石丸幹二「ネガティブな部分を演じることが快感」~ミュージカル『ジキル&ハイド』製作発表記者会見
(左から)畠中洋、福井貴一、宮澤エマ、石丸幹二、笹本玲奈、田代万里生、花王おさむ
2018年3月3日(土)から東京国際フォーラムを皮切りに、名古屋、大阪と上演されるミュージカル『ジキル&ハイド』の製作発表記者会見が1月24日(水)、東京・帝国ホテルにて行われた。
人間の持つ“光と影”“表と裏”を、フランク・ワイルドホーンの荘大かつ流麗な音楽によって展開される本作は、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説「ジキル博士とハイド氏」を原作にしたミュージカル。ジキル博士とハイド氏の2役を2012年以来、今作で3度目となる石丸幹二が演じる。
製作発表会場は抽選で選ばれた200名のオーディエンスで埋め尽くされ、期待と興奮が高まる中、カンパニーキャスト18名による劇中歌「嘘の仮面」の歌唱披露よりスタート。その後、満場の拍手に迎えられ、出演の石丸、笹本玲奈、宮澤エマ、田代万里生、畠中洋、花王おさむ、福井貴一、演出の山田和也が登壇。
ミュージカル『ジキル&ハイド』製作発表記者会見
会見の模様
まず、日本初演より7度目の演出となる山田がマイクを握ると「昨日、歌稽古がありキャストの皆さんがミュージカルナンバーを一通り歌っているのを聞いたのですが…やっぱりおもしろいんですよね」と感嘆の声をもらし、「何がおもしろいかというと、人間のネガティブな部分、憎悪であったり、妬み、差別、侮蔑、軽蔑というネガティブな部分がドラマティックに描かれていて、また、そういう人間くさい部分がワイルドホーンさんの見事な音楽によって妖しくて、セクシーに表現されている」と本作の魅力をアピール。
(左から)花王おさむ、山田和也
続いて石丸が挨拶。「人間誰もが持っているネガティブな部分を演じることが快感になってきていて、ハイドを演じている時が楽しいです(笑)」と冗談めかして語りだすと「今回、3度目の挑戦ということで、台本を頭から読み直したのですがまだまだいろいろな工夫ができるなと思いました。そして今回は、メンバーがガラッと変わりまして、今までとは違った人間関係が描けるのではないかと思っています」と再演の魅力を誠実にコメント。
石丸幹二、笹本玲奈
役作りに関しては「私、良いジキルじゃないんですよ。ジキルがちょっと剥がれてハイドが出るようなジキルを作っています」とほのめかし、「衣裳に扮装していると、今にでも(舞台が)始まりそうな気がするのですが(笑)、じっくり稽古して皆様の前にお目見えしたいと思っています。どうぞ、その日までお待ち下さいませ」と期待を煽った。
2012年、2016年の再演ではエマ役で出演し、今作から娼婦ルーシー役を演じる笹本は「鹿賀丈史さんが出演されていた頃の『ジキル&ハイド』を見て、いつかルーシー役をやりたいと思っていました。その後、エマ役で二度出演させていただき、一生石丸さんの奥さんとしてやっていこうと思っていたら、今回ルーシー役をいただき嬉しくて舞い上がってしまい…、エマをやっていた頃の自分をすっかり忘れてしまいました(笑)」と、会場の笑いを誘う。また、今作が妊娠、出産後の復帰作となることに触れ「ルーシーが歌う『新たな人生』という曲の歌詞が、今の心境とリンクしていて、どんな風に歌えるのかとても楽しみです」と意気込んだ。
笹本玲奈、田代万里生
ジキル博士の婚約者エマ役で本作初出演となる宮澤は「エマ役を演じる宮澤エマというフレーズを言える時を心待ちにしていました(笑)」と役名にちなんだジョークで会場を笑いで沸かす。会見前日に行われた歌稽古について「これだけ完成されている再演組の中に真っさらな状態で入ると、こんなにも圧倒されるものなのかと驚き、同時にこのレベルに達しないといけないと身が引き締まりました」と初出演の心境を明かし、「純粋無垢で美しく、寛大の心でジキルを愛するエマ役を演じられれば」と決意を述べた。
福井貴一、宮澤エマ、石丸幹二
ジキル博士の友人アターソン役の田代は「生まれて初めて自分でミュージカルのを買って観に行ったのがこの『ジキル&ハイド』だったのですが、自分がこの板の上に乗るとは思ってもいませんでした」と振り返り、原作とミュージカル版を比較して「(原作では)エマもルーシーも出て来ず、そんなに人も死なない。ミュージカル版にはより残酷でエンターテイメントに富んだ、原作を超えるようなおもしろさがあると思います」と本作をアピール。
今回で3度目の出演となるサイモン・ストライド役の畠中は「エマを好きで好きで、ジキルを勝手に恋敵にするイヤミな男です」と役について紹介し、「初めてこの役を演じさせていただいた時、山田さんから狂犬というお褒めの言葉をいただきました。今回も狂犬を貫いていきたいと思います」と役への姿勢を力強く述べた。
畠中洋、福井貴一、宮澤エマ
畠中と同じく3度目の続投となる執事のプール役を演じる花王は「私はジキル博士の子どものころから仕える身だと思うので、おしめを替えたりもしていたんじゃないかなんて、考えるようになり、だんだん家族のような強いつながりを感じるようになってきました」と感慨深く語り、好きな楽曲を聞かれた花王は「全部、好きです!」ときっぱり言い切り、会場からは拍手が起こった。
花王おさむ
エマの父親ダンヴァース卿役の福井は「『ジキル&ハイド』の舞台を観ていなかったので、台本を読んで驚いてしまってね。語感の印象から『ジキル』が悪い奴で『ハイド』が良い奴だと思っていたんですけど、実は、逆なんですよ…って、みんなわかっているか(笑)」とおどけつつ「僕の役だけに限らず、本音と嘘の部分を顕在化できれば」と気を引き締めた。
福井貴一
出演者の挨拶と質疑応答の後には笹本と石丸による楽曲披露が行われた。ジキル博士への淡い恋心で娼婦としての別れを告げたいと歌う「あんなひとが」を笹本は潤いのある声で歌い上げ、石丸は人間の善悪を分類する薬をなぜ作るのかジキル博士の信念を歌い上げる「知りたい」を熱唱。会場は割れんばかりの拍手喝采となった。最後に石丸が「今までにない『ジキル&ハイド』をお見せできるよう稽古に励みますので、みなさんどうぞご期待ください」とオーディエンスに語りかけていた。
笹本玲奈
石丸幹二
取材・文・撮影=大宮ガスト
■日程:2018年3月3日(土)~18日(日)
■会場:東京国際フォーラム ホールC
■音楽:フランク・ワイルドホーン
■脚本・詞:レスリー・ブリカッス
■演出:山田和也
■上演台本・詞:高平哲郎
■出演:石丸幹二、 笹本玲奈、 宮澤エマ、 田代万里生、 畠中洋、 花王おさむ、 福井貴一 ほか
■料金(全席指定・税込):S席13,000円、 A席9,000円、 B席4,500円
■公式サイト:http://hpot.jp/stage/jh