ミロシュ(ギター) クラシックをあまり聴かない方々とも音楽を共有したい
©Lars Borges/Mercury Classics
クラシックをあまり聴かない方々とも音楽を共有したい
澄み切ったサウンド、しなやかな感性、そしてハリウッド俳優ばりのイケメンぶりでも人気のギタリスト、ミロシュが、昨秋に続いて日本でツアーを行い、中南米の名曲からビートルズのナンバーまで多彩な作品を披露する。「ギターで演奏できる曲には、素晴らしい作品が、まだまだたくさんありますし、様々な国、様々な時代の作品を、聴衆の皆さんと分かち合いたい」とミロシュは話す。
「私は『クラシックをあまり聴かない方々とも、音楽を共有したい』との思いを、常に持ち続けています。今まで、録音でもそんな気持ちを反映できるように取り組んできましたし、リサイタルでも、もちろんそう。コアな作品だけでなく、ポピュラーな楽曲も聴いてもらうことで、聴衆が普段と違う一面を見せてくれるのが大好きなんです」
昨年の来日リサイタルでは、スペインの名曲を中心に聴かせたミロシュ。今回は、ヒナステラやサビオ、モレルら中南米の作曲家にひとつの力点を置く。
「私にとって、中南米のレパートリーは特に重要で、大好きな作品ばかり。ヴィラ=ロボスらは20世紀のギターの発展を支えてきましたし、今回演奏するサビオやカルドーソ、モレルの作品もそう。ギタリストにとっては、核となるレパートリーと言えるでしょう」
そして、19世紀イタリアの作曲家レゴンディの作品も配する。
「彼自身が卓越したギタリストで、ギターの歴史を考える時には欠かせない。今回は、ロマンティックな哀愁が魅力的な『夢』を弾きます」
また、「何度も演奏していますが、常に挑戦」というバッハの「シャコンヌ」を、彼自身の編曲で演奏。さらに「子どもの頃、ロックスターを目指していた」という彼らしく、名ギタリストのセルジオ・アサドが編曲したビートルズ・ナンバー(10/28公演のみ)も弾く。
一方で、アラン・ブリバエフ指揮の日本センチュリー交響楽団とは、ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」で共演。
「短期間で多くの『アランフェス』の演奏機会を与えられているのは貴重で、とても良い経験。特に、日本の楽団は素晴らしく、技術も優れていますね。今回もとても楽しみです」
今後の目標については、以下のような力強い言葉が返ってきた。
「ギターは私の一部であり、多くの新たな世界を見せてくれます。多様な方向へ成長していきたいですし、様々な国々の皆さんとエネルギーやアイディアを交わしたい。そして、ギター界のためにも、クラシックに関わる機会が少なかった人々にこそ、ぜひ聴いていただきたいです」
取材・文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)
ミロシュ(ギター)
<リサイタル>
10/17(土)フィリアホール(045-982-9999)
10/18(日)岡崎市シビックセンター(0564-72-5111)
10/26(月)あいれふホール(エクローグ音楽事務所0940-42-8747)
10/28(水)浜離宮朝日ホール(パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831)
10/30(金)パルテノン多摩(小)(042-376-8181)
10/31(土)壬生町中央公民館城址公園ホール(0282-86-7117)
<日本センチュリー交響楽団との共演>
10/23(金)、10/24(土)ザ・シンフォニーホール(日本センチュリー交響楽団06-6868-0591)