Kalafina9周年記念ライブレポート 高らかに宣言した「今年は皆さんのことだけを考える1年にする」

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2017.1.29
Kalafina

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Kalafina 9th Anniversary LIVE 2017​
2017.1.23 (MON) TSUTAYA O-EAST

Kalafinaにとって1月23日は特別な日である。2008年の1月23日にファーストシングル「oblivious」を発売して世に現れた彼女たちにとって、この日は誕生日である。5周年アニバーサリーから毎年行われているファンクラブ限定ライブは今年で4回目。Kalafinaの9歳の誕生日を祝おうと開演前から会場のTSUTAYA O-EASTは立錐の余地もない状況となっていた。

アリーナツアーを成功に収めた彼女たちにとってO-EASTといえど手狭だ。正直キャパシティが合っていないとも思えるが、この日に、ここでライブをやるというのが大事なこと。そしてそれを理解してくれるコアなファンは渦を巻くような熱量でKalafinaを待つ。

定刻になると会場が暗くなり、「finale」が響き出す。ファーストシングルの次にリリースした完全生産限定盤のリミックスミニアルバム『Re/oblivious』からの選曲。演者一人ひとりに灯が差し込む中、静かに登場した彼女たちが歌いだしたのははじまりの歌「oblivious」。

歌い終わってもマニピュレーター大平佳男が奏でるサウンドは止まらない。拍手をする合間もなく、空気感を纏ったまま「interlude 01」「君が光に変えて行く」「interlude 02」「傷跡」と畳み掛けるように歌い紡ぐKalafina

ここまでで会場の殆どが気づいたであろう、一曲目の「oblivious」からここまで、彼女たちが結成されたきっかけの作品である、劇場版アニメ『空の境界』の主題歌を作品順に歌っているのだ。

そしてここで初めてのMC。「9周年です!」とWakanaが叫べば会場は割れんばかりの大歓声と祝福の声であふれた。「今日はライブハウスなので、目を見て、呼吸を感じて歌いたいです」とKeikoが楽しげに語り、「もうちょっと泣いちゃったんですけど、皆さんを見ていると……」と少しHikaruが声をつまらせる。

「レコーディングの時、当時の全身全霊をこめたんですけど、今しか歌えないARIAを歌います」とHikaruが言って奏でられた「ARIA」、ここからの楽曲はHikaruが参加してからのもの。

「sprinter」「fairytale」「seventh  heaven」「snow falling」そして最後の「アレルヤ」まで。昨年末のアコースティックライブでも披露した「sprinter」「アレルヤ」などはやはりバンドアレンジとなり印象を変えて響く。ただですら分厚い是永巧一のギターや佐藤強一のドラムはライブハウスの環境も借りてダイレクトにフロアに突き刺さる。

後半戦はアップテンポな楽曲を中心に展開。「お立ち台カモン!」との声に合わせて登場したお立ち台に登って披露したのは、OVA『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』エンディングテーマ「メルヒェン」。このダークな雰囲気ながらグルーヴィーな新曲を皮切りに「to the beginning」「magnolia」「destination unknown」「identify」「One Light」と歌いきる。彼女たちのパフォーマンスもやはりホール仕様とは違う、思いっきり走り、騒ぎ、跳ねる。ちょっと忘れていたKalafinaの“衝動”を感じられる熱い展開となった。

MCで今年の抱負をそれぞれが語り「毎年色んな場所でライブをしていますが、今年も続けていきたいです、幸せと笑顔に溢れた1年に!」とWakana、Keikoは「自分の視野を広げたい、そこから刺激をもらいたい、その先に女性がたくさんいたら嬉しい!」と叫び笑いが巻き起こる。それを受けたHikaruは「優しさを出して……男子―っ!」と叫んで大歓声を受ける。「今年は向き合う!というのと、アニメを見たい! 今クールも20本くらい見てるよ!」とアニメファンぶりを発揮したコメントを残した。

2016年はKalafinaにとってどんな年だったのだろう?上海を筆頭に海外で数々のライブを行い、そこからのアリーナツアー・アコースティックツアーとライブだけでも充実していた彼女たちは休むこと無く動き続けていた。これまでどこかベールに包まれるようにその歌だけが輝いていたKalafinaは、今想像以上にファンにその活動を見せようとしている。

Kalafina LIVE TOUR 2015~2016 “far on the water” Special FINAL』で高らかに語った「これからもKalafinaは旗を立て続けます」という宣言。まさにそれを有言実行するかのように躍動する彼女たちが本編最後に選んだ曲は「into the world」。

美しく三声が歌われ、万雷の拍手の中で微笑む彼女たち。この空間の密度だけはライブハウスでもアリーナでも変わりはない。Kalafinaが持つ“力場”のようなものだ。

鳴り止まない拍手の中アンコールはKalafina最強のキラーチューン「overture~音楽」から。赤い衣装に着替えた彼女たちは定番の指差しパフォーマンスで温度を上げる。興奮冷めやらぬまま「blaze」へ。

「みんな元気!?今日集まってくれたみんなに拍手!」Keikoの声に合わせて会場が祝福ムードになる、アーティストの誕生日(あえて誕生日と書こう)をこれだけダイレクトに祝い、見ている観客も幸せな気持ちになる。空間全体が幸福感に溢れている。

最後に披露されたのは櫻田泰啓のピアノだけで「やさしいうた」、そして会場全体が歌った「五月雨が過ぎた頃に」。普段のライブとはちょっと趣向の違う、だからこそ温かい内容は幕を閉じた。

「今年は皆さんのことだけを考えた1年にしたいと考えています!」と叫んだ彼女たちは名残を惜しむように退場、客電がつき、客出しSEでおなじみの「未来」が流れる。しかし観客の拍手の渦は止まることを知らず、それに応えるように再度Kalafinaが登場。

「イヤモニも外したし、バンドのみんなも着替えちゃったよ!どうする?」と話しているとKeikoが「今流れてた「未来」をもう一回流して、オケの歌の上に重ねて歌うよ!それでもいい?」と言うと観客は大歓声でコレを受け入れる。本当にそのままの3人の歌声。本物のプレミアムな瞬間というのはこういうことを言うのだろう。

「今度はバンドが弾いている本物の未来を聞きに来てね! 1月23日、一緒に過ごしてくれて、ありがとうございました!」そう叫んだ彼女たちの“未来”はどんな色だろうか、きっとカラフルで、だけど一つ一つの色彩はシンプルで、そんな気がするくらい真っ直ぐで、激しく、楽しいライブだった。9年目のKalafinaを見届けながら、僕たちも“未来”に進む。

レポート・文:加東岳史

終演後に楽屋で行ったインタビューの模様はこちらからどうぞ! http://spice.eplus.jp/articles/101777

セットリスト
Kalafina 9th Anniversary LIVE 2017​ 2017.1.23 (MON) TSUTAYA O-EAST

01.overture~oblivious
02.interlude 01
03.君が光に変えて行く
04.interlude 02
05.傷跡
06.ARIA
07.sprinter
08.fairytale
09.seventh heaven
10.snow falling
11.アレルヤ
12.メルヒェン
13.to the beginning
14.magnolia
15.destination unknown
16.identify
17.One Light
18.into the world

<Encore> 

En.1.overture~音楽
En.2.blaze
En.3.やさしいうた
En.4五月雨が過ぎた頃に

<Double Encore>

En.1.未来(オケver)

 

イベント情報
『Kalafina“9+ONE”』​

[千葉公演] 2017年4月15日(土)・16日(日) 森のホール21
[北海道公演] 2017年4月23日(日) わくわくホリデーホール
[愛知公演] 2017年4月30日(日) 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
[大阪公演] 2017年5月2日(火)・3日(水・祝) フェスティバルホール
[神奈川公演] 2017年5月7日(日) 神奈川県民ホール 大ホール
[埼玉公演] 2017年5月13日(土) 大宮ソニックシティ 大ホール
[富山公演] 2017年5月14日(日) オーバード・ホール
[東京公演] 2017年6月3日(土)・4日(日) 東京国際フォーラム ホールA
[宮城公演] 2017年6月10日(土) 仙台サンプラザホール
[福岡公演] 2017年6月17日(土) アルモニーサンク 北九州ソレイユ

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