今、相撲が熱い! 女性にオススメの相撲マンガ『土俵を駈ける』

コラム
アニメ/ゲーム
2017.3.21

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2017年の大相撲一月場所で稀勢の里が初優勝。ついに相撲ファン念願の、18年ぶりとなる日本出身横綱が誕生しました。このことが連日ニュースで取り上げられたり、『アメトーーク!』で「相撲大好き芸人」が放送されたり、「あれ、相撲って今また盛り上がってる?」と思われた方も多いはず。そうなんです、今、相撲ブームが再燃しているんです。

では、相撲を描いたマンガはどれくらいあるのでしょうか。調べてみると、架空の人物を主人公にしたスポ根ものもあれば、千代の富士や若乃花などの実在する有名力士を描いた作品まで、数多く描かれているようです。さすが日本の国技と言われる相撲(実際には正式な国技ではないようですが)。もちろん『火ノ丸相撲』(川田 / 集英社)や『鮫島、最後の十五日』(佐藤タカヒロ / 秋田書店)など現在少年誌で連載中の作品も。相撲っておじいちゃんおばあちゃんだけが楽しむものではなく、子どもも楽しめるテーマなんですね。

しかし、相撲マンガは数多くあれど、女性にはなかなか手を伸ばしにくいのが正直なところ。漢らしいところや熱い闘いこそが相撲マンガの見どころではありますが、こう……爽やかなイケメンが、足りない。そう思って手を出せずにいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなイケメンを求める世の女性たちのために、僭越ながら相撲歴10年の“スー女”である私が 、“女性が楽しめる相撲マンガ”をご紹介したいと思います。

 

2015~16年に「ヤングマガジンサード」(講談社)で連載していた『土俵を駈ける』(著者:とみすず)。青森県にある男子校の相撲部を舞台に繰り広げられる、青春相撲マンガです。ストーリーはのちほどご説明しますが、まずは表紙をご覧ください。……イケメンです。イケメンが化粧まわし(土俵入りの際に締める、柄や文字が入った豪華なまわし)を締めています。しかも腹筋が6つに割れていますね。「お相撲さんって太っているじゃない…」と思ってらっしゃるの淑女の皆様、力士には脂肪だけじゃなく筋肉も必要なんです。身体を大きくしないと、組んだときに簡単に持ち上げられてしまったり押し出されてしまうので力士はたくさんご飯を食べて身体を大きくしますが、体質的になかなか太れない力士もいます。そういう力士は筋肉がムキムキしているので、ぜひテレビで力士の身体つきにも注目してみてください!

話はそれましたが、この『土俵を駈ける』。1巻の表紙でお分かりのとおり、絵柄がとても女性向けで、これまでの相撲マンガのイメージがぶっ飛んでしまうくらい見目麗しい男子たちが主人公です。主人公の三上直登(みかみ なおと)は父親が元・幕内力士。数年前に亡くなった父親のライバルであった現横綱・大海風(おおみかぜ)と戦うことを目標に、高校入学早々に相撲同好会を設立します。

そんな三上の元に集まる個性豊かなイケメンたち。野球部に所属するも、身長や自分の技術の低さに悩む小笠原翔馬(おがさわら しょうま)、帰宅部だが実は中学の時にレスリング経験者だった工藤梓(くどう あずさ)、ひょんなことから三上と対決することになり、それ以降幾度も三上につっかかってくる柔道経験者の神虎太郎(じん こたろう)、そして三上たちが入学する前に相撲部に在籍していた三年生の長内武蔵(おさない むさし)。彼らはそれぞれの過去に向き合い、三上は横綱に勝つという目標に突き進みます。そして、三上に惹かれた部員たちも各々が目標や想いを持ち、切磋琢磨していく……そんな青春スポーツマンガです。

 

◆外見だけじゃない!相撲の魅力が伝わりやすいポイント

さて、この作品には相撲初心者(小笠原、工藤、神)が登場します。似たような格闘技を経験してきた者もいれば、まったく畑の違う球技経験者も。そんな相撲初心者の登場人物たちが三上に出会うことで相撲の魅力を知り、今まで自分が思い描いてきた「相撲=古臭い、流行らない」というイメージを払拭していきます。スポーツマンガの定石と言えるかもしれませんが、一般読者と同じ視点のキャラクターを登場させることで、読み手も感情移入しやすくなります。ここがこれまで相撲に関心がなかった人に、この作品をオススメしたい理由の1つです。またどちらかと言うと、少年たちの“心の成長”に重きを置いた物語なので、「細かいルールがわからないからスポーツマンガはちょっと……」という女性にオススメしたいポイントでもあります。


◆相撲界でも人気の“小兵力士”

『土俵を駈ける』には、あまり大柄な人物は登場しません。それは彼らがまだ高校生で、身体が成長しきっていないから、という理由もあると思います。しかし子どもの頃から恵まれた身体を持つ者もおり、そんな対戦相手にも立ち向かっていかなくては強くなれません。三上や小笠原のように、相撲界では「小柄」に分類される力士のことを“小兵力士(こひょうりきし)”と呼びます。今はバラエティなどで活躍する舞の海も、「技のデパート」と呼ばれた有名な元・小兵力士の1人ですね。身体は小さくとも、その持ち前の身軽さや技で活躍して場内から喝采を浴びる彼ら。最近でも石浦や宇良などの小兵力士が、多彩な技で相撲ファンから人気を博しているので注目してみてください。

2017年3月12日(日)から始まった、大相撲三月場所。相撲は歴史と伝統のあるスポーツなので、取組前に行われる所作や行司や呼出の衣装などなど、取組とは違うところに注目してみるのも楽しいですよ。『土俵を駈ける』を片手に、まずはテレビの前で初めての相撲観戦はいかがでしょうか?

 

書誌情報
『土俵を駈ける』(とみすず / 講談社)

http://ebookstore.sony.jp/item/LT000033071000432436/
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