オーケストラによる『春の祭典』にのせて尾上右近が舞う
歌舞伎ファンがクラシックと出会う入り口に
日本フィルハーモニー交響楽団とサントリーホールが、平日マチネに開催する「日本フィル&サントリーホール とっておき アフタヌーン」。これは、1956年の創立以来、音楽を通して文化を発信する活動を幅広く展開している日本フィルハーモニー交響楽団と、1986年の開館からすべての人にクラシックが身近になるようにとさまざまな取り組みを行ってきたサントリーホールが、より多くの聴衆にクラシック・コンサートが楽しまれるようにと、初めて共同でスタートさせた新企画だ。さまざまなジャンルとコラボレーションすることで、クラシック・コンサートの新たな楽しみを提供する。ちなみに第一弾は、ミュージカル俳優の田代万里生と、ゲストに春野寿美礼、濱田めぐみを迎え、竹本泰蔵の指揮によるオーケストラで織りなすミュージカルの世界が届けられた。
第2弾の今回は、歌舞伎とクラシック音楽のコラボレーションで、若きカリスマの異名を持つ日本フィル正指揮者・山田和樹が指揮を振るストラヴィンスキーの『春の祭典』と、歌舞伎界の新鋭・尾上右近の華麗な舞のステージを披露する。右近は名子役と呼ばれた時代から着実に経験を積み、次代を担う実力派の一人として活躍の場を広げている注目株。振り付けは、古典はもとより新作発表にも力を注ぎ、さまざまなジャンルのアーティストとのコラボレーションにも積極的に挑戦、振付師としても注目を集めている尾上菊之丞。演奏はそのほかに、チャイコフスキーによる「『くるみ割り人形』から 花のワルツ」、同じく幻想序曲「ロメオとジュリエット」。「歌舞伎俳優の方が一人でオーケストラと舞う、という提案をいただいた時、直感的に『春の祭典』の情景が浮かびました」と語る山田。同世代のコラボレーションから果たして生まれるものは…。一回だけの上演ではなんとももったいない贅沢な企画だ。歌舞伎ファンがクラシックと出会う、素敵なチャンスになるか?