女優・朝海ひかるが語る役者人生「これまでの10年、これからの10年」~女優10周年ツアーDANCE LIVE「will」に向けて

インタビュー
舞台
2017.5.16
朝海ひかる (撮影:荒川潤)

朝海ひかる (撮影:荒川潤)


2006年末に宝塚歌劇団を卒業後、2007年からは女優としてミュージカルやストレートプレイなど幅広いジャンルの作品で活躍してきた朝海ひかる。女優活動11年目を迎え、6月に女優10周年記念ツアー DANCE LIVE「will」を行う彼女に、公演の内容と共にこれまでの10年、そしてこれからの10年について語ってもらった。

無我夢中で駆け抜けた10年

──女優としての10年を振り返ってみていかがですか?

「十年一昔」という言葉がありますけど、自分の中ではそれだけの月日が経っているように全然感じてないです。本当に駆け抜けていった10年という感じがしますね。宝塚を退団して右も左も分からない中、宝塚以外の世界でチャンスをいただいて、無我夢中でやってきた10年でした。

──宝塚退団後、どのような女優を目指していこうと思われていたのでしょうか?

お芝居がちゃんとできる女優になりたいと思っていました。ダンスにしろ、歌にしろ、ミュージカルにしろ、お芝居というのは全てに通じるものなので、きちんとお芝居を勉強したいという思いが一番でしたね。

──宝塚とは違う世界の中で苦労することも多かったと思います。

やはり、今まで自分がこうであろうと思っていたことや宝塚でやってきたことと正反対のことを要求されたり、私の頭の中にないものや今まで経験したことがないことを求められたりすることが多かったですね。考え方を変えていかないとついていけない自分がいました。

──これまでの女優としての活動の中で、特に印象に残っていることはありますか?

どの作品も一つ一つ思い出がありますね。公演ごとに出会う方々も変わって、出会えた皆さんに感謝していますし、その都度受ける影響も違います。その中でも、蜷川幸雄さんの演出で初めての井上ひさしさんの作品『しみじみ日本・乃木大将』に出させていただいた時が一番のカルチャーショックでした。今まで経験したことのない世界だったので、強烈に印象に残っています。役者として舞台にいることの意味を改めて知りましたね。役者は舞台の上で己をさらけ出すものだということを肌で教えてもらいました。

10年間の歩みを凝縮したショー

──今回の公演はどのような内容になるのでしょう?

1幕は10年間に出演した作品をピックアップして、これまでの軌跡をまとめたショーになります。私がちょっと忘れていたような懐かしい曲もいっぱい(笑)。でも、聞けば皆さんが分かるような曲ばかりを集めています。だから、朝海ひかるのこの10年を知らなかったという方たちにもこの公演に来ていただければ、私がどんなことをやっていたのかを知っていただけると思います。プロフィール代わりになるような公演ですね。
2幕はゲストを交えてトークと歌を。ゲストによって2幕の雰囲気がガラリと変わると思います。曲目も違うので、何回来ても楽しんでいただける内容です。

──そうなると、朝海さんは大変ですね。

そうですね(笑)。ゲストが4人なので、4パターン覚えなければならないですね。

──4人のゲストの方々とのゆかりや思い出を教えてください。

Spiさんは、去年『DNA-SHARAKU』で私の相手役をしてくれて。私は花魁という、生まれて初めての役柄に戸惑っていたんですけど、Spiさんも着物を着てのお芝居が初めてで、二人でぎこちないながらもあの世界を作り上げたという思い出があります。作品上は甘い間柄なんですけども、お互い戦っていた戦友みたいな感じですね​。

伊礼彼方さんとは『エリザベート』で共演しました。私も彼も初めての東宝ミュージカル、ということで、お互い新参者のような感覚がありましたね。私が母親役で彼が息子役というのもあって仲良くなりました

石川禅さんは『エリザベート』で私の旦那様役をされていて、あたふたしているところを優しくフォローしてくれました。禅さんとは、結局その時の『エリザベート』でしかご一緒していないんですけど、なぜかご縁があって、それ以来仲良くさせてもらっています。楽屋に行くと長い時間喋るほど、気兼ねなしにお話しできる方ですね​。

石井一考さんは『蜘蛛女のキス』と『天翔ける風に』でご一緒しました。とてもおおらかで賑やかな方です。今回もすごくお忙しい中、1公演だけ出ていただくという、プレミアムな感じでやらせてもらいます(笑)。

──公演の見どころをお聞かせください。

ミュージカルの曲が大半を占めてはいますが、お芝居の後ろで流れていたBGMを使うコーナーもあるので、お芝居をご覧になって下さった方も「あれ? この曲どこかで?」と楽しんでいただけるかと思います。曲目や作品名は来てからのお楽しみということで。それと、コントではないんですが、これまでの作品にのっとった面白い場面もありますので、オリジナルのショーとして見ていただければと思います。

これからは役柄の幅を広げていきたい

──女優業11年目に突入し、今後挑戦してみたいことはありますか?

これからも色々な舞台に挑戦していく気持ちはそのままに、役柄としてもう少し幅を広げていきたいですね。それと、映像の方もどんどん挑戦していきたいです。

──コメディなどもよさそうです。

そうですね。根っからのコメディ作品ってほとんど出たことがないので、挑戦してみたいです。これまで、確かに悲劇というか、悲しい作品が多かったような気がします。コメディは『熱海五郎一座』に出演したくらいで。その時、毎日お客さんを笑わせるというのがいかに難しいかを学びましたね。何よりも難しいジャンルだと思いました。

──日ごろ、役者をやる上で心がけていることは?

うーん。体型維持ですかね。でも運動など何もしていないので、ビクビクしながら毎日過ごしています(笑)。「これを食べたら太るんじゃないか」「ここで歩かなきゃ筋肉が落ちるんじゃないか」って。それで、公演の前にいきなりキュッと節制したり、動いてみたり(笑)。

──では、今回も公演前にキュッと絞っていくんですね(笑)。

はい。キュッと絞って、なるべく皆さまに不快な思いをさせずに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います(笑)。

──最後にファンの方へのメッセージをお願いします。

決まりきった文句に聞こえるかもしれないですけど、いま自分がこうしてやっていられるのは本当にファンの方々のお力のおかげですので、皆さまが楽しんでいただけるようなショーをひたすら考えてお目にかけたいと思います。「will」というタイトルには、今後もまた皆さまのお力添えをいただければなという、未来に向かっての気持ちも込めていますので、これからも応援をどうぞ宜しくお願いします。

朝海ひかる女優10周年記念ツアーDANCE LIVE「will」は、6月7日(水)・8日(木)の東京公演を皮切りに、大阪、仙台を巡る。未来を意味する“will”だけでなく、女優として次の10年もやっていくという強い意志の“will”をも感じさせてくれる公演となりそうだ。

取材・文:岩本恵美  撮影:荒川潤

公演情報
朝海ひかる女優10周年ツアーDANCE LIVE「will」
 
■構成・演出・振付:港ゆりか
■出演:朝海ひかる/神谷直樹・中島康宏・ 伯鞘麗名・福田えり

 
【東京公演】
■日時:2017年6月7日(水)~6月8日(木)14:30 / 18:30
■会場:よみうり大手町ホール
■ゲスト:
Spi 6月7日(水)14:30、6月8日(木)14:30
伊礼彼方 6月7日(水)18:30
石井一孝 6月8日(木)18:30

 
【大阪公演】
■日時:2017年6月11日(日)12:00 / 16:00
■会場:ナレッジシアター
■ゲスト:石川禅

 
【仙台公演】
■日時:2017年6月14日(水)18:00
■会場:イズミティ21 小ホール
■ゲスト:伊礼彼方

 
 
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