なぜYouTuberに?「トミック」と「はじめしゃちょー」に聞いてみた
皆さんは、YouTuber(ユーチューバー)に一斉に会えるイベント「U-FES.」をご存じだろうか? 昨年(2015年)、東京・豊洲で開催され、2000人を超えるファンが集結。今年は全国6都市に開催規模を拡大し、8月の大阪会場では3500人のファンが盛り上がりを見せた。今回、特別企画として、「トミック×はじめしゃちょー」の特別対談をお届けする。
――どうしてYouTuber(ユーチューバー)になったのですか?
トミック「僕の場合、2011年から動画を上げていました。その頃は、もちろんYouTuberなんて言葉もなくて、好きなことで生きていくとか、一山当てて『はっはっは!』みたいなこともなくて(笑)。ビデオブログのようなものですよね。そういうのを見ていて、ちょっと変わったことをやってみようかなと思ったのがきっかけです。映像だと残るじゃないですか。最初は日記みたいな感じで、始めたんです。その頃は手品もやっていたので、手品の練習がてらにビデオを撮っていたんです。あと、当時の海外の人って『Hi,Nice to meet you!』みたいな簡単な動画をあげている人も多くて、今でこそ、それにあこがれてやってみようかなとか思いますね」
はじめしゃちょー「懐かしいですね〜」
トミック「君が始めたのは2012年でしょう? その頃は、ちょこちょこあったんじゃない? (数字が)伸びているのは海外の人、英語を話せる人で、当時は日本の人は少なかったですね。今は、職業として参入してきている人、企業も多いので、本当に変わったなと」
――今でこそ「YouTuber」はなじみのある言葉ですが、確かに、その頃は耳にすることはなかったですね。
トミック「全然なかったですね。(はじめしゃちょーに向かって)こら、話し中に携帯をいじるんじゃない!(笑)」
はじめしゃちょー「僕も、そうですね……YouTuberという言葉はなかったですが、動画を上げている人たちはわずかにいて、ただ、それでも全然メジャーじゃなくて、YouTubeに動画を出しているっていう人を見て、『有名になりたいな』と思いました。“変わったこと”だったので、やってみたいと思って始めました」
――実際にYouTuber を仕事にしてみて、感じたことはありますか? YouTuberになる前に抱いていたことと違っていたことなどもあれば?
トミック「意識が変わりますよね。ただ何となく撮っていたものと、仕事というか、タイアップのようなものと、そういうのは完全に変わります。自分勝手に、自分がやりたいということと、向こうから求められているものがありますから。それは自分だけじゃなくて、はじめ君もそうだし、ほかのYouTuberもそうなんじゃないかなと思います」
はじめしゃちょー「ビジネスライクな人が増えましたよね。僕らは『YouTubeで飯を食うっていう時代』なんて全く想像していなくて、最近はそれこそ事務所ができたりしていますし」
――「ビジネスになる」とわかってこの世界に入ってきた人と、その前からやっている人とがいると。
はじめしゃちょー「僕らは、『その前から』の人ですね。最近は、仕事として、職業としてのシステムが社会的にもできてきているので、動画を見ていてわかるんですよ。この人は“旬なこと”をして再生回数を上げようとしてるなって」
――そういう“狙い”でやっていることがわかると?
トミック「メジャーになってくるのはいいことですけど、似たようなものが増えている、そういう風潮は、そういう人が増えたからかな?」
はじめしゃちょー「どっかの偉い人が言っていたんですけど」
トミック「すっごいアバウトだな(笑)」
はじめしゃちょー「“もの”って、有名になればなるほど、どうなると思います? ジャンルが増えると思います? 減ると思います?」
トミック「ジャンル……増えるんじゃない?」
はじめしゃちょー「減るんです。理由は、みんな数字がほしいから。“人気のもの”は見る人がたくさんいるじゃないですか。だから認めてもらいたくて、人気のコンテンツをみんなでマネするんです。そうすると、ますますジャンルが狭まっていって、コンテンツが単一化するって。それを回避するために、ニコニコ動画は収益をもらえるクリエイターを決めているらしいです。コンテンツが偏らないようにするための施策らしいです」
――良い点・悪い点を含めて、環境はガラッと変わりましたか?
トミック「良くも悪くも変わりましたね。昔は、収益化ができる人って、YouTubeが審査して『あなたはできますよ、イケますよ』っていう形で、その審査が厳しかったけど、今は誰でも最初からOKですから」
――誰でもチャンスがあると。
トミック「参入し放題ですね。ビジネス、うっはっは〜って(笑)」
――いずれ絞られていく、淘汰されるということでもありますね。
はじめしゃちょー「旬なことを、トレンドに乗って面白いことをやって、一時的に伸びたとしても、個性とかオリジナリティがないと生き残れないということはあると思います」
トミック「はじめ君、でも、逆に言うと、旬なことをやり続ければ生き残れるっていうことだよね。常にトレンドを見つけて、常にそれをやらなきゃいけない、という大変さがその人にはあるね」
はじめしゃちょー「でも、そういうことって誰でもできるじゃないですか。トレンドさえ嗅ぎつけることができれば」
トミック「だから伸びている人が増えているんじゃない?」
はじめしゃちょー「それがたくさん増えると、みんなのやっていることがまた同じになりません? トレンドをマネするってことが当たり前になっていって……」
トミック「マネして、どんどん増える……そうだね」
はじめしゃちょー「僕の母ちゃんはトミックさんの魚さばきを褒めてましたよ。『自分の道を行っていて、素敵だわ』って」
トミック「今度、教えてあげるよ(笑)」
――親御さんが動画を見るケースは多いんですか?
トミック「今の人は結構あるんですけど、自分はあんまり……。知ってはいるけど、見ないんじゃないかなと」
はじめしゃちょー「僕は、めっちゃ怒られましたよ」
トミック「君の場合は、でしょ(笑)。僕は昔からやっていて、親からはあまりいい目で見られてなかったんじゃないかな」
はじめしゃちょー「そういえば、大学の勉強をあまりにしなさ過ぎて、パソコンを没収されてたんですよね(笑)」
トミック「そう、パソコンのディスプレイをね!(笑)」
――小学生のゲーム機みたいな話ですね(笑)。
はじめしゃちょー「夜中にこっそりばれないように、没収されたディスプレイを持ってきてやってましたよね」
トミック「そういう苦労話があるね(笑)。大学生って勉強したりしなかったりですから(笑)。今は高校生のYouTuberも増えたよね」
はじめしゃちょー「どう思います? 高校生のYouTuberっていいと思いますか?」
トミック「いいんじゃない? ただ、いいと思うけど、常識がない場合が多いじゃないけど、人に迷惑をかけたりっていう人もいるよね。それで、結局学校に見つかってやめなきゃいけないとか」
はじめしゃちょー「高校生はちょっと早い気がするんですよ」
トミック「自分で“リミッター”をかけられる人だったらいいんだけどね」
――そういうコントロールができるかどうか、ですよね。
トミック「でも、僕はYouTubeをやるにあたって早いも遅いもないんじゃないかと思ってます。以前、YouTubeの『ハッピーアワー』というイベントに行ったんですけど、それは限られた人だけが来るようなイベントで、来た方の年齢層が平均50歳ということでした。年齢層がすっごく高いというか、でも逆に言えば、それくらいの年代の人もやってるんですよね。そういう人の動画を見たら、アカペラで『たき火』を歌ってました(笑)」
2017年1月28日(土)、29日(日)には、U-FES.TOUR Finalが東京の品川プリンス ステラボールで開催。“YouTuberに会える!”特別なイベントに注目しよう。【ウォーカープラス編集部/浅野祐介】