劇団山の手事情社の秋公演は二本立て!
劇団山の手事情社「タイタス・アンドロニカス」「女殺油地獄」
現代社会にも通じる「殺意」の形…「タイタス・アンドロニカス」「女殺油地獄」上演
劇団山の手事情社は、11月6日(金)から「タイタス・アンドロニカス」を、そして11月12日(木)から「女殺油地獄」を吉祥寺シアターにて上演する。
「タイタス~」はシェイクスピアの初期の悲劇。武将タイタス・アンドロニカス率いるローマ帝国との戦いに敗れた女王が、息子を生贄にされたことをきっかけに、タイタスに対して激しい復讐を企てる物語。山の手事情社としては2009年にシビウ国際演劇祭に初参加した作品であり、その後も連続参加。2013年にはシビウ国際演劇祭より主宰の安田雅弘に「特別功労賞」が送られた。
劇団山の手事情社「タイタス・アンドロニカス」 撮影:Scott Eastman
一方、「女殺油地獄」は、近松門左衛門が生み出した人形浄瑠璃の作品。素行の悪さに実家を勘当された油屋の放蕩息子が、本意ではなかったが結果的に顔なじみの人妻を殺し金銭を奪って逃げる物語。こちらは2012年にルーマニアの国立劇場にて安田が演出した作品。今回は大幅改定して、山の手事情社の俳優で挑む。
2作品について、安田は次のように語る。
「タイタス・アンドロニカス」は「テロリストの誕生」を描いている。むろんシェイクスピアはそんなつもりで書いたわけではないだろう。が、私たちはそう読んだ。読むことにした。すると、古色蒼然としていた場面展開や人物の行動が、ひどく身近に感じられるようになった。ニュースやドキュメンタリーではわからない現代のテロリストたちの息づかいまで聞こえるようだった。シェイクスピアだから上演するのではない。現代的に読めるから、「私たち」がシェイクスピアを選ぶのだ。
劇団山の手事情社「タイタス・アンドロニカス」 撮影:MIHAELA MARIN
「女殺油地獄」は初演後長くお蔵入りしていたが、明治時代に復活した。「金に困った衝動殺人」という解釈で歌舞伎では今も上演されている。悪くはないが、スケールが小さい気がする。この作品を「殺意との遭遇」として読み直したらどうなるか。実は殺意というものはすべての人間の内に潜んでいる。ない、と思っているあなたも持っている。が、大抵は気づかない。たまたま自分の殺意に出会ったら人間はどうなるのか。どんな興奮に包まれるのだろうか。物語は一気にギリシア悲劇のスケールになる。近松門左衛門を世界的な普遍的な作家として「私たち」はとらえなおす。
劇団山の手事情社「タイタス・アンドロニカス」 撮影:平松俊之
出演は、山本芳郎 浦弘毅 倉品淳子 山口笑美 大久保美智子 ほか。
「タイタス・アンドロニカス」
原作=シェイクスピア
日程=2015年11月6日(金)~8日(日)
「女殺油地獄」
原作:近松門左衛門
日程:2015年11月12日(木)~16日(月)
演出:安田雅弘
会場:吉祥寺シアター
出演:山本芳郎、浦弘毅、倉品淳子、山口笑美、大久保美智子、川村岳、岩淵吉能、斉木和洋、水寄真弓、越谷真美、安部みはる、谷洋介、佐藤拓之、中川佐織、辻川ちかよ、鯉渕翼、田中信介、名越未央、髙坂祥平、髙橋真理、佐々木啓、武藤知佳、鹿沼玲奈
公式サイト:http://www.yamanote-j.org/