『ジャコメッティ展』記者発表会レポート 20世紀を代表する彫刻家の全貌に迫る大回顧展

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マーグ財団美術館の中庭に立つジャコメッティ Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

マーグ財団美術館の中庭に立つジャコメッティ Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

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20世紀アートを代表する彫刻家、アルベルト・ジャコメッティ。代名詞ともいえる細長く引き伸ばした人物像は、圧倒的な存在感で異彩を放つ。没後半世紀を経て、初期から晩年までの作品を網羅した『国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展』が2017年6月14日(水)から9月4日(月)まで六本木・国立新美術館にて開催される。同館にて行われた記者発表会では、ジャコメッティの日本最大規模となる展覧会の見どころが紹介された。

ジャコメッティについて語るマーグ財団美術館館長・オリビエ・キャプラン氏

ジャコメッティについて語るマーグ財団美術館館長・オリビエ・キャプラン氏

 

ジャコメッティの代表作が揃う大回顧展

スイスで生まれ、フランス・パリで活躍したアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)は、20世紀のヨーロッパで最も重要な彫刻家といわれている。キュビスム、シュルレアリスムなどの影響を受けた時代を経て、「真の人間性とは何か」を探求し、極端に細く長いフォルムの彫刻様式を生みだした。日本で11年ぶりの個展となる本展は、彫刻、絵画、素描、版画など約135点が出品され、各時代のジャコメッティの代表作が一堂に会す大回顧展となる。

本展は世界3大ジャコメッティ・コレクションのひとつ、南フランスにあるマルグリット&エメ・マーグ財団美術館の全面協力を得て実現された。マーグ財団美術館は、設立当初からジャコメッティが協力を惜しまず、多くの作品を寄贈したことでも知られている。記者発表会では、マーグ財団美術館館長オリビエ・キャプラン氏も登壇。「本展覧会はジャコメッティの哲学者的な側面と、少し遊び心のある側面とを両方楽しんでいただけることができると思います」と語った。

 
アルベルト・ジャコメッティ《3人の男のグループ(3人の歩く男たち)》 1948/49年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《3人の男のグループ(3人の歩く男たち)》 1948/49年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

最晩年の挑戦、高さ3m近い立像が登場

本展覧会では、年代順にグループに分けて作品が展示される。シュルレアリスム的特徴のある作品や、わずか数センチの人物像、複数の人物の群像などヴァリエーション豊かな彫刻が並ぶ。その中でも注目なのが、最晩年に作られた「歩く男 I」「女性立像II」「大きな頭部」の3作品だ。ニューヨークのチェース・マンハッタン銀行の依頼を受けて制作された大作で、「女性立像II」の高さは2m76cmにもなる。

アルベルト・ジャコメッティ《歩く男Ⅰ》1960年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《歩く男Ⅰ》1960年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

モデル達との格闘

ジャコメッティはアトリエにモデルと長時間籠り、驚異的な集中力で作品を制作した。その厳しい制作スタイルに献身的に付き合うことができたモデルは、数人に限られていたという。本展覧会では、弟・ディエゴをモデルとしたスタイルの違った彫刻数体が並べて展示され、比較して楽しむことができる。またモデルのひとりで、親交のあった哲学者・矢内原伊作が日本へと持ち帰った素描も公開される。

アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴ》 1949年 鉛筆、紙 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Photo Claude Germain –Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴ》 1949年 鉛筆、紙 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Photo Claude Germain –Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴの胸像》 1954年 ブロンズ 豊田市美術館

アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴの胸像》 1954年 ブロンズ 豊田市美術館

 

ジャコメッティの創作の秘密に迫る

歴代の作品のみならず、ジャコメッティのアトリエの内部やモデルとの制作の様子を表す素描や写真なども本展の見どころのひとつだ。スイスの写真家、エルンスト・シャイデガーによって撮影された写真では、質素なアトリエで制作に没頭するジャコメッティの姿を垣間見ることができる。

各時代を代表する名作の数々を通してジャコメッティの全貌に迫る本展覧会。ジャコメッティが探求し続けた人間の本質とはなんだったのか。今夏はぜひ会場に足を運んで、深い思索の中で生みだされたジャコメッティの造形芸術を堪能してほしい。

アルベルト・ジャコメッティ《犬、猫、絵画》 1954年 リトグラフ、ヴェランアルシュ紙 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Photo Claude Germain –Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《犬、猫、絵画》 1954年 リトグラフ、ヴェランアルシュ紙 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Photo Claude Germain –Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《林間の空地、広場、9人の人物》 1950年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《林間の空地、広場、9人の人物》 1950年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《大きな像(女:レオーニ)》 1947年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

アルベルト・ジャコメッティ《大きな像(女:レオーニ)》 1947年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

イベント情報
国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展

会期:2017年6月14日(水)~9月4日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00~18:00 ※金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
チケット:一般 1,600(1,400)円、大学生 1,200(1,000)円、高校生 800(600)円
※()内は前売り、または20名以上の団体料金。
※中学生以下無料。
※障害者手帳を持参者と付添者1名は無料。
※前売券販売期間は2017年4月1日(土)~6月13日(火)。国立新美術館では6月12日(月)まで。
展覧会公式ホームページ:http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/
巡回先:愛知展 2017年10月14日(土)~12月24日(日) 豊田市美術館

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