関ジャニ∞横山裕が思いつく“野心家”とは?「村上信五。お金が好きですから」 妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』製作発表
倉持裕、中川翔子、浜野謙太、本仮屋ユイカ、小林タカ鹿、馬場徹、竹中直人、玉置孝匡
5月7日(日)から東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、6月10日(土)からは大阪・森ノ宮ピロティホールにて妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』が上演される。
原作は、1968年に『漫画サンデー』(実業之日本社)にて連載されていた手塚治虫の漫画。手塚作品の中でも“知る人ぞ知る異色作”が初めて舞台化されるにあたり、劇団「ペンギンプルペイルパイルズ」の主宰・倉持裕が演出を務め、主人公の門前市郎を関ジャニ∞の横山裕が演じることとなった。
4月10日(月)、都内にて本作の製作発表会見が行われ、倉持、横山のほか、中川翔子、浜野謙太、本仮屋ユイカ、小林タカ鹿、玉置孝匡、馬場徹、竹中直人が姿を現した。
原作漫画では、マスコミ社会を舞台に様々な角度から湧き出る人間の欲望を風刺しており、今となっては現実のものとなった「ヴァーチャル・リアリティ」の世界を“ジレッタ”と称し、それを独特の表現で創り出している。ついには国家をも巻き込んだ大騒ぎとなるこの物語、そこには手塚らしい文明批判がしっかりと込められている作品だ。
稽古は4月1日からすでに始まっているそうだが、横山は「現場はパワフルに動いてます。めまぐるしいスピードで。あと、宮川彬良さんの音楽がとても素敵で、そこに倉持さんの世界観が入ってきて、アンサンブルの皆さんの声、キャストの声が重なり合って刺激的です。歌の量がすごくて僕も初めてボイストレーニングをやることになった。歌と踊りってこんなにすごかったっけ? 関ジャニ∞ってそういうことをやってこんかったから…大変やなあ、こんなに歌うんやって」と目を丸くしながら語る。そんな横山の様子を倉持は「日に日に、目に見えてすごくなっています。人一倍練習量も多いし」とフォロー。「でも舞台中に必ず失敗する夢を見るんです。セリフが出てこーへん、歌詞なんやったっけな? とかいう夢をすごく見ていて…しんどいです」と本音が。
自身が演じる門前のような野心家のディレクターは周りにいるのか?という質問については「今、減ってきているんじゃないですか? コンプライアンス問題とかで(笑)。今こういうカリスマ性のある男がいたらどういうことになるのかな、そういうディレクターにむしろ出会いたいですね」と答える横山、ちなみに野心家という役作りで参考になりそうな人は?という質問に対し「パッと頭に浮かんだのはうちのメンバーの村上信五。お金好きですからねー彼は(笑)。参考にはしてませんけど」
空腹のときだけ絶世の美女に変身するというへんてこな歌手・小百合チエこと越後君子/晴海なぎさを演じる中川。その変身を舞台上でどう表現するのか?が見どころの一つともなるが、倉持やスタッフと試行錯誤しながら日々試みているという。「すっごい不細工。ぎょっとするような不細工になります。でも舞台だからこそのアナログみと今の技術がミックスすると思う」中川にとって、漫画原作の舞台を演じるのは念願。「しかも手塚先生の作品。現代の進化した世界が当たり前となっているのに、手塚先生の作品では何十年も前から人間の妄想の強さ、おもしろさ、先の未来を予感していたようで毎日冒険のようです」と嬉しそう。
中川翔子
なお、中川からみた稽古場の横山は「観音様というか。現場の士気を上げるだけでなく、『おい、みんなでごはんを食べに行くぜ!』的なボス感がある。舞台ってチームワークなので、私が引きこもるのでコミュニケーション力という点で勉強になります」これに対して横山は「僕も『行くぞ』って言えないキャラなので…。ハマケン(浜野)に『ちょっと(ご飯に行くぞってみんなに)言ってくれや』とお願いしています。同い年なのに上から目線で」と笑う。
この現場のムードメーカーと呼ばれる浜野は、SAKEROCKを初め、様々なユニットで活躍するミュージシャンであり、また個性派俳優としても注目されている。中川演じる晴海の同郷の恋人で芽の出ない漫画家・山辺音彦を演じる浜野は、直人と倉持の会Vol.1『夜更かしの女たち』以来の舞台出演となる。「今回倉持さんがミュージカルをやるということでぶったまげている」と語る浜野。横山の歌声については「低音がすごい。ガーッと出てくる」と高い評価。これに横山は「言われたことがなかった。低音の魅力をこの舞台で見せられたら」と嬉しそう。
浜野謙太
門前の元妻役を演じる本仮屋は「シアターコクーンとは演劇が好きな人にとって特別な場所で、そこに立たせていただけるのは光栄なこと。今回初めて舞台の上で歌を歌うんですが、楽しいです! 昨日あたりからちょっとずつコレが芯になっていくんだろうなとわかってきた。門前が何か一発当ててやるぞという気概は女から見てとても魅力的。元妻として支えていきたい」と熱く語る。
稽古場の横山については「とっても素直。セリフとか歌について指導されたその場で反映するし、一度も台本を持って立ったことがない。毎日膨大なセリフ量と歌の量でこのタフさはすごい」とベタ褒め。これに対して「だから夢に出てくるんですよ(笑)」と照れ笑いの横山。
本仮屋ユイカ
劇団ペンギンプルペイルパイルズの団員である小林と玉置は共に多数の役を演じる。玉置は「10役くらいやるんですが、まだ全部を把握できていない。でも楽しんでやっていければ」と語る。
小林タカ鹿
玉置孝匡
台詞劇からミュージカル、さらにはTVドラマと活躍の場を広げている馬場は、アメリカの世界的ミュージカル俳優ジミー・アンドリュウス役を演じる。「個人的に自分の誕生日がありまして、今のうちに皆さんにお祝いしていただけるよう、ここで宣伝しておきたいと思います」というと、周りから「やらしいわー」とツッコまれていた。
馬場徹
マルチに活躍する重鎮・竹中は、門前に頼まれてジレッタのスポンサーになる社長役。「僕は倉持さんがすごく好きなので、この気持ちのまま5年連続で倉持さんと一緒の仕事ができるのが自慢なんだよ(突然馴れ馴れしい口調)。稽古場は大変だよー。若い人ばっかりで、エネルギーに押されて、ワシも年老いたなぁ(突然おじいちゃん口調)。踊りのシーンが少ないといいなぁ」としゃべりながらキャラを次々と変えていくという妙技を披露。その様子を前列から振り向いて楽しそうに見つめる浜野を「お前、見るなよぅ! 前を見ろよぅ!(もはや何のキャラかわからない口調)」とつっつき、共演者たちを大笑いさせていた。
竹中直人
竹中さんはちょこちょこ浜野さんをいじって遊んでいました。
作品のタイトルにもある「妄想」という言葉から「普段どんな妄想をしていますか?」という質問が飛ぶと、横山は「東京ドームや京セラドームでライブをしたいという妄想をデビュー当時はしていて、グループのメンバーでも話していて、それが具現化して。言霊ってあるんやな、妄想も大事なんやなと思いましたね。願い続ければ叶うと」と回答。
一方で竹中は「最近はみんな亡くなってしまうので、死んだ人と契約書を交わすという妄想をよくします。氷河に白い宇宙服を着た人がうつ伏せで埋まってて『あなたが会いたい人がここに埋まっているから』と言われ宇宙服を脱がすとその中から会いたい人が真っ青な顔でいるんです。僕が抱き起した瞬間、その顔がものすごく綺麗な肌色、赤ちゃんみたいな色になって『おー!竹中!』って言ってくれるんです。そういう妄想しています」 竹中のドラマティックな妄想に「それ、舞台化しましょう!」という声が飛んでいた。
脚本・演出を手掛ける倉持は、10歳くらいの頃に原作を読み「主人公の門前市郎のカッコよさを感じた。バイタリティあふれる男で高度経済成長の時期を縦横無尽に駆け回る男。それから30年以上たって読み返しても同じ魅力を感じてます。その勢いを損なうまい、マンガをめくる勢いで芝居が進むようにしたい」そう思いながら連日稽古を続けているという。
倉持裕
5月7日(日)の初日にどのような世界を見せてくれるのか、今から楽しみだ。
シアターコクーン・オンレパートリー2017
妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』
■日時・会場:
2017年5月7日(日)~6月4日(日)Bunkamura シアターコクーン
2017年6月10日(土)~19日(月) 森ノ宮ピロティホール
■原作:手塚治虫
■脚本・演出:倉持裕
■音楽:宮川彬良
■出演:横山裕、中川翔子、浜野謙太、本仮屋ユイカ、小林タカ鹿、玉置孝匡、馬場徹、銀粉蝶、竹中直人 ほか