大野和士(指揮) 東京都交響楽団 熟成を深めたコンビによる待望のブラームス

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クラシック
2017.3.14


 大野和士が都響の音楽監督に就任しそろそろ2年である。この間、24年ぶりの欧州ツアーをはじめ数々のプロジェクトを成功裏に導き、意思の疎通もますますスムーズになってきた。また新国立劇場のオペラ部門次期芸術監督就任も発表され、日本の音楽界のリーダーとして存在感を増している。

 充実感の漂う大野&都響コンビの3月定期および福岡・名古屋公演はブラームス・プロ。大野もブラームスはたびたび取り上げているが、このところの共演は20世紀以降の近現代ものを中心に組まれていたので、王道に回帰したプロを楽しみにしているファンも多いだろう。大野の骨太な構築性が都響の表現力を通じストレートに現れてくるからだ。

 交響曲第4番を大野は2013年のウィーン響を率いた来日公演のメイン曲に据えており、また海外ではやはり音楽監督の任にあるバルセロナ響を相手に昨年2月に取り上げている。ブラームスの中でも、とりわけお気に入りのようだ。作曲家晩年の諦観を色濃く反映した第1楽章、哀愁を帯びた第2楽章や力強い第3楽章など聴きどころは多いが、とりわけ終楽章の変奏曲をどんな風に演出するかに注目したい。

 前半にはピアノ協奏曲第1番。こちらは若き日に作曲されたが、交響曲として構想されたためオーケストレーションも分厚く、がぶり四つに組むソロにも長丁場を弾き切るスタミナが要求される。ソロのニコライ・ルガンスキーはラフマニノフを得意とし、美音と幅広い表現力を武器とする。その濃厚なロマン性がオーケストラとぶつかりあいながら、ブラームスの設計図を音の建造物へと仕立てていくことだろう。壮麗な伽藍が楽しめそうだ。

文:江藤光紀
(ぶらあぼ 2017年2月号から)


大野和士(指揮) 東京都交響楽団
福岡特別公演 3/18(土)15:00 福岡シンフォニーホール
名古屋特別公演 3/19(日)14:00 愛知県芸術劇場 コンサートホール
第827回 定期演奏会 Aシリーズ 3/21(火)19:00 東京文化会館
問合せ:都響ガイド03-3822-0727
http://www.tmso.or.jp/
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