若さに不釣り合いなくらいタフなロックンロールを鳴らす、climbgrowの進化が止まらない
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ツアー中に亡くなったんですけど、実感が湧かなくて。家に帰ったとき、寂しすぎて“曲を作らんとキツイわ”って。
――1曲目の「POODLE」は、犬の?
杉野:僕が飼ってた犬の曲ですね。
――やっぱりそうなんだ。ひょっとして、もう?
杉野:そうですね。死んじゃったんですよ。
――そうなんだ。個人的に、そういう歌にメチャメチャ弱くて。
杉野:ああ。なんか悲しすぎて……『EL-DORADO』のツアー中に亡くなったんですよ。最初、死んだっていう知らせを聞いたとき、実感が湧かなかったんですけど、家に帰ったとき、寂しすぎて“曲を作らんとキツイわ”ってメンタル的になって。それで作ってましたね、ずっと。
――歌詞で歌っているような思い出があるわけですね。
杉野:ええ。いま谷口が犬を飼っているんですけど、今日も来る前に谷口の家に寄ったら、その犬がぶわーって来て。しかも、色とか大きさとか一緒なんですよ、僕が前、飼ってたトイプードルと。それが近づいてくるのを見て、たまらんなと思ってずっと撫でてましたね(笑)。プーちゃんと似てるなって。
谷口:床がそこら中、水浸しになっているから、泰誠が泣いているのかと思ったら……。
杉野:泣かない、泣かない(笑)。
谷口:犬のオシッコだったんです(笑)。
杉野:絶対うれションするんですよ、僕が撫でたら。今日もしたもんな(笑)。
――プードルってところが、こういういかついイメージのロックンロール・バンドと不釣り合いでおもしろい(笑)。
杉野:そこは隠さんと出してやろうって。それもあったし、大文字にした時に「POODLE」って字面がアホっぽくて。それもいいやんて思ったし。
谷口:柴犬やったらできひんもんな。
杉野:プードルで良かったっていう。せやけど、柴犬って、どう書くの?
谷口:ローマ字でSHIBAINUって。
杉野:渋っ。それやったら柴犬って書くわ、漢字で。
――「LAVENDER」以外の5曲は、ここからどこかに行くっていう歌詞になっていると思うんですけど、それはやっぱりアルバムタイトルで謳っている自由を求めて?
杉野:向こう側って言うか。どこかに行くってすごくワクワクしないですか? たぶん勝手に頭がそう考えちゃっていて、無意識に……でも、『FREEDOM』ってタイトルのアルバムを作ろうと思いながら作っていたから、そうなっちゃったんじゃないかな。どこかに行きたいのかもしれないですね、僕自身が。彷徨いたいのかもしれないです(笑)。
――逆に「LAVENDER」は、安らぎを求める気持ちを歌っているように聞こえます。
杉野:どこかに行って、最終的に落ち着くみたいな感じはありましたね。
――アルバムの最後に見せる無防備さというか、ちょっとした弱さの表れなのかなと思ったりも。
杉野:だって、一番幸せじゃないですか。好きな人と一緒に眠るのって。最終的にそこにいられたらいいなという思いで作りましたね。
――ツアーしながら、そんなことを思ったりするんですか?
杉野:そうですね。“眠りてえ”みたいな(笑)。
田中:ツアー中は、みんな早く家に帰りたがっているかもしれない(笑)。
杉野:思いっきり眠りたいって。
――いや、そこじゃなくて、好きな人と一緒にっていう(笑)。
杉野:そうですね、そうですね(笑)。
――今回の歌詞について、3人はどう思いましたか?
近藤:「ROCK'N'ROLL IS NOT DEAD」の出だしの言い回しがかっこいい。歌詞と歌声がすげえ合っているなって。
田中:「ROCK'N'ROLL IS NOT DEAD」ってバーン!と言っているのがかっこいいと思います。
近藤:いっちゃん最後?
田中:うん。堂々と言いきっているところがめっちゃ好きです。
谷口:僕は「POODLE」。僕もめっちゃ犬が好きなんで、自分の犬が死んだら、ほんまにこんなふうになるんやろなって。泰誠、へこんでいるそぶりをこれっぽっちも見せなかったけど、歌詞を読んだらめっちゃ落ち込んでたんだって。笑いながらプーちゃんのことを話したりするんですけど、めっちゃ落ち込んでるやんって。
杉野:恥ずかしいわ(笑)。
――でも、可愛がっていたペットが死んだら、誰でも泣きますよね。
杉野:あるとき、山の上にある霊園に行ったんですよ。階段を上って、墓にたどりついたときに、僕の犬、プー太郎っていうんですけどね。墓に「杉野プー太郎」って書いてあって。それが、バカっぽいんですけど、はしゃいでた姿と重なって、ちょっとグッと来ましたね。“うわっ、こんなんちょっと泣きたないけど……”って、涙がぴっと出ましたね(笑)。
climbgrow 撮影=山内洋枝
――曲についても聞かせてください。さっきおっしゃっていたように、シンプルになったことももちろんなんですけど、けっこうブルージーというか、今回、ちょっと泥臭い感じもあると思うんですけど、それはどんなところから出てきたものなんですか?
杉野:「ROCK'N'ROLL IS NOT DEAD」なんて、もろですけど、バカにされたらやっぱり悔しいじゃないですか。「おまえのバンド、行けるの?」みたいな。そういう感情がもろに出ているというか、それをそのままぶつけたろみたいな。死んでるって言う奴もいるじゃないですか、ロックンロールが。そんな奴らのことはどうでもいい。早く聴かせたいですね、この曲を。そんなしょうもない奴らに(笑)。生きてると言いたい。ロックンロールは生きてるって。
――「ROCK'N'ROLL IS NOT DEAD」と「SCARLET」のリフは、すごくブルースっぽいんですけど、近藤さんが考えた?
近藤:はい。
――前回、「climbgrowはロックンロールって言ってやっているけど、泥臭くないところが自分達の個性だ」とおっしゃっていたと思うんですけど。
近藤:ちょっと泥臭いですね、今回(苦笑)。
――いえ、いんですよ。泥臭くてもかっこいいから。ただ、どんな変化があったのか知りたいんですよ。
近藤:別に聴いている音楽は変わらないんですけどね。
杉野:元々、うまいんですよ。こういうブルージーと言われるフレーズが。そういう音楽は聴いてないと思うんですけど、でも、僕が曲をぽんって持っていって、「エロい感じにしてや」って言ったら……。
近藤:「わかった」って(笑)。
杉野:最高のリフを持ってきてくれたっていう。
――自分はこういうスタイルのギターしか弾かないということではなく、曲に一番ふさわしいものを提供する、と?
近藤:はい。
――「SCARLET」のシャッフルっぽい跳ねるリズムも、さっき言っていた新しい試みだったのでは?
谷口:ライブでそういう曲がいるなって思って。そういうノリの曲、全然なかったんですよ。わかりやすいと言えば、わかりやすいじゃないですか。セッションで作ったんだっけ?
杉野:サビだけ俺が持っていって。
田中:演奏していても楽しいですね。普段やらないからっていうのもあるんですけど、リズム隊、いい仕事しているなって思いながら弾けるから好きですね。
――今回、どのパートもフレーズ、プレイともに無駄がないというか、アレンジするうえで厳選した印象を受けました。
杉野:割とそうかもしれないです。「そこ、要らんやろ」ってサクっと。
近藤:そしたら曲も短かなったな。
杉野:けっこうな。唯一、「LAVENDER」だけ長い。極端やなって思いました。自分のことながら(笑)。
――だからこそ「LAVENDER」が際立つと思うんですけど、その「LAVENDER」は6分ある曲を、そんなに派手なことをせず、ドラマチックに演奏しているところが聴きどころじゃないか、と。アレンジや演奏では、どんなことを意識したんですか?
近藤:小難しいことはしたくないけど、飽きひんようにもしたいと思いました。やっぱり長い曲なんで、そこが一番、難しかったかもしれない。ちょこちょこフレーズを変えて、音色もちょっとだけ多く使いましたね。
杉野:映画のようなドラマチックな曲にしたいと思っていたから、だったら長くてもいいかって。最初、作ったとき、3分ぐらいかなと思ったんですよ。でも、実際には6分あって、そんな長いんやって驚いたんですけど、聴いていてもそんなに長いとは感じなかった。そういう感覚は初めてでした。長い曲はやっぱり長いんですよ、たとえ3分でも。6分の曲がこんだけさらっと聴けるって、初めてだったから、自分で作りながら、“これ、いいやん”ってなりました。
――さっき、どのパートのフレーズも無駄がないと言いましたが、中でも近藤さんのギターは前に出るところと出ないところのバランスが絶妙ですよね。
近藤:あまりごちゃごちゃしても、やっぱり曲自体が、さらに男らしい方向というか、泥臭い感じになったんで、シンプルにかっこいいことをしたいという感じでやりました。
杉野:その中でも「RAIN」って曲のギターは和嗣っぽいと思うんですけど、和嗣がスタジオでリフを弾いてたんですよ。「それいい!」ってなって、そこからセッションで作っていきました。
近藤:「ROCK'N'ROLL IS NOT DEAD」もセッションやったな。
谷口:曲によって違いますけど、そういう作り方は多いですね。
杉野:今回は、ほぼそれやったような気がします。
田中:けっこう早くできたもんな。
――バンドの調子が上がってきたって感じですね。
杉野:今回、レコーディングがミックスも含め、4日間だったんですよ。前回は、作りながら、こうしたほうがいいかなって思ったところもあったから、今回もそうなるかと思ったんですけど、さらっと行けて。ええやん、ええやんって、すぐにできましたね(笑)。
谷口:他の曲が思っていたよりも早く録れちゃったんで、半分ぐらいしか出来てなかった「RAIN」を、スタジオでアレンジして。
――ボーカルも凄味が増しましたね。
杉野:1日3曲ずつぐらい楽器隊のレコーディングして、その合間や残った時間に歌いましたね。
――じゃあ、ボーカルも迷うことなく?
杉野:がっと歌い上げました。
――さて、『FREEDOM」をリリースした後の活動も含め、2018年はどんなふうに活動していこうと考えていますか?
杉野:前回も言ったように、目標を決めずに、どこまでもハングリー精神剥き出しで行きたいですね。誰も見たことがないバンドになれるまで、ずっとがんばります。それを続けていくだけです。
――目標は決めないとは言え、当然、次のリリースも考えていると思うんですけど、今回の手応えから次はどんな作品になりそうですか? あるいは、したいですか?
杉野:たぶん、作る時に決めると思います(笑)。想像がつかないんですよ。自分達の成長具合が。“俺、いまイケるわ”っていう時に作るんで、その時のお楽しみですね。
取材・文=山口智男 撮影=山内洋枝
climbgrow『FREEDOM』
NRSM-1004 / ¥1,800+税 / 流通:JMS
1.POODLE
2.FENCE
3.RAIN
4.ROCK’N’ROLL IS NOT DEAD
5.SCARLET
6.LAVENDER
タワーレコード限定購入者特典:オリジナルポストカード
iTunes Store、レコチョクほか主要配信サイトで2月7日より配信スタート
3/11(日) 滋賀B-flat
3/18(日) 神戸太陽と虎
3/22(木) 大阪MUSE
3/23(金) 名古屋APOLLO BASE
3/24(土) 小田原姿麗人
3/29(木) 山口LIVE rise SHUNAN
3/30(金) 広島CAVE-BE
4/6(金) 金沢vanvanV4
4/7(土) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
4/8(日) 仙台enn 3rd
4/12(木) 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
4/13(金) 埼玉HEAVEN’S ROCK VJ-1
4/14(土) 千葉DOMe柏
4/15(日) 前橋DYVER
4/22(日) 香川DIME
4/28(土) 大分T.O.P.S Bitts HALL
4/29(日) 小倉FUSE
5/11(金) 心斎橋BRONZE(セミファイナル)
5/13(日) 下北沢ReG(セミファイナル)
5/19(土) 滋賀B-flat(ファイナル)
<その他ライブ情報>
2月7日(水) 奈良NEVERLAND
2月8日(木) 京都MUSE
2月9日(金) 滋賀B-flat
2月16日(金) 下北沢 DaisyBar
2月27日(火) 大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
3月17日(土) 京都 GROWLY