成瀬心美が本気で組んだバンドの本気のワンマンには企画でも遊びでもない「本当の音」があった

レポート
音楽
2017.10.24
mezcolanza / Cocomi

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mezcolanza レコ発ライブ~a la carta東名阪ツアー~ONE MAN~ 2017.10.21  渋谷LUSH 

mezcolanza

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Cocomi(Vo.)こと成瀬心美、カトウタロウ(Gt./ex.BEAT CRUSADERS))、ハジメタル(Key./ex.ミドリ))、岡野いずみ(Ba.)、西浦謙助(Dr./ex.相対性理論、進行方向別通行区分)の5名によるmezcolanza。強烈な個性の持ち主ばかりが揃いも揃ったこのバンドは、2014年の結成以降、着実にライブ活動を続け、昨年はアルバムを発表。今年8月30日には、ミニアルバム『a la carta』をリリースした。各メンバーが1曲ずつ作詞を手がけた意欲作を掲げ、バンドは東名阪でレコ発ツアーを開催。ツアーファイナルとなった渋谷LUSHでの東京公演は、バンドにとって初のワンマンライブということもあり、多くのオーディエンスが会場に足を運んでいた。

 場内がゆっくり暗転。まずは楽器隊の4人が、最後にCocomiがステージに登場し、ライブは『a la carta』の1曲目でもある「キラキラミライ」からスタートした。軽快でありながらも力強いアンサンブルとパンチのある声を威勢よく響かせると、間髪入れずに「リアリーラブリースケアリー」へ。Cocomiの“渋谷いくぞー!”という叫び声が観客のテンションをグっと持ち上げ、「相合い傘」「ドラマティック ヒロイン」とアップテンポな楽曲を畳み掛けていく。

mezcolanza / 西浦謙助

mezcolanza / 西浦謙助

mezcolanza / 岡野いずみ

mezcolanza / 岡野いずみ

mezcolanza / カトウタロウ

mezcolanza / カトウタロウ

MCでは“『a la carta』の曲、全部やろうと思ってるんだけど、ついて来れんの!?”と煽るCocomiに、メンバーから“しゃべりが荒くなってるんだけど(笑)”というツッコみが入りつつ、矢継ぎ早に曲を繰り出していく5人。イントロでは、バブル期を彷彿させるような手で扇子を振る動きでフロアを一体にしながらも、本編では爽やかな風を吹かせた「Super Ball Girl」から、憂いのある昭和歌謡風な「ひとりよがり?」に繋げていく。そして、ハジメタルが“ハンドクラップをお願いします!”と促し次の曲へ移ろうとしていたが、カトウのギターにトラブルが発生。Comomiが“(ハンドクラップを)やってない人がいるんだよなー! それじゃ始まんない!”とリカバーするあいだに、カトウはアンプに直接シールドを挿すというなんともパンクな方法で「非恋愛シンドローム」へ。続く「Dream Wonderland」では、間奏で照明が激しく瞬き、サイケデリックな演出でもオーディエンスを魅了していく。

mezcolanza

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バンド名のmezcolanzaは、スペイン語で“ごちゃ混ぜ”という意味なのだが、どの曲も徹底的にキャッチーという前提でありながらも、名は体を表すという言葉の通り、いろんな音楽がミックスされていて、その曲調もかなりバラエティ豊かだ。そんな多種多様な楽曲達を繰り出していく楽器隊はもちろん、ときに笑顔で楽しそうに、ときに切なげで狂おしそうに、ときにフロアをまっすぐ見つめながら真剣にと、声色や表情を次々に切り替えていくCocomiの表現力も見事なもので、観ていて、聴いていて、とにかく楽しい瞬間が続いていく。また、MCではハジメタルが演奏するヒップホップ風なビートにあわせて、西浦が即興でラップ的なことをさせられるという場面も。客席からは何度も笑い声があがっていた。

mezcolanza / 西浦謙助

mezcolanza / 西浦謙助

mezcolanza

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後半戦へ突入の合図となった「イン マイ ライフ」では、コミカルに音が飛び跳ね回る中、〈うるさいわね ほっといて〉のフレーズをオーディエンスが大合唱。「シュラ!シュラ!バー」では、ラテンディスコ歌謡のムーディーな雰囲気を高めるように岡野のベースが動く中、ハジメタル、西浦の強烈なソロパートを経て、カトウの情熱的なギターソロになだれ込んで盛り上げる。そしてテンションがピークに達したところで、“会いたいときはまたこうやって集まろうね”と、「ふつうじゃない」を披露。そこまでのライブ然とした熱い空間からガラリと雰囲気を変え、クールでアーバンなサウンドで心地よい余韻を残し、本編を締めくくった。

mezcolanza / Cocomi

mezcolanza / Cocomi

アンコールの声に応えてメンバーが再び登場。曲に入る前にMCが始まったのだが、これまでの賑やかなものとは一変、ハジメタルが会場に足を運んでくれたオーディエンスに感謝を告げると、結成してからこれまでのことを赤裸々に話していく。“去年アルバムを作って、どんどんバンドになってきている。ライブももっとよくしていきたい”という気持ちを吐露し、彼のこのバンドに対する想いがしっかりと伝わってくるものだった。

 そして、Cocomiは“1年前に「夢はワンマンライブをすることです」と言ったんですけど、1年で叶うとは思いませんでした。ありがとうございました。バンドをやるのが夢だったので、本当に楽しいです”と話し、「Glory Days」へ。胸に込み上げてくるものがあったのか、Cocomiは時折声をつまらせながらも、柔らかい表情でフロアに歌いかけていた。

mezcolanza

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mezcolanza / ハジメタル

mezcolanza / ハジメタル

そんな感動的な空気を断ち切るかのように、“次の曲で本当に最後だよ! 私、声帯ぶっ壊れてるけど、みんなも壊せるの!? 声を聴かせて!!”と、ラストナンバーの「STOP ME NOW」に突入。ハードコアな始まりから、クライマックスへ向けてドラマティックに展開していくカオティックなナンバーで、ライブは大団円を迎えた。

 “どんどんバンドになってきている”という発言の通り、制作、ツアー、そしてワンマンライブと、様々な場面を経験したことで、さらに結束を高めたmezcolanza。年内の予定としては、11月13日に新宿LOFTで行なわれるイベントライブへの出演のみとなるが、“年明けにまたいろいろやっていこうかなと思ってます”とのこと。5人が次にどんな音を届けてくれるのか楽しみだ。

mezcolanza

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取材・文=山口哲生  撮影=大橋祐希

 

リリース情報
1stミニアルバム『a la carta』/ mezcolanza
 
[a la carta] mezcolanza

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販売価格:1,800円(税別)
型番:ML003
発売日:2017/8/30
JAN :4582237838602
レーベル:mezcolanza/GRIND PIANO CORE
仕様:CD

【収録曲】
1.キラキラミライ
2. イン マイ ライフ
3. Super Ball Girl
4. ひとりよがり?
5. ふつうじゃない
Vo.Cocomi
Gt.カトウタロウ
Key.ハジメタル
Ba.岡野いずみ
Dr.西浦謙助

 

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