鈴木勝吾×宮崎秋人「記念すべき作品なので恩返しできたら」~舞台『ピカレスク◆セブン』インタビュー

インタビュー
舞台
2017.11.21
鈴木勝吾・宮崎秋人

鈴木勝吾・宮崎秋人


2018年1月に開幕する少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』。2016年3月に上演された『パラノイア★サーカス』に続く第二弾企画となる本作は、“登場人物、全員、悪者”というキャッチフレーズの下、主役がヒーローではなく、まさかの“極悪人”たちというピカレスクロマン作品。さらに、劇団「少年社中」の20周年記念第一弾公演でもあり、劇団主宰の毛利亘宏脚本による完全新作となっている。今回は、「ピカレスクセブン」の一人、マクベスを演じる鈴木勝吾と、「ピカレスクセブン」をよみがえらせるトクガワイエミツを演じる宮崎秋人、今作の主人公で演じる二人に、作品にかける思いや見どころを聞いた。


――お二人とも毛利さんの脚本・演出作品や少年社中の作品には過去に出演していますが、少年社中20周年記念となる作品へ出演されることになった今のお気持ちを教えてください。

鈴木 シンプルに嬉しくて光栄なことだと思っています。個人的に毛利さんにはすごくお世話になっていますし、その方が率いる劇団の20周年ですからね。僕は役者としてたった8年間ですけど、その8年間の中でもすごく影響を受けている方なんです。そこに自分がプレイヤーとしてご一緒できるということで、必ずやらねばならないというプレッシャーもありますけど、記念すべき作品なので恩返しできたらいいなという思いがあります。

宮崎 僕も最初お話をいただき出演すると決まった時は、本当に嬉しいなという一言に尽きました。ですけど、毛利さんと少年社中の(井俣)太良さんと話していて、改めて20年というのは本当にすごいことだなというのがどんどん分かってきたんです。毛利さん、太良さん、それに少年社中の皆さんの今のことは知っていますけど、ここまでどういういきさつがあったのかとか、少し聞いただけで本当にいろいろなことを乗り越えてやってこられたんだなと感じました。そんな作品に自分が関わるというのは本当にありがたくて、責任重大です。だから、今は本当に身が引き締まる思いですね。

――毛利さんや劇団員の方と20周年に関わることで何か話しましたか?

鈴木 前回の『パラノイア★サーカス』をサンシャイン劇場で上演した時に、劇団員の人たちが「少年社中がサンシャイン劇場でやれる日が来るなんて…」みたいな話をおっしゃっていたんですよ。そういう話を聞いて、演劇に向き合ってきた方たちに対する尊敬と、歴史の重みをすごく感じましたね。ゼロから劇団を作り上げて、一個ずつ作品を生んでいくというのは本当にすごいことなんだなと。少年社中の皆さんの作品や劇場に対する思いを聞いていると、言葉の端はしからそういうことを感じますね。自分ももっと頑張らなければと思いました。

宮崎 毛利さんについて、太良さんが「こんなにおもしろい本を書ける人だとは思っていなかった」と言っていました(笑)。俺は、太良さんが毛利さんのことを最初からおもしろい本を書く人だと思いながらずっと20年やってきたのかなと思っていたんですけど、全く最初はそんなこともなかったそうなんです。毛利さんたちが20代前半の頃に、「これじゃメジャーになれん!」と言って稽古場から帰ったという太良さんの話を聞いて、そんなこともあったんだなと驚きました。20代の頃は本当に困っていたということもおっしゃっていたので、本当に自分じゃ計り知れないぐらいの辛いことをたくさん劇団で共有して、乗り越えてこられたんだなと思いました。それと、太良さんがおっしゃっていたんですけど、毛利さんが今の体型になったのは一気にじゃなくて徐々に20年かけて、年輪のように大きくなったと言っていましたね(笑)。

――お二人の共演はミュージカル『薄桜鬼』からですが、お互いの印象はいかがですか?

鈴木 ミュージカル『薄桜鬼』の時も何か月とか空きつつとびとびに会っていたんですけど、ある頃からすごくたくましい俳優になったなと思いました。僕がミュージカル『薄桜鬼』で初主演の時にいちばん強くそれを感じたんです。彼が他のところでがんばっていることも、すごく嬉しく思うところもあります。変わったというか、微笑ましいというか、すごいなと眺めています(笑)。「見守っている」という表現になるとちょっとおこがましい話になりますけどね(笑)。

宮崎 そう言っていただけると嬉しいですね(笑)。自分は当時からずっと勝吾くんの背中を見て、早く追いつきたいと思ってずっとやってきました。でも共演するたびに、そして勝吾くんが出ている作品を観劇するたびに、やっぱり勝吾くんは一切足を止めてくれないなと思いますね(笑)。毎回、新しい驚きと感動を与えてくれますし、どんどん自由になっていると感じます。よく共通で仲が良い松田凌と、「俺ら結構ハイペースで駆け上がっているつもりなのに、勝吾くんと全然差が縮まっていないね」という話をよくしているんですよ。その理由を考えるんですけど、答えが見つからないんです。だからこそ、俺が好きな人なんだと思うので、ずっと前を歩いていて欲しいですね。でも、カワイイ部分もいっぱい知っているので、カワイイ勝吾くんでいて欲しいなとも思います(笑)。

――そのカワイイ部分とはどんなところでしょうか(笑)。

宮崎 すごい不器用なところがカワイイと思いますね(笑)。気にしなくてもいいのにというようなところにもちゃんとぶち当たって、1回立ち止まって思い悩んで、全部一つ一つクリアしていく姿を見ると、後輩ですけど、けなげでカワイイなと思いますね(笑)。自分だと、そこは1回飛ばして、その先を1回クリアしてから立ち戻って考えるというようなペースでやっているんです。でも、勝吾くんはちゃんと一歩ずつ歩んで、さらに最初にぶち当たっても、次に立ち止まって超える時には、はるかに高い飛点で飛び越えていくので、そこはカッコイイと思いますね。

鈴木 そう言われると、松田とか宮崎の二人も本当にカワイくて仕方がないと思うなあ(笑)。松田は実の弟と同い年で、宮崎は実の弟と誕生日が同じなんですよ(笑)。そんな不思議な縁もあるんですよね。それに、僕がミュージカル『薄桜鬼』という作品の中で二人を見ていると、お仕事や舞台に向かう姿勢、その中で燃えているエネルギーを板の上で余すことなく使おうという考えを感じますし、全然あぐらをかこうとしないんですよね。やっぱりそういう姿って年が上の人間からしてみると、すごく素直に愛せるんですよ。

――お互いにカワイイと思い合える間柄なんですね(笑)。

鈴木 宮崎の場合はカワイイんですけど野心が見えちゃっている子でもあるかな(笑)。だからエネルギーがいっぱいあって、自分の夢とかがすごく滲みでている。芝居を一緒にやっている人たちの中で揉まれていくことで、そのやりたい事をしっかりと一個ずつ自分のカバンに詰めながら、歩んできているなと感じるんですよ。ただカワイくて野心があって、「ああ、こいつカワイイな」という感じでもなく、そこからたくましくなっていますね(笑)。松田もそうですけど、年が下の世代で差を縮めようとしている人たちがいると僕も頑張らなきゃなと思います。数少ない大切な後輩ですね。

――今回は「少年社中×東映 舞台プロジェクト」の第二弾でもありますが、このプロジェクトについて感じることはありますか? 鈴木さんは『侍戦隊シンケンジャー』に出演されていて、第一弾の『パラノイア★サーカス』にもご出演されてますし。

鈴木 僕は東映さんにもすごく思い入れがありますし、毛利さんにもすごく思い入れがあるんです。恩があって、プレイヤーとして呼んでいただけるというのは、またありがたいなと思うのと、同時に恩返しせねばという思いもあります。他の役者もそういう思いを少なからず抱いている人が多いんじゃないかな。毛利さんを好きだったりとか、そういうハートフルな人が集まるプロジェクトだと、2回目の参加で感じています。今年の夏の少年社中の舞台『モマの火星探検記』にも東映さんがプロデュースで関わっていて、毛利さんという人柄がなせた技なのかなと思いますね。東映さんと一緒にやるということも、毛利さんという才能と人柄が相まって、その結果、立ち上げられたのだと思いますし、それに参加したいという役者もたくさんいて、それを観たいというお客さんもいて、しっかりとそこに愛があって集まっている座組だと思います。

宮崎 自分も毛利さんだから出たいという思いがいちばん強いです。駆け出しの頃からずっと見守ってもらっており、ちょっとでも今の自分で恩返しできることがあるなら、恩返ししたいです。出演したらきっと毛利さんや少年社中のメンバー、共演者の皆さんから力をもらうんだろうとは思いますけど、でも自分ができることがあるなら、毛利さんと少年社中の人たちのために何かできたらいいなと思います。『パラノイア★サーカス』はお客として観に行って純粋に楽しかったですね。キャストの全員が圧倒的な華を持っていて、それがこのプロジェクトの特徴かなとも思います。

――本作はあらすじや設定を読むだけでも少年社中らしさが全開で、さらに“登場人物、全員、悪者”ということで今までとはまた違う面白さがありそうな作品ですね。

鈴木 演劇だからなせるものであり、毛利さんが大好きなファンタジーだなと思うと同時に、まだ固まっていない部分がある中でも、やりたいことは強く持っているんだろうなと感じましたね。毛利さんがヒーローをずっと書いてきて、その反面で悪漢たちを書いてみたいということを汲み取って、稽古に臨めたらいいかなと思いました。

宮崎 毛利さんが悪漢というのを書きたいと言っており、その書きたかった作品を自分たちがやれるというのはありがたい事だと思いますね。今回、宮崎秋人がトクガワイエミツを演じるという前提で脚本を書いてくれるので、最低限その期待値を越えて行かなければという責任を感じます。

――本作の見どころはどんなところになりますか?

鈴木 テーマが悪なので、みんなが異なる悪の価値観を持っているじゃないですか。それが毛利さんの下で統合されて作品になるんですけど、それぞれが役者として、あるいは人間として見せたい、もしくは、見せたくない「悪に対する概念」がやっぱり表に出てくると思うんです。そういう個々で異なるものをも、うまく劇の中でお客さんに届けていけたらいいなと思っています。もちろんそれはエンターテインメント上での事ですが。悪漢をテーマにしてピカレスクロマンを描く以上、やはりそういう点を観る方々に問いかけたいという気持ちと期待がありますね。ピカレスクロマンとなると、悪者と呼ばれる人たちでもある部分では悪じゃないということと、どうその人が悪と向き合うのかですね。犯罪者であっても、自分にとっては良い人かもしれないし、殺人犯に命を救われた人はどうしたらいいのかという話になりますからね。そういうものがどこかに絡んでくるんじゃないかなという期待があります。

宮崎 毛利さんが書く作品は、何をテーマにしても絶対に人間の涙腺を細かく突いてくると思っているんです。それがありつつ、ここまで豪華なキャストが揃っているので、自分が『パラノイア★サーカス』で観たあの華というものを今回はどんな色の鮮やかさで出してくるのだろうかというのが楽しみですね。悪漢なので、また『パラノイア★サーカス』とは違う華にはなるだろうなと思います。前回の自分が受けた衝撃を、今回の作品でも観た人に受けてもらいたいなと思いますね。

――演じる役柄について何か感じる部分はありますか?

鈴木 最初に「マクベスって、あの『マクベス』?」って思ったんですけど、マクベスを『マクベス』という作品じゃない中でどう描くのかとシンプルに思いましたね。マクベスを追っているからこそ、あの話が『マクベス』たるものであって、じゃあその後によみがえったマクベスをどうマクベスとして扱うんだろうというところに、すごく期待しています。そこが舞台であって、ファンタジーとして面白くなるところですけど、役者や演出によって幅のあるところとか、その幅の部分がすごく大切かなと思いますね。マクベスに抱いているものがある意味、本来の戯曲で描かれているものなので、それを引き継ぎつつ、そうではないファンタジーとしての『ピカレスク◆セブン』として、マクベスを作っていくのが、今からすごく楽しみです。

宮崎 正直、最初に家光と言われてあんまりピンとはこなかったんです(笑)。家康や綱吉とかなら分かるんですけど、「家光?」となってしまいました。でも、今回の話において、どう描かれるのかというのを聞いた時に、なるほどと思いましたね。イエミツがマクベスに翻弄され、影響されてどんどん変わっていくお話なので、そこのグラデーションが見せられたらなと思いますね。こういう人物だからこうだと最初から決められないので、とにかく柔軟にみんなのセリフとかを受け止めて演じたいと思います。

――ヒーローではなくダークヒーロー、悪者を演じるということをどう思いますか?

鈴木 男子って、特にヒーローと同じぐらいダークヒーローというものに対して憧れを持っていると思うんですよ。不良モノ、ヤンキーモノ、喧嘩モノとか、その時の色々によって違いますけど、どちらも同じ憧れだと思っているんです。その憧れを、どう自分の中で消化するかということなんですけど、基本、今回はみんな悪漢なので、悪には悪なりの正義というものを掲げていると思うんです。それがキャラクターによって違うと思うんです。この『ピカレスク◆セブン』の7人でも違うし、イエミツにとっても違うでしょうし。「じゃあ悪って何?正義と悪って何が違うの?」というところに僕らも作っている段階でたどり着きますし、お客様もそこを感じることになるんだろうなとは思っています。

――マクベスたち7人や、イエミツ、イエヤスたちから見た、それぞれの立場で正義とか悪があるみたいな感じですね。

鈴木 そうですね。ありきたりかもしれませんけど、時と立場によって変わってきてしまうものが、あえてファンタジーの世界からいろんな人間を呼んでいることによって、また違う物語として動くんじゃないかなと思っています。だから、いきなりマクベスがピカレスクセブンの一員に会っても、「どういうこと?」みたいなね。そういう悪は悪でも、程度も立場も全く違う人たちが集まるので、その定義をまず序盤でどう進めていくのかがすごく楽しみですね。

宮崎 そうですよね。

鈴木 色々なキャラクターが出てくるみたいだしね。

宮崎 少年社中20周年にまつわるキャラクターも出てくるし。

鈴木 そうそう。ちょっと胸アツなキャラクターもいるよね。

宮崎 毛利さんがこの話しやキャラクターたちをどうまとめるんだろうというのが気になるので、早く本を読みたいですね。

鈴木 いや、本当に楽しみ。

――最後に観に来て下さる方へメッセージをお願いします。

鈴木 今回、記念すべき作品でもありますし、すごくハートフルで思いがあるキャストが揃っています。そういうものって理屈抜きで伝わるものだと思っています。毛利さんの下に集うとか、東映さんとのこの企画だったら出たいとか、そういう愛があるものって理屈じゃなく、個々の限界を超えていけるとも思います。それがこのプロジェクトの面白いところだと思います。僕も舞台に立ちながら最後列まで声と想いと感情を届かせるべく、常に隅々まで伝わるようなお芝居をしています。だから、きっとスペシャルなものを観せられると思っているので、ぜひ一人でも多くの人にその体験をしていただきたいです。それが役者としての願いであり、そうであったらいいなというロマンの一つですね。

宮崎 少年社中20周年記念第一弾作品ということで、少年社中の今までの作品を観た人は絶対に喜ぶ要素があります。少年社中をずっと応援してきてくださった方は期待を膨らまして観に来ていただきたいなと思います。もちろん、そうでない方も期待十分、膨らませて観に来てください。自分は毛利さんの下で育ててもらったと思っている役者の一人なので、新年一発目でエネルギーをフルに出して、この作品に挑みたいと思っていす。ぜひ期待して劇場に足を運んでください。

鈴木 そうだね。新年から始まる舞台が他にもたくさんありますけど、絶対良いものを作るという思いでいます。みなさんが観て良かったなと思うものにしますので宜しくお願いします!

取材・文・撮影=はろるど りゅうのすけ

公演情報
少年社中20周年記念第一弾
少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』


【東京公演】
2018年1月6日(土)~1月15日(月) サンシャイン劇場

【大阪公演】
2018年1月20日(土)・21日(日) サンケイホールブリーゼ

【愛知公演】
2018年1月27日(土) 岡崎市民会館 あおいホール

■脚本・演出:毛利亘宏

出演:
井俣太良、大竹えり、岩田有民、堀池直毅、加藤良子、廿浦裕介
長谷川太郎、杉山未央、山川ありそ、内山智絵、竹内尚文、川本裕之
鈴木勝吾、宮崎秋人 / 椎名鯛造 、佃井皆美、相馬圭祐、丸山敦史
唐橋充、松本寛也、細貝圭 / 大高洋夫

チケット料金: <全席指定>前売・当日:7,800円(税込)
※岡崎会場のみ S席 7,800円(税込) A席 6,800円(税込)
※未就学児入場不可

チケット一般前売開始 2017年11月19日(日)10:00~
公演公式HP: http://www.shachu.com/p7/

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