毛利亘宏×井俣太良「間違いなく少年社中の最高傑作になる」舞台『ピカレスク◆セブン』インタビュー
-
ポスト -
シェア - 送る
井俣太良、毛利亘宏
2018年1月に開幕する少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』。2016年3月に上演された『パラノイア★サーカス』に続く第二弾企画となる本作は、“登場人物、全員、悪者”というキャッチフレーズの下で、主役がヒーローではなく、まさかの“極悪人”たちというピカレスクロマン作品。さらに、劇団「少年社中」の20周年記念第一弾公演でもあり、劇団主宰の毛利亘宏脚本による完全新作となっている。今回は、本作で脚本・演出を担当する毛利と少年社中の看板役者でもある井俣太良に20年間の思い出や新作にかける思いを聞いた。
――20周年おめでとうございます。この20年を振り返ってみていかがですか?お二人は高校時代からの友人関係だそうですね。
井俣 20年前はこんなに劇団が続くとは思っていなかったですね。劇団をやりたい、自分たちが面白いと思うものを作りたいという思いで上京してきたので、なんか20年と聞くと変な感じです。
毛利 高校時代に同じ演劇部で活動していて、それで上京して3年ぐらい準備してから旗揚げしたんです。劇団より6年ほど長い26年間のつきあいと考えると、すごいですよね。
――全てを知り尽くした仲ですね。
井俣 そうでもないよな(笑)。
毛利 そうでもないよね(笑)。
井俣 ただ、上京当時は一緒に住んでいたし、そういう意味ではお互いの人となりは理解をしているつもりですけど。
毛利 確かにね。
井俣 仲良しベッタリでも変な感じだしね。もともと劇団を旗上げる前はもっと喧嘩じみた感じもあったよね。
毛利 たぶん一番仲が良かったのは高1の出会った年だと思う。
井俣 そうなんだ。
毛利 うん。一番仲が良かったのは高1から高2の頃。後はもう下り坂だね(笑)。
井俣 僕は覚えてないな(笑)。そうかもしれないね。当時から面白いものを作ろう、作りたいと僕も毛利も思っていて、でも僕は本が書けないから毛利に書いてもらうしかないわけで。だから、面白いか面白くないかというジャッジをいつもしていたよね。
毛利 そう。厳しかった。
――鈴木勝吾さんと宮崎秋人さんのインタビューで、毛利さんについて井俣さんが「ここまで面白い本を書くとは思っていなかった」とおっしゃっていたことを聞きました。
井俣 10年前とかの作品とかを見返すようになったんですけど、やっぱり粗いんですよ。そういうのが引っかかっていた頃だったし。劇団★新感線、第三舞台、惑星ピスタチオならもっと面白いはずだ、みたいなね。そういう僕らの憧れた劇団と比較して、とにかく面白いものをやるには面白い本を書いてもらうしかないですから。だから、僕の理想であり毛利の描く理想を合致させていく作業をバチバチとさせながらやっていた時期がありました。
毛利 そうだね。
井俣太良、毛利亘宏
――お互いの関係も高一の頃から何か変化はありますか?
毛利 「そうじゃねえだろ。そこまでじゃねえだろ。もっとできるだろ」みたいなことをずっと言い続けていたというのもあるので、友人関係からパートナーになっていったということですかね。でも、ずっと同じ夢を見られているのはすごいですよ。
井俣 ここ最近は面白い作品がようやく書けているなと思いますよ。完全に上から目線ですけど(笑)。
毛利 いやいや嬉しいですよ。ありがとうございます(笑)。
井俣 それはお客さんの反応を見ればわかるし、自分らの実感としてもありますからね。もちろん、僕ら役者がそれに応えなきゃいけないという責任も感じてやっていますけど。良い作品に応えるのはやっぱり役者でしかないから、こっちが頑張らなきゃみたいなことはありますよ。逆に、面白くない作品をいい役者がやってもという部分もあるんですけどね。
毛利 やっぱり脚本だからね。
井俣 そう。やっぱり脚本はすごく大事。それによって役者のモチベーションも変わるので。自分たちは必ず面白い作品をやっているという確信ほどカンパニーを強くするものはないからね。
――少年社中が目指していたことの一つがサンシャイン劇場での公演だったそうですね。それは少年社中×東映 舞台プロジェクト第一弾『パラノイア★サーカス』で実現しました。
毛利 ここまで来たかという感じはありました。
井俣 僕らが憧れていた劇団はサンシャイン劇場でやっていたので、大きな到達点の一つでしたね。それで、自分たちがもしかしたらそこにたどり着けたかもという確信を持てたのが『パラノイア★サーカス』だった。
毛利 演劇集団キャラメルボックスのホームグラウンドであるサンシャイン劇場で自分たちが勝負して、並んで評価されるということで身が引き締まりましたね。
井俣 昨年あたりから自分もそういう地平に立ったという自覚が生まれました。立つまではまだそこには早いのか…という感じでしたけど、ちゃんと評価をもらえた時には、自分たちが考えてきた面白いものはこの劇場でも通用するなと感じましたね。それから今はもっと違う場所でも試したいという気持ちになっています。
毛利 そうだね。それこそ、この前の『モマの火星探検記』を上演した天王洲 銀河劇場だったり、Bunkamuraシアターコクーンだったりいろいろな劇場でチャレンジしていきたいという思いがあります。700人ぐらいの中劇場でも通用するんだと思えたし、東京芸術劇場プレイハウスでも実力を出せるという確信はあります。もう1ランク上でもいけると昨年は思えたので、このプロジェクトの2回目である今回は攻めの勝負だと思っています。1回目は手探りしながらでした。今までやっていた手法がここで通用するのか、通用しなかった場合はちょっと保険をかけておこうという計算もありながらやっていたんですよ。でも、意外といけるという思いがすごくあったので、今回はもっとむき出しで勝てるという確信のもとにいろいろなチャレンジができそうです。
井俣 この『ピカレスク◆セブン』はここ最近のウェルメイド路線をちょっと外れて、もともと少年社中がやっていたような少年の純粋な凶暴性や、いろんな闇や影といった部分を前に出しているよね。最近はそういうのからちょっと離れた部分があったけど、若い頃は結構そういうのが好きだったんですよ。
毛利 ナイフを刺しにいくじゃないけど、救いが無いようなね。
井俣 お客さんを突き放すような暴力的な内容だったよね。でも、そういうのも僕らが今まで歩んできた道筋の中でやっていることだし、もう一度見つめ直して20周年で全員が悪人というあまりやったことがないことをやれればと思いますけどね。
毛利 むき出しの少年社中が牙をむくような作品にしたいね。
井俣太良、毛利亘宏
――今回は「少年社中×東映 舞台プロジェクト」の第二弾でもありますが、このプロジェクトについて感じることはありますか?
毛利 制作会社と劇団が一緒にやる時に、制作会社の意見は意外と強いんですよね。いくつもそれで失敗している劇団を見ているので、最初にやる時は慎重に考えていたんですよ。だけど、1回目をやってみて、東映さんが少年社中というものをとにかく尊重してくれたんです。少年社中のものづくりを届けたいから、一緒に組んでプロデュースしたいという思いでやっていただいたんです。だから、広告や金銭面だけでなく、キャスティングといったところも全面的にバックアップするから作品はあなたたちの思い描くものを作ってくれという関係性で、これはすごいことですよね。こういう結びつきでやれているプロジェクトは新感線が松竹と組んでいたぐらいしかない気がします。やっぱり昭和初期からずっと作品を作っている会社の懐の深さというか、ものづくりに対してのポリシーを感じますね。
井俣 僕は東映さんの『仮面ライダードライブ』に出演させていただいて、毛利も仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズの脚本をやっていたことで、スーパーヒーローを演じた役者の方と舞台で共演させてもらえるので、僕らとしてもすごく刺激になるし、このヒーローとこのヒーローのマッチングみたいなそういう面白さもあると思うんですよね。そういうのが好きな方にはすごく面白いというか、刺激を持って映るんじゃないかな。僕ら少年社中もいい加減かなり中年なので(笑)。その少年の部分を担ってもらうには若い力も必要だから、そういう若い時にしか出せないきらめきの部分を担っていただいたり、その人たちにしかできないことをやってもらえますからね。僕らは僕ら劇団員で全面バックアップして少年社中がやりたいこととして、家族のようにものづくりをやる姿勢が伝わっていければ面白いですね。
――『ピカレスク◆セブン』に登場する “極悪人”の顔ぶれは、過去の少年社中の作品に登場したキャラクターたちも揃っていて、ある意味でスーパー少年社中大戦とも言えますね。
毛利 そういうイメージはありますね。セルフパロディーではないですけど、20周年らしいお祭り感というか、悪の祭典を開きたいなと思ってまして(笑)。前回の『パラノイア★サーカス』も江戸川乱歩オールスターみたいな形でやらせもらいましたが、こういうオールスター感のある物語がすごく東映コラボには似合うと思うんです。原点は東映まんがまつりのワクワク感なんですよ。『マジンガーZ対デビルマン』みたいなね。
井俣 なるほどね。確かにそのワクワク感はある。
毛利 子どもの頃に忘れられない「このマッチメイクは見逃せないぜ!」という感覚だよね。それが大して面白くなかろうがいいんですよ(笑)。
井俣 まあね(笑)。
毛利 ただワクワクして、「デビルマンがでかくなってる!」みたいなのを含めて無茶苦茶だと思いながら楽しい夏休みになるという感覚があるといいなと。少年社中の舞台をずっと観てきてくれた人も楽しいと思えるところもあるし、でも新作を作るという意思表示もちゃんと見せたいし。セルフパロディーのお祭りではなく、羊の皮を被った狼みたいな凶暴性を出したいというのがありますね。
――同じ東映作品でもある映画『魔界転生』の影響もあるかと思いました。
毛利 それもありますね。『魔界転生』は大好きです。でも、舞台上に面白い『魔界転生』を作りたいという気持ちですね。ファンタジー世界の人もいれば、シェイクスピアもいるという超魔界転生みたいな、スケール感にプラスしたものをね。
井俣 妖怪ぬらりひょんとか出てくるしね(笑)。そういう世界や時代背景もバラエティーに富んでいるね。
――これが1本のストーリーにどうまとまるのか気になります。
毛利 並べた時にまとめられるなというラインナップだとどうしても面白くないんですよ。これは無理だろうというところをまず設定しておいて、その無理に挑むんです。
井俣 昔からそうだよね。昔はハチャメチャな発想でやっていた。今回は誰が話を聞いてもハチャメチャだと思うけど、それを今の毛利のスキルで、20年前と同じような地平に立ちながらも、どうするのか楽しみだよね。
毛利 昔はそうやってよく負けていたからね(笑)。
井俣 そうだったね(笑)。「これは破綻してる!」となって、「分かった、とりあえず終わらせるしかねえ!」と幕を下ろしていた。
毛利 もうどうにもまとまってないままにね(笑)。この2年ぐらいですけど、テレビ向けに『宇宙戦隊キュウレンジャー』などの脚本を書いてきて、一人で思いのほか書けたというところから「だいぶ腕が上がったんじゃないか?」と自分自身、勝手に思っているところもあったんですよ。この2年間フルで、物語を書いてなかった日が無いレベルの強烈なトレーニングをしたから(笑)。脚本家として虎の穴で修行していたみたいなね(笑)。
井俣 脚本家養成機関か(笑)。
毛利 ムチを振るわれて「書け!書け!」みたいな(笑)。「書け!書け!」と無理難題を出されて、この状態がずっと続いていた(笑)。他の戯曲も含めて1か月に5、6本ぐらいのペースで本を書いていて、一時期は『手裏剣戦隊ニンニンジャー』と『仮面ライダーゴースト』を同時に書いていましたね。それで、かつての自分ができなかったことができるようになっているはずだという自信が持てたんですよ。そういうこともあって、劇団メンバーに背中を押してもらうことも含めて無茶に挑戦できるんです。劇団が会社化したので、守りにいきたい自分もどっかにいるんだけど、思ったより劇団員が「それでいいのか?」と言ってくれるんですよ。
井俣 僕からはそんなには言いませんけどね(笑)。でも、そういう空気ですよ。いいか悪いかちゃんとジャッジしたいという思いは僕も含めて劇団員はみんな持っていると思う。
毛利 もっといけるよという後押しは感じるんですよね。
――そういう関係性だからこそ20年も続けることができたんですね。
井俣 尻を叩かれているタイプですね。主宰でありながら、劇団員たちが厳しい目でちゃんと見ている。
毛利 劇団員が本当に厳しくて、外のプロデューサーのほうが優しい(笑)。
井俣 (笑)。
毛利 でも、信じてくれているということでもあるので、すごく頼もしいですよ。任せるだけでなく、みんなが自分の劇団に対しての誇りと愛と覚悟を持って臨んでくれていることなので。それゆえに20年もできたと思いますね。
――井俣さんも舞台だけでなく、東映特撮などでテレビに出演するなど活躍の場が広がりましたが、劇団旗揚げの頃から考えるとどう変わりましたか?
井俣 親が喜ぶ、ですかね(笑)。
毛利 それはそうだね(笑)。
井俣 映像だろうが舞台だろうが僕は別にどの作品でも全部一緒だと思いますけど、でも間違いなく親にとってはテレビに出たというだけで違いますよね。いろんな人に宣伝をしたみたいで、だからテレビに出た時にようやく親孝行できたなとは思いました(笑)。
毛利 でも、テレビからいろいろと学んできたこともあるよね。
井俣 テレビは本当に初心者だったからね。
毛利 毎日その役を演じている状態が平常になるという緊張感が自分を上に上げてくれるよね。
井俣 その場限りじゃなくて、1年以上作品に関わってずっとその役をやれるというのは、今だと大河ドラマか仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズぐらいじゃないですか。そこでつながれた仲間もいるし、そういう現場はめったに無いですよ。糧になったし、映像ってこういうもんだというのを体験させてもらいました。映像は自分がプランを組んでいても、いつも動きとかが変わっちゃうから全部フラットにしなきゃいけなくて、本当に瞬間的な対応力が必要なんですよね。だから、もっとニュートラルで何かくっつけて過剰にしなくても伝わることがいっぱいある世界だなと感じました。それは舞台でも、なるほどと思ったんですよね。本当に良い体験でした。
毛利 ドライブは三条陸さんの本が良かったしね。最終回スペシャルはゴーストの紹介エピソードだけど、なぜか脚本は僕が書いた(笑)。しかも、出演者みんなのスケジュールが厳しいなかで、「井俣さんは好きに使えますよ」と言われた(笑)。それで一緒にできたから、すごく幸せだったよ。
――別の人が作り上げた井俣さんが演じるキャラクターについて、脚本を書くというのはまた何か特別なことがありましたか?
毛利 もともとクロスオーバーや人のキャラクターを使うのは得意なほうですし、もちろん1年通して仮面ライダードライブを見ていたというのもあるので、すごく嬉しかったですよ。
井俣 エピソードとしては最終回の前に大団円として終わっていて、主人公・泊進ノ介がドライブに変身しなくても仮面ライダーだという名台詞で終わらせているんだよね。迷っている進ノ介を焚きつけるような役をやらせてもらえたし、嬉しかったですよ。その前の『仮面ライダー鎧武/ガイム』で毛利は脚本をやっていたから、そういう機会があるのかなと思っていたら、なかったんですよ。だから、ようやくできたねという思いがあった。
毛利 たまたまドライブの時は、ニンニンジャーを裏で脚本を書いていたから。でも、どうしても最後だけはみたいな感じになって、それでやらせてもらえた。
井俣 しかも、進ノ介が一人の人間としてのヒーローになろうと向かって歩いていくというところが、ちゃんと最終話になっていたよね。
――大団円で終わったあとの作品を書くというのはかなり大変ですよね。
井俣 あれは本当に難しかったと思いますよ。
毛利 地獄でしたよ(笑)。
井俣 だと思う(笑)。
毛利 仮面ライダードライブのプロデューサー・大森さんから「コメディーな話なので、気軽にお願いします」的にオーダーされたのに、「やっぱり、最終回じゃなきゃダメだと思うんですよ」と突然に言われて(笑)。「やめてくれよー。俺、ドライブ書いてなかったじゃん。三条さんに書いてもらおうよ」という気持ちになった(笑)。
井俣 ちゃんと最終話にしなきゃいけなかったからね。
毛利 26年やってきて、そういうことは奇跡みたいなことなので、とても思い出に残る1話でした。
井俣太良、毛利亘宏
――今回の井俣さんの役柄は『マクベス』の三魔女の1人とのことですが、実は他にも役を背負っているとか?
井俣 ヌルハチという悪人も演じます。ヌルハチも少年社中の初期作品で、若い水戸黄門がモンゴルを旅するという『YELLOW』(少年社中 第10回公演『YELLOW』)のキャラクターですね。
毛利 清の初代皇帝ヌルハチですね。こんなの誰も知らない役ですけど、ただハチャメチャでインパクトは強い。
井俣 魔女役について僕は結構ニヤリとしています。他の劇団ではわりとこういう女属性のものをやることがあるんですけど、少年社中ではあまりないんですよ。でも、それがメチャクチャ楽しいし、少年社中でついにこの扉を開いてくれたかという気持ちですね。「なんで知ってるんだ?」という気持ちです。
毛利 それは知らなかったけど(笑)。「外でやってるって、どれだっけ?」という感じだよ。
井俣 演劇プロデュースユニット「空想組曲」の『ドロシーの帰還』で西の魔女役と、初上陸した劇団「鹿殺し」とライブハウスでコラボした時に上演した野球漫画『アストロ球団』のバロン森役ですね。
毛利 なぜか岩田有民が鹿殺しと共同で企画したやつか。
井俣 バロン森は2004年の頃だから相当古い話ですよ。
――毛利さんから本作で井俣さんに期待しているところは何でしょうか?
毛利 やっぱりカッコよさですね。この前、『モマの火星探検記』の映像を編集していて、改めてカッコイイと思いましたよ。やっぱり劇団の看板だなという感じです。
井俣 ほほう。そうですか(笑)。自分の追い求めるカッコよさというのは、他の人とはちょっと違うのかなと思いつつ、でも、そこを信じていたいというのはありますけどね。出ている人たちは僕よりカッコイイ子たちばっかりだから、もっと背中とか居ずまいみたいに体で表現したいということかな。今回は悪というワードが入っているので、それがやれそうな気がすると思います。自分が鍵をかけていたものが解き放たれるような感じはすごくしていますね。
――三魔女の残り2人は大竹えりさんと相馬圭祐さんですね。本作では三魔女以外にもいろいろとチームがあるようですが、どのような考えでそれぞれの役者を振り分けたのでしょうか?
毛利 チーム分けについてはこれならば面白いという確信ですね。二人に挟まれている相馬くんについては、劇団員に発表した時に「あっ…かわいそう」という反応でしたよ(笑)。
井俣 「混ぜるな危険」ですかね(笑)。鈴木勝吾と僕もそうですけど、自由に自由を足したらみたいにあまり混ぜちゃいけない。だから、相馬くんが僕とえりさんの間で上手くクッションになってくれることを祈っています(笑)。
毛利 相馬くんに劇団員としての働きを要求しようと思っています(笑)。
井俣 そうだね(笑)。くっついて緩衝材になって欲しいね。
――今までの少年社中の作品でも井俣さんは悪役を演じることはあったと思いますが、今回は悪漢ということで、また違うものとなりそうですか?
井俣 そうですね。まあ今回は魔女ですけどね(笑)。魔女はマクベスをそそのかして悪に染めていくというか、上からいろいろなものを見て弄ぶような感じかな。だから、共演者たちをどんどんと悪の色に染めていくのを楽しんでいるタイプなんじゃないかなと。まだ分からないですけどね。
毛利 たぶんそんな感じ(笑)。でも、この付き合いの中で何十週も周回して、井俣太良はこうするとカッコイイというものを見つけているので、今回はいけるんじゃないかな。そして、相馬圭祐が上手くやってくれると思います(笑)。
井俣 新たな劇団員としてね(笑)。
毛利 相馬くんのポジションは劇団員だと心が折れるポジションだからね(笑)。
井俣 (笑)。でもね、圭ちゃんはやってくれる感じがする。すごく心強い。真面目だし、真っ直ぐだし、全部受け止めてくれるし、気持ちで返してくれる感じがある。面白いマッチングだなと思っています。
――最後に少年社中20周年記念の本作と今後の展望について、ファンの方へメッセージをお願いいたします。
井俣 20周年にして自分たちの集大成であり、かつ原点に帰って自分たちの純粋な欲望というものは何なのかというのを問いかける作品になると思います。わりと挑戦的な作品だと思います。だからこそ、自分たちはある意味で苦しい思いをしてこの作品を生み出すんじゃないかなと思います。だけど、それは本当に楽しみだし、今までの経験上ものすごくエキサイトな作品になるという予感はあるので、そこはぜひ期待してください。
毛利 20年もの間に変わり続けてきたものは多いんですけど、その核となるものは全く変わってないままで来られたのは幸せなことでした。これからも少年社中は変わらずにぶれないで行きたいなと思っています。そのためには変わり続けなきゃいけないという相反することもあるから、流れに逆らわず、身を委ね、一方であらがい、それで変わらぬ少年社中をずっとお届けしたいと思っております。やっぱり次の作品が最高傑作だと言い続けられるような劇団でありたいですね。再演は20年続けてきた劇団にしては少ないんですよ。再演ではなく、新作を作るということは失敗する覚悟も持ちつつ、でも全員で苦しんで良い作品を生み出すことになるので、本作は間違いなく少年社中の最高傑作になるはずです。
取材・文・撮影=櫻井宏充
少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』
【東京公演】
2018年1月6日(土)~1月15日(月) サンシャイン劇場
【大阪公演】
2018年1月20日(土)・21日(日) サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】
2018年1月27日(土) 岡崎市民会館 あおいホール
■脚色・演出:毛利亘宏
■出演:
■
※岡崎会場のみ S席 7,800円(税込) A席 6,800円(税込)
※未就学児入場不可
■
■公演公式HP: http://www.shachu.com/p7/