加藤和樹ら6人の俳優が織りなすドライブ感が絶好調、舞台『罠』~ゲネプロレポート

レポート
2017.7.13
舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

画像を全て表示(14件)


フランスの劇作家ロベール・トマの書いた傑作サスペンス劇『罠』が2017年7月13日からいよいよ開幕する。2009年、2010年に続き、7年ぶりの上演となる今回も、過去2回同様、加藤和樹が主役のダニエルを演じる。開幕を前に行われた総通し稽古=ゲネプロの様子を写真とともにお伝えしたい。

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

物語はとある山荘での出来事。新婚3ヶ月のカップルがバカンスのために訪れていたが、些細な夫婦喧嘩から妻のエリザベート(白石美帆)が行方不明になってしまう。夫のダニエル(加藤和樹)がカンタン警部(筒井道隆)に捜査を依頼するがなかなか見つからない。そしてマクシマン神父(渡部秀)に付き添われてエリザベートが戻ってきたが、これが全くの別人。ダニエルは「妻ではない」と主張するが、状況証拠はどれもこれも女が妻であることを印象付けるものばかり。証人としての看護婦(初風緑)や絵描き(山口馬木也)まで登場し、騒動の渦は大きくなるばかり。そしてついに殺人事件にまで発展してしまう...。

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

誰が正しいのか? 誰が嘘をついているのか?
何が真実なのか? 何が作り上げられた嘘なのか? 
およそ2時間の1幕もので、息をつく暇もなく、緊張感の漂う会話劇が続く。ネタバレは決してできないので、多くは語れないのだが……謎が謎を呼び、常に誰かが誰かを裏切っているような「恐怖」に近い感覚を観客は抱くはずだ。たった6人の登場人物だからこそ、その「恐怖」は増す。さすが、演劇界のヒッチコックと呼ばれたロベール・トマの屈指の名作。1960年に発表された作品だが、巧みに伏線が張られた物語の構成には感服する。

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

2009年初演時、この『罠』が初主演舞台だった加藤和樹。3回目の『罠』のダニエル役となるわけだが、(再演2010年から数えて)この7年は彼にとって、濃密な7年だったに違いない。『レディ・ベス』や『1789 バスティーユの恋人たち』、『フランケンシュタイン』など数々の舞台経験を積み、俳優として幅を広げながら、確実に力をつけてきたし、年齢という意味でも、初演・再演は20代半ばだったが、今は30歳を超え「大人の余裕」が出てきた。同じ作品でも、そういう意味では7年前とはまた一味も二味も違う。

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

実際、ゲネプロ前の囲み取材で、演出を務める深作健太が最初に言及したのが加藤についてだった。深作は「7年経って、加藤君がすごく色っぽくなった。加藤君は2時間ずっと出ずっぱり。彼の醸し出す雰囲気と一緒に作品自身もすごく成長して、さらに色気にあるサスペンスに仕上がっているかなと思います」と再再演にあたっての違いを真っ先に語った。そして、「ネタバレになっちゃうのであまり言えないのですが……。会話劇なので俳優さんたちの役の作り込み方が鍵になる作品なんです。今回俳優一人一人がキャラクターの裏の裏、また表にも何枚も積み重ねていって、厚みのある人物を作り上げることができたので、より魅力的になった。チームワークもいいし、6人の俳優が織りなすドライブ感というのも楽しんでいただけるかなと思います」と作品の見どころを語っていた。

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

それに対して、加藤もきちんと答えている。「また恐ろしい『罠』にはまるのかと思うと、稽古が始まる前は少し不安だったのですが(笑)、作品とちゃんと向き合えている気がします」。膨大なセリフを上質な会話劇へとまとめあげて、観客を飽きさせることなく見せることができていた。それは作品の持つ巧妙な仕掛けもさることながら、主軸となる加藤の演技の深みがあってのことだと思う。

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

ダニエルの妻、エリザベートを演じるのは白石。初演時以来8年ぶりとなる。昨年11月にV6の長野博と結婚したばかりの白石は、新婚3ヶ月のエリザベート役と被る部分があるが、ゲネプロ前の取材では、結婚と役作りの関係性を問われても「1960年だし、フランス人だし別人ですよ」と照れを隠した。しかし、相手役の加藤は「めちゃめちゃキュートなんですよ。8年前よりも。初演時はクールで強い印象があったんですけど、今回は、笑い方やちょっとした仕草がめちゃめちゃキュートなんですよ」と変化に気がついていた様子。白石の持ち合わせる可憐さとその裏にある「何か怪しい感じ」が、サスペンスを盛り上げる。

舞台『罠』のゲネプロの様子

舞台『罠』のゲネプロの様子

カンタン警部役を演じる筒井道隆は、今回が初の『罠』。ダニエルとのやりとりも多い役どころで、物語のもう一つの主軸を担う。マクシマン神父は渡部秀、ベルトンは初風緑、メルルーシュは山口馬木也と、実力派俳優陣が脇を固めており安定感があった。衝撃のラストシーンは見応えがあったし、結末を知った上で観劇後にもう一度見返したくなる作品だった。残念ながら多くは語れないので、この辺に留めておこう。続きはぜひ劇場でお確かめいただきたい。

取材・文・撮影=五月女菜穂

※関連記事
・「加藤和樹インタビュー 主演舞台『罠』7年ぶりの再演
・「主演・加藤和樹が兵庫で語る、サスペンス会話劇『罠』の"怖さ"〜人間不信になること間違い無し…!?

公演情報
『罠』

【原作】 ロベール・トマ
【翻訳】 平田綾子
【演出】 深作健太
【出演】 加藤和樹、白石美帆、渡部 秀、初風 緑、山口馬木也、筒井道隆
【公演日程】 
◇亀有公演 7月13日(木) 【かめありリリオホール】、
◇兵庫公演 7月15日(土)・16日(日) 【兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール】
◇東京公演 8月8日(火)~15日(火) 【サンシャイン劇場】
【一般発売(亀有・兵庫・東京)】 4月22日(土)
【企画・製作】 日本テレビ
公式サイト】 http://wana2017.jp/

シェア / 保存先を選択