん、おばさん、若い男女です。ただ起きていることが、色々とんでもないですね。
 
——まわりの状況が大変なことに・・・?
 
 はい。その状況を作り出しているのも、その人たちなんですけど。
 
——とんでもないというのは、具体的にどういう状況ですか?
 
 その人たちが当たり前としていることが、他の人にとってとんでもないことというようなこと連続です。
 
——当たり前のことが当たり前じゃない世界ということですね?
 
 その場で常識とされていることが、他の人にとってとんでもないことだったり。その逆もあったり。今回も基本的にはオムニバスのスタイルなんですけど、オムニバスの良さももちろん生かしつつ、興味を持って見てもらえるように、一貫した登場人物たちが出てきます。それもみんな普通の人たちです。普通に見たら普通じゃないよって言われるかもしれないですけど、みんな普通の人です。
 

普通の人しかいないです

——げんこつ団では普通の人たちが大変な目に遭う作品が多いですが、そんな普通の人生に対する愛を感じるのですが、いかがですか。
 
 そうですね。嫌いじゃないですね。普通の人しかいないですよね。自分も含めて。
 
——通常、物語の登場人物だとヒーローというか、ものすごく強い人とかやさしい人とか、突出した能力や特徴のある人が多いですが、げんこつ団ではそうでない人が多いですよね?
 
 わたしは、どんなにすごい人もすごいのは一面だけで、実際は違うと思っちゃうんです。反対にダメな人はとことんダメだろうだけど、ダメばかりじゃないかなと。何か普通のことですけど。
 
——普通の幅が広いんですね?
 
 広いかも知れないです。うちの作品ではへんなことが起きますが、100人が100人「変なことが起きたぞー」と思うことは、なかなか起きないんですよ。「大変じゃないな」と思っている人が何人かいたり、そっちが大多数だったりするんです。そのへんが、なかなか話の内容をうまく説明できないところなんです。
 
——それがあるから、いろんな情報や価値観を得られるのかも知れないです。「えー!」っていう驚きや戸惑いが何重にも重なっているんですね。
 
 その「えー!」の連続がおもしろくなるか、考えさせる方になるか、いろんな流れがあると思うんですけど、馬鹿馬鹿しいものをやりたいので。単純に言えば、くだらないものを目指しています。
 

普通の人たちって、あの・・・
 
——今回特に見てもらいたいポイントなどはありますか?
 
 できる限り他で見られないことをやりたいと思ってやってきているので、その集大成として、ぜひ一度、劇場で多くの方に見ていただきたいと思ってます。
 
——いろんな役を演じ分ける役者さんたちも素敵ですよね。
 
 役者に演じてもらうのは、普通のおじさんや、おばさん、老若男女なんですけど、どんなにちょっとしか出てこない役でも適当にやりたくないと思うんです。ちゃんと生活をしていて、どんな人なのかというのをいちいち考えるんです。なんか普通の人たちって、あの・・・あれですよね、濃いいですよね。薄い人はいないと思うんで。薄いっていう特徴でもそれはそれで濃いと思うので。
 
——それを何役も考えるのも大変だと思うのですが、実際にやられる役者も大変ですね?
 
 いろんなタイプの人間を演じる引き出しをたくさん作ってもらっています。
 


 
【プロフィール】

一十口裏
いとぐちうら○「げんこつ団」団長。げんこつ団においては、脚本、演出のみならず、映像、音響、チラシデザインも担当。意外性に満ちた脚本と痛烈な風刺、容赦ない馬鹿馬鹿しさが特徴。また活動開始当初より映像をふんだんに盛り込んだ作品を作っており、現在は映像作家としても活動中。

〈公演情報〉

げんこつ団 25周年記念公演 
『四半世紀の大失態』
脚本・映像・音響◇一十口裏
演出◇一十口裏・植木早苗
振付◇植木早苗
出演◇植木早苗 春原久子 大場靖子 河野美菜 池田玲子(10・Quatre) 望月文 川端さくら(乙女装置) 久保田琴乃 三明真実(アリエス) 工藤史子(ロリータ男爵) 遠藤弘章(東京タンバリン) 中山裕康
11/16~20◎下北沢 駅前劇場
〈料金〉前売¥3,500 当日¥3,800 他
〈お問い合わせ〉03-6913-8012

【文/矢崎亜希子】

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