城田優と浦井健治のW主演『ブロードウェイと銃弾』(演出:福田雄一)、爆笑の製作発表レポート

レポート
舞台
2017.11.10
城田優と浦井健治(左から)

城田優と浦井健治(左から)

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1994年アカデミー賞7部門ノミネートの名作映画をウディ・アレン自らがミュージカル化した『ブロードウェイと銃弾』が、2018年2月から浦井健治城田優のW主演で日本初上演される。2017年11月10日、銀座のクラブで開かれた製作発表と囲み取材の様子を写真とともにお伝えする。

城田優と浦井健治(左から)

城田優と浦井健治(左から)

本作は1994年公開された映画で、アカデミー賞助演男優賞、監督賞、脚本賞など7部門でノミネート、助演女優賞を受賞した。ウディ・アレン自らがミュージカル化し、2014年にブロードウェイで上演された。1920~1930年代の曲をアレンジした、軽快でアップテンポな曲が揃っており、ブロードウェイらしい陽気な笑いととソング&ダンスがたっぷり盛り込まれている作品だ。

この日は、出演者の浦井健治城田優平野綾保坂知寿愛加あゆブラザートム鈴木壮麻前田美波里、演出の福田雄一が登壇。多くの報道陣のほか、一般客70人ほどが詰めかけた。

演出の福田雄一

演出の福田雄一

とにかく笑いが多い会見だった。

演出の福田雄一が「東宝で、日生劇場で、と身の引き締まる思いでございます(笑)。真ん中の二人はふざける気満々みたいで、僕は頑張るつもりですが、2人がいうことをちゃんと聞いてくれるかなぁという不安が……」と言うと、城田が片言の日本語風に「日本語ガワカリマセン」と返答し、早速一笑。福田は「稽古はどこまでふざけていけるかなというのがありつつ、美波里さんに怒られない限りはやっていけるかなと(笑)。この作品はウディ・アレンが原作ですので、できれば爆笑のミュージカルにしたいと思います。笑いをつくるならこれ以上の面子はないだろうというキャストが揃いました。2018年初笑いのミュージカルを目指して頑張っていきたい」と述べた。

浦井健治

浦井健治

ブロードウェイでのデビューを夢見る劇作家デビッド役の浦井は「売れない演出家志望で、夢を追うというところがすごく魅力的な役だなと思います。このカンパニーでできることもうれしく思いますし、『タイトル・オブ・ショウ』という作品をやらせていただいたことがある福田さんとミュージカルをやれることをうれしく思います」と語る。「福田さんの稽古場は雑談が多く、和気藹々と楽しむことができる。楽しいものをお客さまに作っていくという笑いの現場が大好き」と期待を寄せる。

城田優

城田優

マフィアの親玉ニック(ブラザートム)の愛人のボディーガード・チーチ役を演じる城田は、冒頭と同じように片言の日本語風に「コンニチハ。今日ハ私ノタメニ集マッテクレテアリガトウ」と切り出し、周囲を和ませる。そして、「10年ぶりのブロードウェイミュージカル、コメディも初めてなので、非常に楽しみ。福田さんとは映像では何度もご一緒しているので、福田さんの映像作品を作る過程や思いは理解しているはずですが、舞台では初めて。ドキドキしながら、とにかく皆さんに笑顔や勇気や元気を届けられるようなハッピーなものを作れるよう稽古を頑張っていきたい一心です」と真面目に話すも、「個人的にはタップが本当に不安で……降板したい気分です」と漏した。

平野綾

平野綾

ニックの愛人オリーブ役の平野綾。オリーブが"キンキン声"という設定を意識して、元気よくあいさつ。「新たな挑戦だなと思っています。福田さんの舞台もドラマも経験させていただいて、稽古場から白熱した稽古が繰り広げられています。毎日セリフやアドリブを変えなくてはいけなくて、いつも気が抜けない現場なので、数ヶ月は激やせする思いで頑張りたいです」と語る。

保坂知寿

保坂知寿

個性派女優のイーデン役は保坂知寿。"いつも犬を連れている"というイーデンの設定について、福田が「ブロードウェイだと本物の犬を使っているらしい」と話すと、城田が「うちの犬貸しましょうか?その辺でおしっこするかもしれないけど」。保坂は「映画版と同じ種類の犬を飼っている」と告白し、「本番はぬいぐるみになるかも分かりませんが(笑)、犬のしつけを頑張りたいと思います。このメンバーで、福田さんの作品で、絶対に楽しいものになるという確信があるので、この強烈な個性に埋もれないようにしたいです。良いお年を」とあいさつした。

愛加あゆ

愛加あゆ

デビッドの恋人のエレン役を演じる愛加あゆは「今回福田さんの舞台は初めて出演するので、ドキドキしながらも楽しみです。コメディも大好きなので、今回もいろんな引き出しを増やしながら頑張って食らいついていきたいなと思っています。映画もとても素敵な作品ですが、ミュージカルになって、素敵な楽曲とダンスが入って、一体どんな風になるのか楽しみです。頑張りますので、よろしくお願いします」と話した。

『王家の紋章』で共演した浦井と晴れて恋人役を演じられることについて、「(『王家の紋章』では)片思いをして全く報われず、お姉さまに燃やされる役だった。ほぼ黒焦げでウロウロしていた(笑)。それが今回成就しました。とても嬉しいです」と笑顔だった。

ブラザートム

ブラザートム

マフィアの親玉で、デビッドの芝居に出資するニック役のブラザートムは「どうもコンニチは、福田雄一役のブラザートムです」とおどけてみせた後、晴天にもかかわらず「今日はお足元の悪い中、ありがとうございました。ありがとうございました」とのみ語り、笑いを誘った。

鈴木壮麻

鈴木壮麻

名優だが過食症で女癖の悪いワーナー役の鈴木壮麻。福田演出の作品が『フル・モンティ』以来だという鈴木が「フル・モンティの経験が体の中に蓄積されている。トムさんと話していて、脱ぐ気満々だからそんな場面があればいいなと話していた」というと、福田は「それは勝手にやっていただいて」とツッコミを入れた。「美波里さんとチーちゃん(保坂知寿)は劇団以来の付き合いで……美波里さんの横でコーラスラインをやっている自分を思い出しますし……綾ちゃんとは今年の春に双子の役をやらせていただいて……(笑)。念願の優くんとの初共演で、楽しい現場になるんだろうなと思います」と人脈の広さを語った。

前田美波里

前田美波里

プライドの高い主演女優ヘレン役を演じる前田美波里は「コメディということだけでやりたいなと思いました。劇作家に脚本を書き換えろと色仕掛けをする鼻持ちならない大女優です。作品としてコメディをやらせていただくのは、芸能人生うん十年ですが、もしかしたら初めてかもしれないので、すごく頑張らなくてはいけない。そして、浦井さんとのキスシーンがございます!」とやる気十分。それに対して浦井は「第一線で活躍されてこられた、キラキラした先輩とキスするんだぁと、一番緊張しています」としどろもどろ。

浦井健治

浦井健治

城田優

城田優

製作発表の終盤、浦井と城田がそれぞれナンバーを披露した。浦井が歌ったのは『I’m Sitting on Top of the World』。ブロードウェイデビューが決まりいよいよ稽古初日を迎えたデビッドが、希望に溢れた胸の高鳴りを歌っている楽曲だ。一方、城田が歌ったのは『Up a Lazy River』。人を撃ち殺した後にチーチが歌う、ゆったりとしたジャジーなナンバーだ。その後の囲み取材で、浦井は「優の歌は本当にうまい。顔出しもそうなんだけど、喉が違う。シのフラットの高音まで出している。すごい」と絶賛。歌詞を間違えたといい少し悔しそうな城田も「健ちゃんは安定。絶対にぶれない優等生。俺は決めるところで決められない男なので」とべた褒めした。

城田優

城田優

会見後、城田と浦井が囲み取材に応じた。

−−W主演だが、改めてお互いの印象は。

浦井 国民的スターでイケメンの城田優というブランドがあるんですけれど、実はギャップ萌えがある。例えばミュージカルで大きな役をやっている時でも、自分に厳しかったり、「ちょっと怖いよぉ〜」という弱音をオープンな心の人には話してくれる。その時にキュンとします。

城田 健ちゃんは僕とは逆で、もちろん本人はプレッシャーなどを感じるところもあるでしょうけど、そういうところを一切感じさせないぐらい、安定感がある。それは初めて共演した時から感じています。本当にすごく真面目。全体稽古とは別に稽古やトレーニング、レッスンをやられていて、向上心がある。素晴らしいです。

−−ライバル心のようなものは?

城田 一切ないです。僕は主演じゃないと思っているんで。

浦井 いや、主演だよ?(笑)

城田 役としては彼が主演で、僕は後ろの方でちょちょちょっと。

浦井 この『ブロードウェイ〜』をやる時に優が決まって、優が誰とやりたいと聞かれた時に、僕を指名してくれたそうなんです。

城田 そう。その時も思っていたけど、僕は主演じゃない。主演はデビッドです。

浦井 それがすごい嬉しかったんです。

−−二人は結構前からお知り合いなんですか?

浦井 もともと『美少女戦士セーラームーン』のタキシード仮面で、僕が6代目で...

城田 僕が7代目。健ちゃんのタキシード仮面のビデオを見た。彼のやった役をそのまま、歌もダンスもセリフも引き継いで、浦井健治のエキスを全部取り入れて初舞台に立ったので。もちろん存じ上げておりました。共演は初めては『エリザベート』。共演してからは7年ぐらいだね。

−−今回はコメディですが、コメディセンスがあるのはどちらですか?

浦井 コメディセンス?それは優です。

城田 そうですね。狙って笑わすのは僕ですが、天然で面白いのは健ちゃん(笑)

浦井 意図的にできません。

城田 それがすごいよ。

浦井健治

浦井健治

−−演出の福田さんについてはどんな印象ですか?

浦井 本当に役者一人一人を愛してくださる。ドラマの現場でロケ中に二人で話すことがあって。その時に「一番格好いいのって、人を笑わせることだよね」と福田さんに言われたんです。それがとても印象的。本当に人のことが好きだし、人のことを楽しませることに人生をかけていて素敵だなと思う。福田さんの笑い声が響いている現場なんです。その笑い声が聞きたいから、頑張るんです。でも、1回やったことに2回目はあんまり笑ってくれない(笑)。ある人は大きな赤ちゃんを笑わせることが仕事の一つだって話していました。

城田 映像では何度もやらせていただいていますが、舞台は初めて。楽しみです。僕がやってきたミュージカルや舞台への取り組み方と180度違う道を示してくれると思っています。正直僕は舞台に立つのが苦手。怖くて辛くてすぐにでも辞めたいと思っているタイプなんで、毎日自分を奮い立たせてなんとかステージに立っている。福田さんの力で、愛と笑いで、もっと舞台を好きになれるんじゃないかなと思って。福田さんの懐に飛び込んで新しい世界に連れて行ってもらいたいと思います。

−−最後に一言お願いします!

浦井 福田組として、ついに『ブロードウェイと銃弾』が始まります。親友でもあり、同志でもあり、戦友でもある城田優とコメディでやれるというのは嬉しく思っています。会見が終わって、このカンパニー絶対面白くなるなと思っています。新年明けて、みなさんが何も考えずに「あ〜楽しかった」とスッキリしていただけるような舞台を目指していきたいと思っています。ぜひとも劇場へ足をお運びください。

城田 製作発表を見ていただければ分かったと思いますが、十人十色、それぞれの色を持った強い個性的な方がたくさんいます。役者さんとしても非常に尊敬する先輩方ばかりで、楽しい舞台が待っていると思います。福田さんの力を持って、僕はまた違う世界を見たいと思っているので、是非是非新しい城田優、そしてこの2人の初めてのシングル同士の共演を見て欲しいです。毎公演化学反応でどんどん面白くなっていくと思います。何度も足を運んでいただいて、2018年素敵な年になるよう、素敵な笑顔を持って帰ってもらいたいと思うので、ぜひ見に来てください。

取材・文・撮影=五月女菜穂

公演情報
日生劇場 ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』

■脚本:ウディ・アレン
オリジナル振付:スーザン・ストローマン
演出:福田雄一
出演:浦井健治、城田優、平野綾、保坂知寿、愛加あゆ、ブラザートム、鈴木壮麻、前田美波里ほか
■日程・会場:

【東京公演】
 日時:2018年2月7日(水)〜28日(水)
 会場:日生劇場

【大阪公演】
 日時:2018年3月5日(月)〜20日(火)
 会場:梅田芸術劇場メインホール

【福岡公演】
 日時:2018年3月24日(土)〜4月1日(日)
 会場:博多座

製作:東宝/ワタナベエンターテインメント
■公式サイト:http://www.tohostage.com/bullets/​

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